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短編1
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『…ごっこ』

夏の終わりを告げる夕立がやんだ頃、神社の境内から子供達の声が聞こえる。

「これ、飲めるのかなぁ?あっ!虫が浮いてる。気持ちわるー。」

「うわっ、またキモいの発見!これ見て!首がとれてるっ!」

「お地蔵さんに、そんなこと言っちゃ、バチがあたるよっ!」

「さっきから、ずっとこっちを見てるあのおばさんのほうがキモいよ!」

「ほんとだ!キモーい!キモーい!」

「もう、帰ろうよぉ。あたし、塾に行かなきゃ。」

「そうだな、この遊び飽きたし、つまんねぇし。」

リーダー格と思われる少年は、ひ弱そうな少年を肘でつついた。

「おかしいなぁ。『キモ試し』ごっこはスリルがあって面白いって、兄ちゃん言ってたけどなぁ。」

「バイバーイ!おばさんも夜はここお化けでるから、帰ったほうがいいよー。」

水溜まりを避けながら、子供達は帰っていった。

境内の影から女の霊は、うらめしそうに子供達を見送っていた。

『私、20歳なんだけど…』

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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