女性Aは最近妙な電話に悩んでいた。
知らない相手から電話がかかってきて「どこにいるの」と聞いてくるのだ。Aはその度に「どなたですか?いたずらならやめて下さい!」ときつく言い、電話を切る。
こんな電話が何度もかかってきていた。
初めてその電話がかかってきた時、相手に「君かわいいよね。家はどこ?」などと突然聞かれ、Aは気持ち悪さを感じ、「もしかしてストーカーかもしれない」と思った。
今となっては「今どこ?」「何食べてる?」「彼氏は?」などと、さらにプライベートな事をしつこく聞いてくるようになった。
そしてまた電話がかかってきた。
A「もういい加減にして下さい!警察に電話しますよ!」
相手「君今日の朝、電車で僕の隣に座ってたね。かわいかったな〜」
Aは「こいつはストーカーに間違いない!」と思ったと共に、もうひとつ思った事があった。
ストーカーが自分にさらに近付いているような気がしたのだ。
いつもは、「君、今日は隣にいたね」などと言ってこないのに、今日は何故、隣にいたなどと言ってきたのか。
Aは、ストーカーが自分にさらに近付いた事を伝える為に今回「隣に座ってた」と言ってきたのだと思った。
Aは怖くなり電話を切った。
A「次相手から電話がかかってきたら警察に電話しよう」
Aはそう決めた。
そして次の日の夜、Aが部屋で調べ物をしていた時だった。
プルルルル プルルルル
電話が鳴った。
A「またあなたですね。今日は警察に電話しますから。」
相手「いや〜大変だったなぁ〜鍵開けるの。」
A「は?」
相手「この部屋暗いな。とても怖いよ…暗くて怖いよぉ〜」
A「あなた何言ってるんですか?とにかく警察に電話しますから。あなたの居場所を言って下さい!!」
相手「嫌だな〜警察なんかに電話しないでよ。僕今ナイフ持ってるから警察官刺しちゃうよ。」
A「今どこにいるんですか!」
相手「隣の部屋…」
A「え?」
相手「隣の部屋」
Aは鳥肌が立った。
まさか…
Aは隣の部屋の方を見た。
自分のいる部屋と隣の部屋との間にあるスライド式の扉。
その扉の隙間から隣の部屋の暗闇が見えた。
Aは恐る恐る隣の部屋へと向かう。
スライド式の扉を開けた。
暗くて奥が見えない。
Aは部屋の奥の暗闇へと足を進めた。
Aの姿は暗闇へと消えた。
その後、Aの姿を見た者はいない。
家にもいなかったという。
警察の調べによると、Aの家の、ある部屋の窓が開いていて、そこから足跡が、見つかったという。
Aは暗闇で何を見たのか。また何に出会ったのだろうか…
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話