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長編13
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いしづちゃんの話

意外にも高評価でしたので、忘れられないうちに載せました。

長くなりますが、ご了承下さい。

いしづちゃんは音楽の授業だけでなく、私達に幽霊的な話や自分の旦那とのノロケ(笑)話等、いろんなことを教えてくれました。

いしづちゃんは基本、人や幽霊をあまり覚えていないらしい。どういうことかと言うと、毎日人とすれ違ってひとりひとり覚えていないように、幽霊も毎日見ているので、よっぽど印象強い人や幽霊を見ない限り、全く印象に残っていないそうです。

簡単に言うと、他人(幽霊)に興味はない!だそうです(笑)

そんないしづちゃんでも、始めて相談されて受けあった幽霊は強く印象に残っているそうです。

私が高校に入る3年前の話だそうです。

いしづちゃんの高校時代の友達(仮にAさん)が、始めて幽霊的な相談をしてきました。

Aさんは、22歳で結婚しておりマイホームを建て、幸せな生活を送っていたそうです。

Aさんは全く幽霊を信じていない人だったそうで、体質的に何も感じないらしく、今まで幽霊を見たこともないので、心霊番組や人が話している体験話も鼻で笑っていたぐらいの人でした。

勿論、いしづちゃんが霊感ありってこと自体にも常に疑っていた。

そんなAさんだけど、風水にすごく興味あるらしく、雑誌や風水関連のことを独学で勉強していたそうです。

いしづちゃんに言わせれば、風水なんて気分の持ちよう。だそうです。

Aさんは風水にハマったきっかけが、ノンノの雑誌に一時期風水特集が載っており、試してみたところ運が続きまくったらしく、まぁいいこと尽くしがありAさんは風水の力を信じるようになってしまったんだとか。

ハマりにハマったAさんは、本場の中国まで勉強しに行くまでになってしまい。旦那さんも風水の力を見ていたのか、妻の一人旅に何も言わず、旅費等を出してくれていたそうです(うらやましい)

そしてAさんは無事に帰国。

家に帰り。中国で集めてきた風水に効く物を家のいろんな場所に置いていったそうです。

ちゃんと鬼門や方角にあった物を、中国で出会った商人の言葉通り置いたそうです。

いしづちゃんは中国に行く前に、Aさん家に遊びに行っててその時の状態を教えてくれました。

「風水に効くとか言って、カーテンから何やら全て替わってたけど、あいつの趣味は訳わからんかったなぁ」

と呟いていた。

中国から帰り、全ての物を置いた次の日から、家の中で異変が起き始めたそうです。

Aさんは専業主婦なので、すぐに気付いたんだとか。

明らかに、昨日とは違う重い空気が家中を漂っていたらしく、Aさんは最初はん?と思ったが、換気すればとれるだろうと考え家中の窓を開けたが、時間がかなりたっても重い空気のまま。

Aさんはすぐに、もしや風水の力では!?と思い、効果がすぐに現れたことに喜んでいたそうです。

でもお昼を過ぎてから、新築なのにいろんな場所から、パキッゃドン!等の変な音が聞こえ始めるが、これも風水の効果と思い込んでしまっているため、何も不思議に思わなかったようです。(ある意味怖い)

夜になって旦那さんが帰って来て、すぐに家の様子に気付き「何か家ん中おかしない?」

「やっぱり気付いた!?すごくない!!すぐに風水の効果が出てきてん!!中国行って良かったわ〜」

とAさんは興奮気味で言った。

でも旦那さんだけが、この家の異変に嫌な感じがあり(これは風水の効果か!?)でも、喜んでいる妻を見て何も言わず一緒になって喜んであげたそうです(優しい…)

しかし重い空気は日に日に悪くなり、おまけに変な音も回数が増え、しかも誰かの視線もあり夫婦は段々不眠症になっていき、さすがに旦那さんが我慢の限界を越えて、Aさんに風水を辞めるように懇願したそうです。

でもAさんは納得いかず、とりあえず今の状況をいしづちゃんに相談することにしたそうです

その夜に、Aさんから電話がありました。

その時のいしづちゃんは数人と居酒屋で酒飲んでわいわいしている時で、だいぶ酔っ払ってきた頃に電話がきて、出たそうです。

「なにぃ〜?Aちゃん久しぶりや〜〜ん」

「明日相談したいことあって、急であれなんやけど、明日いける?」

「何々〜?もう旦那が嫌になったんかいな!アハハ〜酔っててごめ〜ん」

その時電話口で異変が起きました。

「い……いの。あ、……したは……」

「電波悪い!何も聞こえんで!!」

「だ……から!11……時バキッ!!パキパキ………ドン!!!」

と大きな音が聞こえたと思ったら、電話は切れてしまったそうです。

すぐにいしづちゃんは、これはヤバい!!と思い友人達に別れを言って、すぐに車で友人の家に向かったそうです。(あの頃は余裕で飲酒運転してたらしく、今はもうしてないとのこと)

家が近づいて路肩に車を止めて、近づくと何故か外にAさんと旦那さんが震えながら身を寄せ合っていたそうです。

「あんたら何してんの!?」

2人はすぐに駆けより「家の中が変なの!!怖いの!!」その時Aさんはヒステリックぎみに陥って、まともに会話できなかったらしく、とりあえず2人を車の中に入れ、コンビニの駐車場で旦那さんから経緯を聞くと、電話をかけている時に旦那さんAさんも今まで感じていた視線がかなり強くなったと思ったら、奇怪な音も激しくなり電話が勝手に切れてしまったそうです。

2人は怖くなり、2階へ逃げようとしたら、誰かが上から2人を見下ろしている感じがして、見えない何者かのせいで上に行けず、恐怖でAさんは泣き出してしまい、とりあえず外に出たところでいしづちゃんが来た。ということでした。

話を聞いたいしづちゃんは、旦那さんから鍵を受け取り1人、家に行きました。

家を見ると家全体が真っ黒いオーラを出しており「これはヤバいんちゃうかぁ?」と、呟いたぐらいすごかったそうです。

中に入った瞬間、アルコールが吹っ飛んでしまったそうです(……終わったら飲み直しゃな)

玄関に入ってすぐに元凶がいた

玄関から2階の廊下が見える作りになっており、(わかりづらくてすみません)その廊下に手すりがついていて、そこに霊がいた。

頭がいようにでかく、目は真っ黒で口は真一文字で、体は小柄でお婆さんの格好をしていた。いしづちゃんいわく、土偶のような体型だった(笑)

顔がでかすぎて視線がハンパなく、(そら逃げるわな)強烈だったらしい。

旦那さんが言ってたが、中国で買ってきた物が怪しいというので、とりあえず土偶は無視してリビングへ行くと、どれが中国で買ってきた物かすぐにわかった。(それから黒いオーラを出していたのでわかったらしい)

物となると、いしづちゃんには手がつけれず、言わば管轄外。

そこでいしづちゃんは有名な霊能者を呼ぶことにしたそうです。

いしづちゃんは家を出て、2人が待っているコンビニへ行き、ちゃんとした霊能者を呼ぶ事を伝えたそうです。

一応有名な霊能者なのですが、あまり表に出てこない人らしく、Aさんと旦那さんはその霊能者のことなんて知るはずもなく、怪しいと言って最初はなかなか受け入れてくれなかったそうです。

でも、その方がいる地域ではかなり有名で、(私も2〜3年前ぐらいに知りました)テレビに出ても可笑しくないぐらいの実力者で、いしづちゃんもかなり尊敬してる人らしいです。

結局は2人共、いしづちゃんを信じることにしたそうです。

(その時すでに夜中の3時過ぎ)

今日の朝にでも、霊能者に電話をする約束で、(この時間なので、起きていない)いしづちゃんの家に2人共泊まる事になりました。

そして朝になり、Aさんの旦那さんは仕事に行き、いしづちゃんは霊能者に電話すると、すぐに伺うとの返事を頂き、昼前に来る事になったそうです。

その間いしづちゃんとAさんは二度寝(笑)

そして霊能者(あだ名がおばばなので、以後おばば)がいしづちゃん家に到着。娘さん(と言っても50過ぎ)も一緒に到着。

Aさんを一通り見たおばばは、微笑みながら頷いていました

「あんたにはなぁーんも憑いとらんよ。あんたは気ぃ強い子やから、これから先も安心しぃ」

「……は、はぁ」

Aさんはまだ、おばばを胡散臭い目で見てたそうです。信じていない人からしたら、霊能者をすごいとは思えないらしい。

4人で問題の家に行くと、相変わらず黒いオーラを出しており、玄関に入ると土偶は昨日と同じ場所にいたが、顔は明らかに怒っていたそうです。

おばばの力が強いと感じたのか、奇怪な音(ラップ音)がさらに激しくなり、土偶ババァ(?)も何もしてこないが、何故か無意味に左右に揺れ始めたらしい(笑)

この状況を見ていたいしづちゃんは、普通の人ならビビっているところを、思いっきり笑いを堪えるのに必死だったそうです。

とりあえず、土偶ババァを無視してリビングへ。するとここでおばばがAさんに、中国で買ってきた物全て持ってくるように言って、おばばと娘さんはいろいろと準備をし始めたそうです。

いしづちゃんはというと、怖がるAさんにくっついてあげていたそうです。(一切手伝わず)

全部がリビングに揃ったところで、おばばが今からの段取りを説明してきました。

「ここにある物を全て、簡単にお祓いする。次に――」と言いかけた時にAさんが割って入った。

「簡単にするって、どうゆう事やの!?こっちはお金払うんやで!!」

「わしゃ金払えとはまだ言っとらんで。ほんまに気ぃだけは強い子やの(笑)。思ってたよりも、この物自体そんなに悪い者わ憑いとらん。やから、ちゃんとしたるから説明聞き。」

「その言葉信じますけど、まったく変わってなかったら、一銭も払わんから!!」

と言うと、ソファに座りそっぽを向いてしまったそうです。

そんなAさんを無視して、おばばは説明の続きを始めた。

「なんやったかいな?あぁ!!そうそう、お祓いした後はこれを全部わしの信頼してる寺に預けるが、手元には二度と戻ってこんがええか?」

とAさんに呼びかけたが、Aさんは無言で顔を合わせないまま頷いた。(よっぽど信じきれない性格なのだろう)

「そしてここからじゃが、2階の廊下に顔のどでかいねぇーちゃんがおるやろ?と言っても、あんたには見えへんか。」

Aさん頷くだけ。相変わらずそっぽを向いたまま

「あれがなぁ、地縛霊でなぁ。中国のどこで買うてきたか知らんが、ここにある物に憑かせて家の中に取り憑かせるのが目的みたいやなぁ。わしも長生きしてきたが、こんなん始めて見たわ」

「地縛霊って何です?」

ようやくAさんふりむく。

「地縛霊というのは、文字通りそこで死んだ者や、その土地に強い思いを残して、未練が断ち切れずその地に縛られた霊の事を言うんや。思いが強いとたち悪いのが、ほぼ多いなぁ」

「しかし、困った事にあの顔のどでかいねぇーちゃんは、この家を気に入ってしまっとる。今日中に終わるかわからんが、それでもええか?」

「……今までの家の雰囲気が…戻るなら」

「保証はするで。けど時間と日がかかるかも知れへんよ」

「……わかりました。時間がかかろうと、前の状態に戻るなら、我慢します」

「ほな、始めるから、あんたらはしばらく外に出とき」

と言って、いしづちゃんとAさんを外に追い出してしまいました

「とりあえずあたしの家に行って、お茶しよか」

「お茶!?アホ言わんで!!うちはまだ信じた訳やないんやから!何か盗まれてたらどないすんの!?」

Aさんはかなりブチギレていたが、いしづちゃんはAさんを無視して車の中に放り込んだそうです(笑)

「あんたなぁ、自分で何も出来んのやから専門にまかしといたらええの。おばばはほんまに信用して大丈夫やから」

それでも、助手席でギャーギャー騒ぎまくってたそうです。

そんなAさんだったが、癒やし効果を出すハーブティーを飲ませたら、大人しくなったそうです(笑)

(ヒステリックな奴には、これ出すの決定やな)と内心思ったそうです。

「なんであの人は、お祓い見せてくれないん?」

「理由は気が散るとあかんらしいけど、やってるところはあたしも見せてもらった事ないねん」

「ますます怪しいねんけど…」

「おばばは大丈夫やって」

そう言った時、いしづちゃんの携帯に電話がありました

「はいはい?…あ、そうなんですか。あたしは明日仕事ありますねん。ええ…ちょい待ってもらえます?」

と言うとAさんに携帯を渡した。

「もしもし?……えっ?えぇ!?……は、はいわかりました」

「何て言うてた?」

Aさんは、元気のない顔で「お祓いは済んだけど、もう1泊ホテルかあのお婆さんの家に泊まれって……」

「あぁ〜、だからさっき明日の事聞いてきたんやな。時間かかる言うてたもんなぁ。」

「あの人の家に泊まりたないわ!!お願い!!夕食とかなんでもするから、今日も泊めて!!(泣)」

「別にえぇけど……(はぁ〜〜)」

結局Aさん夫婦は、いしづちゃんの家に止まらなかった。

旦那さんが、怒って「これ以上迷惑かけれないだろ!!」と言って、ホテルに泊まったそうです。

その日のいしづちゃんは、イベントなどの打合せがあるので、Aさんに付き添えなかったそうです。

なのでここからの話は、いしづちゃんがおばばに直接聞いた話をします。

いしづちゃん達を家から追い出した後、おばばの娘さん(50過ぎ)はお祓いを終えた物を持って、唯一頼りにしている寺に持って行き、おばばは一人家に残っていたそうです。

おばばは土偶をリビングに来させる為、2階へ行き塩を少しずつ持って、ゆっくりと時間をかけながら移動させたそうです。

そしてリビングへ着くと、すかさずドアを閉め塩を盛り逃がさないようにして、閉じ込めるとおばばは数珠を持ち、土偶とコンタクトしました。

この土偶なかなか心を開かず、おばば何度も心を通わせたそうです。

それから3時間後、ようやく土偶がおばばに対し答えてくれたそうです。

見た目は怖いかも知れないが、意外にも素直で優しい子らしい(笑)

どんな会話をしたのかは、全く教えてもらえなかったそうです。(おばばいわく、幽霊でも個人的なプライバシー保護)

体はお婆さんの格好をしているが、なんと32歳(亡くなった歳です)!!中国の西方面出身。本人は結構美人(生きてた時)だったと言っていたらしい。

死んだ原因は、男に騙されしかも身ごもったままその男に事故死と見せかけられて、殺されてしまったそうです。(可哀想……)

殺されても、やっぱりその男を愛していた土偶は、しばらくの間その男に憑いていたそうです。

しかしその男には別の女がおり、その女も男の子供を身ごもっていたそうです。(まるで昼ドラ)

当然土偶はショックを受けます。(死んでわかった事実)男と女を怨みまくったそうですが、怨んでもなお、やっぱりその男が好きで仕方なく、最初は怨んだもののすぐにそれができなくなってしまったそうです。

土偶は、自分が死んでしまったため行き場を無くし、いろいろとさまよったが、彼女はあの男との一番楽しかった、思い出の場所にずっといる覚悟を決めたそうです。

そして彼との思い出の場所で、10年以上いたそうです。

しかし、ある日変な男と女が彼女(土偶)の前に現れてきたそうです。

男と女は何か会話したと思いきや、いきなり念を唱え始め男がもっていた物の中に入れられてしまったそうです。

彼女は訳がわからないまま、その中で約10年以上いたそうです。(外の世界が解らない為、実際はもっと過ぎてるかも)

それからしばらくして、結界が切れて外に出ると、知らない家の中だったそうです。

それがAさんの家でした。

土偶はAさんに一生懸命、元いた場所に帰してほしい事を訴えたが、Aさんは全く霊感ないので彼女に気付く訳もない。

土偶はシカトされたと思い、怒り狂い家のあちこちで怪奇音を出してたそうです。

そして夜になり、旦那さんを見て同じように訴えるもやはり気付いてもらえず、彼女は孤独感と人の冷たさを知り、この家に取り憑く事にしたそうです

でも自分には実現できなかった夫婦生活を、目の前でされている事に段々腹が立ち、Aさん達をこの家から追い出せる為に、嫌がらせをしていたんだそうです。

案の定夫婦は怖がり、いしづちゃんを呼び、そしておばばが呼ばれ、土偶はさらに怒ったんだそうです。

けれど、生きてる人から心を初めて通わられた時は、警戒したものの、おばばの優しい人柄に惹かれ、心を開き今まで言えなかった事全て言えたそうです。

いしづちゃん「それで、あの土偶はどないしたん?」

おばば「悪い子じゃない子やから、明日寺に連れて行きちゃんと供養してもらうねん。あの子は充分死んでも辛い思いしてきたからなぁ。」

そして、土偶はやっと成仏する事ができ、その時の彼女は美しい微笑みを浮かべて消えたそうです。

気になるAさんはというと、おばばに酷い態度や言葉遣いに対し、泣きながら謝ったそうです

中国で手に入れてきた物なのですが、私は実際に見ていないので、どんなのか特徴も知らないし、また話してくれたいしづちゃんは見ているのですが、ああいうのはまだまだ売られている可能性があるとして、教えてもらえませんでした。

おばばが言っていたそうですが、あの中には動物の目玉、人の指、動物の皮膚、内臓が入っており決して開ける事が出来ないように作られていたそうです。

それを1個1個の物の中に入れて、それでワンセット。その物の内、一つに地縛霊を憑かせたら完成。簡単に言うと呪いの道具になる。

故そんな物を普通に商売しているのかは、おばばでも解らないそうです。

全ておばばから聞いたAさんは、風水を止めた。(こんな事があったから、尚更)

これでこの話は終わりです

ずるずると伸ばしてしまい、本当にすみませんでした。

今後は、私が通っていた高校の音楽室を書きたいと思います

長くなってしまいましたが、読んで下さりありがとうございました。

こんな私に、皆様からの温かいお言葉、本当に嬉しいです。

ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー わかめさん  

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非常に面白い!
登場人物も個性的でいしづちゃんのシリーズとしてもっと読みたいですね!

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