短編2
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ユウタとショウタ

「なあ、夢って本当に夢だと思う?」

ユウタは目を覚ますと、俺にのんびりと話しかけてきた。

ユウタは居眠りをして、起きる時に吊り上げられたマリオネットのように突然起きる。

弛緩して、死んだように眠っている体が突然飛び上がるように見える。

昼休み、屋上の陽だまりでうとうとしていたのだ。

「どういうこと?」

長年の付き合いで、ユウタの独特の目覚めにも驚かなくなった。

「実は俺、最近、結構抜けるんだよね。」

抜ける?また意味のわからないことを。

ユウタは、はっきり言ってへんなヤツだ。

時々、こういう不思議ちゃんのようなことを言う。

「抜けるって、何が?」

「おれ自身がw」

「はあ?」

「わかりやすく言えば、魂がよく抜ける。」

俺はバカバカしくて、あははと笑った。

「信じてねえだろ?」

「当然。」

「実は、俺、かけもちなんだよね。あっちの世界とこっちの世界。」

「へ?」

ついに頭がおかしくなっちまったか。はたまた悪いクスリでもやってるのか?w

「例えばさ、変な夢とか、悪夢とか、見るだろう?」

「ああ。」

「実は、それも現実なんだ。人間の脳ってのは、都合よくできていて、夢の断片しか覚えていないだろう?実は、それは、あちらの世界で自分が実際に体験したこと。悪夢からさめてさ、ああ、夢でよかった、なんて思っているだろう?実は、こちらの自分があちらの自分のピンチを救ってるんだ。」

「カオスでわからねえw」

「最近さ、俺、よくこっちが抜けるんだわ。たぶん、俺、あちらの世界の人間になる前触れだわ。」

「ていうか、お前、疲れてるだけだろ。しょっちゅう居眠りしてるし。ちゃんと寝なきゃだめだぞ。」

「寝てるし。最近、睡眠12時間くらいだし。だから、もう俺がここから消えるのが近いって言うんだよ。俺は、あちらでは、ショウタって名前なんだ。」

マジでこいつ、ヤバいクスリやってねえだろうな。俺は苦笑いしか返せない。

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春休みが終わり、俺は中学二年に進級した。

新学期が始まって、どうも大切な何かを忘れてしまったような気がしてならない。

俺のすぐ側には、常に誰かが居たような気がする。

屋上。昼休み。そして?

まあ、いいか。

忘れるくらいだから、たいしたことではないのだろう。

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よもつひらさか様
異世界の存在を信じる者として、この手のお話興味がありますし好きです。
夢か現かの境目も本当はないのかもしれませんね。
大切な何かが記憶から抜け落ちているのではないかという恐怖は、常にあります。
創作とはいうものの、どこか現実的な問題も含んでおり、面白く読ませていただきました。
流石ですね。
毎回思うのですが、リレー走者でありながら、この余裕・・もはや貫禄としかいいようがございません。そちらはそちらとして楽しませていただきますが、いろんな引き出しを持っているよもつ先生のバイタリティと文才に、称賛のエールを送ります。

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