短編2
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憧れ

車に乗り込みカーステレオのスイッチを押す…

何時ものお気に入りの歌、このミュージシャンが亡くなって既に4年が経っていた…

僕もあの頃よりか、少しばかり老けたし…そろそろ結婚も考えなきゃならない年齢だ…

_________

ギターを車に載せ、街へ…

路上演奏を始めたのは、あのミュージシャンが亡くなってからだった。つまり四年間…街の決まった場所、決まった時間に…

彼が歌っていたあのバラードを歌う…

心地よい風が吹き抜け夕方の空に詩が溶けてゆく…

街ゆく人は聞く耳持たないまるで耳の聞こえないマネキンの様で…恥ずかしさは特に感じなかった…

彼が来るまでは…

………

「気にする事はないよ、もっと聴かせてくれよ…」

そう言ってニコニコ笑いながら、隣に座る。

「でっ…でも僕はこの唄しか知らないんです…」

すると、彼は、「ふっ…」と笑いこう言う。

「大丈夫さ。何度でも唄いなよ…僕も好きだったんだその唄…」

そして、あと三回ほど歌う、彼も一緒に歌ってくれた…

それでも、立ち止まって聞く者は居ない…

それもそうだ、恐らく皆には見えて居ないのだろう…

僕は彼に尋ねた…

「何故ここに?」

すると、彼はポケットからタバコのケースを出し、中身が入ってないことに『チッ…』と舌打ちをしながら、こう答えた…

「ツアーの帰りに、たまたま立ち寄った街で、たまたま僕の唄を歌っている君がいて、たまたま隣に座りたくなって、たまたま君と話をしている…不思議だけど、当たり前の事かもしれない…だって僕らはその唄で繋がっているんだからね。」

「いや…そうじゃなくて…あなたは…」

まるでそこに本当に彼がいるかの様に感じる…

彼は人差し指を口の前に立てて…

「僕がここに来たことは内緒だよ…」

当たり前の様に立ち上がりその場をゆっくりと立ち去りフゥっと消えてしまった…

そうだ5月2日、今日はあの人の命日だ…

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あーーー
出てきそうだよね、あの人は(笑)

ありがとう~、、

見てみますねぇ。

無人さま、スローバラードでググって御覧なさいな!

誰ですか?

気になります!