うつる

短編2分

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使い方

うつる

皆さんは、カメラというものをどれほどご存知だろうか?

私はこの種のマニアではないので機械的な知識はあまり無いのだが

ざっくり言えばフィルム、デジタル問わず光を記録し

それを他の媒体、つまり紙やモニタに移す中継役がカメラである。

光を記録するものであるから、当然のように人には見えぬ

【光】

も記録できるのだが……。

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正樹は上京して一年。夢の大都会での新生活に、とても気持ちが高揚している。

ある日の事、仕事場のオフィスビルからの帰り道、何が欲しかったわけでもないが時間があったという理由だけで通りに面した家電量販店に立ち寄った。こんな物もあるのかと興味津々に新製品を見て回り、店の一角にあるカメラコーナーへと立ち入った。正樹は別に写真が好きな訳でもない、第一カメラを買った事などない。ただ、何となくそこに陳列されている多機能高性能なカメラ達は正樹の購買意欲をそそった。

何となく、欲しい。

正樹は思い切って、ハイグレードモデルとレンズのキットを購入した。

早速一人暮らしをしている家に帰って開封。この様な商品の開封が初めての正樹は、慎重に封を開け中身を取り出した。その時の感動は、とても大きなものだった。

早速カメラにメモリーカードを挿入し、テストということで殺風景な家の中を撮影しようとした。しかし、シャッターボタンを押してもシャッターが切られない。思わず首をかしげた正樹だが、カメラの方向を窓の外に変えると勝手にシャッターが切られた。正樹はシャッターを押せば勝手に撮れるものだと思っていたようだがこれは多機能高性能な高級機種。正樹にとっては足枷でしかない機能も沢山ある。

説明書をぱらりとめくり、一項目ずつ読んでいく………

どうやらオートシャッターになっていたようだ。オートシャッターでは顔を検知すると最適な時にシャッターが切られるらしい。マニュアルモードにしてみたが正樹が扱える代物ではなく、正樹は設定のみオートにしてシャッターだけ手動にすることにした。もう一度、カメラを窓に向けシャッターを半押し……

すると謎の箱がいくつも出てくるではないか!なんだこの箱は?

もう一度説明書を確認……

どうやら顔認識のようだ。うむ最近のカメラは素晴らしいな。

この季節は蒸し暑いので、窓を少し開けて換気をした。

そのままダイヤルを回して、何となくニコちゃんマークに合わせてみた。

部屋にレンズを向けてみる。すると先程の箱と共に画面の横にケージが表示された。ケージが満タンに近づく……

するとシャッターが切られた。なんだろう?

またまた説明書を確認してみると……

どうやら笑顔を検知してシャッターを切ってくれるらしい。

一人暮らしの正樹は何となく疲れてしまい、そのまま寝てしまった。