中編6
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私は居間で、コーヒーを飲みながらぼんやりと

女性誌の巻末の通販の記事を読んでいた。

こんなうまい話があるのかね、そう呆れながらも

まあ、1週間タダで試せるのならいいかもね。

肌に合わなければすぐにやめればいいし。

私はそんな気軽な気持ちで、電話の子機を握り、ボタンを押した。

3日後、宅配で重箱くらいの、小さな小包が届いた。

パッケージには優美なフォントでシャレた装飾を施し

「ONIKIS」と書いてあり、なんだか高級感に溢れていた。

中にはこれまた、高級感溢れる丸いフタ付きの容器に

滑らかな保湿クリームのような物が入っていた。

容量は少量だが、小瓶が4つ入っており、1週間以上は持ちそうだ。

思ったより良い物だったので、私はとても得した気分になった。

まあ、効果は期待できないけど、ちょっとした保湿クリームを

タダでもらったと思えばいいわね。

私は早速、お風呂上りに気になる場所に塗ってみた。

二重アゴのあたり、ウエスト、ヒップのたるみ

この年になると、どこもかしこも弛んでいる。

効果はあまり期待してないけど、塗り心地はわりと良い。

ベタつきもなく、さらっとしている。

私はマッサージ効果もあり、リラックスして眠りについた。

次の日の朝、鏡を見た。

なんとなく肌の調子がいいみたい。

なかなか、いいじゃない、このクリーム。

今日はお化粧のノリもいいわあ。

気に入っちゃったわ、これ。

私は、また、気になる部分と乾燥しそうな部分に塗りこんだ。

朝ごはんの支度をして、娘を起こしに行った。

「早く、ご飯食べちゃいなさーい。遅れるわよー。」

階段の下から何度叫んでも起きてこない。

私はいつも以上にイライラした。

階段を駆け上がり、ドアをドンドンノックした。

「もう!いい加減にしなさいよっ!毎日毎日!自分で起きたためしがないじゃない!」

私は、最後にドアを思いっきり蹴った。

ドアがメリっと音を立てた。

私は自分がしたことながら、驚いてドアを見た。

私が蹴ったところが、丸く凹んでいる。

私以上に驚いた娘がドアを開けた。

「何よ、どうしたの?そんなに怒って。あ、ドア・・・。酷いよ、お母さん。」

「ご、ごめん。まさか、穴が開くとは・・・。」

私、こんなに力があったっけ?

足もさほど痛まない。

なんでこんなに怒り狂ったのだろう?

自分でもよくわからない。

私はその日の午後、スーパーに夕飯の買い物に出かけた。

野菜コーナーを過ぎ、お肉のコーナーを通りかかると、何故か

無性にお肉を食べたくなった。

調理しているものでなくて、生で食べたくなったのだ。

今まで、馬刺しやレバ刺しなど、決して食べたくなかったのだが

真っ赤な血のような色の肉を見ると、異常な興奮を覚えた。

私は買い物籠に、生レバーを入れた。

そして、私は、家族が帰る前に早めに夕食を取った。

生レバーのパックをあけ、そのまま手づかみで貪るように食べた。

口の中に広がる血なまぐささがたまらなかった。

生レバーってこんなに美味しい物だったろうか?

以前ならあの、血なまぐささが大嫌いだったのに。

年を重ねて、食の嗜好が変わったのかしら?

私はそれくらいにしか思わなかった。

その日の夜も、あのクリームを塗ってみた。気のせいだとは思うのだけど、

塗りこんでいるうちになんとなく、力がみなぎってくるような気がする。

なんだか、自分が万能になったような気分になるのだ。

心なしか、ウエストも少しくびれたような気がする。

肌は艶々で少し赤みを帯びている。

まるで少女のような肌じゃない。

私は喜びを隠しきれなかった。

高揚した気分のまま、床についた。

その夜、恐ろしい夢を見た。

私が誰かを殺し、その肉体を貪り喰う夢だ。

得も言われぬ味だった。

口の中に広がる血の味は、とても甘美な快感を与えた。

私は戸惑った。あんな気持ちの悪い夢を見たにも関わらず、

もう一度その夢を見たいとすら思ったのだ。

私、おかしくなっちゃったのかしら。

気分転換に顔を洗って、またあのクリームを体と顔全体に塗った。

なんだか、ちょっと若返ったかも。

朝、食事の際に、主人がのりの佃煮のビンを開けるのに

苦労していた。

「あれ、開かねえな、これ。」

うなりながら、一生懸命、蓋を回そうとしている。

「貸して。」

私は主人に手を差し出した。

主人は、お前にできるの?と言うように、少しニヤニヤした。

指先でちょっとひねっただけで、簡単にビンの蓋は開いた。

主人が驚愕の目で私を見た。

「凄いなあ。ジムにでも通ってんの?俺より力あるじゃん!」

私は確信した。

あのクリームには、痩身だけではなく、力が強くなる効果がある。

科学的根拠はわからないけど、あのドアに穴を開けたのだって

あのクリームを塗りだしてからなのだ。

食の嗜好の変化も?私はあの日から、毎食レバ刺しや、生肉を食べているのだ。

家族にはあんなグロい食事シーンは見せられない。

時間帯をずらしてこっそりと食べている。

私はその夜、思いがけない衝動に戦慄する。

食事を終え、お風呂に入っていた娘が、バスタオル1枚で出てきて

「お母さん、石鹸がないよ。どこ?」

と言いながら、石鹸を探していたのだ。

白く柔らかそうな肌。

あれに被り付いて肉を食いちぎったら、どんなに美味しいだろう。

私は、一瞬、そんなことを考えてしまったのだ。

一瞬とは言え、私はどうしてそんなことを考えてしまったのだろう。

これ以上、あのクリームを使えば、どうなるのだ?

でも、私は、やめられなかった。

もう、あのクリームなしでは、生きて行けないとさえ思った。

あのクリームをつければ、私は万能になる。

完璧な体になるのだ。

実際に、クリームを塗りこんだ場所は確実に痩せていた。

痩せている、というより、筋肉がついてきたのだ。

お腹などは、薄く6つに割れているほどだ。

大丈夫よ。この前の私はどうかしていただけ。

あと、もうちょっと。

2日分くらい残ってる。

最後まで使わなきゃ、完璧になれない。

私は何故かそんな強迫観念に襲われたのだ。

そして、最後の1日分のクリームを使い切った。

とてつもない力がみなぎってきた。

今の私は万能、誰にも負ける気がしない。

皆が寝静まった真夜中、私は隣のベッドで寝ている主人に近づいた。

よく眠っている。

私は、主人の頭を鷲づかみにした。

主人は驚いて目を開けた。

ぐっと力をこめる。

すると、主人の頭蓋骨の割れる音がし、大量の血と脳漿が飛び散った。

顔に飛び散ったそれを舌で舐めとる。

やっぱり旨い。思った通りだ。

私は主人を貪った。

そして、2階にそっと足音を立てないように上がっていった。

そっと娘の部屋の扉を開ける。

娘もよく寝ている。

月明かりに白い喉元がぼんやりと浮かんだ。

私は、鋭くなった歯で、一気に噛み付く。

驚愕の表情の娘は、喉を噛み切られ、声が出ない。

娘の口からゴボゴボと血しぶきが流れた。

やっぱり旨い。

若い女の肉は柔らかくて、美味だ。

ひとしきり、柔らかなはらわたやらを食べた。

洗面所に行き、手と口を洗って、何気なく鏡を見た。

するとそこには、真っ赤な顔で、口が耳元まで裂け、

鋭い歯をし、額から2本の大きな角を生やした鬼が笑っていた。

私は、鬼になってしまった。

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(株)鬼帰す

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>奥様
怖い、コメントありがとうございます。
そういわれてみると、般若のお面は女ですね。
女同士の付き合いって、深くなるとなんか嫌ですよね。
これがまた、小さな派閥とかになるともっと怖い。

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>あんみつ姫様
怖い、コメントありがとうございます。無料お試しセット、違う意味怖いかもしれません。あとの電話攻勢という怖さ。

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なるほど、それでオニキス。
これはしっかりと申込をして完全なる○○になって人間の意識を失くさないとね!

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