僕が小学生の頃、
学校の健康診断か何かで、”鼻炎の可能性がある”という事で、耳鼻科へ行く事に。
医師:『アレルギー鼻炎の可能性があるので、血液検査をしましょう。』
別室に通され、
ベッドに寝て待っていた。
すると、
若い看護婦が2人来て、
看護婦A:『じゃあ、採血しますね〜。
…あぁ〜、血管が全然見えな〜い。』
僕は元々、血管が細く目視では、ほとんど見えないのだ。
学校での集団接種の時、確実に時間がかかる為に後回しにされる程だ。
予想していた事態なので、
「あの…、僕、血管が細いから見えにくいんです。
だから、一回では(採血)難しいかも…。」
看護婦A:『え〜、そうなの?んじゃ、まぁ試しに一回!』
「え?!ためし…イタッ!!!」
血管の位置を、さほど確認しないまま、勢いよく針をさした。
採血用の針は、ワクチンを接種する時の針と比べ、やや太い。
だからか、勢いよくさされた僕の腕に激痛がハシッた。
看護婦A:『あ〜、やっぱ失敗!もう一回!』
「イッ!!!」
また確認もせず、何のためらいもなく、さしてきた。
看護婦A:『ん〜、またダメかぁ…。』
針を抜く時も、勢いよく引き抜く為、激痛がはしる。
看護婦B:『反対の腕でやってみれば?』
位置を変え、反対の腕に。
が、先程と同様のやり方で失敗。
とんでもなく下手クソな3回の注射の痛みで、僕は泣きそうだった。
容赦なく、また針がさされて引き抜かれる…。
歯を食いしばるが、涙がこぼれてきた。
看護婦A:『やだもぅ〜。また失敗!』
看護婦B:『何やってんの?次、あたしがやってみるわ。』
看護婦さん2人は、ケラケラと笑っていた…。
声に出して笑っていた。
まるで、楽しんでいるかのように…。
看護婦Bに交代したが、この人もAと同じだった。
さしては、引き抜く…
何回か繰り返すうちに、意識がもうろうとなった。聞こえるのは、看護婦さん達の笑い声だけ。
(もう、ヤダ。お父さん、お母さん、助けて…。)
『何やってんだ!おまえらぁぁぁ!!!!』
とてつもない怒声で、僕はハッとした。
看護婦さん達は、注射器を持ったまま唖然としていた。
声の主は、
医師だった。
あまりにも採血が長いので、不審に思ったらしい。
医師:『もういい!!俺がやる!!』
また刺されるのか、と恐怖で固まったが 、
医師の採血は、痛みもなくスンナリと成功した。
看護婦さん達は、医師に連れてかれ、
僕は痛みで動けないので1人でベッドで休んでいた。
やっと激痛から解放された安堵で涙が溢れてきた。
しばらくして、母親が迎えに来た。
腫れた両腕に涙で真っ赤になった目の我が子。
院長から看護婦達の話を聞いて、母はブチ切れていた。
帰る間際、
看護婦さん達と目が合った。
ボソッと聞こえた…。
『あたし達、悪くないもん…。』
次に病院に行ったら、2人ともクビになっていました。
大人になった今でも、若い看護婦さんが恐いです。
怖い話投稿:ホラーテラー 葉月さん
作者怖話