これは、夏休みにあった本当の話です。
夏休みに入って、田舎のおじいちゃんのうちに家族で行きました。
着いてその日の夜、親戚の子達と近くのお寺に行って肝試しやろうってことになったんです。
近くにある林は、5年前にはバラバラ死体が見つかった場所で、地元の人達もめったに近づかないそうです。
林に近づいたとき、街灯の下に30歳くらいのおじいさんが立っていました。
『おまえたち、こんな時間に何やってんだ?』
ガムをクチャクチャ噛みながら、半分キレ気味に話かけてきました。
「みんなで肝試しに……」
言い終わらないうちに、みんな走りだしました。
街灯に照らされた、その男の右手には指のちぎれた人の手が。
ニヤッと笑ったその口元からは血の滴った指が見えたからです。
おじいちゃんの家にもどってから、ずっと布団の中で震えていました。
家にもどってからは、一歩も外に出れず、何も手につきませんでした。
あの
『クチャッ、クチャッ』
っていう音が耳から離れないんです。
これが夏休みに起きた不思議な出来事です。
一生懸命に話す少年をなだめながら、男は言った。
『それが夏休みの宿題を忘れた君の言い訳なんだね?』
真っ黒に日焼けした少年は何故、先生にバレたのか不思議だった。
怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん
作者怖話