中編3
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あんよ、ないよ…

私には娘が2人居ます。

上の娘は12歳。

下の娘は2歳。

最近は、下の娘もたくさん言葉を覚え、会話が出来る様になって来ました。

ある日、家の近くの公園に、娘達と遊びに行きました。

下の娘のお気に入りのおもちゃやお人形を持って、お弁当もこしらえて、

ちょっとしたピクニックです。

天気も良く、夏の暑さもどこ吹く風、

下の娘は、公園を走り回り、遊具で遊んでいるかと思えば、私がレジャーシートを引いて座っているところに戻って来て、

おままごとをし、また、何の拍子か思い出した様に、遊具へと走って行きます。

上の娘は、そんなオチビに振り回されながらも、同じ様に遊んで楽しく時間を過ごしていました。

お弁当を食べようと言うことになり、

3人がレジャーシートに座って、

汚れた手と足を濡れたタオルで拭いていると、下の娘が、

『この子も拭いて?』と人形の足を私に差し出して来ました。

『お人形も遊んだもんね。拭き拭きしよう。』

私はそう言って人形の足を拭いてやりました。

下の娘は、それがとても嬉しかった様で、

他の人形の足も拭いてと、私に差し出して来ました。

すると、上の娘がそれを可愛く感じて、

『じゃあ、ネエネはこの子を拭いてあげよ!』と言い、

人形用のベビーカーの車輪を拭き始めました。

下の娘は、一瞬、わぁっ、と呟き、嬉しそうに笑いながら、その素振りをキャッキャッと声を立てて見ていました。

ネエネが、何だか面白いことをしてるよ、といった感じです。

上の娘が

『はい!ぜぇんぶ、綺麗になりましたよぉ』

と言い、レジャーシートの上に人形用のベビーカーを置いた時、

下の娘は、上の娘に…

『ネエネ!この子も!』

と、言いました。

しかし、

そこには、人形やおもちゃは愚か、

誰1人として立ってもいません…。

私と上の娘が、えっ?と、

何も無い、しかし、下の娘の指差す方を見ながら固まっている間も、

『ネエネ!キレイキレイしたげて!

いーですよ(シートに上がって)したげてよぉ〜!』と、言い続けます。

上の娘は、あまりに必死なオチビを見兼ねたのか、

『どこかな〜?どこかな〜?』と、足を探してるフリをし出しました。

すると、下の娘が、

『ダメだ…。

この子、アンヨ、ないもん。』

と、何も無いところを指差して、言ったのです。

更に、固まる私をよそに、

上の娘は、

『あんよが無いなら、拭けません。

お帰りください!』と、

下の娘が指差すところに向かって、お辞儀をしたのです。

すると、

『あーあ、いっちゃった…。』

と言い、

下の娘は、まるでそこに誰かがいて、彼方に走って行ったかの様に、それを、目で追いかけていました。

そして、私達の方を見て、

『いっちゃったよ〜?あんよ、ないもんねェ。どうしてあんよがないの?』

と聞いてきました。

なんと答えていいか答えに詰まっていると、上の娘が、

『あんよ、無い子と遊んでたの?』と聞き、

下の娘は、嬉しそうに

『たたたーってした(かけっこをした)!』

と、嬉しそうに言います。

上の娘は、

『楽しかったね、良かったね。

でも、ネエネが、ごめんね!して、バイバイしたからね。』と言いました。

下の娘は、じっと上の娘を見ていましたが、

少しして、

『うん、分かったぁ。バイバイねぇ〜。』と、先ほど何者かを見送った方を見て、

小さい手を振っていました。

ただのお遊びなのか、小さい子独特の感覚のものなのか、はたまた本当にあんよの無い、何者かがいたのか…。

私には全く分かりませんが、

不自然でありながら、なんてこと無く、その場を受け入れ、切り抜ける子供の心の広さに、ただただ、驚かされた出来事でした…。

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紫音さん
男の子のご兄弟ですか、頼もしいですね(^-^)
男の子がお家にいてくれるのは、それだけで安心感の様なものがありますね。

良いなぁ(^-^)

にゃにゃみさん

羨ましい限りです。

我が家のバカ息子たち、にゃにゃみさんの娘さんたちの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいですわ╭( -ㅂ-)╮

我が家は、長男19歳の次男6歳と13歳離れてるけど、もう少し仲良く出来んかねって感じですわ(๑•́ω•̀๑)・・・

沙羅さん、コメントいただきありがとうございます。

本当に、おっしゃる通りで、
目に見えない、足無い=怖いとなってしまう私には、残念ながらとっさの言葉が思いつきませんでした。
長女と一緒にいてなかったら、私はどうしたんだろう?次女は何て言ったのか?と思うと、また、ヒヤッとしたりもします。
長女の、のほほんぶりに救われました笑

来道さん、コメントいただきありがとうございます。
子供ならではの、心の寛容さと言うのでしょうか。いやはや、長女の対応には、私も笑わされました。
一体、なんだったのか?よりも、
もう済んだよ!と対応する機転…。
ある意味、長女を大きく感じました。

紅茶ミルク番長さん、コメントいただきありがとうございます。

子供って底知れないものがあって、本当に楽しく毎日を過ごせますよね。
のほほん長女とお転婆次女の他の逸話も、また載せようと思います。
その際もお楽しみ頂ければ、幸いです。

はじめまして(^^

良い話ですね~~~♪
既に頭が固くなった私には羨ましい柔軟性!
長女ちゃん!ナイスフォロー!!

な、なるほど…
しかし大人からしたら得たいが知れず、
怖いですよね((( ;゚Д゚)))

紫苑さん、コメントありがとうございます。
としが離れているせいもあるのか、我が子ながら、よく出来たお姉ちゃんです。
この子がお姉さんで、下の娘は幸せ者だなぁとつくづく思います。

妹さんの言う事を否定せずに、優しく対応してくれる、優しいお姉さんですね。

火の玉さん、コメントありがとうございます!
上の娘に、実際何か感じたり見えたのか聞いて見ましたが、

『全然!』と…笑

上の子、おっしゃる通り、頼もしいです。

長女さん頼もしいですね!怖かったです