Aは前に友達と撮影した写真を見ていたのだが、何枚かある内の一枚に妙な写真がある事に気が付いた。
友達3人と楽しそうに写っているAだが、その隣にある鏡にもAの姿が写っている。
しかし、鏡に写っているAの顔は、半分が焼けただれたように黒くなり変形していた。
Aは不気味に感じたが、「気にし過ぎだ」と自分に言い聞かせ、誰かに相談したりはしなかった。
写真の異変に気が付いてから数日がたったある日の夜中、Aは激しい腹痛に襲われ、救急車で病院に搬送された。
病院でAはすぐに腹部のレントゲン写真を撮られた。
結果は、「子宮内に異物があり、それが腹痛の原因と考えられる」という内容だった。
医師「すぐに切開手術を行い、子宮内の異物を取り除きます」
Aは切開手術を受けたのだが、手術後に医師から例の異物を見せられた時、「なんなのこれは!?」と驚いた。
肉の塊のような物…そんな物がいくつか置かれていた…医師はこう言った。
医師「これは人間の脳です。バラバラになっていますが間違いなく人間の脳です。」
Aは、医師が何を言っているのか理解できなかった。
A「何故、私の子宮に人間の脳があるのですか…!?有り得ません…!」
医師は暫く黙った後、Aに聞いた。
医師「Aさん、あなた双子ではないですか?」
A「え……あぁ、母から私は双子だと聞いた事があります。」
医師「やはりそうでしたか……もう一人の子供についてですが、産まれる前に亡くなってますよね…?」
Aは何故医師が、もう一人の子供が亡くなってしまった事を知っているのか不思議に思った。
A「そうです。もう一人は母のお腹の中で亡くなってます。私だけが無事に産まれてくる事ができました。母が言うには、私がもう一人の子供を吸収したから、その子供が亡くなってしまったと……何故もう一人が亡くなっていると分かったのですか?」
医師「…いいですか。落ち着いて聞いて下さい。あなたの子宮から取り出された脳は、産まれてこられなかったもう一人の子供の脳です。希にですが、母親の胎内で双子が誕生すると、強い子供が弱い子供を吸収してしまうという事が起きます。あなたの母親の言っている「吸収した」という事が本当なら、子宮内から取り除かれた異物は間違いなく亡くなってしまった子供の脳です。吸収された子供の脳が、あなたの子宮に残っていたのです。」
Aは驚きと共に怖さを感じた。
Aはその時、あの写真の事を思い出し、こんな事を思った。
「もしかすると、鏡に写っていた顔が片方だけ変形していたのは、亡くなってしまったもう一人の子供が関係しているのではないか?何かを訴えているのではないか?もしかすると私が吸収してしまった事を恨んでいるのかも知れない」と。
Aがその後、お寺のお坊さんに写真の事を相談したところ、お坊さんがこう言った。
お坊さん「あなたは産まれてこられなかった子供に恨まれています…何故私を吸収したの……………?と。」
Aは背筋が凍り付いたと同時に、その子供に申し訳ないという気持ちになった。
Aはお坊さんからお祓いを受け、後で子供にお祈りをした。その後は何も起きていないという………
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話