最後まで聞いちゃいけない

短編2
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最後まで聞いちゃいけない

[最後まで聞いちゃいけないうわさがあるんだって]

[どんな?]

[ネットでね、「イワサキさん」って打つと、その話が途中まで出てくるの]

[「イワサキさん」?]

[そう。それで「イワサキさん」に後一文字入れて検索すると終わりまで読めるらしいの]

[何なの、その一文字って・・・・]

広島県F市某所。

男は通行中の女性の頭部にビニール袋をかぶせ、不明瞭な言葉を発する。

その後女性は男の手を振り切り近くの民家に助けを求める。

男の事件の数日後、死体で発見される。

誰かの気配を感じ、何度も後ろを振り返る。

息遣い、衣擦れの音、靴が地面を踏む音。

やっぱり誰かいる。

足音はゆっくり速くなり、近付いて来る。

そして振り返ると、男の顔が迫ってくる。

私は悲鳴を上げようとするが、声にならない。

男は私のすぐそばまで来た。

しかし男は私の横を通り抜けると、どこかへ走り去った。

よかった、私を追いかけてたわけじゃないんだ。

そう安堵し再び歩きはじめる。

するとしばらくした所に、あの男がいた。

何をしてるんだろう。

[おい]

男が聞いてきた。

私は思わず声を上げそうになる。

[お前、どう思う]

どう思うって、何を。

[どう思ってるんだ]

だから何を。

[どう思ってるんだって聞いてんだよ]

といって男は、私の首を絞めてきた。

苦しさの余り気を失いそうになる。

やがてだんだんと、明晰な部分が停止していく。

[ここまでしか知っちゃいけないの]

[最後まで知ったらどうなるの?]

[分からない、でも取り返しのつかないことが起こるんだって]

[ホントにぃ?]

[でも私知ってるよ、その一文字]

[え?教えて、教えて]

[自己責任だからね?教えるよ?それはね・・・・]

あいつがまたやってきた。

夜になると、いつも私の部屋で何かを探している。

這うようにして、真っ暗な部屋の中を動き回っている。

手当たり次第に引き出しを開け、何かを喚く。

私は気付かれないように毛布にくるまり、必死で息を殺す。

そして恐ろしくなる。

あいつが私の上に飛び乗り、首を締めあげてくるんじゃないかって。

でももう遅い。

私は知ってしまった。

あいつが何を探しているのか。

そしてあいつは私に気付いた。

私の布団から出ている脚を掴むと、そのまま下に引きずり下ろした。

そして髪を滅茶苦茶に掴まれ、私は何かを言われた。

[・・・・、・・・・、・・・・]

あいつは憎しみの籠った声を上げた。

私はなすすべもなく、されるがままだった。

目が覚めると、私は見知らぬ場所にいた。

廃工場のようだ。

外へ行くと、見覚えのある店があった。

そこからしばらく歩き、家に着いた。

その日は学校を休んだが、またあいつが出てこないか不安になった。

私は今日も、震えて眠る。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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