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俺は幼い頃から周りとは一線を画した存在だった。といえば聞こえはいいが、実際のところはただ周囲の人間の常識とやらを完全に無視して行動をしていただけだ。
幼い時は周りの人間にとっての常識というものが全く理解できず、何度注意されても理由がわからなかったが、小学校の三年生くらいになると、常識とはそういうものなのだと「知識」として認識し、理解したふりをして過ごすようになった。
中学生の時、ある出来事がきっかけで、俺は自分の力に気づくこととなる。
ある時、俺はクラスメイトと口論になった。きっかけは些細なことだったのだろう。しかし、彼の主張と俺の主張は真っ向から対立したのだ。俺はつい興奮して、今まで覚えてきた「常識」を忘れて、自分の常識でものを言ってしまった。言い終わった瞬間、しまったと思ったが事態は思わぬ方向に動いた。なんとその場にいたクラスメイト達は、俺の言葉に納得して事態は収束したのだ。俺はその時、自分の言葉には正しいか正しくないかに関わらずそれを真実だと人に思わせる力があると知った。
それからの俺はその力を使うことに迷わなかった。どうしても納得のいかないことがあれば、その力を使えばいい。
そして、力を使ううちにこの力に関してさらに詳しくわかってきた。この力は一旦は納得させられるが、誰かが違うと指摘すれば効果がなくなってしまう。逆に言えば指摘されない限り解けることは無い。
次第に俺はある考えを持つようになった。"この世で常識ほどもろいものは無い"そう思うようになっていた。
やがて俺が大学を出て社会人になった頃、ある男と出会った。その男は俺に、この世界を変えたくはないかと言った。
男の考えに賛同した訳では無い。だたこの男と共に行けば、世間の常識を俺の常識に変えられると思った。
そして今、俺は新しいリーダーのもと、革命に向かおうとしている。
「見ていろ。この下らない世界を、下らない常識とともに壊してやろう。」
作者白真 玲珠
第1章→http://kowabana.jp/stories/28057?copy
第2章→http://kowabana.jp/stories/28058?copy
第3章→http://kowabana.jp/stories/28059?copy