中編3
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思い出

17歳の夏の日

仲間と夜中まで他愛もない話で盛り上がっていた。

その日の話題は怖い話

それぞれが見たり聞いたりした怖い話を持ち寄り一人一人が互いに怖がらせようと意気揚々と語り始めた。

定番のものから微妙なもの、しまいには怖い映画の話などで盛り上がり、いよいよ自分の番が廻ってきた。

自分が用意したのは小学生の頃に行った林間学校の時に体験した話

正直記憶も曖昧で、夢か現実かも判断がつかない、オチも特に無いといった内容だったため今まで話すことはなかったが、ここにいる友人達も当時共に林間学校へ行った同級生だから情景も浮かびやすいはず、そんな思いで淡々と語り始めた。

林間学校の宿泊工程は三泊四日、二泊は宿舎でもう一泊は宿舎に隣接するキャンプ施設でのキャンプ。

三日目のキャンプの日、手作りカレーやキャンプファイヤーなど定番のイベントをこなしつつ、一棟3人のテントで寝ることに。

布団に入って暫くは雑談で盛り上がっていたが、徐々に口数は減りそれぞれが眠りについた。

ふと目が覚め、辺りを見回すと静寂と視界の悪さがまだ夜中だということを知らせた。

しばらくして自分が尿意で起きたことに気付き、朝まで我慢しようか悩んでいた。トイレは隣の宿舎まで行かなければならず、そこまでの心細さと恐怖心からそう考えたかもしれない。

一時考え、意を決して外に出ようとしたその時

「どこ行くの?」

隣で寝ていたはずの友達が声を掛けてきた。

「ちょっとオシッコしたくなって、、」

「俺も行く!」

こんなに心強いことはない、そしてどうやら友達もトイレに行きたくてしょうがなかったらしい。

二人で周りを起こさないようにこそこそと隣の宿舎へ向かった。

宿舎の中は非常口の緑の灯りが辺りを淡く照らしていた。

薄気味悪い館内を急いでトイレへと向かった。

恐怖心とは裏腹に、何事もなく用を足した自分と友達は、また急いで宿舎を飛び出してようやく安堵した表情を浮かべた。

自らのテントに戻る途中、ふと宿舎の方を振り返ると

二階にあるベランダに人影が見えた。それも横一列にある複数のベランダ全てに、数人ずつひしめくように並んでこちらを見つめていた。

しかし不思議と怖くはなかった。

自分達の学校と入れ替わりで別の学校の児童らが施設に宿舎しているのを知っていたから。

起こしてしまったのかな、恥ずかしいなとポリポリ頭をかき隣を見ると、居たはずの友達は既にテントの中に入ろうとしていた。自分も慌ててテントに戻り布団に潜り込んだ。

布団の中でしばし考えていた。

今は何時かわからないけど、こんな夜更けにあっちのやつらは皆起きてたのか?なんか変だな…

妙な違和感を残しつつもそのまま再度眠りについた。

…以上がその時の話である。

話終えると周りの友人も

それだけかよ!とか、そんなことがあったんだ!とか感想を口にし始めた。そして目の前の友人がぼそっと口を開いた。

「お前も見てたんだ…」

一瞬で身体に寒気が走った。

そうだった、あの時一緒にトイレに行った友達は目の前の友人だった。

友人曰く

宿舎を出てすぐに何かを感じて宿舎側を見上げると、同じように何人もの子供達がこちらを見つめていた、そしてそれをより近くで見た友人は、その児童らの身体の一部、腕や足がそれぞれ欠損していることに気がついた。友人は再び前を向き、自分を残して急いでテントへと戻ったのだという。

それから月日は流れ、自分もそのことを話題に出さなかったこともあってか、あれは夢だったのではないかと半ばそう思うようになっていたらしい。

自分がこの話をしたことで、自分も友人も、あれは夢ではなく現実に起きたことだと改めて認識し

再び恐怖が全身を駆け巡った。

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