皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )
↓
🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。
🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。
🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。
🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html
🌱お題は毎月一日に更新されます。
🌱提出期限は毎月28日までとします。
🌱お話はいくつ投稿しても構いません。
🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。
🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)
🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。
🌱感想だけのご参加も大歓迎です。
🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。
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【11月お題】
「黄泉」「狐」「エレベーター」
投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59
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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……
そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )
※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。
📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」
【5月お題】
「人混み」「電話」「花瓶」
【6月お題】
「墓場」「毒」「待つ」
【7月お題】
「海」「境界」「糸」
【8月お題】
「打ち上げ」「ライト」「未練」
【9月お題】
「借りもの」「バス停」「斜陽」
【10月お題】
「骨董」「ピエロ」「姉」
※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。
企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m
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アレ…、もう9月…?
いや、今日はまだ8/33日です!
という訳で9月のお題を発表させて頂きます🙏💦💦
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【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
投稿期間 9/1 0:00〜9/28 23:59
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綿貫さんも天虚さんも毎度ご参加有難う御座います🌱
秋雨前線が日本列島を覆うジメジメした天候では御座いますが、不安定な天気に負けないよう、皆様ご自愛くださいませ……
@修行者 様
人魚……魅惑的な言葉ですよね。
@綿貫一
この話、メチャクチャ面白いです。
((((;゚Д゚)))))))
空蔵さんに触発されました。
「人魚の涙」
僕がひとり、バイクで日本海側の土地土地を、北を目指して旅していた時のことである。
そのときは、新潟県のとある浜辺で夜を迎えた。
バイクでとめ、海を眺める。雲間から漏れた月の光がさびしく、波の上を照らしていた。どちらを見ても限りない、物凄い波がうねうねと動いていた。
ふと、浜辺に自分以外の誰かが佇んでいることに気がついた。それは、車椅子に乗った少女だった。夜風を避けるためだろう、脚を膝かけで包んでいる。少女はこちらに顔を向けることなく、ただ暗い海を見つめていた。
「こんばんは」
彼女に声をかけたのは、自分でも意外なことだった。普段の僕なら、見知らぬ女性に気軽に話しかけるなんてことはしない。きっと、月の光に照らされた夜の浜辺があまりに幻想的だったからと、彼女の横顔があまりに美しかったからだろう。
「こんばんは」
彼女はそこでやっと私を見ると、鈴を転がすような声で応えた。
「きれいな浜辺ですね」
僕がそういうと、彼女は浜辺の名を教えてくれた。雁子浜、というのだそうだ。
「大正時代、小川未明という方が、『赤い蝋燭と人魚』というお話を書いたんです。ここが、その舞台だそうです」
「ああ。昔、教科書で読んだことがありますよ。へぇ、ここが」
人間のエゴが人魚の怨みを買い、ついにはすべてが滅ぼしてしまう、そんな悲しい話だったように思う。人魚はただ真っ直ぐに、人間の慈愛を信じていたのに。
「子供心に不思議でした。お話の冒頭、あれだけ信心深く、優しかったおじいさんとおばあさんが、いくら香具師に騙されたとはいえ、人魚の娘を売り飛ばすなんて。泣いてすがる娘に、しかし老夫婦は『鬼の心になっていた』なんて、あまりに人が変わり過ぎじゃないか、って。まるで、そう――」
ニセモノにすり変わったみたいじゃないか。
作者に文句をつけるかのように、僕は言った。
車椅子の少女は、海を見ながらしばらく黙っていたが、
「――変わってしまったのは、少女の方だったんです」
不意につぶやいた。
「『いろいろの獣物等にくらべたら、どれほど人間の方に心も姿も似ているか知れない』とは言っていましたが、それでもやはり、『同じ』ではなかったんです。例えばそれは、大人になる直前に、どうしようもなく『人の肉が食いたくなる』こととか――」
いったい何を言い出すのだろう。僕は黙って彼女の言葉の続きを待った。
「見知らぬ男が私を連れていこうとした時、不意に何もわからなくなりました。ただ、途切れそうになった意識の中で、私の指が、見慣れた白い蝋燭が、赤く染まっていくのが見えました。赤く赤く、血のように赤く。気づけば男も、おじいさんもおばあさんも、そして街の人たちさえも、誰もいなくなっていました」
「私が再び正気を取り戻したのは、それから長い時間が経ってからでした。それでもまだ朦朧としていた私は、当て所もなくさまよい、彼に――例の小説家に――出会ったのです」
「『皆はどこに行ってしまったのか』と問う私に、彼は『お話』をしてくれました。あとから考えれば、おじいさんとおばあさんが香具師に騙されて私を売り飛ばしたのも、いえ、そもそも香具師の存在自体も、すべてニセモノ、嘘ばかりでした」
「香具師として語られた男は、人魚の『人食い』の習性を知り、私を隔離しにきたのでしょう。おじいさんとおばあさんは、泣く泣く私と別れようとしたのだと思います。そんな彼らを、私は食べてしまった――」
「未明は、真実を知った私が『壊れぬよう』、あんな嘘をついてくれたのです。そんなことにも、ずっと後になって気がついたのですが。それから長い長い時を過ごしてきました。多くの醜い姿も見てきました。しかし、それでも人は、母が信じた人間という種は――」
そこで彼女は小さく笑った。
「――私、小説家を目指してるんです」
「だから、即興でもお話を作れるように、練習中で。どうでした? 今のお話」
僕は肩の力が抜けるのを感じた。そしてため息をつきながら、「悪くないんじゃないですか」と応えた。
彼女の、膝掛けの下がどうなっているのか。確認するのは野暮だと思って、ただ黙って海を見た。
遠くの波間に、月の光に照らされながら、何かが跳ねたように見えた。
それではカップルシリーズで。
*****************
『赤い蝋燭と人魚』
念願だった新車がやっと納車になり、週末に彼氏をドライブデートに誘いました。
すると海が見たいと彼氏が言い出したので、海なし県に住む私達は車を走らせ新潟の海へとやって来たのです。
お気に入りの音楽を聴きながら海岸沿いの国道八号線を走り、途中で休憩がてら路肩の駐車スペースに車を停めた時です。
「ねえ、あそこにあるの、鳥居かな?」
海岸線の脇に小高い山があり、その木々の間に鳥居のようなものが見えています。
「ほんとだ。その向こうに屋根みたいなのも見えるね。ちょっと行ってみようか。」
彼氏は神社仏閣を訪れるのが好きなのですが、地図で見てもそこに神社はありません。
面白そうなので行ってみましたが、どうやらそこは廃神社のようで鳥居はかなり傷んでおり、本殿への石段も雑草が生え所々崩れてしまっています。
それでも本殿迄登ってきましたが、やはりぼろぼろで今にも崩れそうです。
「せっかくだから本殿を覗いてみようぜ。」
朽ちた正面扉の隙間に指を掛け、強引にこじ開けると正面に祭壇が見えました。
「何だ、これは?」
そこには無数の燭台があり、燃え尽きかけた絵付蝋燭が残されています。
そして祭壇の中央にはひときわ大きな燭台に半分程に燃えて蝋を垂らした赤い蝋燭が二本立っていました。
「赤い蝋燭と人魚・・・?」
ふと小学校の頃に読んだ有名な話が頭に浮かびました。
「あれは作り話だろ?それを真似て誰かが偽物を作ったんだよ。」
「誰も来ないこの廃神社に?」
バタン!
いきなり背後で正面扉が閉まりました。
そして暗くなった本殿の中で、祭壇にある二本の蠟燭にいきなりポッと火が灯ったのです。
『真紅のろうそくが灯るのを見た者は海難にあい溺れ死ぬ』
あの話のエンディング。
「うわ~っ!」
彼氏はいきなりダッシュすると正面扉を蹴破り、私の手を握って外へと飛び出しました。
そして車へと駆け戻ると夢中で車をスタートさせたのです。
はたして私達は無事に家へ帰れるのでしょうか?
*******************
「赤い蝋燭と人魚」のお話をまったく知らない人には、なんのこっちゃって感じですかね。
でもこの文字数では、あらすじを説明できませんでした。
このネタはちょっと面白そうなので、文字数制限を外し加筆修正して本投稿へ後日アップしたいと思います。
約束はしませんが・・・・(笑)
ご利用の皆様へ🌱
新しい月となりましたので、お題の更新をさせていただきます( ᴗ ̫ ᴗ )
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【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
投稿期間 8/1 0:00〜8/28 23:59
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折角の怪談の季節なので、ホラーにしやすそうなお題を揃えました。「ニセモノ」は「偽物」「偽者」どちらでも行けるようにカタカナになっております🎭
返信やアナウンスがろくに出来ていないせいで、芝阪雁茂さんにバタバタさせてしまいました。そして、綿貫さんも折角書いて下さっていたのに反応出来ておりません。二月続けての不思議親子のお話だったのに申し訳御座いません……
どちらもちゃんと読んでおります。いつもご参加頂き有難う御座います🙇💦
「手を振る」
七月のとある週末。
僕と妻、それに二歳になる娘の三人は、神奈川県のとある海岸へやってきた。
妻と娘は、波打ち際できれいな貝殻を探している。
私はというと、浜辺にレジャーシートを広げ、海の家で借りたビーチパラソルのつくる日陰の下、ぼんやりとふたりの様子を眺めていた。
けして家族サービスをさぼっているわけではない。荷物番はどうしたって必要なのだ。
今日も今日とて猛暑日で、屋外の気温は非常に高かった。
しかし、海の近くというだけあって、時おり吹いてくる潮風が、汗のにじんだTシャツと肌の隙間を通り抜ける度、天然ならではの気持ちのよい涼しさを感じられた。
波打ち際の歓声と、潮騒を遠くに聞きうちに、いつしか睡魔が襲ってきた。
眠気を払うため、何の気なしに見渡した景色の中に、ソレはあった。日常の隅に潜む違和感。
なんだ、あれ?
はたしてその正体は、ここからずっと向こう、海に流れ込む細い河に架かった橋の上、そこにたたずむひとつの小さな人影であった。
その、男か女かもわからない人影は、橋の欄干から大きく身を乗り出すようにしながら、こちらに向かって激しく手を振っていた。
その動作の激しさが、どこか常軌を逸したように感じられ、僕をひどく不安にさせた。
酔っぱらいだろうか。
それとも、テンションの上がった若者だろうか。
視線を巡らせてみるが、彼(彼女?)の手を振る先に、応えるものは誰もいないように思われた。
じゃあ、いったい、誰に。
「アナタ――」
気がつけば、娘の手を引いた妻が、私のすぐそばに立っていた。
「やあ、おかえり。貝殻探しはもういいのかい?」
妻は、なぜか真冬のプールに入ったかのように青い顔をして、私の問いかけには答えず言った。
「もう帰りましょう? ここにはいたくないわ」
◆
「海は、異界に通じる場所よ」
助手席に座る妻がポツリとつぶやいた。彼女は、この手の話題には博識だ。
帰り道。都心へと向かう道は渋滞していた。先ほどから娘は、後部座席で寝息を立てている。
「『常世の国』。『ニライカナイ』。古来、海の向こうには、現世(うつしよ)とは異なる別の世界があると信じられたわ」
「その感覚は、なんとなくわかるよ」
海の持つ圧倒的は広さ、深さ。
生物を育む母なる場所にして、命を奪う恐ろしい場所。
海への畏れは、誰しもが持つ感覚だろう。
「海に流れ込む、河もそう。その河に架かる、橋もそう。彼岸と此岸、ふたつを分ける境界線。異界へと通じる『境』となる場所――」
「さっきは、なにか『視えた』のかい?」
不意に帰ると言い出した理由を、僕は彼女に問うた。彼女は黙ってうなずく。
「それってもしかして、橋の上で激しく手を振る誰かのこと?」
ぶんぶんぶん。
先ほどの光景が脳裏に浮かび、背筋に冷たい汗が流れる。
「いいえ。その人影は私も見たけど。でも、アナタにも見えたんなら、それは普通の光景ってことじゃない」
言われてみれば、確かにそうだ。僕に特別なモノは視えないのだから。
じゃああれは、現実の光景だったのか。
あんなに異常な感じがしたのに。
「私が視たのは、その人影が手を振っていた先よ。波打ち際にいた私たちの背後。海の沖合いに――」
腕が。
腕が腕が腕が腕が腕が。
「無数の白い長い腕が、打ち寄せる波の後ろに視えた。それがね、手を振ってるの。オーイ、オーイって。ゆらゆら、ぞろぞろ、手を振ってたの」
僕が見た、橋の上で手を振る人影。
境界線上に立つ人物。
あれは、海に魅入られた誰かの姿だったのか。
◆
「あら、いつの間に起きてたの? ――ちょっと、やめなさい」
妻が、後部座席を振り返る。そして、娘を不機嫌な声でたしなめた。
僕も、バックミラー越しに娘を見た。
娘は窓の外に見える海に向かって、笑いながらいつまでも手を振っていたのだった。
@天虚空蔵 さん今月もご参加下さり、有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
欄干の下から伸びて来る手…、財布をゲットして消えた事や車へ戻ろうとしたタイミングで出て来た事を考えると、財布に執着しているようですが、私の心が汚れているのかカップルのイチャイチャを阻止しているようにも見えてしまいます。笑
冷静に考えると、よくパニック映画なんかでカップルが最初の犠牲者になりがちなのは、2人だけの世界に浸りがちで隙だらけだから、男がカッコ付けたがるから、テンションの落差を作りやすいから、と個人的な妬み関係無く襲撃する側から見ても合理的ですよね。
つまり、合理性を求める幽霊が出て来れば(嫉みの塊みたいな霊が出て来ても)世のカップルは撲滅しそうですね(°▽°)(°▽°)
それでは今月もドンピシャ800文字で。
*****************
《岩場の落とし物》
今日は彼氏とデートで、海へ行きたいと言うと神奈川県にあるJ公園に連れて行ってくれました。
ここは島の大半が公園で、車で橋を渡り公園に入ると、展望台から海が一望でき、遊歩道を歩いて下に降りると海辺にも行けるのです。
午後も遅い時間で人の姿はまばらでした。
砂浜に出て浜辺を歩いて行くと向こうに岩場が見えます。
「ねえ、岩場の方に行ってみよ。」
この岩場も遊歩道の一部で、海に突き出している岩の間には橋が掛かり、橋の下には波が打ち寄せています。
ふたつ目の橋を渡ってすぐの岩の間に小さな砂浜がありました。
私はこのような場所が好きで、降りてみるといろいろな貝が落ちており、私は夢中になって可愛い貝を探し始めました。
「あれ、落とし物かな?」
その様子を見ていた彼氏が岩の間から何かを拾い上げました。
女物の財布のようで、見ると免許証や現金も入ったままで明らかに落とし物です。
「公園事務所に届けるか。」
彼はそう言って財布をポケットにしまうと、いきなり私を抱きしめて唇を重ねてきました。
ここは岩の間で遊歩道からは見えません。
しかしその時、とんとんと誰かが橋を渡ってこちらに来る足音が聞こえました。
彼は慌てたように私から離れましたが、誰も来る様子はなく、岩から頭を出し周りを確認しましたが、辺りには誰もいないのです。
薄気味悪く感じ、車に戻ろうと橋を戻り始めた時です。
「うわっ!」
彼が突然転び、見ると橋の欄干の下から白い手が伸び彼の足首を掴んでいます。
彼は必死に足をばたつかせその手を振りほどこうとするのですが、離れる様子はありません。
私はふと思いつき、彼のポケットからあの財布を取り出して腕のすぐ横に置きました。
するとその手は彼の足から離れ、財布を掴むと橋の下へと消えていきました。
私達は急いで車まで掛け戻り、その後は何事もなく無事に帰宅できましたが、あの手は一体何だったのでしょう。
そしてあの財布には何が入っていたのでしょうか。
**********************
文字数合わせで公園名は伏せる形になっていますが、知っている人はすぐに判りますよね。
でもあくまでもフィクションです。
岩場の陰には、実際にこんなカップルがうじゃうじゃいますが。(笑)
ご利用の皆様へ🌱
新しい月となりましたので、お題の更新をさせていただきます( ᴗ ̫ ᴗ )
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【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
投稿期間 7/1 0:00〜7/28 23:59
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7月は海の日があるという事で、海っぽいお題です。と見せかけて、お題の3つ目で難易度がちょっとだけ上がっております🐚
今回はキラキラしている感じのお題なので、背景描写がどうなるか気になりますね(*˘˘*).。.:*
是非、お気軽にご挑戦下さいませ(л・▽・)л💦
ご利用の皆様へ🌱
6月のお題の締め切りは本日23:59までで御座います。
参加希望の方は、お忘れのない様お願い致します(л・▽・)л📕✨
@芝阪雁茂 さん、先月に引き続き御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
三度登場のアリス君ですが、小さいおっさんは芸能人や有名人の前に現れたがるみたいな話を聞いた事があるので、アリス君もいよいよ有名人なのかも知れませんね✨
ジャガーにとってヘビは天敵では無くても、ネコにとってヘビが天敵であるように、きっと身体が小さくなるとそれだけで天敵に溢れた日常になるのでしょう。小さいおっさんが希少なのも納得です( ÒㅅÓ)
それにしても、おっさん達が着ていた合羽、一体どなたが作っているのでしょう。あのおじ様達は意外とお裁縫が得意なんだと思うと、それもまた和みますね🧶 (◜𖥦◝ )
御無沙汰致しております(礼)。
ふたばさん、先月の御題作品に深い考察と暖かい御言葉を有難う御座いました。『バキ』シリーズは一時期嵌まっていたのも有って、考察にニヤリとしてしまいました(汗)。
出来上がりましたので、掲載致します。
*掲示板用に冒頭を変更しております。
※※※※※※※※※※
『アリス君の奇妙な話 片隅の都市伝説』
皆様、有馬澄斗(ありま・すみと)です。不名誉な渾名(あだな)で、アリス君と呼ばれたりしています。
今回は友人と共に見た、都市伝説の一つに関する話を御送りしたいと思います。それでは………
****************
室崎光二(むろさき・こうじ)君、高校は違うけどたまに今も遊びに繰り出す友人の一人で、他校生徒とも付き合いの有る、人脈の広い子でもある。
そんな彼と、中学3年の梅雨時に巻き込まれた話を。
その日も、雨がシトシト降る朝。
彼と僕は、部活の大会が近いのを除いて、自転車に乗る距離で無い学区だったので、通常が徒歩通学となっていた。
「聞いた話だけどさ」
「何?」
「関西方面で有名な都市伝説で、小さいおっさんってのが有る訳」
「それでそれで?」
「澄(すみ)っちは、俺の話をそんな風に聞いてくれるから良いんだよね。その小さいおっさんがよ………」
何でも、その小さなおっさんとやらが、こちらの土地でも目撃されているらしい。
関西………いや東京もだけど、地方の小さな町に住む未成年からすれば、遠い外国の様な感覚なので、そんな都市伝説が遠い距離をすっ飛んで来て、近場に存在するとなっては何だか怖さよりも俄然興味が湧いて来る。
ピチャっ、ビチャっ、ピチャっ、ビチャっ………
足元の紫陽花(あじさい)が在る植え込みから、何だか水溜まりの上を歩く、ないしは叩く様な音が聞こえた。
「………遅れちまうな、行こうぜ」
普段なら、我を忘れるリアクションを取って放っぽり出す室崎君が、慌てて僕に呼び掛ける。
………………彼の内申点だか試験の学年順位が不味いと聞いていたので、僕も彼に続いて学校への歩みを速める。
***************
数日後、試験明け最初の休日に、彼と僕は買い物の名目で………正しくは御使いと言う名の買い出しで、近くのスーパーに徒歩で出掛けていた。
買い出しの済んだ僕達は、再びあの音を聞く。
ピチャっ、ビチャっ、ピチャっ、ビチャっ………
規則正しいと言うのか、長靴を履いた子どもの集団っぽくはあるのだけど、何だか若干規則正しい………子どもっぽさが無い様な足取りに聞こえて来る。
「聞こえる?」
「………ああ」
恐る恐る室崎君と共に、紫陽花の咲く植え込み越しに、音の正体を探ろうと身を乗り出す。
「あっ」
室崎君が何故か驚いた声の出そうになった僕の口を塞ぐ。
「何だよ」と彼を睨み付けようとした僕だったが、声は喉の奥に引っ込んだ。
………あの小さいおっさんが、しかも集団で、カタツムリを避(よ)けて、テクテク、もといピチャっビチャっと列をなして歩いているではないか。合羽(かっぱ)を着て、長靴姿で。
「………噂は本当だったんだ」
「カタツムリもよ、おっさん達からしたら、巨大な生き物だろうな」
剽軽(ひょうきん)な彼らしからぬ、何処か生命を慈(いつく)しむ優しささえ感じる言葉に、僕は又驚きそうになった。
***************
あの光景を見た所為(せい)かは分からないけど、僕は商店街の福引きに当たって図書カードを、室崎君は懸賞に当たって、小さな幸運に恵まれたけど、それは又別の話。
@綿貫一 さんおはよう御座います(л・▽・)л
先月に引き続きの御参加、有難う御座いますm(*_ _)m
元々、回転寿司と言えば「河童のマークのかっぱ寿司」のイメージでしたが、最近は他の回転寿司屋さんが幅を利かせている上、知らぬ間にかっぱ寿司も看板から河童が居なくなってしまったんですよね……
綿貫さんのお話の面白い所は、周りが不思議な話や現象を持ち込んで、振り回される一般人の筈の主人公がむしろその空間で異質と言いますか浮いている感覚に度々陥って行く所なんですよね(「🍣・ω・)「🍣
長編の時には、その周りの不思議と自分自身がどう向き合うか、受け入れるかが描かれる事も多く、短編ではそこまでの描写が無い分置いてきぼり感がちょっと面白いんですよ。笑
今回だと妻と娘が揃って不思議なものが見えるというのに対し、母娘揃ってお寿司屋さんで魚を食べないという部分が共通させてあって、さり気なく母親似を印象付ているのが好きだったりします( ˘͈ ᵕ ˘͈ )
娘に「かっぱぁ」と言われ、髪の毛の事かと勘違いして赤くなったおじさんに、「ゆでダコぉ」と追い討ちで無邪気に煽ってやりたい((( *艸))
@天虚空蔵 さんおはよう御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
1番乗り有難う御座います。800文字ピッタリなのに破綻も無理矢理感も無いなんて素晴らしいです(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
アジサイの花言葉、移り気や浮気は知っていましたが、“冷酷”なんてものもあったのですね。季節を感じられる美しい花なので結構好きなのですが、“アジサイらしいヒト”というのは益々悪口になってしまいますね( '×' )🌸
そんな存在には、やはり粘着質な者が寄って来るのでしょう。女性を誑かす輩は成敗されて当然だとは思いますが、天麩羅にして誤食したところで腹痛くらいにしかならないらしいアジサイの葉っぱを、一体どれだけ口に詰め込んだのだろうと考えるとゾッとしますね。
しかも、もし祓い屋が本物だった場合、恵梨香さんの身近な方に殺された可能性もある訳で……
やはりヒトに怨まれることはしないに限りますね💦
こんな噺を。
かっぱ
「私ね、昔、かっぱを見たことがあるの」
妻は、回転レーンを流れてくるかっぱ巻きの皿に手を伸ばしたところで、不意につぶやいた。
六月のとある週末。私と妻、それに二歳になる娘とで、近所の回転寿司屋に晩御飯を食べに来た、その席でのことである。
「かっぱ、って……『あの』かっぱかい?」
私は、穴子寿司を頬張りながら尋ねた。
「頭に皿があって、手足に水掻き、背中に甲羅、くちばしがついた、全身緑色のお化けのこと?」
「テンプレだとね。でも、地方によっては肌の色が赤黒かったり、甲羅を背負ってなかったり、季節によって川から山へ引っ越したりするらしいわよ。――私の場合、そういうのとも違うんだけど」
妻は妙なところで博識だ。
僕は、娘が本日三皿目のハンバーグ寿司に手を伸ばそうとするのを阻止しながら、妻に話の先を促した。
◆
高校の頃の話よ。
私が地元の女子校に通っていたことは、アナタ知ってるわよね? その学校には、塚本という名前の男性教師がいたわ。担当教科は数学。当時、四十代半ばくらいだったと思う。大柄(おおがら)で汗っかきで、いつも肌がテカテカ光っていたわ。生徒たちからは嫌われていた。なぜって、私たち女子のことをイヤらしい目で見てくるんだもの。実際、彼が手を出した生徒がいるって噂もあった。本当かどうかは知らないけど。
でね――。
ある時、授業のために教室に入ってきた塚本を見て、私思ったの。かっぱだ、って。ちょうど今くらいの、紫陽花の咲く梅雨の始まりの頃だった。
別に彼が急に、テンプレなかっぱの姿に見えたわけじゃないの。確かに頭頂部は薄くなっていたけれど、そういうことじゃなくて。
――濡れてたの。全身ぐっしょり。まるで今、川から上がってきたばかりみたいに。
その日は曇っていたけれど、雨は一滴も降っていなかった。暑かったから校内のプールでひと泳ぎ? 授業前に? まさか。
気づいたのは、私ひとりだった。クラスメートは、当たり前のように授業を受けていたわ。私だけが、濡れたアイツを見ていた。それはとても奇妙な感覚だったわ。
――その日の夜、塚本は事故に遭って死んだわ。運転していた車ごと、川に落ちて、溺れて死んだ。
飲酒運転席してただとか、飛び出してきた自転車を急ハンドルで避けようとしただとか、色んな噂が立った。手を出された女生徒が、アイツの持病の薬入れに睡眠薬を入れたんだ、なんて話もあったっけ。結局どれが本当だったかなんて、私は知らないし興味なかった。ただ、昼間見た濡れた姿の幻と、瞬間的に彼をかっぱみたいだと思ったことだけが、ずっと頭の片隅に引っ掛かっているってわけ――。
◆
話を終えると、妻は冷めたお茶をすすった。
「――不思議な思い出だね。で、なんで急にそんなことを思い出したんだい? まさか、かっぱ巻きが原因かい?」
それなら、これまで何度も思い出すタイミングはあっただろう。一緒に寿司を食べに行ったのは、なにも今日が初めてじゃない。
「今日は雨、降ってないわよね?」
「え? うん。今日は一日曇りだったけど、なんとか持ったよね」
「――あそこ」
彼女は、回転レーンを挟んだ向こうを見るよう、視線で僕を促した。そこにはカウンター席でひとり寿司を頬張る、五十過ぎくらいの白髪気味の男性が見えた。
「あのおじさんがなにか?」
「――濡れてる?」
「――え?」
「あの人。濡れてるように見える? 全身ぐっしょり濡れている?」
もう一度、彼の方を見る。
濡れてるわけがない。もしそんな格好の客がいたら、店内の注目を集めているだろう。店員さんだって困るだろうし。
いや、まさか。
「――濡れてるように見えるのかい? 君には」
「見える――」
「昔みたいに?」
「ええ、あの時みたいに――」
僕らはしばし呆然と、向かいの男性を眺めていた。そのうち、向こうでもこちらの視線に気がついたのか、怪訝な表情を浮かべた。
その時だった。
「かっぱぁ」
娘がレーンからハンバーグ寿司の皿をつかみ取りながら、その男性の方を見て無邪気に叫んだのだった。
それでは早速。
【ナンパ師】
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雅也は、持ち前の甘いマスクで学生の頃からナンパ師として鳴らしてきた。
女心に上手に付け入り、そして飽きるとあと腐れないようにさりげなく別れる。
その冷淡とも取れる女を傷つけず別れるテクニックは天性としか言いようがなかった。
しかし彼は勉強があまり得意ではなく、高校卒業後はしばらく飲食店に勤め、女性客を当て込んで独立して始めたカフェは、ナンパ師時代の知り合いにより当初こそ順調だったが、徐々に客足が減って経営は悪化し、最近では自転車操業に陥っていた。
金が必要になった雅也は、店を始めてから封印していたナンパ師としての実力を再び発揮し、女に貢がせるために複数の女性を相手に結婚詐欺紛いを繰り返した。女に金を貢がせ、女が破綻する直前で手を引くことで最悪の状況に陥らないようにしてきたのだ。
ある日の夜、雅也が店を閉めようとすると照明を落とした薄暗い店の奥に誰かが立っている。
「恵梨香?」
数か月前に雅也が切り捨てた女だ。裏口から入って来たのだろう。
しつこい女だな、と雅也は心の中で舌打ちしたが、表面は笑顔を取り繕って近づくと彼女はすっと消えてしまった。
その日から恵梨香は毎晩のように店に現れるようになった。
知り合いを通じて調べて貰うと、恵梨香は先月自殺していた。
遺書こそなかったが、彼女は部屋一杯に紫陽花を飾り、睡眠薬を飲んで息絶えていたそうだ。
紫陽花の花言葉は、移り気・浮気そして冷酷。雅也を暗示しているのは間違いなかった。
生きている女ならまだしも、幽霊となるとどう対処していいのか分からない。
相談した友人は「猿も木から落ちる、とか河童の川流れって言うんだ」と雅也を揶揄しながらも、霊媒師を紹介してくれた。
霊媒師は店を訪れ、祓串を振りながら怪しげな呪文を唱えてこれで大丈夫と帰って行ったのだが、翌朝、雅也が店の奥で息絶えているのが発見された。
口には青酸系の毒を持つという紫陽花の葉が大量に押し込まれていた。
―完―
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紫陽花の花言葉と、葉に毒があると言うのをネットで調べてパッと思いつきました。
今回はドンピシャ800文字です(^^♪
ご利用の皆様へ🌱
新しい月となりましたので、お題の更新をさせていただきます( ᴗ ̫ ᴗ )
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【6月お題】
「かっぱ」「アジサイ」「自転車」
投稿期間 6/1 0:00〜6/28 23:59
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雨具の事か、或いは妖怪か…先月より難しいお題ではありますが、その分主軸は決め易いお題かもしれません。
是非、お気軽にご挑戦下さいませꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫ꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫