中編3
  • 表示切替
  • 使い方

夏の日の事

wallpaper:1882

これは、私の母校の中学校の話です。

separator

その日は学期末の大掃除の日で、

私と友人Aは、同じ掃除場所なのをいい事に

先生に隠れて、ずっとお喋りをしていました。

nextpage

丁度、一学期の終わりだったので

話題は夏休みへの予定へと移り、

いつの間にか怪談話に変わっていました。

nextpage

窓から差し込む日差しが、嫌に強い日でした。

nextpage

A「ねえ、この学校の怪談ってあれだよね」

私「あー、あれ?3階のトイレの話」

そう。この学校唯一の怪談の話です。

『特別棟の3階には幽霊が出る』

nextpage

吹奏楽部の先輩が、特別棟の3階のトイレの前に佇んでいる白い服の女の子を見た。

どう見ても中学校の人では無かったので

どうしたのかと思い話しかけようとしたら、

忽然と消えてしまった。

確かにそんな話だったとおもいます。

nextpage

かなり眉唾な話でしたが、

その女の子を見た先輩がまだ在学中だった事と、

他にこれと言った怪談が学校に無かったので、

それは私達の間でおおいに話題にされました。

nextpage

A「そこさ、今から言ってみよーよ!

ほんとに出たらなんか凄いじゃん!?」

私「んー、いいよ!」

ちょっとした、肝試しのつもりでした。

nextpage

wallpaper:825

もう掃除時間も終わりごろのせいか、

そのトイレには、誰もいませんでした。

設計上、

日光がほとんど入り込まないようになっているので

真昼間だというのに

薄暗くて、

どこか肌寒ささえ感じました。

夏の暑い日差しが照りつける中に

一つだけ黒ぐろとしたそれは

近くにいるだけで、なんだか嫌な感じがしました。

nextpage

かなり怖かったですが

ここまで来たら行ってやろうと決意しました。

灯りが無い方がそれっぽいだろうと

私とAは電気を付けずに、恐る恐る

トイレの奥の方を覗いてみました。

暫く暗闇に目がなれるのに、時間がかかりました。

丁度、その暗闇になれてきた頃でしょうか。

nextpage

shake

『アハハハハハハハハハ』

『アハハハハハハハハハ』

『アハハハハハハハハハ』

幾重にも響く笑い声が聴こえたのです。

nextpage

余りの恐怖に

一旦放心状態になった私たちは

暫く動けませんでした。

次の瞬間、

nextpage

コツ

コツ

コツ

トイレの奥の方から

まるで革靴で歩く様な音が。

nextpage

逃げなければ。

本能的にそう感じた私とAは

まだ固まっている体を無理やり動かし

一目散にその場から離れました。

走って走って、やっと人のいる、明るい場所に出た時の

心から安堵できた気持ちは、今でも忘れる事ができません。

nextpage

あの後、何度もAと話し合いました。

あの笑い声は、近くにあった階段を誰かが通った時に発したものではないのか。

あの靴音は、私達の側を誰かが通った足音ではないのか。

nextpage

しかし、どう考えてもそれは有り得ないのです。

私達が一目散に逃げている時、

その階段を使いましたが、誰もいる様子がなく

近くと言っても、間に廊下を1本挟んでいるので

声が聴こえるには難しく

誰かが通ったのなら気配や、それに準ずるものの感じがするはずなのです。

けれども、その様なものは、一切ありませんでした。

第一、生徒は普通の上靴で、

先生方は、革靴のようなものは室内で履きません。

それに、これは確かに言えるのですが、

nextpage

その笑い声も靴音も

ハッキリと、トイレの中から聴こえたのです。

wallpaper:1882

卒業してから

元々、中学校のあった場所には、お墓や

病院があった、などと話を聞きましたが

実際の所、どうだったのかは今となっては

分かりません。

そして何故、笑い声や靴音が聴こえたのかも

謎のままです。

nextpage

wallpaper:825

只、今でも

そのトイレには、

不可思議な事が起こるという噂が

後を絶たないそうです。

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
20600
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ