健哉と紗耶香というラブラブカップルが居ました
健哉は紗耶香を愛していたし
紗耶香も健哉を愛していた
だけど
健哉の愛が大きすぎて紗耶香は健哉の存在が恐ろしくなってきた
『束縛』
健哉は毎日紗耶香をデートに誘い、友人と遊ぶと紗耶香が断ると怒り狂ってその友人と紗耶香を切り離した。
携帯も毎日のようにチェックされ監禁された時もあった。
紗耶香は怖くなり健哉に別れを告げた
健哉はついに紗耶香に暴力を振るってしまった
紗耶香は携帯を変え引っ越しをして健哉に見つからないようにひっそり暮らしはじめた
そんなある日の事だった
紗耶香が何気なくニュースを見ていると
健哉が殺されたと報じられていた
紗耶香はびっくりした
同姓同名の別人だと思い込もうとしたが住んでる場所からして確実に健哉本人だった
紗耶香は一日中ずっと泣いていた
そして深夜−…
家のチャイムが鳴った
紗耶香はニュースを録画してずっとテレビを何回も再生して見ていた
だからチャイムにはすぐ気付いた
「こんな夜遅くに…」
紗耶香は不気味になりながらも、おそるおそるドアを開けてみた
すると隙間から真っ赤に染まった手が、ガッと紗耶香を掴まえた
「きゃあ!」紗耶香は悲鳴をあげその手を振りほどきドアを勢いよく閉めた
だけどその赤い手の奴はドアを何回もしつこく叩き
「さやか〜開けろぉぉぉ」
とうめき声ともとらえられる声でどなってきた
紗耶香は泣きながら無理無理と泣きじゃくった
紗耶香は赤い手の奴が誰だか分かっていた
健哉だった
ドアを開けた時隙間から見えた…体中が血だらけの健哉の姿が…。
健哉は死んだはずなのに…
紗耶香は連れていかれる!と思い必死に拒んだ
しばらくしてドアを叩く音が止まり紗耶香が
「よかった」と安心した瞬間背後から声が…
「紗耶香ぁ〜みーつけたぁぁ」
にんまりと笑った健哉が背後に居た…
紗耶香は怖さのあまり固まってしまった
健哉は紗耶香の頭を撫でた
「紗耶香、逃げて」
健哉は小さい声でそう言った
「え?」紗耶香は撫でられて安心したのか思わず問いかけてしまった
「僕を殺したのは紗耶香のストーカーなんだ。僕らが付き合ってる頃から真人という男が君をストーカーしていたんだ。君を怖がらせると思って言えなかった」
初めて知った事実に紗耶香は驚く事しかできなかった
「真人は僕の親友で紗耶香に一目惚れしたらしい…ごめんな、毎日紗耶香の自由を奪って。でも紗耶香を守りたかっただけなんだ。」
束縛じゃなかった
健哉は紗耶香を守るために…
紗耶香は涙を流した
「健哉のばか!早く教えてよ…!一人にしないでよ!」
紗耶香は泣きじゃくった
健哉も涙を流した
「あの日、紗耶香を叩いてごめん。早く言えばよかった…」
「健哉…っ」
「さぁ、早く逃げて、僕を殺した犯人…真人はまだ捕まってないんだ。きっと邪魔者の僕が居なくなったから君に会いに来る!」
健哉は紗耶香の背中を押しベランダに出した
「紗耶香はここから先の交番に向かって!」
健哉は紗耶香にそう伝えるとベランダの鍵を閉めた
紗耶香はベランダのドアを叩いた
「健哉も一緒に来てよ!」
「僕は行けない…」
「いやだよ…健哉と一緒に居たい…!」
「紗耶香……」
健哉は大粒の涙を流し
声を荒げながら
「僕も生きたかった
紗耶香と一緒に
ずっと笑って居たかった
だから僕はこれからも君を守る
星になって君を守るから…
君を愛してる
紗耶香だけ
紗耶香しか愛せない
紗耶香に出会えて幸せだった」
そう訴えた
紗耶香は
「あたしも愛してる」
と言ってガラスのドアに唇を押し付けた
健哉もそれに答えるかのように唇を押し付けた
「バイバイ…」
紗耶香は笑って手を振り交番に走って行った
それから真人という男は逮捕され
紗耶香にも平和な日々が訪れた
しばらくして紗耶香に彼氏が出来た
バイト先で知り合った男、名前は−…
「上村 星(せい)」
紗耶香は笑顔になった
「おかえり健哉」
健哉は神様に人間の体に魂を宿して貰った
大切な人を守った褒美として。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話