皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )
↓
🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。
🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。
🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。
🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html
🌱お題は毎月一日に更新されます。
🌱提出期限は毎月28日までとします。
🌱お話はいくつ投稿しても構いません。
🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。
🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)
🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。
🌱感想だけのご参加も大歓迎です。
🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。
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【11月お題】
「黄泉」「狐」「エレベーター」
投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59
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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……
そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )
※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。
📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」
【5月お題】
「人混み」「電話」「花瓶」
【6月お題】
「墓場」「毒」「待つ」
【7月お題】
「海」「境界」「糸」
【8月お題】
「打ち上げ」「ライト」「未練」
【9月お題】
「借りもの」「バス停」「斜陽」
【10月お題】
「骨董」「ピエロ」「姉」
※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。
企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m
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@あんみつ姫 さん
ひと月に4作品は新記録ですね(๑˃̵ᴗ˂̵)!
Yさんはカッコ良くて優しい先輩なのですね、ヘルパーにハンティングした所長の気持ちもよく分かります(*´꒳`*)
例え亡くなった方でさえも、人間として扱う心の広さに好感が持てます。
怖い思いをしてしまったTさんはちょっとかわいそうでしたけど。笑
個人的には本投稿のサムネイルが可愛くて好きです´ᯅ `
ふたば様
調子に乗って四作目を投稿します。
先輩から聞いた話です。
もう、これで最期にします。
よろしくお願いいたします。
「ハサミ将棋」
先輩ヘルパーのYさんは、お酒やタバコが大好きな愉快な方です。
元風俗嬢だったと憚ることなく公言し、怖いものなんかねぇ。と初対面の利用者さんやご家族に対しても、抜群のコミュニケーション力で、すぐに打ち解けてしまいます。
ちょっとしたことで落ち込んだり、凹んだりするヘルパー仲間を、「そんなことで、いちいち気にすんな。爺婆死んだわけじゃねーだろ。」と励ましてくれる優しい一面もあり、底抜けに明るいYさんがお休みの日は、火が消えたように静かで何か物足りない気持ちになりました。
今季一番の寒さを迎えた日のことでした。
新人看護師のTさんが、血相を変えてへルパーステーションに駆け込んできました。
Tさんは、東南アジアのご出身で、この春、日本の看護学校を卒業し、併設してある特別養護老人ホームの看護師として着任したばかりでした。
Tさんは、昨夜、夜勤中に、洗濯室から微かにパチリパチリという音がするので、乾燥機を止め忘れたのかもしれないと思い、洗濯室を覗いてみました。
すると、うすぼんやりとした常夜灯に照らされた着物姿の男性が、こちらに背中を向けて将棋を指しているというのです。
聞こえてきたパチリパチリという微かな音は、将棋の駒を置く音でした。
「こんな時間になにをしているんですか。」と問いかけたところ、男はゆっくりと振り返り、Tさんに向かって、
「やぁ、久しぶりだね。アリスちゃん、元気だったかい。」
目玉のないまっくろな目が、しばらくの間、Tsさんを、じっと見つめていたそうです。
Tさんが驚きのあまり、その場に動けないでいると、男は、右肩を落とし、目を伏せ、煙のようにあとかたもなく消え去ってしまったのだそうです。
洗濯室に幽霊が出るという噂は聞いていましたが、こんなにリアルな話を聞くのは初めてでした。
Yさんは、ストックしてあったク○ール○ップスープをマグカップに入れ、ポットのお湯を注ぐと、涙を浮かべながら怯えているTさんに差し出しました。
「いやぁ、まさかこんな形で出るとはなぁ。Tさん、アリスちゃんに似ていたんだね。きっと。」
と話し、
「悪いねぇ。その幽霊、私の古い友人で斎藤さんっていうんだよ。私がキャバクラに努めていた頃の常連さんでさ。当時、店にいた、東南アジアから出稼ぎに来ていた若い子アリスに入れあげて、とうとう自己破産までしちまった。将棋が好きでさ。時々、私、相手してやってたんだけど。日本語もろくに話せないアリスには、難しすぎたんだな。いつまでたっても、駒の動かし方すら理解できなかったのよ。
しょうがないから、将棋が出来なくても簡単に遊べる「ハサミ将棋」を教えてやったんだ。
斎藤さんもアリスちゃんも喜んでさ。以来、時間を忘れるほど楽しんでいたんだ。
たかが、「ハサミ将棋」だよ。笑わせるって。
斎藤さんは、その後肝硬変を患い、しばらくの間、隣の病院に入院していたんだけど。すぐ裏が飲み屋街じゃん。勝手に夜、病院を抜け出して、アリスに会いに来るんだよ。斎藤さんは、病院に入院している手前、飲めないから、ふたりで仲良く「ハサミ将棋」をして遊び、巡回の看護師がくる少し前に病院に戻る。客とキャバ嬢というよりは、中の良い父と娘みたいに見えた。
そんな嘘みたいな時間、そう長く続くわけ無いじゃん。
その後、アリスちゃんは、不法滞在外国人ということで、自分の国へ強制送還。斎藤さんは、肝硬変が悪化して、高齢のひとり暮らしは、そう長く続かなくて、結局、特養で最期を迎えた。一度面会に行ったけど、家族以外は駄目だって言われ門前払いを食らったの。頭にきて、喫煙室でタバコ吸っていたら、ここの所長に目をつけられて、「もうあなたもいい年なのだから、夜のお仕事辞めて、うちに来ない。未経験でも働けるわよ」ってハンティングされたんだわ。
キャバクラも、行政や警察の介入があったりして、なんやかんやとめんどくさいことになってたし、それこそ、いつまでもキャバクラ嬢っていうのもどうかと思ってね。即、辞表を書いて辞めたんだわ。キャバ嬢とヘルパー、どっちも接客商売だからさ。お酒提供する以外は、似ている所あるから。
今、洗濯室として使用している部屋は、、昔、娯楽室だったんだよね。
斎藤さん、ここに来て、たったひとりで将棋指してた。
今の娯楽室にある、月刊「将棋」は、斎藤さんの蔵書。
所長も私も、斎藤さんを知る人達は、捨てるに捨てられないって話してさ。
「なんだよ。ゆかり、なにか言いたげだけど。」
「いえいえ、なんかいい話だなって。昭和の一番羽振りの良かった時代を思い出してしまいました。」
私は、胸にこみ上げるものがあり、そう答えるのが精一杯でした。
Yさんの頬も、キラリと光っていたように思います。
その場に居たヘルパーたちは、皆 俯き、言葉を発することも出来ず立ちすくんでいました。
Yさんは、ぷいっと横を向き、Tさんに、
「こら、スープ覚めてるじゃないか。ちゃんと飲んで。」
と促しました。
「すみません。私、泣いちゃった。アリスさん、家族のために働いていたんですね。今、どうしていらっしゃるのかしら。Yさん、お時間のある時でいいので、ハサミ将棋、私にも教えて下さい。」
Tさんは、そういうとYさんに向かってお辞儀をしました。
「ちょっと、そういうの止めてくれない。斎藤さんの幽霊、しばらく、見かけなかったから、てっきり成仏したと思っていたんだけどね。あのバカ、アリスに似た子を探して、未だにふらふらと飲みに行ってたんだろな。Tさんさぁ、あんた見える人みたいだから、お願いがある。時々、深夜勤の時でいいから、会いに行ってやって頂戴?幽霊だけど、元は人間。いいヤツだったんだ。」
「え?でも、それって。」
「いいんだよ。そのうち、飽きれば成仏したくなるよ。アリスちゃんが迎えに来てくれなかったら、私が、引っ張っていくわ。安心せぃ。」
「死因は、肝硬変ですか。」
「最終的には、ターミナル病棟に移ってるね。だから、酒なんか辞めてさ。スープか味噌汁で我慢しとけばよかったんだよ。酒は、飲むもので、飲まれるもんじゃねぇんだ。」
「そうですよね。私もそう思います。」
Tさんは、頷くと、すっかり覚めてしまったスープを嬉しそうに飲み干しました。
@ふたば さん
クトゥルフ神話TRPGとSAN値、(・・?だったのでニコニコ大百科で調べました(笑)
ラヴクラフトが原作のゲームがあるのですね!RPGゲームをほぼやった事が無いのですが…勢いで書いた話にそんな雰囲気が出ていたとは(;゚Д゚)
一般投稿枠で続編を書く予定なので、彼女達の秘密が明らかになるかも…です。
@rano_2 さん今月も有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
これまた難解なお話ですね(・・;)
アリスに、エリサに、スープに、緑黄色の……、こう言うクトゥルフ神話TRPGシナリオありそうですね。
知ってしまったらSAN値が削れそうと言いますか、知ってはいけない背徳的神話生物との関わりがありそうと言いますか、知りたいという探究心と知ってはいけないという危機感が半々で残るお話でした(л・▽・)л
2人だけの約束と聞くと、ちょっとドキドキする様な感じがしますが、どちらかというとビクビクの方が強いですね(@_@)
@ゴルゴム13 さん
簡単に殺せない方法での殺人の方が、執着と言いますか怨みの強さが感じられたヒヤッとしますよね(・・;)
果たして、今月は正しい用途でハサミを使う方は出てくるのでしょうか…(°▽°)?
ちなみに私はやはりアリスといえば、某弦樂団とそのサークルが手がけるprojectに出てくる人形使いさんが真っ先に思い浮かびます(*´꒳`*)
「約束」
同級生に、アリスという女の子がいた。
親が資産家という令嬢だが、見た目は庶民と大して変わらず、言われなければ分からない。それ位、浮きも沈みもせず溶け込んでいた。
しかし、アリスの姉、エリサは違う。
この学校に通う人間で、彼女の振る舞いを知らない者はいない。
「ねえ…あの子、結局辞めたって…」
「他の所に転入したらしいよ?」
もう何回聞いただろうか。同期、もしくは後輩の、休学や退学の話。
学力の差や金銭的な理由も勿論あるが、殆どがエリサの手によるものだと、皆知っている。
なのに、学校側も家族も、止めようとしない。野放し状態なのだ。
多分、何かの病気だと思う。そう、アリスは言っていた。子供の時から癇癪が酷く、そのせいか、お付きの教育係がしょっちゅう変わっていたそうだ。
だが、父親は仕事で不在。母親は、「付き合い」と言って毎日出掛けては、夜遅くに帰って来る、という生活。
更には、使用人も次第に冷たい態度に変わり…安心して信頼出来る、甘えられる大人は、姉妹の周りから消えていった。
あんな環境で育てば、姉が暴走するのも仕方が無い…
アリスは時々、こんな話をしてはエリサを憐れみ、お金だけをバラまいて、ロクに子供を見ようとしない両親を軽蔑した。
そして、そんな環境から少しでも離れる為に、実家を出た自分自身さえ…時折責めていた。
けど私からすれば、想像するだけでも胸が痛くなる境遇でありながら、いつも穏やかで、賢くて優しいアリスは、誰よりも格好良く、美しいと思えた。
だからこそ…
「あいつの妹、この学校に居るらしいよ?同じ性格だったりして…怖っ(笑)」
…姉妹と言うだけで、アリスまでこんな言い方をされるのは、本当に納得出来なかった。
それだけ、アリスは本当に良い子で、親しみを向けるにふさわしい人間だったのだ。
「ねえ、今日飲もうよ!私の部屋で良い?」
どこからか聞こえた嫌味をかき消すべく、私はわざと大きな声で言った。
幸いな事に、アリスがエリサの妹だという事は、まだバレていない。
ありふれた苗字なのに加え、誰も妹の名前を知らないし、仮に知っていたとしても、同姓同名が、このマンモス校には意外に多くいたからだ。
…知っているのは、今の所、私1人だけ。彼女と私だけの、特別な秘密だ。
「うん、良いよ!講義終わったら、そっち行くね。泊ってもいい?」
「もちろん!」
お互いの部屋を行き来きして、お酒を飲みながら他愛の無い会話をする。どこにでもある、大学生の日常の風景だ。
ある1つを除けば…
「気を付けて。エリサに、遭わないように…」
separator
片付けを終え、テレビの電源を付ける。数分後、インターホンが鳴り、アリスがモニター越しに手を振った。
急いでオートロックを解除し、部屋に招き入れる。某高級ブランドのボストンバッグと、近所のお高めなスーパーの紙袋を手に持つ姿に…私は改めて、彼女は令嬢なのだと知る。
「お疲れ~。ちょうど片付け終わった所!大丈夫だった?」
「うん!今の所…大丈夫」
そう言いながら、アリスは窓の方に身体を向け、外の音に耳を澄ませた。
時刻は午後7時過ぎ。自宅のあるマンション周辺は、遠くの救急車のサイレンが微かに聞こえるだけで、閑静そのものだ。
「ね、大丈夫でしょ?」
「あ…ごめん!」
冷蔵庫からワインを取り出し、カップに注ぐ。総菜とお菓子をテーブルに並べた後は、ひたすら、ダラダラと飲み明かす…至福のひと時。
「あ!そうそう、韓流映画のDVD借りてきたから、一緒に見よう!」
「良いねそれ、楽しみ!」
「じゃあ、乾杯!」
ドラマやしょうもない話を肴に、時間は進んでいく。たらふく飲み食いし、風呂に入り…また飲み直す。
そして、夜もだいぶ深くなってきた頃…ふと沸いた恋愛話をきっかけに、真剣な話へと流れが変わり…私は、酩酊した勢いで、ある疑問を口にした。
「アリスぅ、エリサは~、なんであんなことばっっっかり、するんだろ~ね~」
「ん~~~?」
「バカみたいじゃん私達!一人の女にビクビクしちゃって~しょうもないよね!」
本音だった。
エリサが病気だとしても何だとしても、私達がそのせいで、神経を尖らせる必要なんて無い。
なのに、触らぬ神に祟りなし…とでも言わんばかりに、何の対策も講じない学校や親達が、同世代の子達に世話を押し付けている…そんな感覚が、入学してからずっと纏わりついて、モヤモヤしっぱなしだった。
腹立つ。
「あいつら!ど~いう頭してんだっつーの!」
「………」
「ありす~っ、聞いてる~?ねぇ、って—―――」
「スープだよ」
separator
アリスが、切り込むように言った。スープ?
「え?スープが…どうかしたの?」
「ママ、パパ…エリー…ひこうき、すごいねぇ」
アリスは、背後のソファに身体をうずめて、すっかり眠りについていた。
なんだ…寝言か。でも、寝言にしては流暢に…次々と、言葉が出てくる。
オアフ…コテージ…イルミネーション…どうやら、家族でハワイ旅行した時の思い出を、夢に見ているらしい。
私は気になって、アリスにそっと近付いた。
…実は、友達になってからまだ一度も、アリスが家でどんな暮らしをしてきたのか、聞いた事が無い。
何しろ、経済的な苦労とは無縁な生活。悲惨な思い出が多いけど、経済的な面で楽しい経験もあった筈だ。
旅行か…金持ち一家のハワイ旅行…きっと、自家用飛行機とかクルーズとかで、豪華な感じなんだろうな…
寝言と会話するのは良くない…と、知りつつも、私は、好奇心に抗えなかった。
「ねえ、ハワイでどんなことしたの?」
「…海に行ったの」
「それから?」
「夜…パパとママの友達が…いっぱい来た…」
「そこで、スープを飲んだの?」
「うん…パパの友達が…くれたの」
「パパのお友達が作ったの?」
「ううん…もっとおいしくなるって…くれたの」
「何を?」
「エリーが…泣いてたから…スープに入れた…」
「そっか…」
「エリー…すっごく怒るの…ぐちゃぐちゃにするの…」
「…何を?」
「ぐちゃぐちゃになる…ぐちゃぐちゃに」
「大丈夫?アリス…何がぐちゃぐちゃになるの?」
「全部!!!」
寝言とは思えない声の大きさに、思わず仰け反った。
一体私、何を聞いてしまったんだろう…いや…これは夢の中だから、ごちゃ混ぜになっているだけだ。だとしても、怖い…
酔った勢いとは言え、寝言と会話してしまった事を後悔した。ソファでは、さっきまで色々喋っていたアリスが、静かに寝息を立てている。
私もそろそろ寝てしまおうと思ったが…さっきの大声で、完全に意識が覚めてしまった。と、言うより…突然、胃袋から気持ち悪い感覚がこみ上げ、眠る所では無くなった。
トイレに駆け込み、便座に向けて頭を下げ…口から吐瀉を噴出する。
「…ごぼっ…げほっ!」
散々吐いて、もう何も出ないのに、何故か、食道から気管支が詰まっている感じが取れず…無理やり指を突っ込み、思い切りえづいた。
「…ゴエッ!うぐっ…うええええっ!」
ボチャン!
喉の詰まりが抜けると共に、便器の中に何かが落ちた。
水溜まりに浮かぶ「それ」は、黄緑色のぐちゃっとした塊になっていて…鼻をつく臭いを放っていた。
そんな色の付いた物は、昨夜食べた物の中に1つも入っていない。あるとすれば…何かに混ざっていたとしか考えられない。
…誰かが。
「うううっ…」
嘔吐の反動で、目の前の景色が渦を巻き始める。呻きながら、私はトイレのドアをどうにか開け、四つん這いで廊下に出た。
その途端――――目線の先に、両足が揃って並んでいるのが見えて、顔を上げた。
「…アリス…?」
違う。「彼女」だ。
立っていたのは、ぐにゃぐにゃに身体が曲がった、ワンピース姿の女。
口から、「ヒュッ」「プスッ」…と息を吐きながら、ひん剝いた目でこちらを見つめ…
両手にぶら下がっている大きな包丁を、私に向けて振り下ろした。
「キャアアアアアッ」
separator
「後輩が、絶対ここに進学したいって言ってるんだけど…どう反対すればいいか悩んでるの」
「知らない人には、憧れの場所だもんね、私もそうだったよ…後悔してるわ、あんな奴がいるなんて」
何かあると、すぐ皆、エリサに纏わる話で持ち切りだ。
何だかんだ言って、退屈な大学生活に、適度な不安と刺激をもたらす存在に…エリサに、依存しているだけ。
でも、彼女の姿を「ちゃんと見た人」は、1人もいない。
「お~い、食堂行こ!」
同級生の1人が、私に声をかける。昨日の夜吐いたせいで、胃の中は空っぽだった。
食堂の入り口に向かい、メニューを見る…その時、奥の厨房で、世話しなく動くアリスの姿を見つけた。
学食でバイトをしている、と聞いていたが、バイト中の姿を見るのは初めてだった。鍋をかき回し、調味料を混ぜ…エプロンのポケットから、何かを出して加えた。
黄緑色の…何か。
「ねえ、決まった?」
「え、あ…まだ…ごめん」
「そういえばさ、最近私…目の調子が悪いのか…エリサの顔が更に歪んで見えてさ…めっちゃ凹む」
「…そうなんだ…」
鼻をつくあの臭いが、厨房の奥から漂い始める。
ふと気づくと、アリスが口の前に人差し指を添えたまま、こちらをじっと見つめていた。
微笑みながら…
「ひ み つ だ よ」
また1つ、アリスとの約束が増えた。
@ふたば 様
コメントありがとうございます。
そうですね、言われてみればハサミで人を殺すのは簡単ではなさそうです。普通の文房具ではなく別の用途のハサミならどうですかね(これを読んだ皆さま、ハサミは正しい用途に使ってください)。
アリスというとまずルイス・キャロルですが、そこからインスピレーションを得た様々なアリスが複数の媒体で登場してますね。近頃僕はペルソナ5のアリスにツボってます。
@ふたば 様
お約束どおり、再アップいたしました。
こんなに長いお話って、朗読するの嫌になりますね。
私の友人は、フリーアナウンサーをしているんですが、今から20年ほど前は、女子アナの定年って30歳と言われていて、それまでに、将来はどの方向に進むかを決めなければならなかったのだそうです。
今では珍しくない女性ニュースキャスターですが、当時の女性の社会進出ってなかなか厳しいものがありますね。
私は、ラジオを聞くのが好きで、ラジオネームも持っています。地元のFM局にも時々投稿します。学生の頃は、深夜放送に夢中でした。
今月のお題、一番の難題だった「アリス」が一番楽しく絡んでくれました。
素敵なイベント企画ありがとうございます。
私の作品が朗読されるのを聞いて、ウルウルしてしまいました。
自分で書いていてこういうのもなんですが、
8月の投稿作「盆の舟」とっても怖いです。
よくあんな怖い話かけたなぁ。と他人事のように聞いてしまいました。😁
「探しもの」
某地方都市のFMラジオ放送局。
土日をのぞく毎朝7時からの市民参加の情報番組「ハローFM」は、ここの看板番組だ。
パーソナリティーは、矢沢理沙。
元大手放送局KBMの女子アナとして、夜8時台のバラエティ番組を任されていたこともあるだけに喋りは上手い。
理沙は、人気絶頂期に突然放送局を辞任し、北関東の地方都市に移り住んだ。
事実上の引退である。
今は、地元のイベントやホテルの結婚式、カルチャー教室のマナー講師などをして生計を立てている。
二度と放送業界に足を踏み入れることはないと思っていたが、華やかな容姿、頭の回転の速さ、過去の業績を、周囲がほうっておくはずはない。
今から三年前、地元の企業が協賛し、ミニFM放送局を立ち上げる際、かつての仕事仲間だった佐藤真からの依頼で、渋々引き受けたやっつけ仕事だったのが、ズルズルと更新を続け今に至る。
以前勤務していた大手の放送局とは違い、ひとりで何役もこなさなければならない大変さはあるが、リハーサルや事前の綿密な打ち合わせといった作業はないに等しい。
番組が始まる1時間ほど前に、その日読む原稿と地元紙及び全国紙のチェック、番組宛てに届いたメールや書類に目を通し、番組途中で流す音楽をチョイスする程度でオンエアに突入出来る。手順と全体の流れさえつかめば、あとは、ルーティーンでサクサク行ける。
そんな気安さもあって、理沙は、この仕事が辞められないでいた。
理沙は、マイボトルに入ったぬるいコーヒーを口に含みながら、人気コーナー「今日のお呪(まじな)い」に寄せられたSNSの内容をチェックする。
元々この時間は、スポンサーがつきにくいことから、穴埋めとして「星占い」を入れていた。
ところが、2月に入ってすぐ、番組に届いた「バレンタインデーに恋が成就するお呪(まじな)い」を紹介したところ、
「見事成功しました。ありがとう。」
「片思いの彼に思いが通じました。」
「お互い両思いだった事がわかり、今では交際に発展し毎日が充実しています。」
「この番組のおかげで、大好きな彼からプロポーズされました。」
といった成功体験談が連日届くようになった。
以来、誰でも手軽に簡単にできる「お呪(まじな)い」が若い女性たちを中心に口コミで広がり、朝の地味な情報番組に一気に火が火が点いたというわけだ。。
ラジオのリスナーは、比較的年齢が高めなのだが、このコーナーが始まる7時25分過ぎからは、一気に年齢層が若くなる。
ただ、最近は、マンネリ化してきたせいもあり、以前番組中で紹介したものと酷似したお呪(まじな)い や、放送コードに引っかかりそうなもの。怪しげな情報商材の販売を目的としたいかがわしい投稿も散見するようになり、そろそろ見直しの時期かなと思い始めていた。
とはいえ、新たな企画に向けたアイディアなど、早々簡単に出てくるはずもなく、理沙は、いつものように事前の書類や番組宛てに届いたリスナーからのメール等をチェックしていた。
「ん!何この投稿。」
それは、添付ファイル付きの一風変わったメールだった。
「拝啓 矢沢理沙様
さて、これからお話することは、私が、過去行(おこな)って一番効果のあったお呪(まじな)いです。
必ず、効果があります。
ただし、叶えて欲しいお願いは、「さがしもの」「みつけてほしいもの」に限ります。
ただ、効果がある分、守っていただかなければならないことがたくさんあります。
それについては、詳しく別途添付ファイルに記載してあります。
投稿内容を熟知し、是非、リスナーの皆様へご紹介いただけますようよろしくお願い申し上げます。
投稿者 :有栖川 孝子(匿名希望)
ラジオネーム:「アリス」
・用意するもの:ハサミ(工作、裁縫どちらでも構わない
:カップ一杯分の具材の入らない温かいスープ
:引っ掛けるためのフック
:フックを取り付けるための金具ほか工具
:タコ糸もしくは細い紐
・守るべき決まり:必ず単独(1人)でする。
:個室
:窓やドアは施錠する)
:ハサミの片方、取手の部分を紐で結び、先端に輪をつくる。
:天井の中央フックを取り付け、輪っかを引っ掛けて吊るす。
:垂らす長さは、正座した状態で頭上5センチ程度
:部屋を暗くする。もしくは、カーテンを引いて外光を遮断する。
:スープは、塩味。
・お呪いの手順:①ハサミの下に正座する。
②目を閉じ、ゆっくりと「アリスさん、アリスさん、来てください。」と声に出して念じる。
③吊るしたハサミが、ゆらゆらと揺れだしたら、
「アリスさん、来ていただいてありがとうございます。〇〇をなくしてしまいました。困っています。探していただけないでしょうか。」と探してほしいものや探して欲しい人の名前を告げ黙祷する。
④10分程経過し、ハサミの揺れが収まった頃を見計らって、ハサミの取手から紐を外し右手(利き手)に持つ。
⑤再度、部屋の中央に正座し、ハサミを左右どちらかの耳元に持ち、刃をシャカシャカと開閉させる。
⑥「アリスさん、来ていただいてありがとうございました。全て、あなたのご指示どおり実行いたしました。○〇を探し、見つけていただきましたら、私の望む最もわかりやすい方法で教えてください。」と告げ頭を下げる。
⑥ハサミの刃が、自分の手前に来るように置く。
⑦具材の入らないスープをゆっくりと飲み干す。
⑧天井のフックを取り外す。
⑨カーテンを開け、窓やドアの施錠を外し開放する。
⑩「ありがとうございました。それでは、お帰りくださいませ。良い知らせをお待ちしております。」
とドアに向かって一礼する。
以上です。
尚、この手順を間違えたり、準備するものをないがしろにすると、願い事は、一切聞いてもらえないどころが、逆に大切なものをなくしてしまいかねませんので、慎重に行ってください。
何が起こっても、当方一切責任を持ちません。全て自己責任で行ってください。との但し書きもお忘れなきようお伝え下さい。
と締めくくられていた。
いかにも、若い女性の好みそうなお呪(まじな)いだなと、理沙は苦笑
しながら読み終えた。
さてと。
ところで、このお呪(まじな)い。
「今日のお呪(まじな)いコーナー」に使えるだろうか。
再度、添付ファイルに記載された懇切丁寧すぎる決まり事を見る。
守らなければならないことが多すぎて、一度聞いただけでは全て理解す
ることはできそうもない。
これは、お呪(まじな)いではなくて、もう一つの「よみがな」である
「呪(のろ)い」にも等しいと思う。
とても、時間内で紹介できるような内容でもなく、理沙は、もっと簡単に出来る「ハサミのお呪(まじな)い」はないか、ネットで検索してみることにした。
「ハサミのお呪(まじな)い」を検索にかけて驚いたのは、意外にも
このお呪(まじな)いにまつわる記事が多いことだった。
ヒットした数だけでも、ざっと20件はある。
どの記事も、わかりやすく、中には、ご丁寧に図解や写真入りで紹介し
ているサイトもあった。
ブログの記事を読むと、探しものが見つかった時の喜びの体験談や無くした物を見つける際の「コツ」などが、懇切丁寧に書かれてある。
誰でも一度は、探しものをする際、お呪(まじな)いや、神仏に祈り願
ったことがあるのだなと、微笑ましい気持ちになった。
理沙は、有栖川孝子 ラジオネーム:アリスから届いたことは紹介するが、メールの添付ファイルの手順については、ざっと述べることにして、、お年を召した方や若いリスナーにもわかりやすいように簡略化して紹介することにした。
こうして放送された、「ハサミのお呪(まじな)い」は、予想外に好評を
博した。
放送直後から、
「なくした手帳が見つかりました。」
「ありがとうございます。迷子になった犬が戻ってきました。」
「紛失してしまったと思っていた職場のロッカーの鍵が、庭の生け垣に挟まっていました。」
「まさか、こんなところに…と、いうような場所から見つかりました。」
中には、「行方不明になっていた身内の所在がわかりました。」
なんて、笑えない内容のものまで届いた。
その日だけで、山のような感謝のコメントが番組宛てに寄せられ、それから数日間は、日がな一日、電話やメールへの対応、SNSの返信に追われることとなった。
マンネリ化しつつあった、「今日のお呪(まじな)い」コーナーは、再び
以前のような活気を取り戻し、それに伴い、FMラジオ放送局の人気も上
昇するかのように思われた。
理沙は、「ハサミのお呪(まじな)い」のヒットにより、ご褒美としていつもより長めの連休をもらった。
気ままな独身生活。
理沙は、かつての恋人、里中満との逢瀬を楽しむため、休暇中、仕事がらみの連絡は、全て断つことにした。
「長期休暇がもらえた。明日は、ふたりの思い出の地で会おう。」
満から届いたLineに「了解」と送信し、理沙は、スマホの電源を落とすとしばし眠りについた。
それから数日後、市街地の片隅にある雑居ビル一帯は、休日だと言うのに、騒然とした雰囲気に包まれていた。
地元のFM局人気パーソナリティ矢沢理沙が、ラジオ局のあるビルの
屋上から飛び降り自殺をしたというのである。
何者かの手によって、遺体の左右の目は抉り取られ、左右の耳は、鋭利
な刃物で切り取られていた。
右手には、
「アリスさん、リスナーの皆さんごめんなさい。理沙は、地獄
堕ちます。」
と書かれた紙が握られ、口元には、直前に飲んだと思われるコーンスー
プがこびり付いていた。
遺体の損傷は、予想外に激しく、自殺と見せかけた猟奇殺人かもしれない。警察は、事件も視野に入れ捜査を開始した。
理沙のバックに入っていたスマホのLineの履歴から、この日の午後、会う約束をしていた里中満に疑いの目を向けた。
ところが、自宅はおろか、勤務先のテレビ局、交友関係、行きつけの店などシラミ潰しにあたってみても、満の痕跡はどこにも見当たらなかった。
近所の聞き込み調査によると、満の姿を見かけなくなったのは、かなり前からとのことだった。
里中満一家について尋ねようとすると、皆一様に、口を閉ざし、何か隠しているようにも感じられた。
「ご主人、お仕事がテレビ局だったから。いろいろあったみたいで。」
唯一、重い口を開いた隣家の奥さんも、苦渋に満ちた顔をして絞り出すような声で話していた。
満の自宅では、満の母親が、泣きながら心病む満の妻、里美の食事介助をしていた。「里美さん、あなたの大好きなコーンスープよ。」、
そう言いながら、芙美の口元にスプーンで一口ずつ、ゆっくりゆっくり時間を書けて、具材の入らないコーンスープを注いでいた。
里美は、鳥の嘴を象った小さなハサミを手に、耳元でハサミの両刃をチョキチョキと開閉させながら、
「みぃつけた。みぃつけた。」
スープが口元から零れ落ちるのも気にもせず、子どものようにはしゃいでいた。
「アリスさん、見つけてくれてありがとう。隠してくれてありがとう。」
その脇から、里美の言葉を遮るように、満の母が絞り出すような声で叫ぶ。
「すみません。見ればおわかりのように、嫁は、少々頭がおかしくなっておりまして。後生ですから、今日のところは何もお話できることはございません。お帰りくださいまし。」
刑事は、この夫婦、この家族以外にも、触れてはならない何かが蠢いているような気がして、これ以上深堀りは禁物と判断し、血気盛んな新人警官を制し早々にその場を後にした。
あの悲惨な出来事からまもなく、例の雑居ビルは解体された。
しばらくの間、遺体のあった現場には、花束が置かれていたが、雪が降り積もる頃には、全て撤去された。
近代的なインテリジェンスビルに移転したFMラジオ放送局は、この4月大幅な番組編成が行われ、パーソナリティも一新された。
人気を博した「今日のお呪(まじな)いコーナー」は、星占いコーナーに戻り、平穏な日々とともに、リスナーの年齢層も元に戻ったとのことだ。
ふたば様
はい!どうぞ「都市伝説」に乗っかってくださいませ。
いかようにも用いてくださって構いません。
「有栖川孝子」(ハサミさん=アリスさん)を「山村貞子」(リング)「佐伯伽椰子」(呪怨)それこそガチの「鹿島玲子」(殿堂入りの都市伝説キャラ)に昇格してくださいませ。😁
私的には、苦肉の策で生まれたキャラなので、時々、自作品にも登場してもらおうかなと思っています。
古くから西洋の怪談には、「シーザーハンズ」(ハサミ男)が出てきます。
お呪いをすることで出てくる、アラジンの魔法のランプみたいな存在で、貞子のような女がいたら面白いかなと思いました。
話は変わって、手間がかかるからと言って、安易にコピペは、駄目ですね。
ソフトの互換性の相性だと思いますが、からを焼かずに、ちゃんと「怖話」のテキストに書け!ということなんでしょうね。反省と後悔しきりでした。
ふたば様のおかげで、長年のスランプから脱出できました。
老いては子に従えですね。
このところ、睡眠時間が3時間程度になってしまっておりまして。
さすがに、今宵は、休んだほうがいいなと思っています。
締め切りまで、まだ時間がありますが、明朝起きて三作目を仕上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ふたば様の作品楽しみにお待ちしております。
すごいですね。
そんな素晴らしい方に朗読していただけるなんて。
このご縁と出会いは、今後の励みになりますね。
いえいえ、ふたば様は、そのような幸運と栄光を得るにふさわしい器の方です。
作品の良さとふたば様のお人柄に轢かれたのだと思います。
厄年は、名作ですもの。
今後がとても楽しみです。
私の友人たちもYou Tube動画アップは、片手間では出来ないと話しております。
たしか、編集は、外注していたと聞きました。
たったお一人で、頑張っていますね。
拙作駄作を投稿するぐらいしか出来ませんが、いつも応援しています。
ではでは、明朝。
おやすみなさい。
返信不要ですよー。
止まらなくなるからねー。(高速ババア あんみつ姫)
@ゴルゴム13 さん、先月に続き今月も御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
ダークファンタジーや精神崩壊の描写が、ゴルゴム13さんの書かれるお話の中で特に好きなので凄く楽しんで読ませていただきました(*⁰▿⁰*)
実際、ハサミで人を殺すのって凄く大変そうですよね、首や脈を切るのには適さないですし、出血も致死量にはなりにくそうで、何度も何度も何度も刃を突き立てないと中々死んでくれなさそうです。
ハサミでの殺人を達成する地点で、既に普通の精神状態では無いような気がしますね(л・▽・)л
ゲームだったら殺せた瞬間にトロフィー獲得出来そうです( ´∀`)
「アリス」ってピーターパンみたいに、精神が子供のまま時が止まっているヒトの事を指す事もあったなぁ、なんて、ふと思い出しておりました( ˘͈ ᵕ ˘͈ )
@あんみつ姫 さん今月3作目、有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
文章まるっとコピーペーストすると、偶に変な改行のされ方にならんですよね、私の場合スマホのメモ帳からコピペすると稀に起こります(。-_-。)
『ハサミのお呪い』がいよいよ本格的に都市伝説になってまいりましたね。まだお題短編1文字も書いて無いですし、私も乗っかろうかな… ( ¯꒳¯ )ᐝ
再投稿に関しては、既に高評価を付けていただいた方が3名もいたのに、凄い申し訳無かったです……
スマホで動画を作ると中々アップロードが大変みたいで、今回は過去最長の動画だったのもあり元の音源と比べてかなり音質が落ちておりました( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )
音量を上げてみると、かなり明確に音の悪さって出ちゃうので、スピーカーで聞く派の方は特に不快だったかも知れません( °-° )
ちなみに私のお話を朗読して下さったのは、埼玉テレビでナレーターをされている方でして、読んで頂いたお話は今年最初に掲示板で書いた『厄年』でしたꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫
本当私には勿体くらいの朗読で、いい目標が出来ました(*´꒳`*)
そろそろ夜も冷えて参りました、あんみつ姫さんこそ、ご無理の無いようお気を付けてお過ごし下さいませ⊂( っ*´ω`*)っ🌱
ふたば様、皆様
ごめんなさい。
「さがしもの」
一部、表示がおかしくなっています。
一旦、削除させていただきます。
勝手をいたしまして、申し訳ございません。
表題も併せ、今晩中に訂正し、明朝までに、再投稿いたします。
今月は、三題お題作品、本作をもって終了とさせていただきます。
今月後半は、執筆途中の自作品と一部新作に取り掛かる予定です。
アップできるかどうかは、未定です。
ではでは、また後程。
先ほどはロビン先生の掲示板に誤って投降してしまいました。済みません。字数がややオーバーしましたが、これ以上は削れそうにないです。
【幸せのスープ】
「アリス」
先輩が湯気を立てるお皿を私の前に置いた。
「スープはいかが?」
今日のスープはじゃがいもをとろとろになるまで溶かし込んだクリームスープだ。微塵切りパセリの緑色が食欲をそそる。
「他の部員は?」
「もう帰ったわ。それよりアリス、早くスープを召し上がれ」
一口スプーンですくって口に運ぶ。甘い香りと、ほんのり酸味がかった味付け。申し分ない出来だ。
「おいしいわ」
「そう、良かった」
向かいに座った先輩は嬉しそうににっこりと笑顔を浮かべ、ピースサインを見せた。
それを見て、一瞬遅れてアリスの顔が強張る。
「ハサミは怖いの」
「え? あ…………ごめん、そんなつもりじゃ…………」
「先輩だけは、私を傷つけないって思ってたのに」
アリスの顔が青ざめたまま、声のトーンに冷たいものが混ざる。
「ごめん、アリス。お願い、やめて。私がいなくなったら、あなた…………」
「だめ。絶対許さない」
いつの間にか手にしたハサミを、何度も先輩に振り下ろすアリス。鮮血に塗れながら、アリスは恍惚とした表情を浮かべた。
§
「発見が早かったため、すぐに処置できましたので一命は取り留めました。しかし今後は二十四時間拘束衣を着せる必要があります」
白衣姿の医師たちが、カルテに目を通しながら話し合っている。
「西園寺有栖、麗桜女学園高校二年。性暴力から逃れるために父親をハサミで殺害。その後事件の記憶を失うとともに極度のハサミ恐怖症となる、か」
「空想上の先輩を罰するために、自ら腹部を刺したようです」
「ハサミはどこから?」
「看護師のポケットから抜き取ったようです。以前はハサミを見るだけで失神するほどだったのに、一体何を考えているのか……」
「あの子にとって、ハサミは忌まわしき記憶の鍵であると同時に、自らを救ってくれた守り刀のようなものなのだろう。これからはもっと注意しなくてはな」
§
「スープが飲みたい」
全身を拘束され、虚脱したまま独り言を呟く。料理部の先輩のスープは幼い頃病没した母の味を思い出させるのだ。どんなに嫌なことがあっても、彼女のスープがあれば生きていける。だから先輩、早くスープを、私のためのスープを作って…………。
「アリス」
母の面影を宿す先輩の優しい声が聞こえた。よかった。来てくれた。
「スープはいかが?」
@ふたば 様
え?そうですか。
アップされたと同時に、拝聴いたしましたが、そんなことはございませんでしたよ。
音声配信は、難しいですよね。
いつも応援しております。
がんばりやさんのふたば様ですので、どうぞご無理なさいませんように。
母は、それだけが心配です。
You Tubeに朗読を配信するようになって、早一年になるのですね。
継続は力なりとは申しますが、よく頑張ってこられましたね。
プロの声優さんから作品を朗読させてくださいとの申し出があったとのこと。
素晴らしい!!です。誰彼が出来ることではございません。
母は、良い息子を持ったと喜んでおりますよ。
ふたば様もそうですが、皆様、お仕事をお持ちになられていたり、ご家庭にご事情がおありだったりと、二足のわらじを履くのは大変だと思うのですが、怖い、楽しい、切ない、悲しい、感動するお話を投稿できている姿に、毎回励まされております。
You Tubeでは、たくさんのお褒めの言葉を頂戴し恐縮しておりました。
ありがとうございました。
相変わらず、愚作、拙作ばかりですが、精進しつつさらなる研鑽を積みたいと存じます。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
音質が酷すぎて再投稿しました…orz
まだ音質は悪いままですが、ある程度マシになりました……
https://youtu.be/omL3byV-eF0
お聴き下さっていた方々、本当に申し訳御座いません。次の投稿迄に何とか改善致しますm(_ _)m
ちょっと動画の音質が聞くに耐えないレベルで悪いのですが、再アップしても大丈夫ですかね……
録音機器の都合で元々音質が悪いのに、更に酷いことになってしまっております_:(´ཀ`」 ∠):
@ふたば 様
You Tube動画配信 朗読お疲れさまでした。
今月最後となります。
お題三題最後の作品をアップいたしました。
このお題、いろいろ楽しめました。
アリスという名を元に、後3つほどバージョンを変えた作品のプロットだけは出来ていますが、流石に今月は、他の作品も投稿したいので、諦めました。
「ハサミのおまじない」の別バージョンをもう一作投稿しました。
地方のFMラジオ局が舞台です。
ご笑覧いただければ幸に存じます。
長編に鳴ってしまい本当に申し訳ございません。
ではでは、このへんで。
本編にもアップいたしますね。
ご利用の皆様へ🌱
8月のお題朗読、投稿完了致しました( ᴗ ̫ ᴗ )
https://youtu.be/bpz9ejd2Nt8
歴代最長の動画になった為か、アップロードにかなり手こずりました… (;'∀')
そろそろ動画の編集アップもノートPCで出来る様にならなきゃですね(。-∀-)