[最後まで聞いちゃいけないうわさがあるんだって]
[どんな?]
[ネットでね、「イワサキさん」って打つと、その話が途中まで出てくるの]
[「イワサキさん」?]
[そう。それで「イワサキさん」に後一文字入れて検索すると終わりまで読めるらしいの]
[何なの、その一文字って・・・・]
広島県F市某所。
男は通行中の女性の頭部にビニール袋をかぶせ、不明瞭な言葉を発する。
その後女性は男の手を振り切り近くの民家に助けを求める。
男の事件の数日後、死体で発見される。
誰かの気配を感じ、何度も後ろを振り返る。
息遣い、衣擦れの音、靴が地面を踏む音。
やっぱり誰かいる。
足音はゆっくり速くなり、近付いて来る。
そして振り返ると、男の顔が迫ってくる。
私は悲鳴を上げようとするが、声にならない。
男は私のすぐそばまで来た。
しかし男は私の横を通り抜けると、どこかへ走り去った。
よかった、私を追いかけてたわけじゃないんだ。
そう安堵し再び歩きはじめる。
するとしばらくした所に、あの男がいた。
何をしてるんだろう。
[おい]
男が聞いてきた。
私は思わず声を上げそうになる。
[お前、どう思う]
どう思うって、何を。
[どう思ってるんだ]
だから何を。
[どう思ってるんだって聞いてんだよ]
といって男は、私の首を絞めてきた。
苦しさの余り気を失いそうになる。
やがてだんだんと、明晰な部分が停止していく。
[ここまでしか知っちゃいけないの]
[最後まで知ったらどうなるの?]
[分からない、でも取り返しのつかないことが起こるんだって]
[ホントにぃ?]
[でも私知ってるよ、その一文字]
[え?教えて、教えて]
[自己責任だからね?教えるよ?それはね・・・・]
あいつがまたやってきた。
夜になると、いつも私の部屋で何かを探している。
這うようにして、真っ暗な部屋の中を動き回っている。
手当たり次第に引き出しを開け、何かを喚く。
私は気付かれないように毛布にくるまり、必死で息を殺す。
そして恐ろしくなる。
あいつが私の上に飛び乗り、首を締めあげてくるんじゃないかって。
でももう遅い。
私は知ってしまった。
あいつが何を探しているのか。
そしてあいつは私に気付いた。
私の布団から出ている脚を掴むと、そのまま下に引きずり下ろした。
そして髪を滅茶苦茶に掴まれ、私は何かを言われた。
[・・・・、・・・・、・・・・]
あいつは憎しみの籠った声を上げた。
私はなすすべもなく、されるがままだった。
目が覚めると、私は見知らぬ場所にいた。
廃工場のようだ。
外へ行くと、見覚えのある店があった。
そこからしばらく歩き、家に着いた。
その日は学校を休んだが、またあいつが出てこないか不安になった。
私は今日も、震えて眠る。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話