手垢に汚れた届かぬスイッチ

短編1
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手垢に汚れた届かぬスイッチ

 どれだけの人間が、このスイッチを押したんだろう?

 そのスイッチは手垢なのか、それとも薄汚れた血の後なのか? 私には不浄なものにしか見えない。

 何故、私が選ばれたのか......

 自分でも思い当たることは幾らでもある。

 そのスイッチを押してしまえばいい、楽になるって分かってる。

 くだらない人生だった。なに一つ面白くない。

 誰かが言った。人生タノシマナキャいみないって!

 ワカッテイル......ソンナコト

 デモ......

 そう、区切りのいいこの日、自分の蝋燭を自ら吹き消けそうと決めた夜、もう、明け方だったか、終わらすために起きた。

 こっそり家をでるつもりだったが、キッチンに明かりが着いている。

 息を殺し覗くと、ママがわたしのためにバースデーケーキを焼いている。

 今日は、わたしの十六才の誕生日。

なんで......、わたしはそれを見て、涙が溢れた。

 そして、手垢に汚れたスイッチは、少し、遠くなった。 

 

 

 

Concrete
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@珍味
有り難うございます。

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