中編5
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霊感

子どもというのは敏感だという。それが霊感なのか好奇心なのかはわからないけど…

小さい頃から私は嫌な場所がわかったり嫌な予感がしたりすることがあった。

嫌な予感というものは、何か嫌な予感がするというアバウトなものだが、その予感がした時は必ず何かが起こっていた。例えばガラスが割れたりなどだ。

だから私はそれを口には出さなくなった。友達を怖がらせたくないから…しかしこの事件の時だけは後悔した。なぜ話さなかったのかを…

小学五年生になる少し前。私たちは五年生のクラスの増設の為、五年生のクラスがある場所に入れなかった。なんでクラスを増設なんてするのだろう?だって私たちのクラスはニクラスしかないし五年生のクラスもニクラス。三クラスある学年もなかった。

同級生の中には今の五年生が何かしたとか言っていたが、真実味がない噂だった。

そして五年生になった時、私は新しく増設されたクラスに入った。そこは壁を縦にくり抜いた即席クラスみたいな感じで、先生も今までのクラスとは形が違いますから戸惑うかもしれませんと言っていた。

しかし、私は何故こんな即席クラスを使うのかが気になった。

だって階段を挟んだ向こう側には元、五年二組のクラスが空きクラスとしてあるのだ。

だから私はその空きクラスの前まで行って見た。すると背筋がゾワっと寒くなり、嫌な予感がした。なんかとても恐ろしい感じで泣きたくなった。

慌ててその場から立ち去り、なるべく私は空きクラスに目を向けないようにしていた。

そんなある日。図書室に行く途中、何故か空きクラスの扉が少しだけ空いていた。どうして?そう思い私は好奇心から扉を開けて中に入った。空きクラスだからか、空っぽのクラスだが何故か黒板には日直の名前がまだ書かれてあった。

そして夏だというのに異様に寒い部屋だなとも思い、これはやばい部屋かもと思い部屋を慌てて出た。

クラスを出た瞬間、汗がドッと出て私は床に座り込んだ。このクラスは絶対入ったらいけない。そんな気持ちが芽生え私は慌てて図書室に向かった。

そうして次の日の放課後。私はクラスで居残りをしていた。先生は居なくて、一人でテストを直していると、ヒタヒタっという音が廊下からした。ちょうど私の席は扉の前にあり、縦長の教室の為、扉の前の一番後ろの席は振り向けば廊下が見えるのだ。

音が気になり私は振り向いた。すると真っ黒な長い髪を垂らした白いワンピースの女の子がヒタヒタと音を立てながら階段を登って空きクラスの方に歩いて行くのが見えた。

その人はまるでこの世のものではないような気がして私は声も出せずそのままその少女を見て居た。髪を垂らしているため顔見えないがなんだか酷く嫌な予感がした。そうしてその少女は空きクラスの中に消えて行った。

すると空きクラスの隣ある図書室の扉が開き、友達のリュウが私の方に歩いてきたが、空きクラス前で止まり、そして私の方に向かって走ってきた。

「廊下がびしょ濡れなんだけど!」

「は?何言って…」

「来い!」

リュウは私を引っ張り空きクラスの前から階段の辺りを見せる。確かにそこの廊下は水浸しだった。先生に怒られる!そう思いリュウと私は図書室にいる他の友達も呼び掃除を始めた。そうして水浸しの廊下を必死に拭いてる時だった。

空きクラスの後ろの扉が開き、またヒタヒタという音がした。

私は慌てて振り向くと、さっきの白いワンピースの少女が空きクラスから出てきて居た。しかしその体はびしょ濡れであり、水浸しの原因はその少女であった。だが少女はびしょ濡れなのに何故か次は図書室に入った。

そうして、すぐに一冊のノートを持って出てきた。そのノートは私達がついこないだ本を誤って落とした時に出てきた真っ白なノートだった。

なんなの?この子…

私は金縛りにあったように体が動かなくなってその子を見つめて居た。するとその子が私の横を通り過ぎた。

「あなたは私が見えてるんだね…ノートなしに…」

通り過ぎる前に彼女は私にそう言った。私は彼女が通り過ぎた瞬間、思い切り腰を抜かして居た。

それに気づいた友達が私に駆け寄ってきたし、その後すぐ先生も来てくれた。そして私は五年生になってすぐに起こったことを全て話した。すると先生はこのことは誰にも話していけないと言った。

友達も誰にも話さないとみんな約束してくれた。

しかしその後、リュウが私を呼び出した。リュウはあの後、親友のタクと一緒にこの事件のことを少し調べたらしくわかったことを教えてくれた。

それはあまりにも恐ろしい内容だった。

今の六年生にはある噂があった。それは六年生が図書室を使わないというもの。しかしその噂は実際には違っていたのだ。

六年生はちゃんと図書室を使っている。しかし使っている理由は、私達が見つけた白いノートにあった。

リュウとタクは気になりあのノートが図書室にある時中を見たのだ。それは交換日記のようなもので何人かの生徒が日常のことを書いていたらしい。そして一番後ろのページには魔方陣のようなものが書かれてあったらしく、その魔方陣のあるページの前のページには知らない少女の名前と貴方を呼び戻すとも書いてあったという。

リュウとタクは恐ろしくなりノートを戻したが、六年生には何かあったんだ。とも思いまだ調べた。

そうしてわかったのはあのノートがいわゆる降霊術のようなものの媒介であるということ。そして降霊術をしたのは、元五年二組の生徒全員。理由は五年二組の生徒の一人がなんだかの理由で亡くなった女の子を呼び戻そうとしたからだ。多分今思えば女の子が亡くなったのは自殺なのかもしれない。だが昔の事だから今みたいに自殺があっても学校は公にしたくなかったのだろう。だからなかったことにされてしまい今の六年生達はそれを知られるのが嫌で静かにしているか、または真実に近づいた子を弄ったりしたりするかだった。

確かに私は、あの事件の後よくわからない先輩に意味のわからないことで弄られていたから多分、私は真実に近づき過ぎたのだろうなって思った。

そして降霊術は何故か成功してしまった。五年二組の教室で…それから五年二組の生徒達は呼び戻した生徒と交換日記で会話をしていたのだ。だが降霊術に使われましてや生徒が死んだクラスなんて曰く付きだと思った学校側が、そのクラスを空きクラスにしたのだ。

私が見えたのはたまたまか又は、霊感が弱くだがあるからだといい、これからはちゃんと嫌な予感がする場所は話せと言われた。

私はうなづいた。すると、図書室の扉が開いた。

入って来たのは六年生で六年生は私達をチラッと見て、白いノートがある一番後ろの棚に行った。そして白いノートを持って楽しそうに外に出て行った。

それから五年生の間に私はあの子をもう一度だけ見かけた。

びしょ濡れの姿で図書室に入って行くすがたを…

なぜ六年生が降霊術なんてしてその子を呼び出しかはわからない。けど今でも元五年二組のクラスは空きクラスになっていると風の噂で聞いた。

多分、開けられない理由があるのだろう…それがあの子とまだ関係あるかは誰にもわからないと思うが…

END

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