母から聞いた話です。
まだ団地に住んでいた頃に俺を妊娠した時の話です。
5月にしては暑い夜。母は金縛りにあった。
すると、鍵をかけていた玄関がひとりでに開いて誰かが入ってきた。
麦わら帽子にランニングシャツに短パン。よく夏に見る虫採り少年が足元まで来て
「お母さん、喉乾いた」
と言った。
母は必死に
「台所で水でも飲みなさい」と心のなかで言った。
するとありがとうと言って少年は消えた。
それから何年かたった暑い日に母は俺を見てこの話を俺にしてくれました。
あの時みた少年はその時の俺、そのままだったんだと。
怖い話投稿:ホラーテラー Jackさん
作者怖話