家に帰って来た時、Aさんは決して悲鳴をあげたり、そいつを追い出そうとはしなかった。
部屋には全く見覚えのない、おまるがあった。
そしておまるの前には、そいつがいた。
自らをオマールと名乗るアホがいた。
そいつはおまるの前に座ると、それに顔を突っ込んだ。
しばらく顔を突っ込んだままの時間が流れた。
その間、物音ひとつしないシーンとした空気が漂っていた。
そいつは顔を上げるなりAにこういった。
おまる いいよ!
おまる ナイスだよ!
おまる オマール!!
Aはあきれかえったを通り越して絶望を感じていた。
この場に絶望を感じたのではない。そいつに絶望を感じたのだ。
なぜなら、Aから見てそいつは、もう救いようのない「手遅れ」だったからだ。
Aは「可哀相に」と思った。
とその時、突然そいつがAに向かって走り出し、Aの顔にスプレーをかけた。
Aは眠ってしまった。
目を覚ました時にはそいつはいなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話