深夜、コンビニに行った時のこと。雑誌コーナーで立ち読みしていたら、近くで「チリーン」と鈴の音がした。
嗚呼、誰かのストラップとかキーホルダーに付いてる鈴が鳴ったんだな。そう思い、雑誌に目を落とす。また近くで「チリーン」と澄んだ音がした。
しかし、よくよく周囲を見ると、店内には私の他に客の姿はなかった。あれっと首を傾げると、また「チリーン」と音がする。
空耳かと思ったが、確かに聞こえるのだ。気味悪くなり、雑誌とお茶のペットボトルを持ってレジに向かった。レジには若い男の子の店員が気怠そうに立っていた。彼がレジを打っている間も、「チリーン」と鈴の音は聞こえてきた。
この子には、あの鈴の音が聞こえているんだろうか。ふと気になり、「あのう…」と声を掛けると、彼は虚ろな目を私に向けてボソリと、
「…いつものことなんです」
私は差し出されたレジ袋をひっつかむと、お釣りも受け取らずにコンビニを飛び出した。
作者まめのすけ。