女性Aさんはある古い家に引っ越して来た。
Aさん自身、住めればなんでもいいという考えの持ち主なので、今回引っ越しが決まった家はかなり古かったが、どうでもいいと思っていた。
玄関からさっそく家の中へと足を踏み入れるAさん。窓からは太陽の光が差し込んでいる。新しい家にはやはり新鮮味があるものだ。Aさんは嬉しかった。
そしてAさんは新しい家で初めての夜を迎えた。
一日の疲れを癒す為、寝床につくAさん。
しかし初めての家というものはやはり落ち着かないもので、なかなか眠れなかった。
そんな時だった。どこからか「コツコツ…コツコツ…」という何かを叩くような音がした。
Aさんは「なんだろう?」と思いながら、音がしている場所を探す。そしてAさんは音がしている場所を発見した。その音は床下からしていた。ちょうどAさんが布団を敷いている場所の真下からの音だった。その時Aさんは一階で寝ていて、「床下にいるネズミかなんかの仕業だろう」と思い、大して気にしなかった。
しかし次の夜も同じ事が起こった。
…コツコツ…コツコツ…
「またネズミかな?」と思いAさんは、自分の寝ている真下の床をトントンと叩いた。すると音はしなくなった。
しかし、また次の夜も同じ事が起こった。
…コツコツ…コツコツ…コツコツ…コツコツ…コツコツ…コツコツ…コツコツ…
流石に気持ち悪くなったAさんは「明日の朝、床板をめくってみよう」と思った。
その夜も音はし続けた。
翌朝、Aさんは自分の寝ていた真下の床板をめくってみる事にした。
ガ!ガ…バキ!
女性の力でも、たった一枚の床板は簡単にめくれた。床下をのぞき見たAさんは「キャぁぁぁーー!!」と悲鳴を上げ、恐怖に震えた
床下には…女性の死体があったのだ。
顔は白く、目を見開き、生きていない事は明らかだった。
死体は両手両足をロープで縛られていた。
Aさんはすぐに警察を呼んだ。
しばらく現場を見た後で警察はAさんに言った。
警察「女性は絞殺されたと我々は見ています。首に絞められた痕があります。間違いなく殺人事件といってもいいでしょう。」
Aさんは警察に今までの怪奇な現象を説明したが警察は聞く耳を持ってくれなかった。
しかしAさんは見ていたのです。女性の周りには沢山の這いずり回った痕があったのを…
床下は土だった為、痕がくっきりとついていた。
Aさんは思った。もしかすると女性は、毎晩毎晩、助けを求めて床下を這いずり回っていたのではないかと…そして私の寝ていた床の真下まで這って来て床を…コツコツ…コツコツ…と叩いて助けを求めていたのかもしれないと…
死んでも尚、助けを求めていた女性。
Aさんはたった一枚の床板の下で、そんな事が起こっていたと思うと、恐怖が込み上げて来た……
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話