長編10
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Twitter 4

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ピンポーン

17時55分。

チャイムが鳴った。

俺はドア穴を覗き、誰かを確認するとドアを開けた。

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「お待ちしてました。田所さん」

「お邪魔します」

田所さんを家の中に入れる。

「ここに座ってください。コーヒーでいいですか?」

「すいません。ありがとうございます」

コーヒーの匂いが部屋中を漂わせる。

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「田所さん…」

「はい…」

「昨日は急に話したいことがあると言って、わざわざ家にまで来ていただきありがとうございました…」

「いえ、そんなことは」

「田所さんしかいないから…」

「え?」

「いや、なんでもないっす」

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「実は私も、小林さんに話したいことがありまして…」

「そうですか…」

「では…私からお話しますね」

「はい…」

「昨日の三浦さんのこと…なんですが」

「あ、はい…」

「山中夏実さんの時と同じ死に方でした」

「それって…」

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「裏返しです」

「…空が…」

「私は、山中さんを殺害した犯人と同一人物だと判断してます」

それはお前だろう?

俺はそう思った。

口にしたいが、今は我慢しなくちゃいけないと思った。

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「そ、そうですか…」

「あと…家島さんの事件は覚えていますか?」

「…家島?」

「はい。山中さんと同級生の方です」

「あ…覚えてます」

「その事件の犯人のことで…」

「は、犯人がわかったんですか?」

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「はい。家島さんを殺害した犯人は山中夏実さんです」

「え…?」

「山中さんが犯人です」

「夏実が…?」

「はい」

「しょ、証拠とかあったんですか!?夏実が犯人という…」

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「…はい」

「ど、どんな証拠ですか!?」

「…小林さん」

「は…はい…」

「何か隠してますよね?」

「え!?か、隠すって…なにを…」

隠している?なんのことだ?

一瞬にして頭が真っ白になった。

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「本当に隠していませんか?」

「だ、だからなんのことですか?何言ってるのかさっぱり…」

「小林さんは知っていたはずです」

「…へ?」

「みつけましたよね。穴」

「…あ、あな…」

「隣の部屋と通じてる穴です」

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「…さぁ…」

穴。

穴って前見つけたあの穴か?

「その穴を覗きましたよね?」

「なんのことだか…」

「小林さん…私は本当のことを聞きたいだけなんです。もちろん、何故私に言わないで秘密にしてたかはよく分かりませんが…」

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「…穴がなんですか…?」

「小林さんの隣の部屋から異臭がすると110番された方がいまして。警察が確認しに部屋に入ったんです。そしたら…大量のゴミ袋の中に死体がありました」

「…そ…そうですか…」

「その時、小林さんの部屋と通じてるような穴を見つけました。覗いてみると、小林さんの部屋が見えました」

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「それで…」

「結構な大きさの穴だから…気付かない訳ないかと思いまして…」

おかしいと思った。

俺は穴を覗いた後、塞いだ記憶がある。

…剥がれたのか。

「…知ってました」

「やはりそうでしたか…」

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「知ってはいましたけど、別に田所さんに言うほどじゃないと思いまして」

「覗かなかったんですか?」

「覗きましたけど…ゴミしかなかったから…」

「そうですか…それは失礼致しました」

「それで…夏実が犯人という証拠はなんですか?」

「本当に知らなかったんですか?隣の部屋に住んでいた人物は山中夏実さんだと」

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「……え?」

夏実が隣人だった?

「会ったことはないんですか?」

「会ったことは……あ…」

前、隣から結構の音が聞こえた時、俺は…

「会ったこと…あります」

「その時に気づかなかったのですか?」

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「その時は…なんというか…深夜だったという事もあって顔が全然みえなかったんです…女性ってことは分かったんですけど、寝ぼけてましたし…」

「服装を、覚えていますか?」

「服装ですか…?えっと…白だった気が…すいません。あまり、覚えてないです…」

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「いえ、大丈夫です」

「あの…それで、どうして夏実が犯人だと…?」

「指紋が出たんです。ゴミ袋の中に入っていた死体から」

「あ…そうなんですか…」

「はい」

ピロリーン♪

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「あ、すいません」

「いえ、みていいですよ」

「すんません」

携帯をみてみると、LINEが来ていた。

適当に返信をして携帯を机に置く。

「いいんですか?」

「あ、はい。大丈夫です…」

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「じゃあ私は小林さんに話したかったことを話したので、次は小林さんが」

「あ…」

なんて言おう?

夏実と空を殺した犯人はお前だ。

と、言うのか?

それとも…

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「あの…夏実と空を殺した犯人のことなんですが…」

「はい」

「何か、分かっている事とかはあるんですか…?」

「…分かっている事…」

「…はい」

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一瞬。

ほんの一瞬だが田所さんの顔が…

この前みた、殺意が湧いたような顔になった。

恐い。恐かった。

「そうですね…まぁ、少しは」

「そ、そうなんですか…」

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「…小林さん」

「はい?」

「何も…なにも覚えてないですか?」

「…え?」

田所さんが思いもよらぬ事を言ってきた。

なにも覚えてない?なにを覚えてない?

「…忘れたんですか?」

「なにを言ってるのか…わからないです」

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「じゃあ、この子覚えてますか?」

そう言って田所さんが出してきたものは写真だった。

「え…写真?」

「みてください」

みてみると、そこには1人の女の子が写っていた。

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小学1年生ぐらいだろうか?

あどけない笑顔が目に映る。

「この子は…?」

「知らないですか?」

もう一度みてると、どこかでみたことがあるような気がした。

「…みたことあるような…」

「この子は、私の娘です」

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「娘さん…いたんですか」

「亡くなってしまいましたけどね…」

「え…亡くなったんですか?」

「ええ…階段で足を滑らせて転落してしまって即死だったらしいです」

「階段で…」

「転落した時、頭に直撃だったらしく…」

「頭…」

「娘が亡くなったって知ったのは、亡くなった次の日に聞いたんです」

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「え?」

「娘が小学生になる前に、妻とは離婚してたんです。でも、1ヶ月に1回程度娘に会いに行ってました。やっぱり、妻とは離婚しても娘は娘ですから」

「あ…」

「…なんか、すいません。変なお話をして」

「いえ。そんなことないです」

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「あの…でもなんで俺に写真をみせたんですか?」

「それは…」

〜♪

その時、俺の携帯に母親から電話がきた。

「あ…すいません」

「いえ、出ていいですよ」

「ありがとうございます。あ、外に出て電話します…」

「お構いなく」

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俺は外に出ると、電話に出た。

適当に返答して、電話を切ったのが10分後だった。

「すいません…長引いて…」

部屋に戻ると、田所さんがいなかった。

「…田所さん?」

その時、田所さんが俺の部屋から出てきた。

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「…」

「どうしたんすか…?俺の部屋で何を…」

「小林さん…我々はもう、全部知っているんです」

「さっきからなにを言ってるのかわからないんですけど…」

「小林さんは、私が犯人だと思っているんでしょう?」

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ビクッとした。

「…そ、そんなこと」

「そんなこと?」

「思ってなんか…ないですよ」

心臓がバクバク鳴っている。

「まぁ…あながち間違ってはいませんが」

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「え?」

なんて言ったのか、聞き取れなかった。

「小林さんは本当に何も覚えてないんですか?」

「さっきからなんなんですか?本当にわかりません」

「ご自分の病気もわかりませんか?」

病気?

「何のことだか…」

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「あなたは高次脳機能障害ですよね?」

高次脳機能障害。

聞いたこともない。

「俺…が?」

「ご自分のしたことを覚えてないんですよ」

「何が言いたいんですか?」

「山中さんと三浦さんを殺した犯人は…

小林さん。あなたですよ」

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なにを言ったのか俺は理解できなかった。

は?

俺が犯人?

俺が夏実と空を殺した?

そんなわけがあるわけない。

何故俺が夏実と空を殺す理由なんてある

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「そんなことないじゃないすか…証拠でもあるんですか?」

「ありますよ」

「どこに…」

「申し訳ございませんが、小林さんのお部屋を詮索させてもらいました」

そう言って、田所さんは俺の部屋に入っていった。

俺も後から入る。

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部屋に入ると、クローゼットの前に田所さんがいた。

田所さんがクローゼットを開けた。

「ここに、証拠があります」

クローゼットの中にあったのは、包丁、ノコギリ、他にも色々入っていた。

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「…なんだこれ…そんなの俺…買った覚えないし…クローゼットの中にいれた覚えないですけど…」

「ちゃんとみてください。このノコギリ…血痕がついてるんです」

「…知らない」

「この血痕を調べれば、誰のか分かります」

「俺は…知らない」

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「知らないということは、調べてよろしいですか?」

「知らない…知らない」

「小林さん…」

「俺は本当に何も知らないんだ!!!田所さんが…田所さんがいれたんじゃないすか?俺を犯人にしたてあげる為に…」

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「…」

「俺は…本当に…」

その時、俺の頭の中であの日の出来事が浮かびあがった。

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あの日のこと。

そう、夏実と待ち合わせをしていた日。

俺は夏実に電話をした。

夏実「え?待ち合わせ時間を19時じゃなくて、18時にしてほしい?」

俺「できる?」

夏実「いーよー。じゃあまたね」

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俺がついた時には夏実はもう来ていた。

夏実をみた瞬間、首を絞めていた。

何故だか分からない。

ただ耳元で何かを囁かれたんだ。

小さい女の子に。

気付いた時には、夏実はもう夏実じゃなくなっていた。

血と肉の塊になっていた。

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空と別れた後。

俺は空に話したいことがあった。

空を見つけて話しかけようと思った時。

また囁かれたんだ。

小さい女の子に。

気付いたら、空だけど空じゃなかった。

血と肉の塊。

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「…小林さん、殺人容疑の疑いで逮捕します」

「…」

俺は…何をしてしまったんだ。

ずっと田所さんが夏実と空を殺したんだと思っていた。

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〜エピローグ〜

「田所警部!頼まれていた資料です!」

「あぁ…麻生くん。ありがとう」

麻生くんから受け取った資料に目を通す。

「…そういえば…小林容疑者は落ち着いたかな?」

「はい!睡眠薬が入った飲み物を飲ませたので、今は寝ています」

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「そうか。それは良かった…」

「でも、田所警部本当危なかったですよね。高次脳機能障害の病気をもつ犯人と2人きりだったなんて…」

「まあ、危なかったよな」

「本当尊敬します!」

「ありがとう」

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「…さて、小林容疑者の取り調べでも行うかな…」

「それなら…他の警部がしてますから田所警部がしなくていいと思いますよ?」

「あぁ…少し、彼に話したいことがあってね」

「そうなんすか…分かりました!」

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小林さんに会いに、留置場に行く。

留置場に行く間に、色々なことを思い出していた。

「…田所さん?」

「小林さん。落ち着きましたか?」

「あ、まぁ…はい…」

その時、すいません。と看守に声をかけられた。

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「田所警部お疲れ様です」

「お疲れ様」

「小林容疑者に用事でも?」

「まあ。…少しお願いがあるんだけどいいかな?」

「なんでしょう?」

「小林さんと少し2人だけでお話がしたいんだ。少し、外に出てもいいかな?」

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「あ…じゃあ私も着いて行きます。何があるのか分からないので」

「大丈夫大丈夫。一応、上の方にも許可とったから」

「それなら…分かりました」

「ありがとう」

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「小林さん。話したいことがあるんで、少し外の空気でも吸いに行こうか」

「あ…はい…」

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小林さんと外に出ると、小林さんがぽつりと呟いた。

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「小さい女の子が…」

「…女の子?」

「毎晩毎晩夢に出てくるんです…俺、本当恐くて…」

「…その女の子はなんて言ってるんですか?」

「それは…聞こえないんですが…」

「…小林さん」

「はい?」

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私はポケットから写真を取り出した。

「この写真覚えてますか?」

「あ…は、はい…娘さんですよね…」

「この子…亡くなったと言いましたよね」

「階段から落ちて…でしたっけ…」

「警察側は事故だと判定したんです。でも私は…」

「…」

「事故じゃなく、殺されたんだと思いました」

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「…え?」

「この子、虐められていたんです」

「虐め…」

「名前は、康子って言うんですよ」

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「康子…」

「思い出しましたか?あなたが殺した子ですよ」

「…俺が…?」

「階段から落としたでしょう。私は忘れていませんよ」

そう。私はみてしまった。

娘…康子がこいつ、小林に落とされた所を。

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あの日は、康子の担任に話したいことがあった。

康子が虐められているんじゃないかって。

でも、あのクソ担任はそんなことはない。と、適当にあしらった。

その帰り、康子をみつけた。

頭がグチャグチャになっている康子を。

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誰が落としたなんて、すぐ分かった。

康子の隣で不気味に笑っている男の子を。

その時は。

まだその男の子は未成年だったから。

未成年だとちゃんと罪を償えないから。

私は黙っていた。

いつからか、Twitterを始めた。

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康子で。

そしたら、あいつもみつけた。

小林大介。

私の最愛なる娘を殺した男。

平凡に暮らしている姿をみて、殺してやろうと何度思ったことか。

小林大介のことを気持ち悪くなるぐらい調べた。

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高次脳機能障害という病気を持っていることも、後から知った。

いつからか、康子ぐらいの子をみると連れ去っては可愛がっていた。

でも、私がいくら可愛がっても女の子達は泣いた。

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なぜお前は康子じゃないんだ?

何回この言葉を女の子達に言っただろう。

用が無くなったら、腹を抉ってやった。

女の子の阿鼻叫喚と腹を抉るたびの快感。

たまらなかった。

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気づいたら、警察も幼女殺害事件の犯人を探し始めていた。

だから…

「小林さんには、感謝してます」

「…は…?」

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10日後のことだった。

小林大介が死刑判決を下されたのは。

4 完

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過去作品を読んでたらたまたま目にとまり読ませてもらいました。
こーゆー最後にどんでん返しのあるような作品最高です(*^^*)

壁の穴からじーっと見ています。
次回作頑張って下さい!

同じクソでも被害者面したクソがもっとも度し難いという( ;´Д`) しれっと少女誘拐+殺害とか。

何というドンデン返し...
次回作が楽しみ!

めっちゃ面白かった。
次回作も楽しみにしてます。

リン先生、面白かったです。流石ですね!

次回作も是非に早く読ませてください。

奇想天外で読み応えたっぷりでした。

やっと読めました。
次回作楽しみです。

田所サン↓↓(%;´п`Ⅲ)
高次脳機能障害..怖い病気
(;゚д゚)ェ...................

未必の故意にはならないのですね。。

田所サンも狂喜に支配されてましたね。

支配されながらも淡々と何年も掛けて復讐をやり遂げて田所サンは満足?救われたのでしょうか?

きっと康子チャンの代わりにしようとした子供達に悩まされる事になるとワタシは思うのですが...

奇想天外でとても面白く怖かったです。

素晴らしい作品でした(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

リン様の次回作を心待にしてます。

次回作が楽しみ!

待ってました。
犯人が想像していた人じゃなくてびっくりしました。
本当面白かったです。
次回作も楽しみにしてますね。