中編4
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人格移動

私は怖い話、怖話を探す為に全国を旅する怖話ハンターだ…

加代は私にある事を聞く…

「美奈が…あの日から行方不明なんです…連絡もつかないし、あの時、貴方と一緒でしたよね?知りません?」

…知ってるも何も、私はその美奈って人を知らない…分かるわけが無い…菅野じゃなきゃ分からないだろう…

「どうしたのかな?あのあと別れて…それっきりで…

ゴメン、僕も分からないな。

もし、連絡があったら直ぐ知らせますよ…」

その場しのぎの嘘をつきその日は彼女と別れ、私は兎に角、病院に入院していると言う、菅野 徹に会う事にした…医師がなんと言おうと…会わねばならない、そんな気がしたのだ…

医師の話によれば、彼は人格が無く、ほぼ、廃人の様になっているという事だ…

もしかしたら、私の中の菅野が出てくるかもしれない…

……………

病院のナースステーションで病室を聞く…306号室…

精神科病棟は異様な空気が流れては居るが、それほど普通の病棟と代わりは無い…

叫ぶ者がいたり、蹲(うずくま)りブツブツと独り言を言う者が居る事以外は…

306号室の入口の前で見覚えのある男が立っている…菅野?

……実は、私はここからの記憶がない…

「ハッ!」と目が覚める様に戻ると…あの医師が目の前で怪訝そうに顔を伺っている…

「あれ?先生…ここは?」

「貴方…あれほど言ったのに、菅野に会いましたね…?」

「どうなってるのか…?…会った事は会ったんですけど…その瞬間から記憶がないんです…」

「でしょうな…先程まで少年の犬神さんでしたから…」

クソ!菅野は出なかったか…

「どんなんなってました?」

「菅野さんを羽交い締めにして…キャッキャと笑っていました…更に変な事を言っていました…『スガピー!捕まえたよ!さっさと移りなよ?!』みたいな事を…」

うわ…ヤバイなそりゃ…

「菅野はどうしました?」

「それが…」

何やら眉をひそめる様な顔で唇をとんがらせ、考え込む医師…

「どうしたんです?」

「人格の無いはずの菅野さんが笑ったんです…」

それは、何かの兆候なのだろうか?

と、その時…診察室の扉が急に開き、看護師が飛び込んで来て

「先生!大変です!菅野さんが!菅野さんが!!」

「どうしたんだ!?」

「そ、それが…屋上から飛び降りて…」

な!!!?

急いで駆けつけると、菅野の変わり果てた姿…

脚が向いてはならない方向に折れ曲がり、頭蓋骨が割れたのか脳みそをぶちまけ、耳から口から鼻から至る所から血を吹き出した状態で病院の庭園脇のアスファルトの上に横たわっている…

最悪だ…

ドクン…

心臓が強く脈打つのが分かった…

ドクン…

自分の意思では無く口が開く…

「くっくっく…死にやがったか…菅野 徹は二人も必要ない…そう思うだろう?犬神…」

何だこれは…

勝手に自分で自分に語りかけている…

「お、お前、菅野か?」

「まあな…気分はどうだ?犬神…これから俺はお前の身体を乗っ取ろうと思ってんだ…光栄だろ?」

「やめろ!そんな事してどうなる?」

不思議な会話に気がついた医師が声をかけてくる

「犬神さん?どうかなさいましたか?」

すると、菅野が答える…

「犬神じゃあ無ぇよ…そこに寝てる俺だ…」

「菅野さん?あぁ…やっと出て来てくれましたね!私と話しをして下さい…」

「馬〜鹿…貴様に用は無い。死ね…」

この瞬間、不思議な事が起こる…

医師が急に鋭い目つきに変わり、右手の人差指を自分の耳に突きたて、その場で自殺をしたのだ…

血が吹き出し、辺りを真っ赤に染める…

その間、私はある事に気がついた…

今、私の中に菅野を感じない…

まさか、先生の中に意識を移した?そして殺したとでも?う、嘘だろ…?

つまり、もしかしたら、ここから今すぐ離れれば奴は私の中には戻れないかもしれない!

とっさの判断だったが、私は全力でその場から離れた…

耳から大量の血を出しながら、菅野が乗り移った医師が叫ぶ

「犬神ぃぃあぁぁぁ!!!!!!貴様ぁぁ!何処へ行くかぁあああああ!!?」

トコトン走り続け、だいぶ離れた場所まで来て、私はある公園のベンチにもたれ掛かりながら息を整えた…

「上手く逃げたね」

また、自分の意思では無く口が開く!?

「ガキの頃の私か…?」

そう言えばまだこいつが残ってた…

更に口が開く…

「せっかく…あともう少しだったのに…」

「どうゆう事だよ…」

「スガピーになれば…沢山、人を殺せたよ…なのに邪魔しやがって…馬鹿…」

……………

……………

……………

一番厄介な人格はどうやら私自身らしい…

加代が探していた美奈は数日後、ある公園のトイレの個室で遺体となって発見された…が

舌を噛み切って死んでいた事から警察は自殺と断定した…

加代とは今も関係を続けている…

最近は少年の犬神も姿を表さなくなった…。

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キャラやらも含め楽しく怖く読ませて頂いてますので全てが明らかにならなくても、そこがまた色んな想像ありで面白いのだと思ってます♪
お話が上手いからこその賛否両論だと尊敬です(^ー^)これからも楽しみにしてます♪

色んなご意見大変ありがとうございます。

自分のペースでやらせて頂いて居りますので、勝手に書いたり、書かなかったりとすると思います。にゃお様のお言葉や薄紅様のお言葉が嬉しいのですが、全部は書かないかもしれません…ご容赦下さい。

ダサいネーミングはワザとです、キャラクターがあんなんですからダサめの方が面白いかと思いまして。

私はこのシリーズも好きです
にゃおさんと同じく菅ピーが犬神くんの中に現れた理由や過去どんな事があって多重人格者になってしまったのか、私も知りたいです
両親の話とかも折々聞きたい♪
よろしくお願いしますm(__)m

犬神さんの作品は長文系も、今回のも好きですq(^ー^q) 次回も楽しみにしています。

このシリーズ、面白くて好きです。
シリーズを終わらせるか否か迷っているのなら、出来ればもう少し謎を解明してからにして頂けませんか?

ナゼ、菅野は犬神にとり憑いた?のか。
ナゼ、菅野は自分のままではいけなかったのか。
少年犬神は、自分にとり憑いた菅野に人殺しをさせてどうしたいのか。
そもそも、子供の頃に菅野と友達だった筈の犬神の記憶と、犬神が菅野の虐待を目撃した後ベランダから落ち目覚めてから親と友達が菅野の存在を否定したのはナゼか。
実在していた筈なのに。

良ければ、こう言った謎の答えをシリーズ内で書いて下さると嬉しいです。

つまらなくはないよ。面白いよ。

匿名様、あっ…シリーズって多重人格シリーズの事を言ってるんですね?怖話ハンターシリーズじゃなくて…『曼陀羅』とか『掛軸』とかのやつじゃなくて…
短編ですか…少ない言葉で恐怖を描くのって難しいんですよね…でも、頑張ります。

匿名様より怖話ハンターつまらない…頂きました。失礼しました…