短編2
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ゲノム

父さんが、一週間ぶりに我が家に帰ってきた。

父さんは、忙しい人である。

ゲノム編集においては、一流の研究者であったが、ご存知の通り、人の遺伝子操作は、現在ではタブーとされており、表立って研究することは難しい。そこで父さんは考えた。

我が家を研究所にして、密かに研究すれば良いではないかと。

父さんが目指しているのは、人の遺伝子をデザインして、よりエコな人間を作ること。

最小限の食物と水と日光により、人が暮らせる世界だ。

父さんは言う。人間はあまりに、無駄が多すぎる、

息を吸って吐いて、食物を摂取して、栄養にして、余分なものを排出する。

確かに、よく出来たシステムだとは思うけど、もっと余分なものを排出せずに、エコに生きていけないのだろうか?

近い将来訪れるであろう、食糧危機に人間は備える必要がある。

父さんは、DNAの断片を繋ぎ合わせて、完全なゲノムを合成させようとしている。

「お前は、出来が悪いから、父さんが治してやろう。」

そう言って、僕にいろんな注射や、薬を飲ませて実験している。

母さんが事故で亡くなったあたりから、その実験が始まった。

たぶん、父さんは悲しみのあまり、母さんを蘇らせようとしているのだと思う。

母さんの細胞の一部は、まだ冷凍保存されていて、たぶん僕で成功すれば、いずれ母さんの細胞を培養してクローンを作るつもりなのだろう。

僕が外に出るのを嫌うのも、今の僕の姿にみんなが驚くからだと思う。

僕の細胞は、今変化の途中で、父さんはきっとこの実験を成功させて、完全な人間を作ることだろう。

それまで僕は、ひたすら我慢をするしかない。

一週間ぶりの食事と、カプセルに入った薬が僕に与えられた。

この薬を飲むと、たまに死んだ母さんやおばあちゃんに会える。

だけど、すぐに消えてしまうので悲しい。

母さんは壊れたまま、僕を手招くし、何だか、この薬を飲むと世界がおかしくなる。

でも、きっともう少しすれば、僕は完全な人間になれる。

父さんを信じて、分裂して垂れ下がった肉をベッドに横たえた。

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よもつひらさか様!初めまして
ほんと怖い話で面白かったです‼︎

おでん屋様
コメント、怖い、ありがとうございます。
実際にこんなことは倫理的に許されないのですが、狂っていた時代には、こういうことが本当に行われるから怖いですね。
そんな時代が永遠に来ないことを祈ります。

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ビビっときました…ひ…

sun様
コメント、怖い、ありがとうございます。
悪い虫がウズウズと疼きましたw
ゲイムの文字が良かったのかもしれません。
お話も謎だらけで、私の創作したい気持ちをくすぐられました。

よもつ様ロビン様さすがのコンビプレーですね!
面白かったです〜!

コメント、怖い、ありがとうございます。
紫音様
いやいや、主婦の特権ですよ、昼寝w 旦那には申し訳ないと思いつつもw
りこ様
ゲノムの話が書きたかったのです。
こんな未来が来たら怖いですねえ。
まりか様
おお、電脳ゾンビ!いつ書きましょうかねw

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よもつひらさか様

あっ・・・読まれていなかったんですね。

読まんでいいです、むしろ読まないでぇぇ~╭(///´๐ □ ๐`///)╮

私・・・休みの大半は結構寝ております(´>∀<`)ゝ

ダメダメな母親ですね、私って。

休みの前の日もなるべく早く寝て、昼間は起きて息子との触れ合いを増やさねばと思っております(`・ω・´)ゞ

紫音様
参加されてたんですね!
実はまだすべて読めていません(汗
休みだというのに、昼寝で4時間も爆睡するということをやらかしましたw
時間、勿体なーw

よもつひらさか様

ロビたんもきっと『よもつ様なら、きっと何か感じ取ってやってくれる』って思ったんじゃないでしょうか。

私の『花火大会』は・・・おふざけ&初創作物だったので、なんのこっちゃな内容になってしまいました(๑╯ﻌ╰๑)

紫音様
コメント、怖い、ありがとうございます。
「ゲイム」という字を見て、「ゲノム」がすぐ浮かんでしまい、我慢できませんでしたw
花火祭りにも参加したかったのですが、何も思い浮かばなかった。

ロビたんのゲイム繋がりですね。

あの話には実はこんな事が隠されていたのか~って、(ΦωΦ+)ホホゥ....これはこれはってなりました。