長編35
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続*人喰いの地

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「お姉ちゃん・・・」

愛菜は暗い・・・真っ暗な道の向こうから、一度だけ姉の愛海(まなみ)を振り返り、又、少し俯きながら、歩き出す。

『愛菜!!ダメ!!行っちゃダメーーーっ!!』

愛菜は振り返る事無く、真っ暗な闇に飲み込まれて…

姿が見えなくなった……。

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*********************

愛菜が居なくなってから、週に一度のペースで、愛海はこの夢を見続けている。

あの朝、愛菜は朝食のスクランブルエッグをフォークで突きながら、虚ろな瞳でテーブルに座っていた。

その様子が気になった愛海は、愛菜に声を掛けたのだ。

『どうしたの?今日の撮影は水着じゃないから良かったって、この仕事の話しが来た時、喜んでたじゃない?』

すると、愛菜はハッとした様に顔を上げ、殆ど口を付けていないアイスティーの入ったグラスを持ち上げると、カランカランと氷を転がす音を立てながら、ポツリポツリと話し出した。

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「お姉ちゃんは知ってると思うけど…。

正式にこの仕事の契約が済んで、事務所から連絡が来た後から…

私の後ろの人が、私にまるで“行くな!!”って言う様に、髪を引っ張るの…。

特に夕べからが酷いの…。

仮病でも使って、今日の仕事、バックれちゃおうかなぁ…?」

愛菜はグラスを見詰めながら、大きな溜息を吐いた。

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愛菜には霊感が有る様で、幼い頃から愛海や父、母にも見えない物が視えていた。

人間と言うのは勝手な物で、自分の目で見たモノしか信じる事が出来ない生き物だから、霊感のない父や母に、変な事を言ってはいけないと、愛菜はよく叱られていた。

愛海も視えてはいないが、あまりにも不思議な事を言う愛菜の言葉を、いつしか信じる様になっていたのだが…。

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例えば、父方の祖母が亡くなったその時間、愛菜は深夜にも関わらず泣き出し、「お祖母ちゃんが…お祖母ちゃんが…」と繰り返した。

その十数分後、祖母と同居していた父方の伯父から電話連絡が来て、祖母が亡くなった事を知らされた。

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一緒に公園で遊んで居る時もそうだった。

ちょっと目を離した隙に、愛菜の姿が見えなくなり、母に叱られると必死で愛菜を探していた愛海は、公園の敷地の中の小さな林の中で一人佇む妹の姿を見付けた。

「あ!お姉ちゃん!今ね、かくれんぼしてるから、一緒に遊んでた子を見付けるまで待ってね!」

愛菜はニコニコ笑い、見渡してもすぐ向うの道路を走る車が見える、小さな公園の林の中を走り回り、一緒に遊んでいたであろう子を探している。

『愛菜?こんな所、隠れる場所なんてないよ?もう帰っちゃったんじゃない?』愛海が言っても

「だって、あの子が“見付けて”って言ってたんだもん。」

ちょっと頬をふくまらせると林の中を一通り探し終え、諦めた様に愛海と手を繋ぎ、家に帰った。

それから数か月後、公園のその小さな林の中から、当時行方不明になっていた愛菜と同年代の女の子が殺され、埋められていた事を知った。

そんな事を目の当たりに見て来た愛海は、愛菜の霊感が嘘ではない事を知っていたのだ。

愛菜の言う【後ろの人】の存在を知ったのも、有る時の愛菜の行動からだった。

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小学生の時、母に頼まれ愛菜と二人、近所のスーパーに母が買い忘れた人参を買いに行った時。

信号が青に変わり、愛菜の手を引いて横断歩道を渡ろうとすると、愛菜が急に立ち止まり、愛海の手を両手でグイと後ろの自分に引き寄せたのだ。

愛海は一歩を踏み出せず、後ろに戻る様な態勢になった。

その瞬間、猛スピードの車が愛海のすぐ目の前を走り過ぎ、交差点で何台もの派手なクラクションの音、急ブレーキの音、そして、固い物がぶつかり合う音が響き渡った。

もし一歩でも踏み出していたら、愛海はあの車に跳ね飛ばされていただろう。

愛菜はニッコリ笑い、「後ろの人が髪を引っ張ったの♪“行くな!!”って」と…。

話しを聞くと、愛菜の危機が迫ると、“後ろの人”が髪を引っ張り、危険を回避してくれるのだと。

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そんな愛菜が、半年前のあの朝は沈んだ顔をし、「行きたくないなぁ…。」と…

愛海は自分が止めれば良かったと、何度も自分を責めた。

一緒に行った撮影クルー達も誰一人帰って来なかった。

だが、未だ、愛菜が死んだと決まった訳ではない!!!

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愛海は、肩から斜め掛けにしたショルダーバッグの中身を再度確認すると、キッチンで洗い物をしている母に『行ってきまーす!』と、一声かけ、静かに玄関を出て行った。

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*********************

高速道路を乗り継ぎ、途中でトイレ休憩と昼食を済まし、この山道に入ってからは、誰の話し声も聞こえなくなった。

運転は、愛海の婚約者の啓二(けいじ)。

そして、後ろのシートには、愛菜の彼の翔太(しょうた)と、翔太の叔母にあたる霊媒師のキララ。

その後ろのシートには、愛菜の幼馴染の美咲(みさき)と拓斗(たくと)が座る。

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最初にこの話しを持って来たのは、愛菜と付き合っている彼氏の翔太だった。

聞くと、翔太も愛海と全く同じ夢を見続けていると言う。

そして、翔太の母の妹にあたる叔母の霊媒師のキララに相談した所、愛菜の気配は消えていないと言われたそうだ。

愛菜だけではなく、何人もの人の声が聞こえると…。

そして、翔太は、自分と同じく愛菜を愛する姉の愛海に、愛菜探しの相談に来たのだ。

それを婚約者の啓二に話したところ、一緒に行くと言ってくれた。

… 

そして、会社からの帰宅時にたまたま駅で会った美咲に話すと、幼稚園の頃から仲の良かった幼馴染の拓斗も誘って、一緒に愛菜探しに行ってくれる事になった。

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山道は片側一車線でもかなり狭く、軽自動車でも来たら、どちらかがバックして待避所に戻らなくてはいけなくなるだろう。

だが、危惧していた対向車に一度も出会う事もなく、人を見かける事もなく、啓二のワンボックスカーはナビの言う通り、元々は車の通る道だったと想像が出来る、細い、轍だけが僅かに残る道へ左折した。

車体にビチビチと枯れた草が当たる音を聞きながら20分ほど進むと、ナビが目的地を告げ、終了した。

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目の前には、深い森が広がり、まるで大きな口を開けているかのように一点だけ人の通る道を作っている。

(未だお昼を少し過ぎた時間。

このまま愛菜がすぐに見付かると良いのだけど・・・)

愛海は自分の腿に置いていたショルダーバッグを肩に斜め掛けをすると、車を降りた。

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『キエエエエエエエエエエエエエ!!』

辺りの静寂を破る様に、後部シートに座っていたキララが突然、奇声を発する。

『此処は…此処は…

私などが手を出せる場所ではない!!!』

両手に透明な水晶の数珠を握り締め、黒いアイライナーで太く縁取りされた目を見開き、真っ赤な口紅で彩られた唇をワナワナと震わせる。

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翔太は、そんなキララに言い聞かせる様に

「俺の…俺の大切な女性なんだよ…叔母さんだけが頼りなんだ…。」

そう言うと、キララの手を両手で包み、深く頭を下げる。

そんな翔太の姿を見た愛海も、車の外から直立姿勢のまま、深く頭を下げる。

啓二も、キララの後ろに座る美咲と拓斗も深々と頭を下げた。

暫くの沈黙の後、深い溜息と共にキララも車から出て来た。

そして、一人一人の顔を見回し、持っていたバッグから透明な石の数珠を出すと

『私にはアナタ達全員を守りきる事は、恐らく出来ない。

だから、気休めにしかならないでしょうけど、これを持ちなさい。』

そう言うと、全員に水晶の数珠を手渡した。

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********************

家を出た時には晴天だった空が、どんよりと曇り出す。

それとも、森の中があまりにも薄暗いからか?

自然に出来たと言うには不自然な、森の中の曲がりくねった道は、愛菜の行く先を示す様に伸びて行く。

やがて、鼻を覆いたくなるような生臭い匂いが辺り一帯に漂い始めた。

皆、顔をしかめている所を見ると、この臭いを誰もが気付いているのだろう。

やがて、微かな光が射し込み、愛海たちは森から吐き出された。

眼前には、どこからこんな資材を運んで建てたのか分からない程、大きな廃墟が立ち尽くしていた。

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*********************

「お姉さん…絶対に愛菜を見付けましょう!」

美咲は愛海の顔を見詰めて力強く言う。

「ボ…ボク…こう言う所は初めてで…

でも、愛菜ちゃんを見付ける為に頑張るよ!!」

廃墟の威圧的な圧倒感に負けじと、拓斗は愛海と美咲、二人の顔を交互に見詰めて言う。

「あぁ…絶対に愛菜を連れ帰る…」

翔太は真っ直ぐに廃墟を見上げ、固い揺るぎない決心を改めて口にする。

「皆…有難う…。

愛菜の為に…有難う…。」

愛海は同行してくれた皆の気持ちが嬉しくて、言葉に詰まり、つい涙声になる。

そんな愛海の肩を優しく抱く様に、啓二が

「さあ!行くかっ!!!」と声を掛けると、全員…キララを除く全員が大きく頷き、それぞれが持って来た懐中電灯を手に持った。

キララは…

全身をワナワナ震わせ、両手で握り締めた水晶の数珠を、強く、強く握りしめたまま、これから立ち向かう廃墟をジッと見詰めるだけだった。

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*********************

錆びた鉄のドアは開け放たれ、そこから難なく入る事が出来た。

エントランス?だだっ広いスペースが広がるが、所々朽ちて落ちて来た天井や壁からの赤茶色に腐食した鉄板や鉄筋、崩れ落ちたコンクリートが足元に転がる。

天井には所々穴が空き、そこから曇った空が覗く。

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パーキングで昼食を摂った時話し合った様に、3組に分かれて捜索するのに、愛海は啓二と。

翔太はキララと。

美咲は拓斗と。

それぞれペアがエントランスで分かれて行った。

愛海達はエントランスから左へ。

翔太達は右へ。

美咲達は二階へと。

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愛海と啓二は、床に転がる障害物を避けながら前へ進む。

窓と言う窓にはガラスもなく、大きな木の扉の様な物も朽ちて壁にもたれかかっている。

すると、目の前には壁が立ち塞がった。

懐中電灯で照らすと、左右にドアがある。

だが、向かって右側のドアには頑丈な鎖と錆びた南京錠が見える。

選択の余地もなく、二人は左側のドアに向かった。

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その時

「お姉さーん!」

美咲の声で、愛海と啓二はドアノブを掴む手を離し、後ろを振り向いた。

みると、暗闇からこちらに向けて二つの丸い円が近付いて来る。

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「ダメです…入口近くの階段は、足元が腐っているみたいで、足を乗せた途端、崩れちゃったんですぅ…」

困った顔をした美咲と、相変わらず不安そうな表情のままの拓斗が現れた。

「そう…。

そんな腐った階段を使う筈がないから、それなら私達と一緒に探しましょう。

もしかしたら、この先にも上の階に上がれる階段が見付かるかもしれないから。」

愛海がそう言うと、拓斗はホッとした様に口元を緩ませ

「良かったぁ…2人より4人の方が安心です!」

と言い放ったすぐ後、すかさず鳩尾に美咲の拳がめりこむ。

「グフォ…だ…だって、美咲ちゃん…

いくら強い美咲ちゃんと一緒だって2人きりじゃ、ボ…ボク、やっぱり怖いよ…」

今にも泣き出しそうな拓斗に

「誰が強い!?」

美咲は言葉を発すると同時に、拓斗のジャケットの襟元を掴み、小柄な拓斗は両手をバタつかせる。

「まあまあ。通れない場所に愛菜達が行ったとは思えないもの。

この先どうなっているのか分からないけど、一緒に行きましょう。」

愛海は2人の肩を撫で微笑むと、やっと美咲も拓斗の胸倉を掴んでいた手を離した。

「こんな怖い所に愛菜ちゃんが閉じ込められているなら、早く助け出してあげようよ。」

啓二も2人に優しく諭す様に言う。

4人は大きく頷き、そして、再びドアに手を伸ばした。

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鉄製のドアはギギギ・・・と、軋む音を響かせるが重く、愛海では簡単に開かない。

そこへ啓二が愛海を横に除ける形で、自分の体を扉に押し付け開けたその時、又しても後ろから愛海を呼ぶ声が。

「愛海さーん!ダメっす!右の方は瓦礫の山になってて奥には行けません!!」

翔太が大きな声で言いながら、姿を現す。

少し遅れてキララも…。

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「そっちもダメだったか…。」美咲の声で

『えっ?2階も?』翔太が答える。

「うーん…雨ざらしになってたからなのかなぁ?

鉄製の階段も、横の手すりもボロボロで、一段上がっただけで踏み抜けちゃったんだよね…。」

『どっちにしても、行けない所からなんて、愛菜も撮影クルーの人達も入り込んでいないんじゃない?

だから、取り敢えず、ここから皆一緒に行こう。』

愛海は集まった全員の顔を一人ずつ見詰め、

『今、進めるのはこのドアの向こうだけみたい。』

と、啓二が体で押さえたままの扉の向こうを見る。

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そして、先に愛海が、美咲が、その後慌てて拓斗が入り、翔太とキララが続き、啓二がそのまま中に入ると、重厚な音を立て、扉が閉まった。

ドア周辺は暗いが、通路の先には外の明かりが漏れている、

懐中電灯で照らすと、通路には幾つかの部屋が有る様で、左右に等間隔でドアが並んでいる。

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「やっぱり、手前の部屋から一つずつ見て行きましょう!!」

美咲の提案で、又、それぞれ2人ずつのペアになり、分かれて探す事となった。

各自、部屋の前に立つと、ドアノブに手をかける。

その時、通路の床がグニャリ…大きくうねったかと思ったら、頭の中に大きく…黒板を爪で引っ掻く様な音が鳴り響いた。

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立っている事の出来ない床のうねりと、脳を震わす不快な音で、愛海はその場でしゃがみこんだ。

すると、全員が頭を抱え、床に突っ伏したりしゃがみこんでいる。

どの位そうしていたのか…。

音が止み、床も平らになっている…。

それぞれが恐る恐る立ち上がると、それぞれのパートナーの顔を見、そして、全員の顔を見渡した。

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「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

キララが又しても奇声を上げ、大きな声で呪文を唱えながら、両手で水晶の数珠をジャラジャラと大きく鳴らした。

「早く!!!早く!!!此処から出るのです!!!」

そう言い、入ってきた扉に向かう。

何が起こったのか分からない愛海達は、キララの向かう扉に近付いて行った。

だが…

「ダメじゃーーーーっ!!!もう、手遅れじゃーーーーー!!!」

キララが又しても大きな声を上げ、その場で蹲ってしまった。

『ちょ…叔母さん…。何が手遅れなんだよ?

愛菜がまるで死んだみたいな言い方すんなよ!』

翔太がムッとした様に言い、キララの肩に手を掛けると

「もう、ダメじゃ…。閉じ込められてしまった…。」

蹲りながら、そう呟いた。

翔太がドアを開けようと、扉をまさぐる…

『えっ?……

マジかよ!?何でドアノブがないんだよ!?』

翔太の悲鳴のような声を聞き付け、全員が、今入って来たドアに集まり、扉を隈なく摩るが、平らな鉄板で、何も凹凸が見付からない。

そして、啓二と翔太と二人掛かりで身体を押し付けてみるが、重い扉はビクともせず、動く気配もなく、開ける術がなかった。

「なんで…?美咲ちゃん…お姉さん…ボク達、どこから出れば良いんでしょう…?」

拓斗が涙声で言うと

『あーーーっ!もう!アンタ!男でしょ!?いちいちベソベソ泣くんじゃないわよ!!!』

美咲に怒鳴られ、小さく「ごめんなさい…」と呟く。

『ねえ!先に行けば、出口はあるわよ!だって、この通路の先に明かりが漏れてるじゃない?あそこで外に出れるんじゃない?』

愛海は美咲の肩にポンと手を置くと、拓斗の腕を取り、大丈夫!と言うかのように微笑む。

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・・・

クスクスクス。。。

フフフフフ。。。

・・・

何者かの笑い声が静かな通路に響き、声のする方を振り返ると…

どこから入ったのか…

小さな子供が3人、こちらを見て笑っている。

「君たち!?どこから入って来たの!?」

拓斗が子供達に向かって走り出すと

『ダメじゃーーーっ!!!行ってはならん!!!』

キララが怒声を上げ、その声に驚いた拓斗はビクッとその場で固まる。

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・・・

アーア…

ザンネン…

キャッキャッ…

・・・

子供達は自分の口を押えながら笑い声をあげる。

その声に、拓斗は改めて子供達の顔を見る…

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

キララの怒声に負けない大きな悲鳴を上げると、真っ直ぐに美咲に向かって走り戻って来た。

『どうしたの!?拓斗!?あの子供達…何が有ったの!?』

明かりの漏れる手前に立つ子供達は、愛海達には逆光になり、表情までは読み取れない。

「あ・・・あ・・・あの子供達…顔が…顔が…

まるで張り付いたお面みたいで……」

拓斗は美咲に抱きつき、泣き出した。

美咲は、そんな拓斗の頭を良い子良い子をする様に撫でている。

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・・・

イコウ…

ソウダネ…

ツマンナイネ…

・・・

子供達はそう言うと、通路の先へ手を取り合い走り去った。

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「先程のうねりと不快な音は…」

いつの間にか、通路に正座していたキララが話し出す。

「この、今の世界に入る入口にいたからじゃ…」

『えっ?今の世界って…?』

愛海がキララに聞くと

「あの扉から入ったその時、違う次元に入り込んでしまったと言った方が分かり易いかもしれんが…。

ここの…この場所の過去を知る者はおるか?」

キララは一人ずつ順番に顔を見詰めるが、全員頭を横に振る。

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「彼是、もう20年以上の前の事じゃ…此処は、ある新興宗教の施設が有ったんじゃ…。

こんな山の中に…信者達は駆り出され、この施設を建てたんじゃ…。

そして、出家信者を募り、信者達はこの施設で寝食を共に暮らしていた…。

教祖の言う事だけが正しく、もし教祖を裏切ったり、教えに反発したり陰で悪く言う者が居れば、その者だけではなく、その一家全員が信者達から集団リンチを受け、殺されてしまったんじゃ…

そんな宗教団体を糾弾した弁護士や、身内が入信してしまった家族が騒ぐと、その者達も容赦なく殺された…。

やがて、そんな教団の裏の顔が世間に知れる事になり、中庭からも夥しい数の人骨が掘り起こされた。

幹部のうちの何人かと出家信者達の多くは逮捕されたんじゃが…

だが、教祖とその教祖を取り巻く、最重要幹部達は、どこに逃げたのか…

未だに見付かっておらんのじゃ…。

私も過去のニュースでこの事件は知っておったが…

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ここは……

この地は……

命の有るものは、踏み込んではいけない場所だった……。」

キララはそこまで話すと、ガックリと肩を落とした。

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『愛菜は、そんな地に入り込んでしまったと言うんですか……?』

愛海は唇を震わせ、キララに聞く。

「そうじゃ…。だが、愛菜だけではない!!

私等もそうじゃ!!!!」

キララが言い放った瞬間、両手で握り締めていた水晶の数珠が

――――

パーンッ

――――

弾ける様な音を立てて千切れ、四方に飛び散った。

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啓二が自分の足元に転がって来た一粒を拾い、手に取り見ると

「水晶が…」

と…黙って見詰めている。

愛海も自分の近くにある玉を拾い、懐中電灯で照らす。

それは…

先程までの透明な水晶ではなく、真っ黒な、オニキスの様な色に変わり、玉の中には沢山の細かいヒビが入っていた。

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キララは知っていた様に

「気休めにもならなかったな…。」

そう言うと深い溜息を吐き、ゆっくり立ち上がった。

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これからは、バラバラになってはいけないとのキララの忠告から、6人全員での行動となった。

「開けるよ?」

翔太の声に頷き、閉まったままの扉を背に、右側のドアを開けた。

中は真っ暗で、窓からの明かりさえもなく、懐中電灯の明かりには、それまで息をひそめていた塵やホコリがキラキラと舞い踊っている。

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全員がそれぞれ手にした懐中電灯で、中を照らして行く。

特に、何もない部屋で、棚も机も、とにかく何も置かれていない部屋だった。

「何もないっすね…」

翔太が呟いた。

すると、キララが

「あ……あ………」と…。

皆、ドアを押さえたままでいるキララを振り返り、その指の先を見た。

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そこには………

高い、高い天井から、幾つものロープが垂れ下がり、そのロープの先端は丸く、不自然な輪を作ってあった。

「何!?あれ!?」

愛海の声で拓斗は悲鳴を上げて部屋から飛び出す。

反対に美咲は部屋の中央にツカツカと入り、まるで首吊りのロープの群れの真下に来て上を見詰めていた。

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愛海も、啓二も、翔太も…美咲と同じ様に、ロープの下がる高い天井を見上げた。

―――――

!!!!!

―――――

天井には…

部屋いっぱいの大きな顔をした女性が不気味に微笑み、愛海達を見下ろしていた!

その髪の先から、幾つもの輪を作ったロープが垂れ下がっている…

金縛りに遭ったかの様に、皆その場を動く事が出来ず、ただ茫然と大きな顔をした女性を見詰めていた…

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・・・

キャッキャッ…

モットモット…

ソウソウ…コッチ…

・・・

すぐ近くで子供の声がする…

ふと、皆がその声のする方を見ると…

先程の子供達が、嬉しそうにはしゃぎ、何かにぶら下がっている…

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「美咲ちゃーーーーんんんんん!!!」

拓斗の声で、ハッとした愛海達が見たものは…

いつの間にか、女の髪の先にある輪っかに首を捕えられた美咲が、天井高く吊り上げられた姿だった。

もがき、自分の首に巻き付いたロープ…髪を外そうとするものの…

そんな美咲の両足に3人の子供達が笑いながらぶら下がっていた。

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愛海も啓二も翔太も…

そして、部屋から飛び出した拓斗も、高さで言えば、身長の3倍ほどの高さにぶら下がる美咲を下ろそうと、踏み台になる物はないか?

何か使える物はないか?

部屋の中を隈なく探すが、この部屋には何もない。

「待ってて!!他の部屋を探して来る!!」

愛海が部屋を出ようと駆け出すと

『愛海!!!』啓二が珍しく大きな声を出した。

そして、ゆっくり愛海に近付くと、頭を抱える様に抱き締めた。

『見るな…。愛海…見ちゃダメだ…』

愛海は啓二の身体を突き飛ばし、美咲の下に駆け寄る。

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―――――

ピチョン・・・

―――――

美咲のスニーカーの爪先から、音を立てて水滴が幾つも落ちる…

美咲は、異様に首を伸ばし…口から下を垂らし…

その目は、光を失い、虚ろに下を向いているだけだった。

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・・・

タノシカッタネ…

ウン!モウオワッチャッタネ…

ダイジョウブダヨ!マダ、イッパイアル…

・・・

美咲の足にしがみ付いていた子供達は口々に言うと、スウウウウウウウウウウウウウ・・・と、天井に吸い込まれる様に消えた。

天井いっぱいの女の顔も、いつの間にか消え去っていた。

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「美咲ちゃぁ~~~~ん」拓斗は声を上げて泣いた。

愛海はそんな拓斗の前に立つと、拓斗を抱き締め、啜り泣いた。

そして、暫くそうして2人が泣いていると啓二が

『愛海・・・ここは、危険だ…。

一旦、部屋から出よう?』

愛海の肩に手を置き、愛海は泣き叫ぶ拓斗の手を引いて部屋から出た。

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「他の部屋に、脚立や、何か踏み台になる物があるかもしれない…。

早く、美咲ちゃんを下ろしてあげよう…。』

翔太が、泣き止まない拓斗と涙を拭う愛海に言い、通路を挟んだ真向いの部屋のドアを開けた。

全員が、部屋の入口に立ち、先ず、天井を照らす。

だが、天井は普通の高さでロープも女の顔もなく、ホッと溜息が漏れる。

ゆっくり、それぞれに壁をグルリと照らすが、やはりこの部屋にも窓がない。

そして、床を照らすと……

「ギャッ!!」

翔太が息を飲む様に小さく叫ぶ。

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皆が、それぞれの懐中電灯で床を照らすと…

そこには…所狭しと、沢山のマネキン人形の首が転がっていた。

胴体も、勿論、手足もない…マネキンの首だけ…

『いかん!!!』

キララがそう叫ぶと、啓二の手にした懐中電灯が、動く何かを照らした。

それは、ゆっくりと首をこちら側に回し、口をクワッと開けると、悪意に満ちた形相で愛海達を睨み付けた。

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まるで床から生えた様に、男の首がそこにいた…

全員、ドアの向こうへ走ると、静かにドアは

キイイイイイイイイイイイイイイと音を立てて、閉じた。

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「叔母さん!!あ・・・あ・・・あれは?」

翔太がどもりながらキララに聞く。

『私にも分からない…。言えるのは…

今の首だけの男も…さっきの部屋の天井にあった大きな顔も…

そして、あの子供達も…

全て、悪意の塊…

生あるものに対しての憎しみしか感じ取る事が出来ない…」

そう言うと、小さな声で呪文を唱え出す。

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皆が、この廃墟のただならぬ空気に飲まれ込まれそうになっていた。

だが、愛菜がこんな場所に留められているのなら…

愛海は一刻も早く、愛菜を助け出したい想いがより一層強くなっていた。

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「す・・・すげぇ怖いけど…

俺・・・俺・・・愛菜を…

アイツを一人でこんな所に置いておけないよ!!!

俺、アイツがこの仕事がどんだけヤバいか、あんだけ話してたのに、ちゃんと聞いてやらなかったんだよ…。

テキトーに相槌打っただけで、俺、アイツを止めてやらなかったんだよ…。

だから…だから…

もし、愛菜が生きてなかったとしても…

愛菜を連れて帰ってやりたいんだ…。」

言い終えると、翔太は袖で自分の顔を拭った。

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愛菜が消えたあの日から…

愛海と同じく、翔太も自分を責め、苦しんで来たのか…。

愛海はそっと翔太の前に立つと、その手を両手で包み

『翔太くん、有難う。私もね、翔太君と全く同じ想いなの。

どんな愛菜だって…私も愛菜を連れ帰ってあげたい。

私も…私も……

怖くて堪らない…。

だけど、こんな場所に愛菜を置いては帰れないから…。』

言いながら涙をポロポロ溢す。

「はい!!

俺は愛菜を見付けるまで、絶対に逃げ出したりしない!!」

翔太は愛海の目を真っ直ぐに見詰めた。

『ボ…ボクも…怖いよ…。

美咲ちゃんはあんな事になっちゃったし…。

でも、ボクも逃げ出したりしない…。

や、約束するよ!!!』

拓斗はガタガタ震え、精一杯声を張り上げて誓ってくれた。

啓二は、「ふっ…」と笑い、そして

「愛菜ちゃんは俺の妹でもあるからね。

兄として、妹の無事を祈るのは当たり前だよ。」

そう言うと両腕を伸ばし、翔太と拓斗2人の肩に手を回した。

『そう思うなら、一刻も早く見つけ出す事じゃ。

先ずは、あの首吊りになった女の子をどうにかしてやらんと…

可哀想じゃ……。』

キララの言葉で、皆はハッとし、首の有った部屋の隣の部屋に移動し、ドアの前に立った。

そして、愛海がドアに手を掛けたが、鍵がかかっているのか、ドアノブが回らない。

「ダメだわ…。開かない…。」

啓二がドアノブを回そうとするが、やはりドアが開くと言うより、それ以前にドアノブが回らない。

『ダメだ…。仕方ない。

こっちの部屋を見よう?』

そう言い、通路を挟んだ真向いの部屋に移動した。

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『隣の部屋と、もしかしたら上で繋がっている可能性があるから、皆、気を付けて!」

啓二はそう言い、ドアノブに手を掛けたその時

「待てっ!!!」

キララが叫んだ。

啓二なのみならず、皆がビクッと動きが止まる。

「よく見てみるのじゃ!!ドアの隙間を!!!」

その言葉でドアを見ると、確かにほんの少し隙間が開いている。

『え…?』そこを啓二が懐中電灯で照らす。

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隙間から覗く目と啓二の目が合った。

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啓二は一瞬何がいるのか?

考え込んだが、愛海に思い切り腕を掴まれ、後ろに引っ張られた。

愛海はブルブル震えながら、啓二の腕を掴み、頭をブンブン横に振っている。

そこへキララが一歩前に進み、隙間から覗く目に向かい、お経を唱え出した。

5分ほど経つと、スッと目が消え、ドアが静かに閉まった。

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wallpaper:3914

キララは大きく頷き、自らドアを開けた。

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キララは先に懐中電灯で天井、壁、床を照らし、何もない事を確認すると後ろを振り向き、微笑んだ。

愛海はキララの笑顔に笑顔を作り返し、

『キララさん。あり・・・』

言葉を発した途端、【ガタンッ!!!】大きな音が響いたと思ったら、キララが一瞬で視界から消えた。

まるで手品の様に、一瞬でキララが消えた。

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いったい、何が起こったのか?

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「叔母さんっっっ!!!」

翔太が慌ててキララに手を伸ばす。

部屋が…

その部屋は…

床がなかった。

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wallpaper:3915

いや。

無い訳ではない。

先程までは確かに平らだった床が、今は部屋の入り口から急な斜面の、巨大なおろし金の様になっていた。

そのおろし金は真っ暗な地底に果てしなく続いているかのようだった。

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キララは、その傾斜に付いた突起で己の肉を削りながら滑り落ちて行く。

そのキララの身体にまとわりつく様に、すがり付く様に

人の形を留めていない何者かが覆いかぶさっり、その重みも加わり、鋭利な突起はキララの肉を抉り、削り取って行く。

「ああああああ………」

キララは言葉にも悲鳴にもならない声を残し、暗闇に消えて行った。

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『叔母さーーーーーん!!!』

翔太は部屋の入口に両手をつき、叔母が消えた暗闇に向かって叫んだ。

突起は、キララから削ぎ落とした服の切れ端、そして肉と大量の血をポタポタと滴らせ、鈍く光っていた。

啓二は息を飲み、翔太の肩に手を掛けると静かにドアを閉めた。

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『お、俺が叔母さんを頼ったりしなけりゃ、こんな事に…

こんな事にならなかったのに……』

翔太は泣きじゃくり、愛海も啓二も慰めの言葉もなくし、呆然と立ち尽くしていた。

「翔太くん…

ボクも、大切な美咲ちゃんを失くしたんだ…。

小さい頃から弱虫のボクをいつも庇ってくれた美咲ちゃん…

そして愛菜ちゃん……

ボクは、もう誰も失くしたくないよ…

だから、翔太くん?

これ以上何かある前に、愛菜ちゃんを探し出そう?

きっと、怖い思いをしながら、ボク達が探し出してくれるの、待ってるよ…。」

泣き虫の拓斗が、真っ直ぐに翔太を見詰めて言った。

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翔太はハッとした様に拓斗を見詰め返し、大きく頷くと

『わりぃな…俺、愛菜を見付けに来たんだよな?

拓斗くん!あ?拓斗…で良いか?

もう、大丈夫だ!弱気になんてなってらんないよな!』

涙を拭い、拓斗の髪を両手でクシャクシャとしながら笑う。

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拓斗はホッとした様に

「愛菜ちゃんの彼氏なら、ボクの彼氏でもあるん……

ん?

彼女?

でもないな…

ボクの友達でもあるんだから!

呼び捨てて良いよ!』

と言い、こんな時なのに、皆その言葉に大笑いをした。

皆、それが恐怖に立ち向かう為の笑いだと分かっていた。

それでなければ、この恐怖に押し潰されてしまいそうだったから…。

『取り敢えず、あそこへ行かない?』

愛海は、多分、外に出れるであろう明かりを指差した。

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そこは、未だ先へ繋がる通路?を真ん中にした広い庭だった。

左側には、噴水でも有ったのだろう。

池?の様なものが雑草に埋もれる様にあり、その周りには何体かのブロンズ像のようなオブジェが見える。

右側にはボロボロになったベンチらしき物や、子供用の小さなブランコ?鉄枠だけがポツンと佇んでいた。

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それにしても…広い…。

両側に広がる庭の先には、未だ建物の壁がぐるりと囲んでいる。

『外…じゃなかったのね…。

中庭だったのね…。

そして、この通路は回廊になっていたのね…。』

愛海はポツリと呟いた。

「ここが、叔母さんが…沢山の人の遺体が掘り起こされたって言ってた…中庭なのか…?」

愛海の言葉に続き、翔太が青い顔をして言う。

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回廊の、丁度中間くらいまで進んだ時…

どこからともなく誰かの歌声が聞こえた。

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皆が顔を見合わせた次の瞬間、視界が少しずつ暗くなる。

まるで貧血の時の様に…目の前の物が霞み…

耳には誰かの歌う声を残し…

愛海は静かに意識をなくした…

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「愛海!!!愛海!!!どうしたんだ?」

啓二はいきなりフラフラとよろけ、そのまま倒れ込む寸前に愛海の身体を受け止めていた。

愛海だけではなく、翔太も拓斗も、いきなりその場で倒れ込んでしまった。

何が起こったのか分からないが、3人が目覚めるまで、この場にいるしかない様だ。

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愛海を抱いたまま、回廊の通路に座り、愛海を膝枕をする様に頭を自分の腿の上に乗せると、ポケットから煙草を一本出して咥え、火を点けた。

そして、顔を上に向けて細く煙を吐き出す。

愛海の妹。啓二は何回も会っている、明るく可愛い妹の愛菜の笑顔を想い出す。

もう、既にこの世にはいないかもしれない…。

だが、愛海や翔太も納得できる、愛菜の痕跡だけでも、どうやっても掴んで帰りたい。

惚れた女の涙は、啓二だってみたくはなかった。

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―――

ピチャ…

―――

耳を澄ますと、中庭のどこかから、水音がする。

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啓二は煙草をくゆらせながら振り向き、水の音のしそうな噴水辺りを見詰めた。

―――

ピチャン…

―――

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再び水が垂れる音の出所を目で探す。

だが、以前は水を湛えていたであろう噴水は、枯れた雑草を中まで生やし、周りをぐるりと囲むブロンズ像と、欠け、薄汚れた女神の像が静かに佇んでいるだけだった。

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啓二が何気なく、噴水の向こうにある一体のブロンズ像に目が留まり、(少し愛海に似てるな…)そう思い、クスッと笑った時だった。

中庭は黒い靄に包まれて行く。

少し離れたところで気を失った様に倒れた翔太が…拓斗が…

黒い靄に包まれて見えなくなった。

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啓二は、自分の膝に頭を乗せた愛海を守る様に抱えながら、何が起こっているのか…

その原因を探り出そうと、辺りを見回す。

すると、たった今啓二が見詰めていたブロンズ像の周りだけ靄がかからず、その美しい横顔を浮かばせていた。

やがて、辺りは墨汁で染めた様に、真っ暗闇になった。

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~♪~

ルルル…

ルルル…

ルルルル…

~♪~

先程よりもハッキリと、大きく、女の歌声が響いて来た。

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透き通る様なその歌声を聴いていた啓二は自分の意思と反して、愛海の頭を下におろすと立ち上がり、美しいその声のする方へフラフラと歩き出した。

(行きたくない!!!)啓二の心は行ってはいけないと警鐘を鳴らす。

だが、操り人形の様に、声に惹き寄せられて行く。

(これじゃ…まるでギリシア神話のセイレーンじゃないか!

行っちゃいけない!!行きたくない!!!)

啓二はいつか読んだ神話に出て来る、澄んだ歌声で海を航行する船の船員を惑わす、翼を持つ、美しい女の姿を思い出していた。

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そして啓二は、いつの間にか、ブロンズ像の前に立っていた。

ブロンズ像は

・・・

ギ・ギ・ギ・・・

・・・

重い歯車を動かす様に軋む音を立て、ゆっくりと啓二に顔を向ける。

(イヤだ…イヤだ…見たくない…)

啓二の頬から涙が溢れて来るが、身体は自分の意思で動かすことが出来なかった。

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像は、やがて啓二を真っ直ぐに見詰める様に顔を向けると、その姿はとても美しい…

天使の様な美しい女の姿に変わる。

そして、微笑み、啓二に両の腕を伸ばし、そっと口付けた。

(んんっっっ!!!)

啓二は身動きも出来ず、声も出せず、そのまま、立ち尽くしたまま…

女にガリガリと唇を齧られていた。

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女は啓二の眼鏡を放り投げると、指を使い、啓二の目から眼球を取出し、ペロリと舌で舐め上げた後口に含み、奥歯でゆっくり噛み砕いて行く。

それを食べ終わると、もう片方の目も取出し、今度は牙の様な前歯で齧りつき、アッと言う間に食べ尽くした。

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自らの指に滴る血と粘液を舌で舐めとると、痛みで発狂しそうな啓二の頭を骨ごとゴリゴリと音と立て食べ出した。

砕かれた頭がい骨から覗く脳味噌を両手で掬い上げられると、恐怖と痛みと呪縛に支配された啓二の身体は、そのままグシャリと倒れた。

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女は両手の平に乗せた物に頬ずりをし、唇を尖らせ、ジュルジュルと吸い込んでいた。

それも食べ尽くすと、動かなくなった啓二の腹に爪を立て裂き、未だ暖かい内臓を掴み出して食べて行く。

風の音すら聞こえない中庭には、啓二を啜り、咀嚼する音だけが静かに響いていた。

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*********************

「愛海さん!!!」

誰かの呼ぶ声と身体を激しく揺すられて、愛海はうつらうつらと目を開いた。

視界の先には翔太の顔が有った。

『お姉さん…。』

拓斗の涙ぐむ顔と…

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「あれ…啓二は…?どこに行ったの?」

愛海は隣にいた筈の啓二の姿を探す。

すると、翔太は両目をギュッと瞑り、口を押え、嗚咽を漏らす。

「拓斗くん?啓二は…どこに行ったの!?」

愛海は跳ね上がる様に起き上がり、拓斗の手首を掴んだ。

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拓斗はワナワナと身体を震わせると、大声を上げて泣いた。

『お姉さん…俺が説明します…。』

翔太も涙を溢しながら、愛海の目を見詰めて話し出す。

『俺、変な歌声を聴いて…

それからの記憶がないんすよ…

そして、さっき目が覚めたら、こんな場所で寝てたんす…。

横には拓斗が寝てました。

そして、少し離れたここにお姉さんが寝てました。

でも、啓二さんがいなくて…

………

啓二さん…

何者かに…食われちゃったみたいなんす…。

俺…怖くて見に行ってないんすけど…

死んじゃってるんす…。』

そこまで話すと、翔太は顔を向けずに指だけで噴水を差す。

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愛海は、翔太の言葉を聞くものの、信じられない思いでキョトンとした顔をし、ゆっくり自分の身体の後ろに手を付き、立ち上がろうとしたら…

(?)

手の平で何かを踏み付けた愛海は、それが何か…

指でつまんだ。

「啓二…」

愛海が拾い上げた物は、啓二の吸ったと思われる煙草の吸殻だった。

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恐らく、翔太も拓斗も愛海も…気を失った後も、啓二は正気でいたのだろう。

そして、啓二の事だ。

愛海が痛い想いをしない様に、自分の足の上で寝かせてくれていたのだろう。

煙草を一本吸い、その後に何かが有った…。

愛海は啓二の吸った煙草の吸殻を手に立ち上がると、噴水へ目を向けた。

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「けい・・・じ・・・?」

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フラフラとした足取りで、噴水に向かおうと足を一歩踏み出した愛海は、翔太と拓斗の二人に両腕を掴まれ

「行っちゃダメっす!!!」

『お姉さん!ダメ!!!』

と、止められた……。

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噴水の向こうにあるブロンズ像の前には、下半身だけになった啓二が、噴水の縁に身体を預ける様に倒れていた。

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「何が…あったの…?」

愛海の問いに、誰も答えられる者はいない。

「あれ…あれが…啓二なの…?」

愛海が震える指先で指した、血に塗れた足を、説明出来る者はいない。

「啓二と同じパンツ、履いてるの…

あの靴…誕生日に私が啓二にプレゼントした物と同じなの…

ねえ…あれは…啓二じゃないよね?

きっと、どこかに隠れてるんだよね…?」

愛海はそう言い終わると、大きな声で笑い出した。

心のタガが外れてしまった様に、狂った様に笑い続けた。

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翔太も拓斗も掛ける言葉が見付からず、愛海の悲鳴にも似た笑い声を聞いていた。

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バシン!!!

愛海は軽くだが、頬を叩かれた。

見ると、目にいっぱい涙を湛えた拓斗が、唇を噛み締め、怒った顔をして愛海を見詰めていた。

『ボク…ボク…泣き虫でいじめられっ子で…。

いつも、愛菜ちゃんと美咲ちゃんに助けてもらってばかりだったんだ。

2人は、ボクにとって、親と同じくらいに大切な友達なんだ。

だから美咲ちゃんから愛菜ちゃんを探しに行くって聞いて、ボクはすぐに一緒に行くって決めたんだ。

そしてボクは、美咲ちゃんと約束したんだ!

必ず、愛菜ちゃんを見付けるって…

美咲ちゃんがあんな事になって、もうダメだと思った時に、ボクを励ましてくれたのは、お姉さんと翔太くんだよね?

お姉さんが今、愛菜ちゃん探しを諦めたって言うなら、もう…いいよ…。

どうせ殺されるんなら、ここでジッとしてるから…。』

堰を切った様に止めどなくなく涙を流し、愛海を正気に戻してくれた。

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「ごめん…泣くのは後にする…

今は、愛菜を探し出さなきゃいけないよね…。」

愛海は涙を拭うと、「さあ!進みましょう!!」と、回廊の先へ向かい歩き出した。

翔太と拓斗もそれに続いた。

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「ここは…?」

回廊を抜けた先に有った、劇場?いや…野球場ほどは有るか?

広いホールの中ほどで、翔太は周りをグルリと見、そして、骨組みだけでそのまま空を見渡せる天井を見上げて呟く。

何をする為の場所かは分からない。

ただ、入口から真っ直ぐに行った先に、ドアが3つ並んでいるだけの、ひろいスペースだった。

2階に上がる階段も見当たらない。

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空は、ここに着いた時と同じ、どんよりと曇った空が見えるだけ。

ただ、もう夕暮れも近いのだろう。

一段と暗さを増している。

「お姉さん、右から順番に見ますか?」

翔太に聞かれ、愛海は頷く。

3人は揃ってホール内を歩き、向かって右側の扉に向かった。

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その時

天井から一陣の風が舞い込み、愛海の長い髪を揺らした。

『!!!』

愛海は足を止め、その風を嗅いだ。

『愛…菜…』

「お姉さん!!!これ…愛菜のいつも使ってるコロンの…」

翔太の声に愛海は大きく頷いた。

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すると…又、風が香り…

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ホールの真ん中を走る愛菜が見えた。

『愛菜!!!!』

「愛菜――っ!!」

「愛菜ちゃん!!」

3人は同時に同じ名前を叫んでいた。

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愛菜は息を切らし、1人の男性と共にホールへ駈け込んで来た。

そして、何かを避ける様に、愛海達のすぐ目の前に走って来た。

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『愛菜…』愛海は愛菜の身体を抱き締めようと、その身体に手を伸ばすが、スルリ…

愛菜の身体に触れる事が出来ない。

「愛菜!!」翔太も同じ様に愛菜の腕を取ろうとするが、翔太の手は愛菜の身体を通り抜けてしまう。

「愛菜ちゃーん」

拓斗は愛菜に両手を伸ばしたが…誰も愛菜に触れる事が出来なかった。

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『何で?愛菜?すぐ目の前にいるのに…?』

愛海は何度も何度も愛菜を抱き締めようと手を伸ばすが、ことごとく、その手は愛菜の身体を通り抜け、スルリと下に落ちて行く。

やがて…回廊から、一つの胴体に2つの首、両足の代わりに両手を使い歩く化け物が現れた。

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愛菜は悲鳴を上げ、左の方へ行った男性に向かって手を伸ばすが…

化け物は、愛菜の細いウエストをその手で掴むと、愛菜の身体を高く上げては床に激しく叩き付ける。

『やめてーーーーっっっ!!!』

愛海は愛菜に駆け寄ると、自分が盾になり、愛菜の身体に覆い被さり庇うが、化け物の手は愛海の身体を擦り抜け、愛菜だけを掴むと、又激しく床に何度も・・・何度も・・・叩き付ける。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

翔太は自身の身体で化け物にタックルするが、翔太の身体だけが向うに行って転がる。

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そして…化け物は、愛菜の身体を高く、より一層高く放り投げると…

回廊に向かい、物凄いスピードで走り去って行った…。

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愛菜の身体は勢いを付けて床に叩き付けられる。

―――

グチャ…

―――

鈍い音を立てた。

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………

床には生々しい血溜りが広がり…頭が割れ、片目を失い…身体の骨がグチャグチャに折れた愛菜の亡骸が横たわっていた。

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「………きっと……

これは…この場所の記憶なんだよ…

愛菜ちゃんは、あの化け物に殺されてしまったんだ…」

拓斗は啜り泣き、動かない愛菜を見詰めていた。

愛海、そして翔太は、あまりにも痛ましい愛菜の死に、言葉を失くしていた。

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暫く経つと、目の前の愛菜の身体は、次第に薄れ…建物に飲み込まれる様に消え去った。

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wallpaper:3927

「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

翔太が切なく咆哮し、回廊に向かい走り出した。

「翔太くんっ!!!」

拓斗の声に言葉も返す事無く、翔太は回廊へ消えた。

愛海はと言うと、震える指で何度も愛菜が消えた辺りの床をさすり、ポロポロと涙を溢している。

そんな愛海も気にしつつ、拓斗は怒りに我を忘れた翔太も気になり、回廊に向かって走った。

だが、回廊から先は…こちらからは開けられない扉があって、そこから入口には戻れない。

首吊りの部屋や、マネキンの首の有った部屋、床がおろし金になった部屋など、翔太だって入りはしないだろう…。

拓斗はホールの入口から目の前の回廊の先の暗闇に目を凝らしたが、真っ暗で何も視えない。

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ただ、走る翔太の咆哮が遠去かる。

「翔太くーーーーん!!!」

拓斗は翔太を呼び戻そうと、声を掛けつつ回廊を歩き出すと…

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wallpaper:3877

翔太の声が突然止み、何かにいきなり遮られたかの様に、足音も消えた。

そして…

「ぐぅぅぅぅぅ…」

変な声が続けて聞こえた後…

翔太の足音…声…気配が消えた。

翔太に何かが有ったのは、もう見なくても分かる。

拓斗は踵を返すと、愛海の元へ走り、未だ呆然と座り込む愛海の腕を取り、強引に立たせると愛海の頬を叩いた。

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「お姉さん!!愛菜ちゃんと一緒に死ぬつもりですか!?

翔太くんも…翔太くんも…多分、もう…」

拓斗の言葉で、そこに翔太がいない事に愛海は初めて気付く。

『翔太…くん…は?』

「もう…何者かに殺されてしまったみたいです…

今は、もう、ボクとお姉さんしかいないんです!!

一刻も早く、ここから出ないと…」

拓斗の真剣な眼差しに、愛海はフラフラしながら頷き、拓斗に手を取られ、引き摺られる様に走り、一番右の扉に向かった。

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wallpaper:3907

・・・

フフフ…

ニガサナイヨ?

ズットココニイテヨ

・・・

ホールの入口に、いつの間にかさっきの子供達が立って笑い、こちらを見ている。

「お姉さん!!!早く!!!」

拓斗はそのままドアノブに手を掛け、扉を開けようとした。

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・・・

ダカラ…

イッチャダメダヨ

イッショニイヨウヨ

・・・

子供達はいつの間にか拓斗の両足にしがみ付き、笑っていた。

『うるさーーーいっ!!!』

それまで虚ろだった愛海の瞳は憎しみで光り、肩に掛けていたショルダーバッグで拓斗の足にしがみ付いていた子供達を叩き、払い除けた。

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子供達は床に尻餅を着く様な形になり、徐々にその表情が変わって行く。

不気味な笑い顔の子供達は、みるみる年老いたお爺さんの顔に変わって行く。

怒りが込み上げ、肩で息をしていた愛海は、ネットでその顔を見た覚えが有った。

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wallpaper:3928

キララが説明してくれた、新興宗教の教祖。

確か、行方不明になったと…。

悪の塊の様な人間。

そんな悪意を好むこの男だから、この場所に取り込まれたのだろう…。

一緒に居るのは、恐らく、同じく行方不明の最重要幹部。

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『お前達なんて、消え去れーーー!!!』

愛海は言うより早く、又してもバッグでその者達を殴った。

小さな体は重力を無視し、宙に飛んだと思ったら、そのまま

フッ・・・と消えた。

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「お姉さん!!もう良いです!!早く!!」

拓斗は既に扉を開け、身体で押さえていた。

愛海は拓斗の元へ走ると扉の中に滑る様に入った。

すかさず拓斗も扉を押さえていた身体を中に入れると、重い音を立て、扉が

バタン!と、閉じた。

遥か先には、薄暗い…が、木々が見えた。

「お姉さん!!出口です!!!」

拓斗が悲鳴のような歓声を上げる。

『………帰りましょう。』

愛海は拓斗の両肩に手を置き、泣き笑いで言う。

「はい…。」

拓斗も下唇を噛み、答える。

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外に出たら、入って来た森の入口を探し、警察に連絡をしよう。

愛菜を連れ帰ってあげる事は出来なかった…。

そして、大きな犠牲も……。

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wallpaper:3929

啓二…

……

………

半年後には、愛海は啓二の妻になる筈だった…。

………

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美咲…

キララ…

翔太…

沢山の尊い命が失われた。

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愛海は、拓斗と並び、出口を…森を目指して走った。

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wallpaper:3930

―――

バリンッ

―――

『えっ・・?』

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通路に有った、恐らく中庭からの窓ガラスが割れ…

愛海は何かに首を掴まれた。

「お姉さん!!!」

愛海は拓斗に手を伸ばす途中で、激しい痛みを感じ…

そのまま意識が消えた。

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「お…お姉さん……」

何者かは、割れた窓ガラスから手だけを中に入れ、愛海の首を掴んだ手は、愛海の首をポッキリ折ると、弄ぶように愛海の頭を右に、左に、前に、後ろにと振り、揺らす。

その度に愛海の身体はボキボキと音を立てる。

愛海はすでに事切れ、手足を力なく垂らし、されるがままでいる…。

拓斗は、一歩後ずさると、一気に森に向かって走り出した。

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wallpaper:3931

天井からの落下物やコンクリートの塊、木の屑…

色々な障害物を避け、拓斗は建物から外に飛び出した。

もう、一刻も早く、こんな場所から出たかった。

建物に沿って歩くと、先程出て来た森の入口が見付かった。

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wallpaper:3891

もう、すでに日は落ち・・・森は真っ黒な口を開けている様で、拓斗は身震いした。

でも、もう…拓斗1人しか生き残っていない。

意を決して、森に入ろうとしたが、足元に張った木の根に躓き、手にした懐中電灯を下に落としてしまった。

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「何やってるんだよ…。」

拓斗は今までの緊張から、少し解放されたのだろう。

クスッと笑い、落とした懐中電灯を拾おうと前かがみになった。

すると、目の前の懐中電灯がズブズブと地面に吸い込まれて行く。

「はっ?なに?」

見る見る埋もれて行く懐中電灯を掴むと、引き上げようとするが…

しかし、懐中電灯は異様な重さでなかなか持ち上がらない。

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wallpaper:3895

そして、力いっぱい引き上げたその時、拓斗のその手首を地面から突き出た手がガッシリ掴んだ。

「!!!!!」

「な…なんだよ…中だけじゃないの…?外もなの…?」

拓斗は抗いながらも、掴まれた腕からズブズブと地面に引き摺り込まれる。

その手を離そうともがけばもがくほど、拓斗の身体は地面に沈んで行く。

「助けてーーーーー!!!」

そんな声も、夜の静寂に包まれ、いつしか拓斗の身体は地面に吸い込まれ消えた。

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wallpaper:3932

*********************

未だ新しい車の不法投棄の連絡が入り、ワンボックスカーはレッカー移動されて行った。

「又、誰かがここに肝試しに来やがったのか?」

男はブツブツと言い、廃墟に続く森の入口にロープを張り、立ち入り禁止の立て看板を立てた。

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「こんなとこ…オラだって入れねえ…。

ここは、絶対に入っちゃいけねえ場所なんだって言い聞かされて育ったんだ…。

オラの祖母ちゃんや、その祖母ちゃんや祖父ちゃんの、もっとずっと前から、生きてる者が入っちゃいけねえ場所だってな…。

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wallpaper:3933

ここは…

ここは……

……

………

人を喰らう地なんだから…。」

………

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男はブルッと身体を震わせると、乗って来た軽トラックでゆっくりとその場を立ち去って行った。

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・・・

・・・

《おわり》

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おおーー!続編があるのですか!
めちゃめちゃ楽しみです♪♪♪

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@はと さま
何度もお読み下さって、何度も怖ポチを…本当に有難うございます(;□;)
以後、寝ぼけてパソコンをいじらないと誓います(T^T)ノ✨

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@セレーノ さま

ホントにねぇ(ノД`ll)
何度も同じ間違いをやっちゃう私って、頭、大丈夫?って、ツッコまれちゃうよねぇ(;∀;)⤵
これからは寝ぼけてパソコンはいじらない様にしないと…(T^T)

何度も読ませてしまって、怖ポチまで、本当にありがとう(≧人≦)✨

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