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中編4
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もう.....

真夜中、高校生のAの携帯に、電話が来た。

既に、夜中の二時をまわっていた。

「誰だ、こんな遅くに....」

ぐっすり眠っていた所を起こされ、Aは少しイラっとしながらぶっきらぼうに、

「もしもし、誰だ、こんな遅くに。」

と、電話にでた。

(こんな時間に電話をかけてくるような馬鹿は、クラスメートぐらいだろ....)

Aはそう思い、少し乱暴に話しかけた。

「今何時だと思ってんだよ!相手の事も考えて電話をか......」

「Aかっ!!俺だ!Bだ助けてくれ!!」

「....Bか、どうしたんだこんな時.....」

「どうすりゃいいんだ!!俺は!このままだと死んじまう!」

電話をかけてきたのは、友達のBだった。何か、とても慌てているようだった。

「どうしたんだよ!こんな夜中に電話をかけてこなくちゃあならない事でもあったのか。」

「だから言ってるだろ!!このままだと死んじまうって!!」

「お前ふざけてるのか?」

「ふざけてないっ!!!」

Bの尋常じゃない慌てっぶりに、Aもただ事ではないという事が分かった。

「どうすりゃいい、俺は!!一体どうすりゃ....」

「分かった!!落ち着け!とりあえず落ち着け!」

「えっ、あ、ああ、そ、そうだな、落ち着こう。」

声が震えているのが、電話ごしに分かった。

「で、何があったんだ?」

Aは、優しく、ゆっくりとBに問いかけた。

「じ、実はついさっき.....」

Bが話すにはこういう事だった。

前日の夜、といってもついさっきの事。Bは夜中、家を抜け出しある場所へむかった。

ある場所とは、学校の近くにある廃屋である。

誰が住んでいたのかも分からない、いつからそこにあったのかも分からない、とにかく、謎が多い建物だった。

とくに何かがあるわけでなく、そこに近寄る者は、誰もいなかった。

だが、最近、そこに幽霊がでるという噂が、学校で広まった。

どっかの馬鹿が流したデマ、ほとんどの生徒はそう思っていた。

ただ一人を除いて。

Bは、オカルト的な物が大好きだった。当然、その噂も一人信じており、夜中家を抜け出し、恐怖感が増すからと、一人でそこに向かったのである。

「で、本当にいったのか。」

「ああ。」

「じゃあ、そこで何かあったのか。」

「い、いや、その時は何もなかったんだけど......」

Bがそこを探検している時は、特に何もなかったという。ただのぼろぼろな家。変な事は何も起きなかった。

「それで俺が帰ろうとした時.....」

Bが、

(所詮、デマか......)

と思い、落ち込みながらその家を出た時、

「ちょっとまて。」

Bは後ろから声をかけられた。

(これは....人じゃない!!)

Bは直感でそう思い、前を見たまま走って帰ってきたという。

「俺が急いで家に帰ってる時も、ずっと声が後ろからしてて.....実は、今も玄関から声がするんだ。何で入ってこれないのか分からないけど。」

「誰かのいたずらじゃないのか?」

「........足音なんてひとつも聞こえなかった。声だけが、追いかけてきたんだ......なぁ、一体どうすりゃいいんだよ?」

Aはにわかに信じられなかった。

(けど.....こいつが嘘ついてるとは思えない。)

分かった、今からそっちへ行く。そう言おうとした時だった。

「うわーっ!!!」

Bが叫び声を上げた。

「!!、どうした!!」

「こっ声が、お、俺の部屋の外から......どっどうしよう!!」

家の外からしていた声が、今、Bの部屋のすぐ外からするとBが言ってきた。

「ちょっと黙れ!!」

「えっ!!わ、分かった。」

Bが必死に震える声を押し殺すと、.......確かに声が聞こえる。

「おい、聞こえてるだろ。おい。」

まるで、機械のような、一本調子の声。

電話越しでも、それが人じゃない事がよく分かった。明確な理由は無い、だが、本能が告げているのだ。これは人じゃない、と。

「なっなあ、どうすんだよ!」

このままだと、Bが危ない。

「そうだ!親、親は!大声で叫んだらどうだ!」

「さっきからずっと叫んでるよ!でも、何でか分かんないけど、全然起きてくれないんだよ!」

Aは、迷った。

(得体の知れない何かがいるのに、俺が行ったところでどうなる。でも.....このままじゃBが......あーもう、やけくそだ!)

Aは決心した。

「今から俺が行く!!いいか、絶対に部屋から出るなよ!!」

「分かった!早くしてくれ!!」

Aがそこで、携帯を切ろうとした時、

「今更きても、もう、おそいよ。」

そこで、電話が切れた。

「今の声は........Bじゃない!!!」

AはBの家へ急いだ。

Bの家に着き、インターホンを鳴らすと、すぐにBの母親がでてきた。

「A君?どうしたの、こんな遅く」

「すいません、B君に用があって!」

「えっ、ちょっ、ちょっとA君?」

Aは、半ば強引に家に上がった。そして、Bの部屋に向かった。

「B!!!」

Bの部屋には、誰も居なかった。だが、Bがそこに居た痕跡は確かにあった。

「間にあわなかった.....」

Aはただ呆然と立ち尽くした。

Bがその後、帰ってくることは無く、行方不明という事になった。

Aは、Bに身に起きた事を、周りの大人に話した。例の廃屋を立ち入り禁止になり、二度と誰かが踏み入れる事はなかった。

Bに何が起きたのか、あの声の主は一体なんだったのか、今も分からないままだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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