中編6
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戦闘機

あるごみ収集業者(スクラップ屋)のアルバイトをしたときの出来事です。

スクラップといっても色々あり,

私はアルバイトしたところは大きな金属部品を壊して、

鉄とアルミやステンレスに分けて別の工場に渡すのが業務内容でした。

私はそのアルミ部品の工程に回されて、アルミを専門に仕分けしてました。

そんなある日、大型トレーラーで運ばれてきたごみがありました。

私たちバイトや従業員は、手を休めてそのトレーラーの中身に注目しました。

上にかけてある覆いをはずすと、銀色に輝く筒が出てきました。

最初はロケットかとみんなが言いましたが、

それは初期型のジェット戦闘機でした。

社長がどこかのブローカーから引き上げてきたものでした。

どうしてそんなものを買ったか最初はわかりませんでした。

クレーンで降ろして、土の上に置くと意外と大きく

翼を組み立てるとかなりの場所を取りました。

私はその戦闘機の操縦席部分の組み立てを担当させられました。

操縦席には計器が色々ありましたが、

どれも割れたり針がなかったりしてあまり、

戦闘機のイメージが在りませんでした。

せまいので思わず椅子に腰掛けました。

すると安全ベルトが私の足のところで、ひとりでに殻巻くように、

まとわり着きました。

私はそのときに偶然足にまとわりついたと思い、

払いのけて操縦席から降りました。

戦闘機は10日をかけて組み立てられて、そのスクラップ屋の看板代わりに

工場の門のところ5mほどの鉄塔の上に溶接されスクラップ屋の

門の看板になりました。

社長は、それを眺めて満足そうに、これから仕事が一杯来るぞというと

自慢げに戦闘機を見上げました。

しかし、その日を境におかしなことが次から次と起き始めたのです。

まず従業員の一人が自動車のボディーを解体中に右腕をドアにはさみ

骨折しました。

そのときは偶然と思ったのですが、挟まれた人の話では

「ひとりでに腕めがけてドアが閉まった」というのです。

「自動車が傾いていてしまったのでは」と言うと

「平らなところでどうして閉まる」と食って掛かられました。

2日が過ぎいつものように出勤すると、

社長が私に「アルミの部品解体から鉄の解体に移ってくれないか?」

と頼まれました。

私はアルバイトなので断れず2つ返事で、引き受けました。

鉄は重く5人の従業員が交互に色々な部品をバラしてました。

その中でも私が若いので、一番重いシャフトの解体に向けられました。

シャフトは50kgぐらいあり、それを一日8本から12本運搬します

台車に乗せるのですがその乗せるまでが大変でした。

そして半日が過ぎたころ、一人の従業員が悲鳴を上げました。

ハンドルと座席の間に首を挟まれたからです。

座席をはずそうとして、首を傾けてもぐった拍子にハンドルが落ちてきて

首のところに直撃したようです。

二人係でハンドルを持ち上げて助け出しました。

首には締め付けられたように紫色のあざができ、病院に運ばれました。

これで2日にわたり2名の従業員が病院に運ばれました。

これは、この会社が始まってから初めてのことでした。

働く従業員は全部で9人、そのうちの二人が入院、ただならぬ事態です。

其の内に従業員の中にうわさが持ち上がりました。

昼休みになると誰からともなく、

「あの戦闘機を飾ってから事故がおき始めた。」と言う事が広まりました。

もちろん、小さな会社ですから社長の耳に入るのも時間の問題でした。

夕方帰宅するときに従業員が全員集められ、

社長が「戦闘機は関係ない。あれはコマーシャルをかねてみんなの仕事が増えるように、

みんなの給料が増えるように空に向けて建てた」と言いました。

それを聞くと納得したようにみんなが引き上げました。

そして10日が過ぎました。

6月も近づき雨が毎日降り始めました。

そんなある日、雨の中わたしは何気なく戦闘機を下から眺めてました。

そして驚きました。

雨の中戦闘機の風洞ガラス越しに人が乗ってるように見えたのです。

雨が目に入りいたずらしたのだと思いましたが目をこすりもう一度眺めると、

確かに人が乗ってるように見えました。

私は驚き従業員の居る休憩所に駆け込み、戦闘機に人が乗ってると

叫びみんなを外に呼び、戦闘機の下に行きました。

しかし、私一人しか見えないようでした。みんなは「人騒がせな」と

言うと、引き上げてゆきました。

私は納得行かないので、鉄塔のはしごを登り窓に近づいたとき

下から社長が声を掛けてきました。、「危ないから降りろ。これ以上事故を

起こすな。」私は降りるとどうして登ったかわけを話しました。

すると社長は曇った顔をして、「お前絶対にしゃべらないか?」

と言うと、戦闘機の話をしました。

「あの戦闘機は不時着して中のパイロットは死んでいた。

縁起が悪いのと機種が古いことで、スクラップになったものを

引き取った」と言いました。

「最初はスクラップにして、アルミや合金が使われているので

スクラップの中では、最高の品質で高額取引が望めると思った。

見ているうちに、スクラップにするのはいつでも出来る。

飾ることで宣伝効果を狙った」と話してくれました。

「もしお前が戦闘機の中に幽霊が居るという事をみんなに話せば、

従業員やバイトの仲間が辞めて行ってしまい仕事が出来なくなる」

と言うと社長は私に深々と頭を下げた。

私はその日から戦闘機のことを話さなくなりました。

話さなくても、追い討ちをかけるように事故は続きました。

今度は女性の従業員が、アルミを圧縮する機械に挟まれて

指を2本潰しました。これを機に労働基準局の職員が来て、

現場検証や改善書を社長に渡しました。

社長の落胆は隠し切れないほどでした。

私はあの戦闘機を早く他の場所に移すことを進めましたが

社長は「関係ない」と言い張り聞きませんでした。

私は夕方や雨の日になると戦闘機を見上げました。

するとやはり中には操縦しているかのように人が

存在してるように私には見えました。

従業員は一人また一人と、辞めてゆきました。

残されたのはバイトが4人と昔から居た人が2名だけになり

バイトも学校が始まると居なくなり始めました。

私のバイト期限も後10日になりました。

私は社長が言ったとおり、約束を守り一言も戦闘機に幽霊が居ることを

しゃべりませんでした。

しかし、私の期限が5日になったときでした。

社長が寄ってきて、「あの戦闘機に本当に幽霊が居るのか」と聞いてきました。

私は正直に「居ます」と答えました。

社長は少し考え、「あの戦闘機をスクラップにしよう」というと

「私が勤めてる期限の間に壊そう」と言い出しました。

次の日より解体が始まりました。

アルミ合金の翼を壊しました。それは社長ともども行いました。

胴体を解体しました。残りは操縦席です。

3日が過ぎ、操縦席のみになり私が解体することになり、

私は祈りながら操縦席の風洞を外し、脇の胴体を丁寧に外し始めたときでした

座席の後ろの隙間に写真を見つけました。

おそらくパイロットであろう人と女性が仲良く写った写真でした。

私はバラス手を止めて、写真に回向しました。

写真は社長に渡し、お寺で供養して燃やしてもらいました。

それからはもとの解体屋にもどり、今度は前よりも10名ほど従業員も増えて

仕事に励んでる社長の笑顔が見られました。

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怖いをつけてくださった皆さん
本当にありがとう御座います。
一人ひとり、挨拶したいのですが、
今のところ新しい投稿や本来の仕事が忙しく
御挨拶できません、
ほんとうにありがとうございます。
コメントに関しましては時間がたちましてからでも
御返答いたします。

清水さん
コメントありがとう御座います。
そうです、きちっと締めなくはいけません。
労働基準局怖かったですよ。
お化けより怖い。私も色々事故の状況を聞かれました。
あれは、社長とは別に個別で別室で聞かれました。
正直に話しましたが、戦闘機の事言ったら、余計な事言わなくて良い
と注意されました。やはり。労働基準法には、幽霊の取り締まり基準はありませんから。

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あんみつ姫さん
本当に全編読んでくださり、感想までつけてもらい
大変ありがとうございます。
これからまた書く張り合いが出来ました。
今も書いてますが、ストックが60篇ぐらいしかなくなってしまいました。
全部載せてもかまわないのですが、パニック起こされても困るので
載せるの自制してます。
昨日より思い出しました、お婆さんシリーズ今日中に書き終わりますので
乞うご期待ください。

珍味さん
毎回、ありがとうございます。
そうです。ジェラルミン高いです。合金ですからかなりの高値で
取引されたようです。それにエンジン、ステンレス合金や刃金に近いものや
チョウコウ材も一部使われています。これがものすごく高かったようです。
しかし、悪く言ってさらし物ですので霊も怒ったのだと思います。
しかし自衛隊の態度わるいですね。

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何でここに居るのに気付いてくれないんだ!?

と、声が聴こえて来そうです。

無念の死を遂げられた方とお国の為に亡くなられた方には心からご冥福をお祈り致します。