長編10
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人形

肝試しに行っても何もなく、怖いDVDを見ても怖いのは画面の中のみ。

俺達は恐怖不足だった。

…ので、「無いなら作ろう」という圭太の案で、竜二をターゲットに俺達プロデュースのなんちゃって恐怖をお届けすることになった。

放課後圭太と2人で玩具屋に行き、一体の人形を買った。

小さい女の子が着せ替えをしたりミルクをあげたりして遊ぶようなよくある少し大きめの人形。

男2人が買うのは恥ずかしかったので「プレゼント用です」と言って無駄に可愛くラッピングしてもらった。

こっからはちょっと酷いけど人形の手足や頭など、外せる関節を全て外し、バラバラにした。

そしてインクで汚れをつけたり

爪切りのヤスリで傷をつけたり

髪をボサボサにしたり抜いたりと新しい人形をボロく加工した。

圭「…グロいな」

俺「…おう」

想像以上の迫力にビビりつつ、解体・加工作業は終了した。

深夜0時過ぎ。

人形の胴体以外は圭太の部屋に残し、胴体のみ持って竜二の家へ。

バレないように静かに移動し、竜二の部屋の玄関横に人形の胴体をポツンと置いた。

そして静かに圭太の家へ戻り、寝た。

-次の日:学校-

竜「桃!圭太!」

圭&俺「んはよ」

竜「おはよ!…っじゃなくて!!」

圭「朝から元気だねぇ」

慌ててる竜二を見てると面白くて仕方なかった。

顔がニヤけそうになるのを抑えながら何も知らないフリをして話を聞いた。

竜「見てこれ!!」

竜二は鞄から汚れたボロボロの人形の胴体を取り出し、俺達に見せた。

俺「なにそれキモっ」

圭「趣味悪っ」

笑わないように、不自然にならないように、必死の演技。

知らないフリって意外と難しい。

夜中1時過ぎ頃にコンビニに行き帰って来るとドアの横にこの胴体が横たわっていて、びっくりしてそのまま部屋に入って布団にもぐった。

朝、家を出る時に確認すると昨日のまま胴体が横たわっていた。

気持ち悪いけど置いとくのも嫌だから鞄に入れて持ってきたらしい。

(コンビニ行く時に既にあったはずだから多分行きは気付かなかっただけかと)

なにそれ怖ーいとか

呪いの人形じゃないのーとか

適当な言葉をかけた。

どうしようどうしようとうるさいのでまた昼に話そうと言うことで一旦解散した。

授業中人形は袋に入れてロッカーの上へ。

昼になり、食堂で合流。

斗馬も一緒だったので斗馬には合流前にネタバラししておいた。

「くだらないことしますね」と言われたが協力してくれるようだ。

各自好きな物を頼み、席へ。

10分もしないで食べ終わり、話題は人形のことになる。

竜「あの人形捨てて大丈夫かな?」

俺「さあ」

圭「ベタなパターンだと戻ってくるよな」

竜「やっぱ?やっぱ戻ってくる?」

斗「胴体だけなら手足とか探してるってのもありましたよね」

俺「なんだっけそれ…漫画であったよね」

斗「忘れました」

圭「布団から足出してたら切られるやつ?」

俺「それだったっけ?」

結局何だか思い出せないどころか話がそれていた。

昼も終わりそうだったのでとりあえず放課後どっかに捨てようということで解散。

だらりと午後の授業をこなし

裏門前に集まった。

学校に捨てていくと色々騒ぎになりそうなので、少し離れた公園に捨てに行った。

後から回収する予定の俺と圭太にすればもっと近場にしてくれと言いたいところだ。

公園の木の裏側に置いて、すぐに公園を出た。

竜二が何度も何度も振り返るのが面白くて仕方なかった。

ビビりまくり、

「今日泊まってかない?」と

言う竜二の誘いを全員断り、帰った。

俺と圭太はすぐに公園に戻り人形を回収した。

暗くなってからじゃ怖いから明るい内にね。

そしてまた圭太の家で時間を潰し、深夜0時過ぎに竜二の家へ向かった。

昨日と同じく胴体を玄関脇に。

そして郵便受けから左足を入れた。

コトンと音がしてしまうので足を入れたら即退散。

足音がしないよう、靴を脱ぎ靴下で走った。

次の日、予想通りビビりまくりの竜二が学校にいた。

竜「足!!足増えた!!」

圭「竜二の足が切られたんじゃなくて良かったじゃん」

竜「問題点ズレてる!!」

こうやって何度も捨てては、竜二の元へと戻して行った。

夜中に郵便受けに入れたり

昼に鞄の中に入れたり

遊びに行った時ベッドの中に入れたり

車の中に落としていったり…

まぁ今考えるとやりすぎた。

可哀想だと思う。今ならね。

人形の胴体に右手、左手、左足、頭がついた。

あとは右足のみ。

竜二はちょっとゲッソリしてた。

やりすぎたかなーとも思ったけど今さらやめられなかった。

もう少しだし最後までやって、盛大に謝ろうと思ってた。

-昼の学食-

竜「最近さー夢に出てくんだよね」

俺「人形?」

竜「暗い所でただ座ってんの」

圭「人形が?竜二が?」

竜「人形が」

こいつ気にしすぎて夢まで見たか…

と、少しだけ罪悪感が生まれた。

竜「呪われてんのかなー」

斗「気にしすぎなんじゃないですか?」

…その通りだ。

斗馬も不憫に思ったのかフォローし始めた。

竜「でも実際人形返ってくるしさー」

圭「で、でも事故ったり怪我したりとかはないじゃん?」

全員罪悪感が生まれたようだ。

でも申し訳なさすぎて誰もネタバラしは出来ない。

自分達のせいで元気のない竜二を励ましながら昼が終わった。

罪悪感、半端ねぇ。

もうそろそろ終わりにしようと全てのパーツを送り、

この日で最後にすることにした。

右足以外がくっついた人形を玄関脇に。

右足は靴の中に入れてきた。

右足に気付くのは朝だろうな。

明日竜二に謝ろうと話し、久々に俺も自分の家に帰った。

(今までは圭太の部屋に泊まってた)

久々のベッド。気持ちいい。

俺は爆睡した。

朝目を覚ますとゲンがおすわりして俺の顔を覗き込んでいた。

俺「お…おはよう」

しっぽをパタパタと数回振って居間へと行ってしまった。

あいつ、いつからいたんだ。

勝手に開けられたドアを通り、朝ごはんを食べ、準備して学校へ向かった。

竜二に謝んなきゃなぁ…とか考えながら。

学校へ着くと予想通り竜二はパニくっていた。

竜「全部揃っちゃったんだけど!!」

俺「そ…そうなんだ?」

斗「…………」

どうしよう。言い出せない。

竜「また夢見ちゃったしヤバいかなー」

俺「いや、でも…大丈夫?じゃない?」

竜「なわけないだろ!!」

どうしよう。後悔の嵐だよ。

斗「そういえば圭太君は?」

俺「あれ?遅刻?」

竜「今圭太とかいいから!!」

俺「おう…」

圭太、逃げたのかな。

謝るなら全員で…っていうか斗馬はともかく俺と圭太は絶対に謝らなきゃいけないので、ネタバラしと謝罪は後回しにした。

竜二と別れ、斗馬と2人になってから圭太に電話をかけた。

~♪ ~♪ ~♪

圭「…はい」

俺「何やってんの?」

圭「やばい」

俺「なにが?」

圭「人形怒ってる」

俺「いや怒るのは竜二だ」

圭「竜二と桃平気?斗馬も?」

俺「竜二はアレだけど皆なんともないよ。なに?」

圭「終わったら家来て」

俺「ん?おう」

斗「圭太君どうしたんですか?」

俺「わかんね。けど後で家来てってさ。」

斗「面倒臭いですね」

面倒臭いけど仕方ないので竜二も誘って行く事にした。

行く前にネタバラしをして先に謝っておいた。

ものっすごく怒られた。

蹴られ、叩かれ、罵倒された。

斗馬は睨まれただけだった。

圭太のアパートに着いた。

階段を上がり、部屋へ向かう。

斗「あれなんですか?」

俺「ん?」

圭太の部屋のドアの前に

何かが散らばっていた。

俺「ごみじゃね?」

竜「きたねっ」

ごみ屋敷のような圭太の部屋からして外にごみがあってもあまり不思議ではない。

スタスタと歩き、少しずつ部屋に近付いていく。

斗「うわっ」

俺「おわっなにこれっ」

竜「グロ…」

斗「鳥の足?っぽいですよね?」

竜「多分」

ドアの前には鳥の足の様なものが10個ほど散らばっていた。

完全な足の形ではなく、千切れたような不完全な形。

でも質感とか大体の形で鳥の足だと思う。

ちょっとした吐き気を覚えながらインターホンを鳴らした。

「開いてる」と声がしたのでドアを少し開けて中に入った。

前開にすると足にぶつかるからね。

中に入ると圭太がいた。

テーブルの所で体育座り。

竜二に謝るために来たんだけど鳥の足が気になりすぎて、それは一旦置いておくことに。

俺「あの鳥の足は…なんでしょう」

圭「知らない」

俺「いつから…あるんでしょう」

圭「今朝」

俺「心当たりは…」

圭「人形、怒ってんだよ」

竜二・斗馬と目が合う。

皆、自分が仕掛けといて何言ってんだって感じ。

圭「夢でさ、人形がいるんだよ。

最初の買った時の状態の。

そいつが段々ボロボロになって手足とかもげてくんだよ。

そんでこっち睨んでんだよ。

顔がめっちゃ怒ってんの。

で、人形以外にも鳥とかウサギとか動物が出てきて、そいつらも

手足頭が千切れてくんだよ。」

玄関前の鳥の足が浮かんで少し気持ち悪くなった。

圭「で、玄関開けたらアレじゃん?

外でたら犬とか猫とかいんじゃん?

そいつらも足とか千切れてたらどうしようって考えたら出れないし、俺の手足が千切れない可能性も

0ではないじゃん?」

完全にビビってる圭太の話を聞いて俺も完全にビビってしまった。

圭太は確かに人形をボロボロにしたけどそれは俺も一緒になってした事だ。

それが原因ならその内俺にも同じことが起こるかもしれない。

TVもつけていなかったので部屋の中はしーんとなった。

重い。空気めっちゃ重い。

俺「あ、でも大丈夫だった…よ?」

竜「あ、あぁ。なっ?」

斗「えっはい」

しどろもどろに会話をし、無言状態を切り抜けた。

斗「あの人形って今どこにあるんですか?」

竜「気味悪かったから途中の公園に捨ててきた」

斗「まだありますかね?」

部屋の中が再び静かになる。

俺「え…取りにいくの?」

斗「どうなるかわかんないし、人形供養に出した方が手っ取り早くないですか?」

俺「まぁ…確かに」

俺達が怒らせといてめちゃくちゃ勝手だけどそれが一番良いかもしれない。

斗「竜さんの従兄弟の家のお寺って人形供養とかしてます?」

竜「多分してない」

圭「え…」

斗「してるお寺知ってます?」

竜「知らない」

俺「え…」

さっきとは違う微妙な雰囲気になった。

竜「…聞いてみる?伯父さんに」

俺「た、頼むわ」

何故かぎこちない会話になりながらも竜二が伯父さんに電話して、人形供養してる寺を聞いてくれた。

竜二が電話越しに何回も謝っていた。

伯父さんに怒られてるんだろう。

竜二は悪くないんだけどね。

(竜二が)散々謝って、人形供養してるお寺を紹介してもらった。

そのお寺には伯父さんから先に連絡を入れておいてくれるらしい。

竜二の車に乗り、まずは人形を回収しに公園へ。

車だとわずか数分で着いた。

そしてシーソーの横に紙袋に入ったままの人形があった。

正直持ちたくなかったけどどう考えても自分が悪いので持った。

後部座席の俺と圭太の間に人形を置き、寺へと向かった。

気持ち悪くて仕方なかった。

車内はほぼ無言。

音楽とカーナビの音声だけが響いていた。

目的の寺は意外と遠い。

周りの景色はビルや高い建物が減り一軒家など低い建物ばかりになった。

車内は相変わらず超静か。

『うわっ!!』

斗馬と竜二の声と同時に車が蛇行した。

俺「なしたの?」

竜「カラス…ひくとこだった…」

後ろを振り返るとカラスが数羽、道路の上にいてこちらを見ていた。

蛇行の揺れで倒れた紙袋は圭太側に傾き、圭太は固まっていた。

俺「カラスなにしてんの?」

竜「…轢くかと思った」

急ぎたかったけどスピードを落とし、安全運転で寺へと向かった。

カーブやブレーキで紙袋の中の人形が動くのが何故だか物凄く怖く感じた。

途中何度かカラスを轢きそうになりながらも無事に寺に着く事が出来た。

駐車場に車を止め、入口へ向かう。

寺ってどこから入れば良いのか謎。

とりあえず玄関へ。

インターホンを押すと、中から人の良さそうな顔したちょっと小太りな住職が出てきた。

竜「初めまして。××です。」

住「あぁ、遅かったね。どうぞ。」

紙袋を一瞬チラッと見て、そのまま奥へと通された。

裏から再び外へ出ると物置くらいの大きさの建物があった。

住職がその扉を開けると中は雛壇のようになっていて、日本人形のようなものからぬいぐるみまで様々な人形がずらっと並べられていた。

錯覚なんだろうけど、そいつらの目が全てこちらを向いているようで怖かった。

住「ここに置いてくれるかな」

俺「えっ…はい」

正直近付きたくなかったけど仕方ない。

左下のスペースに人形を置いた。

住「うん。じゃあ後はやっておくから、ちゃんと謝ってから気をつけて帰りなさい。」

圭「え?これだけですか?」

住「よっぽどのもの以外はまとめてやっちゃうから」

圭「これも結構よっぽどですよ?」

住「いや、大したことないね」

圭「でも千切れた鳥の足とか…」

住「この程度じゃ人間や犬猫にまでは影響出せないね」

圭「大丈夫なんですか?」

住「1週間くらいでおさまるよ。それまでは反省しなさい。」

と、ニコニコ笑いながら言われた。

住職にお礼を言って車に戻った。

紙袋はなんだか嫌だったのでお寺で捨ててもらった。

ただの紙袋なんだけどね。

斗「すぐ供養しないの、わざとですよね」

竜「俺も思った」

俺「え?何で?」

竜「大したことないならすぐ出来るだろ。反省させたいからわざわざ1週間後にやるんだよ。」

斗「住職笑ってましたしね」

圭「すぐ出来ないほど実は強力とかは?」

斗「住職余裕ぶっこいてたから無いでしょうね」

竜「詳しいこと聞いて来なかったしな」

住職見た目と違う…と

唖然としながら各自家へ帰った。

竜二はやっぱり気にしすぎてただけだったのか、人形の夢は見なくなった。

俺と斗馬は相変わらず何もなく、圭太だけが人形の夢を1週間見続けた。

夢の中では犬や猫の足が千切れるけど、実際は時々千切れた鳥の足がある程度だった。

いや、程度とか言ってるけど十分グロいからね。

そんな夢も1週間後ピタリと見なくなったらしい。

供養でもされたんだろうか。

その後は改めて竜二に謝り、改めて盛大に怒られた。

反省した。

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ネタバレ注意

あんみつ姫さん、残念ですが次のお話でもバチ当たりな事やってます(⌒-⌒; )

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