短編2
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写真

去年の暮れあたりだっただろうか、仏壇の掃除をしていた時のこと。

抽斗の整理をしていると、お寺関係の書類と一緒に封筒がひとつ紛れていた。

それとなく中を覗くと、L判サイズの写真が一枚入っている。何故こんな所に一枚だけと不思議に思っていると、背後で、あっ! と声が聞こえた。

いつの間にか後ろにいた妻が「やだぁ、見ちゃったの?」と苦い顔をする。

「なにか変なものが写っているでしょう?」

妻の一言に背筋が冷たくなった。

「ほら、ここに」と指でさす。

妻と写真を交互にみやる。

「あなたが気にすると思って隠しといたのよ、仏壇の側に置いとけば、なんか守ってくれそうじゃない──」

私の顔は青くなっていたのか、妻は写真をひったくるように奪い抽斗に戻した。

「ほらぁ、気にしない、気にしない」と妻は努めて明るく振る舞っていた。

「し、しかし......これは──」気になることを言おうとする私を遮り、「はい、終わり。気持ち悪いからこの話はもうしないで」

そのまま、妻は部屋を出ていってしまった。

夕飯を食べながら、写真がやはり気になり、話題に上げようとすると、「もう、本当に止めて」と、妻。

長く一緒にいるからこそ分かるのだが、これ以上話せば機嫌が悪くなるのは必至だろう。私は諦め、忘れることにした。

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数日経ったがやはり頭から離れない。私は妻の不在時を狙って例の写真を恐る恐る取り出した。──やはり、何も写っていない。

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それは、文字通り、何も写っていないのだ。まだ印刷される前の真っ白い写真。

この写真が妻の目にどう映っているのか、私はいまだ問いただせずにいる。

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