中編3
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黒魔術

まわりの目を気にする年頃になった所為か、自分の容姿に不満を持ってきた

お世辞にも可愛くない顔

親友、友人、家族からも不細工だと思われているに違いない…

そう思うと気が気じゃなかった

帰り道に、古本屋でたまたま見つけた表紙に魔方陣が描かれた"本"

惹かれるように手に取った

お会計して取り敢えずページをめくってく

【美貌を己の手に】と書かれた文字

準備するのは赤い薔薇のみ

実行時刻は0時と決めた

本に頼るほど私は『美しい顔』になりたかったのだ

黒魔術をするのには抵抗はなかったが、形容しがたい何とも言えぬ複雑な気持ちに陥った

そして、実行時刻はおとずれた

家族を起こさない様、注意をはらいながら購入した薔薇と本を持って洗面所に立った

水をはって薔薇の花びらを散らし、呪文を唱える、これで秘儀は完了した

後は、一晩寝れば美貌が手に入ると言う

熱い熱い、顔が熱い

痛い痛い、全身が痛い

心臓がドクドクと波打つ

喉が燃えるように苦しい

だけど、これを乗り越えれば私が待ち望んだ美貌が手に入る

醜(みにく)い顔とはおさらばだ

***

目覚ましが部屋中に鳴り響く

ベッドから抜け出し、駆け足で洗面所に向かって鏡を見た

「……誰?」

鏡にうつるのは、昨日の私とは似ても似つかない美しい顔

「あ、アンタ誰なの!?娘の寝巻きて!?私の娘をどこにやったの!?」

険悪な表情をしたお母さんが立っていた

お母さん私だよ…!どうしてわからないの?

ああそうか…顔が変わったからだ…

「迎えにきたよー!」

ナッチャンだ。いつもこの時間になると迎えにきてくれる

もしかすれば気づいてくれるかも…!

一つの希望を抱いて外へ飛び出す、背後でお母さんの怒声がきこえた

逃げるように家を飛び出す…が、

「どちら…さんですか…?」

いつも笑顔で迎えてくれるナッチャンじゃない

そこには困惑の表情をして、不信そうに私をみる親友がいた

体がそこにいるのを拒否した、怖かった

自分の存在を誰もきづいてくれない

確かに美貌は手に入れた

自分勝手だとわかってる…だけど

こんな事になるって知ってたら望んでいなかった…!美人になんてならなくてよかった!

公園のトイレに駆け込んで鏡を見た

鏡には綺麗で整った顔

別人の自分を見て、血が煮えたぎる程の怒りが湧き上がった

私は孤独に支配された

力一杯に拳を鏡に叩きつける。鏡に大きなヒビが入った

ヒビの入った鏡には過去の顔の自分がうつっていた

過去の自分は鏡越しで泣いていた

良くみれば、ブスではないじゃないか

もっと自分を良くみてやれば良かった

どうして自分の顔を好いてやれなかったのかと、酷く後悔した

「ごめんね」

そう呟いた瞬間───

視界がグニャリと歪んで、そのまま意識は途切れた

****

気付いたら、黒魔術の本を買う前に戻っていた

時間も、服装も髪型も…全部あの日と一致する

私は急いでその本を棚に戻して、古本屋を後にする

ショーウィンドーが反射して映る自分のを見てニッコリと笑った

いつもの私の顔…!

「頭の上に薔薇の花びらがついてますよ」

そして、私は運命の出会いをする

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あっ…、これ良い…。

良かったです

普通に面白かったです!
オチがハッピーエンドですごく安心しました笑

ご親切にありがとうございます
全く持って初耳です…(-。-;
暇があればみてみようと思います

↓アウターゾーン、昔ジャンプで連載されてた漫画ですね。

匿名様のアウターゾーンの意味が良くわかりません(^◇^;)
まぁ何しろ、コメントや怖いを押してくださってありがとうございます(^-^)
励みになります

あー、なんか好きこうゆうの♪

前回、投稿した話がバッドエンドだったので今回はハッピーエンドに仕上げました
怖くないのが、欠点なんですけど…(~_~;)

こういう話好き!

あ…これ素敵ですね。