皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )
↓
🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。
🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。
🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。
🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html
🌱お題は毎月一日に更新されます。
🌱提出期限は毎月28日までとします。
🌱お話はいくつ投稿しても構いません。
🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。
🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)
🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。
🌱感想だけのご参加も大歓迎です。
🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。
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【11月お題】
「黄泉」「狐」「エレベーター」
投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59
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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……
そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )
※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。
📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」
【5月お題】
「人混み」「電話」「花瓶」
【6月お題】
「墓場」「毒」「待つ」
【7月お題】
「海」「境界」「糸」
【8月お題】
「打ち上げ」「ライト」「未練」
【9月お題】
「借りもの」「バス停」「斜陽」
【10月お題】
「骨董」「ピエロ」「姉」
※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。
企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m
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@ふたば 様
この度は、拙作に対し、丁寧かつ詳細な考察に感服いたしました。
まるでもう一つの裏怪談『シン・鬼殺し』を読んでいるかのような錯覚に陥るほど、原作者の私が、気恥ずかしくなるくらいの優れた洞察力と、趣旨を遥かに超えた深掘りに驚きを隠せません。今月中に、先月のお題三題の作品に若干手を加え、また、来週中には、定例となりました『てのひら怪談』と併せ、続けて三作 本編『怖い話』へ投稿する予定でしたが、いやはや、ここまで、読み解かれてしまったとあらば、本作をどう扱ったら良いか嬉しい悲鳴を挙げているところです。
半ば、いたずら半分で加筆した『護摩堂一族の裏稼業?』に関しましては、本当にお遊びでして。
あとで、お叱りを被ることは覚悟の上でしたが、こんなに喜んでいただけるとは作家冥利に尽きるというもの。
元々、私の生み出したキャラではないこともあり、rano-2様やふたば様、他の作家様たちにどのような思いを抱かせてしまったかなと一抹の不安もありました。
また、二人の結婚していた年数の矛盾。
恋い焦がれた女なら当然同じ会社、同じ職場に想い人がいたことは知っていたと思うのですが、認識がないあたりの不可解さ。妻が亡くなったのはいつなのか。時系列や証言がマチマチ。
あちこち、ツッコミどころ満載の穴だらけ作品でした。
そこのところも、ふたば様独自の視点から、矛盾としてではなく、主人公の男の妄想と幻想の生み出す世界観との解釈に、いやはや、なんともうしましょうか 敬服している次第です。
三題お題に関する作品に関しましては、過去多くの皆様から、勿体ないほどの評価を頂戴することが出来ました。毎月、お題を掲げ、温かいコメントと評価をくださるふたば様には、感謝しかございません。
この度、先月の月間アワード受賞に関しましても、申し訳無いような思いでいっぱいです。
近々、また、シリーズの続き物を出す予定ですが、三題お題作品や『てのひら怪談』と併せ、ご笑覧いただけましたら幸に存じます。
週末は、雪に悩まされる日々となりましたが、大丈夫だったでしょうか。
2月も早半月を過ぎました。
日もだいぶ長くなってまいりましたね。
相変わらず、不穏な空気のただよう世界情勢、甚大な被害を及ぼす自然災害。
心痛む事件、事故の多い日々ですが、お忙しい中、くれぐれもお体ご大切になさってくださいませ。
ではでは、このへんで失礼させていただきますね。
おやすみなさい。
@天虚空蔵 さん、まさかの六題怪談を有難う御座います\(ᯅ̈ )/💦
追加お題の羅列を見て、私が過去に他の方の掲示板で書いた、宮沢賢治に怒られそうなパロディ短編を思い出しました。笑
そして、流石は居るだけで怪異を呼び寄せる霊媒体質の風子さん。焦った時の語尾「にゃ」も実は訛りでは無いのではと思えて来ました。きっと『怪異招き猫』みたいな妖怪に取り憑かれているのかも知れません👻🐈⬛
自らを鬼に堕ちるところを、他の誰かが酒に酔った所へ身代わりに押し付けるだなんて、中々狡い方もおりますね。しかし、その身代わりが解かれた今、当の本人は寒空の下で虎のパンツ一丁でしょう。筋肉は脂肪より冷えやすいので、いい気味です🥶❄️( ̄∇ ̄)
…ちなみに、もしアセビが抜け殻の男性では無く鬼の方に刺してあったら、風子さんは頑張ってぴょんぴょんしながら取ろうとしたんだろうなぁ、とは考えておりません( ¯꒳¯ )ᐝ
@あんみつ姫 さん今月も有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
そして遅ればせながら、3度目のアワード受賞おめでとう御座います(๑´ω`ノノ゙ぱちぱちぱち✧🎉
妖怪としての鬼、霊魂としての鬼、獄卒の鬼、ヒトが堕ちた姿としての鬼、比喩表現の鬼。鬼といっても実に様々な存在がありますが、このお話だと複数の解釈が出来るのが、考察好き的には楽しいですね( ¯꒳¯ )ᐝ
妖怪としての鬼の場合、鬼に成ってしまった男の話となり、心に巣食う鬼の場合、精神を壊してしまった男が鬼の幻覚を見た話となる訳です。
見事なのは、どちらの解釈でも護摩堂家の人間が役割を持てる所ですよね。一方では元祈祷師の家系として、そしてもう一方では、医者の家系として、その人物が自然に馴染みます👹💊
ストレートに鬼の話として読むのも面白いですが、個人的には鬼は妻を亡くして狂ってしまった男の幻覚説が好きですね/(_-_)l
不慮の事故で想い人を失った職場のマドンナを、彼女を1人にしなかったその男が射止め、妥協かもしれないけど確かに結婚し、しかしその妻が死んでしまった。
伴侶となり幾年が過ぎてはいたが、それでも妻に想い人がいた事を知っていた職場の誰かが、「あの人は今の夫では無く、かつて死に別れた想い人の元へと行ったに違いない」そんな噂を流した。
そんな心無い噂が男の耳に入った時、「妻は幸せだったのだろうか?」そんな疑問が、胸中に空いた穴から後ろめたさのヒビを広げた。
富久子が中村を好いていたのは知っていた。日本酒よりも洋酒が好みなのも知っていた。なのに、何年も一緒に連れ添ってくれた。買い物の度に俺好みのお酒も買ってくれていた。
「…俺は、そんな富久子を幸せに出来たのだろうか。最後の最後までちゃんと愛し続けていたのだろうか」
想い、悔やんだところで、妻はもう居ない。家に残っているのは、惨めな男と、美味くもない料理酒だけ……
そんな状態の男が精神を病み、病院へと通うようになったのは自然な事でしょう。
そしてその病院の待合室で、男はまたも、他の患者の噂話を耳にしてしまったのかも知れません。
「ねえ知ってる?この病院の護摩堂先生って、元々は祈祷師の家系だったんたって」
男が祈祷師というものをどう理解していたかはわかりません。しかし、「何でも叶えてくれる」なんて、そんな子どもが考えるような万能な力を持っているのだと考えてしまった。
そして精神を病んだ男は、そんな都合いいアイデアを、己の劣等感からか、あろう事がネガティブな思考に組み込んでしまった。
「そう、そもそも俺なんかが富久子と結婚出来た事がおかしかったんだ。あの桜小町と言われた富久子が、年のいった今でさえ、きっと幾らでも相手のいるであろう富久子が、俺と添い遂げるなんてあり得なかったんだ。
だからそう、きっとその祈祷師とかいう奴の力で、無理矢理俺は富久子とくっ付いたんだ。
中村の事が好きだった富久子の心を、無理矢理奪ったんだ。だから多分、中村が死んだのだって、きっと俺の…、だってそうだろう?俺は確かにあの時、“中村さえいなければ”って思っていたんだ。だから、俺がそう思ったせいで中村だって事故に遭って死んだんだ。
俺がそう願ったんだ…、願って、そしてそれを叶えられる奴だっていた。中村が死んだのだって、俺のせいなんだ」
思いがけず思い通りになっていた当時を振り返り、男は自分に重い罪をつくりあげた。
病院の医師の、架空の裏家業をつくり出し、名前も曖昧な架空の神社をつくり出し、噂の通りに自らを愛されない罪人へとつくり上げた。
ヒトの心を操るなんて、恋敵を殺すなんて、とんだ鬼畜だ。鬼になってしまった罪人に相応しい罰はきっと、同じように誰かの願いで殺される事だ。
「…それならば、富久子の願いを叶える為に殺されるのだろう。本来ならこんな人でなしなど、中村の身代わりで死んでいた方が良かったんだ。
今でも遅く無い。中村の身代わりに俺がいなくなれば、きっとあの2人は幸せだ。俺なんかより、ずっとお似合いなんだから」
そんな事を考えながら、獄卒の鬼から責苦を受けるが如く自傷していたと思うと、凄惨な自殺現場だったんだなあと考えてしまいます。
多分に妄想を交えた考察ですが、久しぶりに長文考察を書きたくなるような魅力的なお話でした(л・▽・)л 📝
さ、この調子で止まったままのあっちも書かなければ……(今は主人公がギャルに絡まれてる所で詰まってます🎃)
ふたば様、いつも丁寧なコメントありがとうございます。
さて、二月のお題ですが、この板主であるふたば様に敬意を表して、お題の三つに加えて、『ケモ耳』『花言葉』、そして語尾にゃを話す、見た目は小学生、実は24歳フリーターの霊感持ちである『三波風子』("古からの誘い"より)を題材に加えて、六題怪談(笑)でお送りします。
さすがに800字はちょっと無理でした。
***********
【青鬼】
「いらっしゃいませ!」
イタリアンレストランでバイトしている三波風子が元気よく声を出して入り口を見ると、そこへ入って来たのはかなり泥酔した眼鏡のサラリーマンと、その肩を支えている同僚もしくは後輩と思しき若い男のふたり連れだった。
その泥酔した男を見た途端、風子は顔をしかめた。
酔っているからだけではない。何かそこはかとなく怪しげな”氣”を感じたのだ。
「お客様、当店はレストランですので、既にお酒をかなりお召し上がりになっているお客様はご遠慮願いたいのですが。」
風子はできるだけ丁寧に入店を断ろうとしたのだが、その泥酔した客の胸ポケットに小さなスズランに似た形の薄桃色の花が刺さっているのに気がついた。
(これは馬酔木(アセビ)の花にゃ?)
「すみません。この人がどうしてもラザニアが食べたいと言って聞かないんですよ。」
付き添いの若い男がそう言った時だった。
泥酔した男がいきなり床にうずくまり、唸り声を上げ始めた。
そして背中が大きく膨らんだかと思うと、まるで蝶が蛹から孵るように青い色の巨体が姿を現した。
「ひえっ⁉なんだこりゃ。」
何事かと風子の後ろで見ていた店長が素っ頓狂な声を出して尻もちをついた。
「何この怖い顔した青いオジサン、猫耳つけてるにゃ。」
「ちがーう、あれは角だ!青鬼だ!」
どこか呑気にボケる風子に、店長がすかさず突っ込みを入れる。
青鬼は男の体から立ち上がり、ゆっくりと店内を見回した。
すると風子は、抜け殻のようになり倒れている男の体にすっと近づくと、その胸にあったアセビの花を抜き取り、床に投げ捨てて足で踏み潰した。
すると驚いたことに青鬼の姿はすっとかき消すように見えなくなったではないか。
「風ちゃん・・・何したの?」
驚く店長の前で、風子は踏み潰したアセビを汚いものに触るかのように指先で摘まみ上げた。
「青鬼は瞋恚(しんに)と言う怒りとか恨みの化身にゃ。そしてアセビの花言葉は、犠牲とか身代わり。誰かから激しい恨みを買った誰かが、この酔っ払いのオジサンを身代わりにしようと、酔った隙にアセビの花を胸ポケットに入れて念を振ったに違いないにゃ。」
そして風子が付き添っていた若い男の姿を目で追ったが、彼の姿は何処にもなかった。
(終)
****************
さすがにこの文字数では詳細の背景の説明は厳しいですね。
この泥酔男と若い男の関係は読む人の想像にお任せします。
ふたば様
2月のお題書いてみました。
字数制限守っていませんが、三題お題は、達成しているかと存じます。
一応、節分にちなんだお話を書いてみました。
ありきたりの怪談ですが、掲示板企画にちなみ、少し遊んでみました。
あ!と思うような名前が途中に出てきます。
その辺も楽しみながら、ご笑覧くださいませ。
「鬼殺し」
俺の趣味は、日本酒を嗜むこと。
夕食前の「晩酌」は、至福の時だ。
小鉢をつつきながら、代わり映えのない一日を、ぼんやりと振り返りながら飲む酒は日本酒に限る。
妻もまた、夕食の献立とは別に、酒の肴を用意して俺の帰宅を待っている。
子どものいない夫婦ふたりだけの生活は、平穏ではあるが、実に単調で味気ないものだ。
さしたる会話も交わさず、晩酌の後は、富久子の手料理を黙々と食べ、その後は、風呂に入り、新聞やテレビを見たり、最近では、スマホをいじり、ゲームをしたりYou Tubeを観る。
富久子は、俺が風呂からあがるのを待たずに、明かりを消し真っ暗闇になった寝室で、こちら側を背に寝息を立てている。
もう何年も、いや、有り体に言うなら、結婚当初から、そんな生活が続いていた。
時々、思う。
「この結婚は、間違いだったのだろうか。」と。
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長年連れ添った妻、富久子。
会社では、桜小町とあだ名されるほどの美貌の持ち主で、仕事も良く出来るいわゆる高嶺の花。そんな富久子をなんとかして自分のものにしたかった俺は、手練手管あらゆる手を使って富久子に近づこうとしたが、いずれも不発。それどころか、度々「肘鉄砲」をくわされた。
何度も、ほぞを噛むような思いをし、憔悴しきった俺に蔑み(さげす)みの眼差しを向ける女。
「可愛さ余って憎さ百倍」「愛と憎しみは表裏一体」とは、良く言ったもの。
俺は、いつしか、言葉にならないほど怒りとともに、激しい憎悪を抱くようになっていった。
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噂に聞くある祈祷師の元を訪れた。
この祈祷師にかかると、どんな願い事も叶うというものだった。
だが、祈祷師は、裏の顔。
表の顔は、〇〇病院の医師とのこと。
数日後、俺は、指定された〇〇神社まで、足を伸ばした。
都心から、数十キロ離れた、地方都市の郊外に、その神社は、ひっそりと息をひそめるように立っていた。
「この世では叶いそうもない願いを叶えてさしあげましょう。要するに、呪術をかけるんです。」
祈祷師は言った。
「ぜひ、ご内密に願います。決して、口外だけはしないように。」
俺は、さっそく、富久子と結婚できるようにしてくれと懇願した。
祈祷師は、難しい顔をして、しばらく考え込んでいたが、
「相性は、最悪です。彼女さんには、密かに想いを寄せている方がいらっしゃるようです。これは、少々難儀なことだな。」
「そこをなんとかしてくださいよ。お願いします。もし、富久子さんと一緒になれないのなら、死んでしまったほうが。。。」
祈祷師は、呆れたような顔をし、深い溜め息をついた。
「よろしい。そこまでおっしゃられるのであれば、相当な覚悟の上でのことでしょう。ただし、私の出来ることは、結婚に結びつけるまでです。」
祈祷師は、私に背を向け、燃え盛る炎の前で呪文を唱え始めた。
居住まいを正し正座をしていたが、祈祷師の唱える声に耳を傾けているうちに意識がなくなり、いつしか眠りこけていたらしい。
「起きてください。終わりました。」
祈祷師に肩を揺さぶられ、床に突っ伏していた身体をゆっくりと起こした。
「富久子さんの心は、あなたに向かいました。願いは叶うはずです。ただし、結ばれてから後は、すべてあなたの自己責任ですから。精進を怠らないように。それと、くれぐれも、鬼と酒には気をつけてくださいね。」
「鬼?ですか。」
「そう、私の呪術は、せいぜい数年も持てばいいほうです。あとは、あなたの心の持ちようということですよ。」
「はぁ、鬼ねぇ。」
「どんなに恋い焦がれた相手でも、数年も経てば、慣れ飽きが来るものです。」
俺に限って、富久子を蔑ろにしたりはしない。するものか。と心に誓ったが、
「酒は、止めなければいけませんか。」
「まぁ、嗜む程度なら問題はないでしょうが、概ね、酒は、心の中に鬼を生み出してしまう事があるのでね。出来るなら呑まないほうがいいでしょう。」
祈祷師は、「アルバイトのようなものですから。お代はいらない。」と言った。
俺は、何度もお礼を言い、その場を立ち去った。
「あなたの身代わりは、どこにもいない。そして、与えられている命は、一つの身体に対して、一つだけです。あなたを愛するように、あなたの奥さんも愛してください。」
当時の俺は、その言葉の意味することなど深く考え味わう余裕などなかった。
願いが叶うなら、富久子さえ自分のものになればそれでいいと・・・思っていた。
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「ん?」
唇の端が、ぴりりとしびれるような感覚に襲われた。
「なんだ。今日の酒は。いつもの奴と違うぞ。」
「ああ、ごめんなさいね。わかっちゃったかな。」
妻は、そういうと、牛乳パックより少し大きめの容器を差し出した。
「お酒買いに行けなくて。お料理用のお酒を使わせてもらったの。」
「ばかな。こんな安い酒を呑ませやがって。」
「あら嫌だ。バカにしないで。『鬼○し』は、銘酒よ。知らなかったの?」
「なんだと。一日中、家にいるんだろう。買いものに行くついでに酒屋に寄れなかったのか。」
「それがね。今日は、大切なお約束があった日でね。用事を足しに出かけていたのよ。○○神社まで。」
妻は、目が座ったままで口角をあげ、俺の顔を見つめながら、微笑んだ。
○○神社だと!
俺は、ワナワナと身体が震えた。
「どんな願い事も叶えてくださるんですって。」
「そこの神主さんのお告げでは、お宅には、長年、悪い鬼が巣食っているから、その鬼を追い出しなさいって。」
「今日は、節分でしょう。鬼には、出て行ってもらわないと。」
うぐっ、焼けるように胸と喉が痛む。
「あなたの身代わりは、たくさんいるから。ほら、こんなに。たくさん。」
富久子は、自分のスマホを取り出すと、悶え苦しむ俺の鼻先に突きつけた。
「婚活サイト」
「見て、こんなにたくさんのハートマークが付いたのよ。」
床に倒れ伏す俺を横目に、富久子は、嘯く。
ーあぁ、今宵は、おいしいお酒が飲めそうだわ。
ー私、日本酒嫌いなのよ。
ーワインにウイスキー 洋酒のほうが好き。
富久子の背後には、天井に届くほどの大男が立っていた。
富久子は、背後に立つ大男に向かって、この上ない笑みを浮かべ、
「ねぇ、こっちに来て座って、私と一緒にお酒飲まない。」
猫なで声を挙げて、すり寄った。
ーあ、紹介するわね。
ーここにいる人が、次の夫。
ーいえ、正確には、かつて夫になる人だった人。
その頭には、二本の角が生えていた。
「そいつは、人じゃない。お、鬼じゃないか・・・。」
ー何言ってるの。
ー鬼は、あなたでしょ。この人でなし。さっさと出ていって。
妻は、いや妻だった女は、鬼の形相のまま 俺をめがけ食べかけたピーナッツを投げつけた。
大男いや鬼が、床に仰向けに倒れている俺の目の前に立ち塞がり、その足を胸の上に置いたかと思うと、ぐりぐりと容赦なく踏みつけた。
グジョ ブキャ グチョ ブギョ
骨が砕かれる音 皮膚が破れ 内蔵が潰れる音
気が遠くなるほどの痛みのなか 俺を見下ろす鬼の顔が目の前に迫ってきた。
な、中村じゃないか。
お前、そうだったのか。お前が・・・ぁ。
富久子の「想い人」だったのか。
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「△■さん、お亡くなりになられたんですね。精神錯乱状態での自死だなんて。警察が駆けつけたときには、家中が血の海だったって。」
「結婚して数年しか経ってないのに、奥さんを亡くされて、さぞ、お淋しかったでしょうに。」
「まぁね。結婚に至るまでは、結構大変だったんだ。奥さんには、中村さんという好きな人がいてね。その人、原因不明の事故で突然死しているんだ。結局のところ、真相は不明のまま迷宮入り。当時、△■さんが疑われたりして大変だったらしいけど。」
「たしか、心病んでいたと聞きましたが。」
「あぁ、人目を気にして、隣町にある護摩堂医院という個人病院の精神科に通院していたらしんだが。妄想、幻視、幻聴が激しくてね。最期は、酒びたりだったらしい。」
「えぇ、それはもう。一度課長に頼まれて、長期療養許可申請書を持って、ご自宅を訪ねたことがあるんですが、1リットルの紙パックに入った料理用の酒、たしか『鬼○し』をがぶ飲みしていましたよ。」
「酒は鬼を呼ぶ。か。君たちも、くれぐれも酒の飲み過ぎには、気をつけろよ。」
「この人手不足の時に、代わりの人間なんてそう簡単に見つかるわけないんだから。」
2023年02月03日 13時46分
1月も過ぎて新しい月となりました。ふたばはカップヌードルのキャンペーンを応募し忘れてちょっとブルーですU´•ﻌ•`U🍥
ですが寒波はピークを過ぎているので、まあヨシとしましょう_(┐「ε:)_
という訳で、2月のお題を発表させて頂きます(л・▽・)л🌱
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【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
投稿期間 2/1 0:00〜2/28 23:59
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2月で鬼と言えば節分ですが、多くの豆類には多少なりとも毒が含まれているそうです。市販の豆製品はちゃんと熱が通っているので安心ですが、大豆だってしっかり炒ってあげないと食中毒が起きかねないのだとか🫘
昔は常識だった情報らしいですが、時代と共に利便性が増して知られなくなった情報というのも、案外多いのかも知れませんね👹💦
@芝阪雁茂 さん、ご心配をお掛けしました。冬眠したくて仕方がないですが、ふたばは元気です´ᯅ `
夜の山道に纏わる怪異の中でも、異音・異声の話は多くありますが、例えば車内であろうと街灯も無い道でオルゴールも不自然な不気味さがありますね(ゝ’ᜊ’)
今年の干支は卯(ウサギ)ですが、干支と言えばイヌとサルの犬猿の仲に、トリを挟む事で仲を取り(トリ)持つという話を聞いた事があります🐒🐓🐕ケンカダメ
しかしながら、干支の流れには、もう一箇所仲が悪い(というよりライバル関係)の間に分け入った動物がいると思うんですよね。それも、イヌとサルよりももっとおっかない、トラとタツが龍虎相摶つ中に仲裁している動物がいるんです……
その動物、ウサギって言うんですけど、実は力関係的には虎と龍の上かも知れません🐅🐇🐉 ナカヨクネ
そんなウサギならば、怪異のひとつやふたつ、捻り潰していてもおかしくは無いかも知れませんね( ¯꒳¯ )ᐝ
@天虚空蔵 さん今年もお題へのご参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
目と言えば、何も害は無い筈なのに、大人数から向けられる視線が怖い。そんな根本恐怖がありますよね👀
そこにプラスして初めてのお店という未知の恐怖、男達の明らかに念が籠った視線で居づらいことこの上無いですね。笑
重度のケモナー兼ケモミミストの私は、初めて職場の先輩にそういうお店に連れて行かれた際、女の子の顔や身体では無く付け耳に注目し過ぎて相手を不機嫌にさせた功績を持っております。
際どい服装に目のやり場に困っていたというのもありますが、相手の身体をジロジロ見た訳では無いのにそれはそれで失礼と言われるのも理不尽ですよね( ・᷄-・᷅ )🐇
そう言えば、『古からの誘い』にウサギって出て来ていましたっけと思っていたのですが、今年に入って2話目があがっていたのですね( ÒㅅÓ)
何だか不思議の国ちっくなウサギの登場でしたが、語尾にゃは正義なのでどんどん書いて下さいませ。なんなら登場人物達にケモ耳しっぽも生やしてしまって構いません。ケモ耳を着ける事で全体的なシルエットが縦に伸びる為、身長がコンプレックスの方には常用する事をお勧めします。神職に近しい方も霊獣とされる動物の要素を取り入れる事で神聖さが増加すること間違い無しです。ケモ耳最高、ケモ耳最強、ケモ耳万能、ケモ耳万歳、さあ、全人類ケモ耳を付けましょう。
御無沙汰致しております(礼)。
御身体に何か有ったかと気掛かりでありましたが、書き込みと御題の提示に安堵致しました(汗)。
『バスの行き先………アリス君の親戚の御話』
※グロテスクな表現が御座います
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皆様、久方振りの登板です。有馬澄斗(ありま・すみと)です。
さて、今回の御話は、遠戚で既に還暦過ぎで古希(こき)前後………60~70歳位の角滝民興(つのたき・たみおき)おじさんが当時、体験した話です。どうぞ。
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あれは、いわゆる高速バスの発達するかどうかの時代だ。
地方に新幹線が出て来るのは、首都圏の大動脈の発達した遥か後だから、今で言う鈍行やバスと言った公共交通機関か徒歩の時代だし、マイカーなんざ、何処の富裕層の持ち物だって話だな。
法事が有って、補習を喰らっちまった俺は、一人遅れて隣村の本家に親兄弟に遅れて合流する羽目になってな………
その時の山越えはボンネットバスだったよ。
いやいや、流石に戦時中の薪を焚いてのエンジンやら坂道では力自慢の後部押しでヨイショ、ヨイショと言った話は無いけれどもな。
然し、そのバスに乗ったのがいわゆる厄日だったのは、紛れも無い事実だ。
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「補習なら仕方無いね。飯は置いてくから、喰って食器片付けてから来な」
お袋………澄斗の祖母(ばあ)さんの親戚に当たる人………の電話口での返事を聴いて、俺が遅れて合流してから法事が始まるからと、何処と無く安心させてくれる口調が、今からすれば有難いが、当時はどうもまとわりつく様で、鬱陶(うっとう)しかった。
鬱陶しくはあったが、指示通りに飯を喰った後の食器は洗って片付けてから、俺はいつも時刻通りには来ないバスに待ちぼうけを喰らい掛けながらも間に合って、当時乗っていた女性の車掌さんに金銭を渡して切符を買って、乗り込んだ。
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胸ポケットの切符を手触りで改めて、学生服上着の右ポケットを改めると、掌(てのひら)に乗る小さな兎(うさぎ)の縫いぐるみが出て来る。
「………あれ」
耳は余り長くないいわゆる雪ウサギで、目は雪で作った目を表現するときの南天(なんてん)の実等で御馴染みの赤色で無く、つぶらな黒目である。
幼少時は良く連れ歩いた為、手垢も付いて僅かに灰色がかっているのが何だか申し訳無く思える。同時に、今みたいにポケットが丈夫で無かったから、良く落として無くしたりしなかったな、とも。
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今の様なアスファルトで充分に舗装されていない道………獣道(けものみち)よりはマイルドだけど、ガタガタ揺れる未舗装の砂利や土の混じった道路を走りながら、山道を越えようとした際に、何だか様子がおかしくなる。
何故かオルゴールの音が聞こえて来る。
夕暮れに近付きつつある、闇一歩手前の暗くなり掛けで、電灯を点けても余り明るくは無い車内で、悲しい調べの旋律………当時は分からなかったが、1990年代半ばに、フランツ=リストの『ラ=カンパネラ』だと判明するんだが、当時の俺は不気味で悲しい曲調で、何だか涙が出そうになっていたんだ。
「早く蓋(ふた)をして、鞄(カバン)にしまいなさい」
車掌さんが強い口調で、音のする方の席にツカツカと歩み寄ったが、直後に「ひぃっ!!」って小さな悲鳴が上がる。
直後にバスが、今迄とは違う、未舗装道路を走るのとは異なる揺れ方をし始める。
/~チャンチャン、チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンっ♪チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャンチャン、チャンチャンチャンっ♪
オルゴールの音が合わさり、不気味な空間になる。ガタガタと運転士さんが身体を激しく上下させておりハンドルをグイングインと回転させながら蛇行運転しており、オルゴールの音が鳴る席からは、明らかに今の時代にそぐわない格好の人………人かどうかも怪しい存在が居るのが、直感から分かる。
………防空頭巾を被った存在が、ズリズリと身体を上下させており、背もたれの金属部分に粘っこしい液体がタラタラと垂れているのが見える。
「ひぃーっ!!」
「助けてーっ!!」
「車掌さん!しっかりして!」
気絶したとおぼしき車掌さんを心配する叫び、パニックに陥った絶叫の木霊(こだま)する薄暗い車内、親に叫びたいが、生意気盛りな年頃故に、声を押し殺す俺………
「!」
ピョンと、俺の学生服上着の右ポケットから小さな光が飛び出して、運転席へと勢い良く弧を描く。
「ああっ、まさか!」
俺は激しく揺れる車内を金属の取っ手を伝いながら、運転席へと急ぐ。
白くフワフワした小さな光が、運転士さんの顔に覆い被さり、我に返ったのか、運転士さんが「うわあっ!!」と叫びながら、ハンドルをグっと掴んで、ガっと前のめりになる。
「プパパパァァァァァ~~~~~~~っ!!」
闇夜を切り裂くけたたましいクラクションと共に、乱暴に踏まれたブレーキと共にエンジンストールを起こしたボンネットバスは、前後にガクンガクンと揺れて止まった。
「うっ………おぅぇぇぇ………」
乱暴にバスの窓を開けた俺は、そこから吐いてしまう。
消化し切ってしまったか、酸っぱい液体だけが、口から出る。
「あっ………大丈夫ですか!」
吐き終えた俺は、乗り合わせていた乗客や車掌さん、それに運転士さんに大声で声を掛ける。
「何だ!おーいっ!!どうなってんだ!」
声を掛けた人全員が、血を流してはおらず、俺の一瞬安堵したタイミングで、野太い声が響く。
衣服の上に、いわゆるチャンチャンコの様な毛皮を羽織った、金属の筒を木で包んだ様な道具を携えた屈強そうな髭面の男………見知らぬ猟師のおじさんが、猟犬数匹を連れて闇夜で松明(たいまつ)を燃やしながら、鋭い目を見開いている。ああ、あの金属の筒と木で包んだような代物は猟銃か、実物は初めて見た。
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「民興ーっ!!母ちゃんが悪かったよ!」
法事が一段落付いて、俺はお袋に泣きながら謝られた。
猟師のおじさんが近くに住む名士に頼んで連絡して貰い、俺は幸い法事の場所から遠くは無かったから、すぐに親兄弟が飛んで来てくれた。
運転士さんも車掌さんも俺以外の乗客も、軽い怪我や打撲程度で済んだが、学生服上着の右ポケットに居た雪ウサギの縫いぐるみも、血を流していたとおぼしきあの防空頭巾を被った存在も、行方が分からないのだと言う。
ボンネットバスはエンジンがオーバーヒートしており、動かすのに時間も手間も掛かったと言う。獣道の枝が無数に突き刺さり、引き抜くのに相当な労力を必要としたとも。
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「………おじさん、あの兎(うさぎ)とは違うだろうけど、あげる」
思わず僕は話を終えた民興おじさんに、本当は自分用に買ったのだけど、「又買えば良いや」とジャンパーの右ポケットから紙袋を差し出した。
「………!」
紙袋を丁寧に開けた民興おじさんの目が潤み始め、赤くなる。
「あの………雪ウサギの縫いぐるみにそっくりだ………」
小さな命を慈しむ表情で、掌に乗せた雪ウサギの縫いぐるみに、民興おじさんは鼻をすすりながら、目を細めていた。
そんなおじさんの姿を見ながら同じく泣きそうになっていた僕だが、彼宅の庭先から足音も立てず、立ち去って行く人影を見る。
………血を滴(したた)らせながら、地面に吸われず液体が消え、無数の白くフワフワした光に包まれながら、ゆっくりと消え去って行く防空頭巾を被った存在が。
そして、おじさんは聞こえていないだろう、いや、聞こえてはならない、オルゴールの『ラ=カンパネラ』の悲しい調べが響いていた。
それでは今年最初の三題怪談。
動物のウサギは先日投稿した『古からの誘い』で登場させたばかりなので、ちょっと毛色を変えてみました。
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【初めてのお店】
まだ収まっていないコロナはどこへ行ったのか、俺の勤める会社でも三年ぶりに新年会が行われ、おざなりの感染対策がされた店で皆が集まって楽しく飲み、それなりに酔っ払って店を出た。
仲の良い先輩に声を掛けられ、良い店があるからと先輩とふたりだけで向かったその店は薄暗い路地裏にあった。
一見するとバーのような雰囲気。
店に入ると、マスターと思しき蝶ネクタイ姿の男がにこやかにカウンター席へ案内してくれた。
意外に狭い店は二十人ほどの男性客ばかりで賑わっており、フロアには三人の可愛いバニーガールが働いている。
黒、ピンク、白とそれぞれ服の色が異なっており、その三色ウサギが、狭い獣道のようなテーブル間の通路をにこやかに、そしてしなやかに動き回っている。
「楽しそうな店ですね。」
「ああ、俺のお気に入りの店だ。ただ、これだけは守ってくれ。あのバニー達には絶対に話しかけるな。」
「へ?あの子達と楽しく飲めるのがウリなんでしょう?」
「いや、見るだけだ。あとは注文と受取りの時のささやかな会話だけ。この店の暗黙のルールだ。」
「何ですか、それ。」
しかしその理由をこの後すぐに身を以って知ることになった。
注文したジントニックをピンクのウサギが運んで来てくれ、どうぞと言って俺の目の前に置いた時に彼女がトレイの上に乗せていたテーブル拭きを落としてしまったのだ。
俺が何気に拾ってあげると、女の子がありがとうと言ってニコッと笑い俺の手から布巾を受け取った。
「どういたしまして。君のような可愛い子のためならお安い御用。」
俺がそう返事をして微笑み返した瞬間だった。
店中の男達の視線が一斉にこちらへ向いたのだ。
マスターとウサギ達以外の全ての目が俺を睨み、中には椅子から腰を浮かせている奴もいる。
白と黒のウサギと先輩は、あ~あ、と言うような顔をして首をすくめた。
男達の刺すような視線は止まらない。
俺はその恐怖に耐え切れず、先輩を置いて店を飛び出した。
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初めてはいるお店ってちょっと怖いですよね。
特に常連さんが多そうな店は、暗黙のルールがありそうで。
でもバニーちゃんは好きです。
@あんみつ姫 さん今年も宜しくお願い致します🌱
アルビノのようで髪色的にそうとも捉えきれず、しかしどこか変異的な主人公。いえ、変異的なというのはアルビノという私の脳内ワードに引っ張られ誘導された話で、実際には先天的では無く後天的な、憑依的なモノかも知れないのですね( ÒㅅÓ)
『獣道』という単語にはやはり山道というニュアンスが強いですが、それを『道』単体で見ると、『剣“道”』『茶“道”』のような生き様にも似た探究の道のりというニュアンスもあるんですね。このお話には、そちらの意味合いが合うような気がします。考察が難しいです……/(_-_)l🐇
ふたば様
新年あけましておめでとうございます。
遅ればせながら、ご挨拶申し上げます。
今月の三題お題 書いてみました。
下書きもせず、書き綴ったものです。
字数制限も守れていませんが、読んでいただけたら嬉しいです。
本編の「怖い話」にアップするかどうかは後ほど考えますが、掲示板に上げた作品は、基本本編とは別にと考えています。
ではでは、このへんで。
今年も良い年となりますように。
「うさぎの目」
小さい頃のニックネームは、「うさぎ」だった。
目が赤く、あたりの景色は、ぼんやりと霞がかかったようにしか見えない。
肌は、磁器のように白く、まつ毛も眉毛も白くその上薄かった。
髪は、薄茶色で、どころどころ白い毛が混じって生えていた。
身体も同じ年齢の子どもたちと比較すると、かなり小さかったし、しょっちゅう風邪を引いたり、陽に当たるだけで、皮膚はヒリヒリと火傷をするように傷んだ。
私が3歳になったある日、近所に住む叔父さんが訪ねてきた。
私を見るなり、「うさぎの目のように赤いが。もしや・・・。」
と言った。
「い、痛い。」
両目に激痛が走り、私は両手で目を覆った。
飛び切る内臓、刺さる大きな爪と飛び散る血ふぶき。
生臭い鉄のような匂いと、むせ返るような異臭が漂う。
これは、獣の匂い。
私を訝しげに眺める叔父さんの周囲には、黒いモヤが纏わりつき、右隣には、黒い帽子とスーツを着た老人が佇んでいた。
「心配ご無用。あなたは、もうじき死ぬから。」
(え?どうしたの。口が勝手に動いている。私、何を言っているの。)
私の発する言葉を聞いた叔父は、激高し、うろたえる母と祖母を前に、口にするのもはばかられるような罵詈雑言を吐きながら去っていった。
「あの、あの、ごめんなさい。口が勝手に動いて。」
跡から、号泣する私を、母は、「いいの。いいの。今日のことは、もう、忘れるのよ。」
と言って宥めてくれた。
そんなことがあってから、2週間も経たないうちに、件の叔父は、不幸な事故で亡くなったと、かなり跡になってから聞いた。
山に山菜採りに行った帰り道でのことだったという。
死因について、教えてくれるものはいなかったが、私には既知の出来事だった。
「やっぱりそうなんだ。」
叔父の死が、私の中にある「力」に目覚める最初のきっかけだったことから、恨みに思う叔父の家族が、悲劇の発端は私にあると決めつけ、世間に吹聴したこともあり、年令を重ねるに従って、私の「うさぎの目」は、周囲の人々から恐れられるようになっていった。
それは、私の中にいる何か 途方もないもののけの力によるものであり、本来の私は、脆弱で臆病なだけの、なんの力もない社会のお荷物的存在なのに。
先生や、友達や、その周りの人たち全ての「行きつく先」が見える。
学校にもいけなくなってしまっていた。
「全てこの目が悪い。」
両目をえぐり取ろうとして、果物ナイフを目に突き立てたが、信じられないような力で跳ね飛ばされた。
「なら、私がこの世からいなくなればいい。」
高層ビルの屋上から飛び降りようとした時、たまたま、窓ガラスの清掃に来ていた業者の人に見つかって事なきを得る。
その後も、何度か自殺を繰り返すも、「何かが私を殺さなかった。」
いろんなものの最後や結末を予知出来ると知ったのは、それから、数年後のことだった。
両親は、真綿でくるむように、見守り育ててくれたが、義務教育を終え、高等学校への進学を決める際、父母は、悩みに悩んだ末に、私の住む町から かなり遠く離れた高校へ進学させることに決めた。
その高校は、どんな子どもでも無条件に受け入れるという 当時(おそらくは、今でも)珍しい学校だった。
いろんな子がいた。
そう、本当にいろんな子が・・・いた。
いろんな子がいて「あたりまえ」世の中はそういうものだ。
園長先生は、そういって微笑んだ。
母は、「ありがとうございます。ここにいると、私は、〇〇○の親であることを忘れてしまいます。嬉しいです。とても。」と泣き崩れた。
「〇〇○の親」
そうなんだ、私は、ずっと世間的には〇〇○だったんだ。
そうとわかると、なぜか、ほっとした。
そこでは、ニックネームと称し、自分の下の名前、ファーストネームをわかりやすく呼んでもらえるそうだ。
そんな素晴らしい高等学校なのに、入学式の日、なぜか、どの子の両親も暗く悲しい顔をしていた。
母は、私の名前が呼ばれると、父の胸にすがり嗚咽していた。
「ごめんなさいね。決して、あなたを忘れないわ。だから、ここで、頑張って生きて頂戴。」
「いつかきっと、迎えに来るから。それまで、我慢するんだよ。」
そう行って、両親は、何度も何度も後ろを振り返りながら去っていった。
「うさぎの目」で見る気になれば、見れなくもなかったが、私を捨てた両親のことなど、もはやどうでも良かった。
会えるとしたら、「地獄」かな。
高校に入学した数日後、親兄弟から見捨てられたという残酷な事実を知らされた者たちの中には、自死する者や、発狂する者、彷徨し行方不明になる者、断崖絶壁から足を滑らせ命を落とす者が跡を絶たなかった。
私も何度も逃げ出そうと試みたが、全て元の木阿弥となった。
入学式が終わり、私たちは、3つのグループに分けられた。
私は、「Nature Course」別名「獣道」に入ることとなった。
他は知らない。
忘れたとだけ言っておく。
私の中にいる何かが、「いいじゃないか。望むところだ。エセ善人どもの化けの皮剥がしたろ。」と言った。
私は、私の中にいる何かに言ってやった。
「ラストシーンは、なかなかなものだよね。」
「Nature Course」=「獣道」は、以下のニックネームを持つ7人。
「うさぎ」
「ねずみ」
「おおかみ」
「くま」
「たぬき」
「きつね」
「いのしし」
私のように一見脆弱だけど、内なる力を持つという7人。
7は、完全数だから。
君たちは、選ばれし者
喜び給え。
と。
与えられた課題は、ただひとつ。
7人が、互いに協力しあい、獣道を安全な舗装道路にするというものだ。
期限は、3年。
休日は、7人で決める。
ただし、年間150日を超えてはならない。
桜舞う春、紅葉の美しい秋、猛暑の夏、極寒の冬、四季折々、季節の移り変わりを味わいながら、あらゆる外敵と戦い完成させよ。
というものだった。
まぁ、結論から言うと。
生き残ったのは、「うさぎの目」を持つ わたしだけだった。
獣道。
開拓。
そんなもの最初からなかった。
存在すらしなかった。
超能力
人知を超えた力を持った者たちを集め、何かを企もうとした愚かな大人たち。
入学式の日から、既に視えていた。
大地が崩壊し、劫火に焼かれ、洪水に呑まれ、阿鼻叫喚の中 なすすべもなく逃げ惑う姿が。
明けましてお芽出とう御座います⛩🌅🎍(大遅刻)
新年早々ポンしておりますが、本年も皆様の才能開花を司っていこうと思います( ᴗ ̫ ᴗ )🌱
それでは、今月のお題です⊂( っ*´ω`*)っ📝
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【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
投稿期間 1/1 0:00〜1/28 23:59
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いつもより投稿期間が短くなってしまい申し訳御座いません……🐇💦
干支の動物は毎年お題に入れているのですが、せめてお話が作りやすそうなお題にしました( ꜆ᵒ̴̶̷̥́ㅿᵒ̴̶̷̣̥̀ )꜆
先月ご参加してくださった天虚空蔵さん、芝阪雁茂さん、毎度有難う御座います。
学の無い私は『桃色吐息』という植物を知りませんでしたが、ピンク色の綺麗なお花ですね🌸
花言葉ネタはふたばの好みなのでどんどんやっちゃって下さいませ、なんといっても私がアジサイだのコスモスだのと度々花をお題にしているくらいですからね(ゝ’ᜊ’)ゝ💐
本投稿にあがっている芝阪雁茂さんのお話もちゃんと読んでおります👀
夢と言えば初夢ですが、今年は初夢をメモ帳に残せなかったのが地味にショックです…、その夢に出てくるヒトが後日悪いニュースでTVに映られても困りますけどね。笑
……実はお題の『獣道』を『夢』にしたらもっと簡単なお題になるんですよね(そうすると『目』がお題として生きない気がしたのでやりませんけれど(´-﹃-`))
それでは今月のお話
【花の種】
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昼から降り始めた雪は、会社から帰る頃に数センチの積雪となっていた。
仕事が上手く行かず、泣きそうな気分で積もったばかりの雪を踏みしめながら、もうすっかり暗くなった夜道をコートのポケットに手を突っ込み背中を丸めて歩いていた。
ギュッ、ギュッと歩くたびに立てる音が、物悲しくひと気のない静かな住宅街に浸み込んでゆく。
ふと同じような足音が背後に聞こえていることに気がついた。
足音からすると、三メートル、いや五メートル位後ろか、おそらく同じように帰宅する途中なのだろう。
すると突然、耳元で”はぁ~っ“と女性らしき吐息が聞こえ、それと同時に肩の後ろから白い息が俺の前へと回り込んできた。
吐息の主は真後ろにいるという事か。
驚いて振り返ったが、そこには誰も居らず、街灯の光を受けた雪がしんしんと降っているだけ。
そしてその明かりの下には・・・俺の足跡しかない。
首を傾げながらも再び歩き始めた瞬間、”はぁ~っ”と再び吐息が聞こえ、また白い息が回り込んできた。
いや、白ではない。薄桃色だ。まるで綿菓子のよう。
何が起こっているのか理解できず、寒さと恐怖で立ち尽くした俺のポケットに誰かが後ろからいきなり手を差し込み、俺の手を握った。
背後には誰もいないはずなのに。
そして耳元で囁く女の声が聞こえた。
「あなたにいいものをあげる。これはね、”桃色吐息”っていう花の種。雨の日みたいな辛い時には今のあなたのように花弁を閉じて下を向く。でも枯れたわけではなくて、また陽がさせば大きく花開くの。」
そして紙の包みのようなものを握らせ、その手はふっと消えた。
そこでようやく振り向くことが出来たが、やはり周りには誰もいない。
しかし、手には紙の包みがあり、取り出して見ると数十粒の小さな種が入っていた。
“桃色吐息”
ペチュニアという花の一種で、花言葉は「心のやすらぎ」。
結局あの女性が誰だったのか解らないが、翌夏、その種はベランダの植木鉢で立派な花を咲かせた。
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この三題怪談の投稿では花言葉ネタが多くなってる気がします。
お題を見た時に、千葉にあるマザー牧場で一面に咲き誇っていた桃色吐息を思い出し、書いてみました。
桃色吐息は夏の花なのでタネまでさかのぼることになりましたが。
この主人公は自宅のベランダにタネを撒いたようですが、物の怪から貰ったタネをどうするかは人それぞれでしょうね。
自分なら自宅近くの公園の花壇にでも撒いてみるかな。
今年も残すところあと1ヶ月、あっという間に師走で御座います🎄٩( ˙꒳˙ )ว=͟͟͞ 💨
皆様、やり残した事は御座いませんでしょうか。私はやり残した事しかありません。笑
やり残した事がある方もない方も、健康にだけは気を付けてお過ごし下さいませ🌱⋆。
それでは、今月のお題です⊂( っ*´ω`*)っ📝
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【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
投稿期間 12/1 0:00〜12/28 23:59
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今年最後のお題は、難易度を下げてみました👣
どことなく聴覚に関係のあるお題ばかりなので、“音”の表現にチャレンジするのもいいかもしれません❄️♪👂
芝阪雁茂さん 11月の一番槍有難うございます(л・▽・)л🌱
私もつい最近、仕事の出張で電車に乗り間違えて飛行機の出発25分前に空港へ着くというヒヤヒヤ事件があったので、高速乗り間違えの恐ろしさに共感します(-ω-)
焦るときほど、思い通りにいかないんですよね……
にしても、大型トラックと中型トラックでの死亡事故はヤバいです(◎_◎;)💦
天虚空蔵さん 今月もご参加有難うございます( ᴗ ̫ ᴗ )
ゴムでできたあの手のマスクって、質感がのっぺりしているというか、なんだか独特の不気味さがありますよね🧟🧟♂️🧟♀️
しかも被ってみると臭い。笑
潰れていたら潰れているで人面はぐれメタルみたいで気持ち悪いですし、膨らんでいたらいたで不可解さが生まれて厭な想像をしてしまう…、そんなマスクの怖いポイントが盛りだくさんでした。
何と言いますか、ずっと顔に張り付いている分裏側に顔が張り付いているようなといいますか、不織布マスクなんかでも、裏面に口紅がべっとりついているの見ると、ひとりでに悪口を言い出しそうな気がしてしまうんですよね👄
今月のお題の締め切りは明日28日の23:59までで御座います。
挑戦希望の方は、お忘れなきようお気を付けくださいませ(*ฅ́˘ฅ̀*)🌙
それでは今月の三題怪談。
今月もちょっと字数オーバーですが・・・
【ハロウィンの残滓】
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ようやく仕事を終え、時計を見ると夜十時を過ぎていました。
机の下に置いてある通勤用のパンプスに履き替えてオフィスを出ると、渋谷の街にはまだ多くの人が歩いています。
とは言え、ハロウィンだった昨夜に比べればずっと少なく、駅へ向かって歩きスマホで歩いていると、不意に何かぐにゃりとしたものを踏みつけました。
ヒールの高い靴だったので危なく転びそうになりましたが、見るとそれはゴムでできた青白いゾンビのマスクでした。
顔面を上に向け、目と口の部分に黒く穴が開いています。
昨夜のハロウィンの後、清掃会社の人やボランティアが掃除をしていたはずなのに。
誰かの忘れ物だとしても、こんなものを拾う気にはなりません。
それでも他の人が自分と同じように転びそうにならないようにと、そのゾンビマスクをパンプスのつま先で歩道の隅へと蹴りました。
べこっ!
蹴った位置が悪かったのでしょう、パンプスが鈍い音を立ててその唇の間に見事に突き刺さり、まるで噛みつかれたようにマスクがつま先に纏わりついてきました。
そして何やらぐにょぐにょとつま先を食むような感触が伝わってくるではないですか。
「嫌!」
私は必死で足を振ってそのマスクを抜くと、急いでその場を離れました。
「なんなのよ。気持ち悪!」
ムカつきながら自宅のある駅で電車を降りて改札を抜けると人気もまばらです。
途中にある橋でふと顔を上げると、欄干に何か丸いものが乗っているのに気がつきました。
近づいてみると、なんとさっきのゾンビマスクではないですか。
先ほどはベタっと潰れていたのに、誰かが被っているようにちゃんと頭の形をしており、もちろん首から下はありません。
さっき私が蹴ったからでしょうか、口から幾筋も血を流しています。
そしてそのぽっかりと開いている目の穴から、ぎらっと光る瞳が私の方を睨んだのです。
「ぎゃ~っ!」
私は踵を返すと、半泣きで近所に住む友人の家に駆け込み泊まらせて貰いました。
あれは一体何だったのでしょう。
しかし何故かあのゾンビマスクはもうそれっきり現れていません。
ひょっとするとまた来年のハロウィンに姿を見せるのでしょうか。
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娘がハロウィン用にとシリコンゴム製の魔女マスクを持っていたのを見て思いつきました。
いや、なかなかリアルで気味悪いものですね。
『(端から見れば)絶景ドライヴ』
その日は寝坊して、休みでありながら夜更けから遠出をしようとしていたが、真夜中の睡魔には勝てず、夜更けのアラームも役に立たず、日が昇った7:00近くに目覚める。
出勤する車輛の群れに飛び込んで、大型トラックにくっ付きながら、高速道路の入り口の分岐点、これが又不味かった。
カーナビの指示よりも、同じく入り口に差し掛かっていた車輛に気を取られて追随してしまった私は、目的地と正反対の方向に吸い込まれてしまう。
到着予定時刻が明らかに遅れているのに気付いて、インターチェンジの表記で、やっとこさ反対方向に飛び込んだと気付く。
「ぎえぇぇぇ」
例えるなら北海道に行く積もりが、沖縄行きの便に誤って搭乗してしまう様な感覚であるが、慌てて近くのインターチェンジで降りて、目的地に向かう方向に入り直す。
一応、目的地の場所である前の前に住んでいた土地に入ったのだけど、忘れ物どころか持ち歩いているボールペンの集団の中に、スタンダードな油性が無い。
何枚かの写し紙に力を入れて書くと、裏写りしてくれるボールペンを手に入れて走り出すと、書類に貼る付箋を買い忘れているのに気付く。
さて付箋も購入し終わって道具は揃った。
私は、新しく出来た道の駅のフードコートならば、窓側の席が在って、目的地で渡す為の書類に必要事項を書き込めるだろうと踏んで、そこを目指す。
「少し混んでるから裏から回り込めば、駐車場に入るかな」
………これが行けなかった。
クーンと滑らかな円を描く道路を行けば駐車場に行けると踏んだのだが、そのまま自動車専用道路へと吸い込まれる。
「カエシテクレー」
ハンドルを握りながら大の中年男が、半泣きで運転しているのだ。自分で走らせて置きながら、カエシテクレーは無いだろう。
運の悪い事に、新しく出来た自動車専用道路でカーナビからすれば道路の無い場所をなぞっていて、何個もトンネルが続き、燃料も減って来ている。
F市からY市に入っている。だが、或る意味道無き道を進んでいるも同然なトンネル内、「隣県に入りました」といつもなら知らせてくれるが、今回は鳴らない。時たまトンネルの境目を抜けて、絶景の紅葉スポットを高い橋から見下ろす格好になるも停められないし、何と言っても予定外の土地に入り込んだ為、「ああああ」と落ちもしないのに、高い橋から車輛ごと落っこちる空想を浮かべているのだ。
やっとこさトンネルを抜けて、程無くインターチェンジを降りる事が出来るも、先ずは引き落としを確かめながら、金銭を下ろさねばと郵便局に急ぐ。
唯一、上手く行った。
ガソリンスタンドを検索してからカーナビに打ち込もうとするが、住所が全然出て来ない。
Y市の駅前迄走らせてから、改めて近場のガソリンスタンドを検索して走らせるが、誤って目的地の一歩手前のスタンドに入ってしまい、向こうからすれば他県のラジオ番組を録音した奴を聴いていた為、店員の顔が驚いた様に見えた。考え過ぎか。
給油を終えた後に、本来の目的地だったガソリンスタンドを目にするも、入りにくい場所だったから、嫌な形で救われる。
帰りは、もと来た道をなぞりながら、F市を目指せば良い………のだが、端から見れば中年男が無表情でハンドルを握っている、何の変哲も無い光景なのだが、眠気覚ましの黒いガムを何の気無しに噛んでいるゾンビ状態の男が運転している気持ちだった。
幾番目かの目的地である、F市の新しく出来た道の駅に辿り着いて、狙い通りフードコートと窓際の席を見付けて、下敷きを持ち出すのを忘れたのを思い出してうなだれながら、ベコベコする卓子(テーブル)でクリアファイルに入れていた書類に油性ボールペンで書き込んで、付箋に簡単なメッセージを書いて、どうにか一番の目的である車屋さんに渡す紙は完成させる事が出来た。
必要事項を記入した用紙は無事に渡せたのだが、この自分が巻き起こしたこの珍事は午前中から正午過ぎ迄の出来事であり、自身に取っての或る意味での恐怖体験である。
とは言え、前の日に国道を走らせて遠出した帰り道で、大型トラックの事故現場とひしゃげた自転車の事故現場を見て縮み上がったのだが、あれは自転車で無く中型トラックとの事故だったらしく、パトカーが何台も停まっており、対向車線を救急車が二台走って行ったのだが、中型トラックの運転手は助からなかったのだと言う。
ラジオで事故の顛末を聴いて脱け殻になり掛けたのを思えば、まだまだ可愛い話かも知れない。
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皆様、御疲れ様で御座います。
今月の御題、誠に有難う御座います(礼)。
「本編のより余談の方が遥かに怖いわ!」となりそうな、本人からすれば恐怖体験と言う、実際に起きた(或る意味起こした)ドンドン深みに嵌まって、生きた心地がしなかった変な体験を取り上げて見ました(汗)。