夏の終わりを告げる夕立がやんだ頃、神社の境内から子供達の声が聞こえる。
「これ、飲めるのかなぁ?あっ!虫が浮いてる。気持ちわるー。」
「うわっ、またキモいの発見!これ見て!首がとれてるっ!」
「お地蔵さんに、そんなこと言っちゃ、バチがあたるよっ!」
「さっきから、ずっとこっちを見てるあのおばさんのほうがキモいよ!」
「ほんとだ!キモーい!キモーい!」
「もう、帰ろうよぉ。あたし、塾に行かなきゃ。」
「そうだな、この遊び飽きたし、つまんねぇし。」
リーダー格と思われる少年は、ひ弱そうな少年を肘でつついた。
「おかしいなぁ。『キモ試し』ごっこはスリルがあって面白いって、兄ちゃん言ってたけどなぁ。」
「バイバーイ!おばさんも夜はここお化けでるから、帰ったほうがいいよー。」
水溜まりを避けながら、子供達は帰っていった。
境内の影から女の霊は、うらめしそうに子供達を見送っていた。
『私、20歳なんだけど…』
怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん
作者怖話