皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )
↓
🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。
🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。
🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。
🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html
🌱お題は毎月一日に更新されます。
🌱提出期限は毎月28日までとします。
🌱お話はいくつ投稿しても構いません。
🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。
🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)
🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。
🌱感想だけのご参加も大歓迎です。
🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。
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【11月お題】
「黄泉」「狐」「エレベーター」
投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59
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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……
そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )
※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。
📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」
【5月お題】
「人混み」「電話」「花瓶」
【6月お題】
「墓場」「毒」「待つ」
【7月お題】
「海」「境界」「糸」
【8月お題】
「打ち上げ」「ライト」「未練」
【9月お題】
「借りもの」「バス停」「斜陽」
【10月お題】
「骨董」「ピエロ」「姉」
※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。
企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m
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@ふたば さん
ありがとうございます。
文学しりとり、恩田陸の『月の裏側』に出てきましたね。
お題はできるだけ変化球で返せるように考えました。
@綿貫一 さん2作目も有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
中々頭の良さそうなしりとりをしていますね……
それにしても、お題の使い方のクセが凄いです。笑
このしりとりも、深く妻のことを考えさせないために、他のことで思考を紛らわせるのが目的だったのでしょうか、最後の著書名の皮肉とちゃんと「ん」で終わるところが悲しいお話ですね( ´ • ·̫ • ` )
「孤独の食卓」
「『銀河鉄道の夜』。
どうだい?僕の作った『鳥ささみのチーズハサミ焼き』は?」
「『流刑地にて』。
うん、美味しい。貴方、料理上手になったよね。昔はからっきしだったのに」
「て……か。じゃあ、『手紙』。夏目漱石のでも、芥川のでも、堀辰雄のでもいいよ。
まあね、今じゃ作れるメニューもずいぶん増えたよ。ハンバーグだろ、豚のしょうが焼き、もつ煮込み、すき焼き……」
「『道草』。
お肉ばっかりじゃない。ダメよ、貴方太りやすいんだから。ちゃんとお野菜食べなさい」
『最後の一枚の葉』
『歯車』
『まだらのひも』
『妄想』
「『ヰタ・セクスアリス(ウィタ・セクスアリス)
』。
確かに最近在宅勤務が増えて、すっかり丸くなったなあ。通勤って、嫌だ嫌だと思ってたけど、運動習慣としては意外に効果的だったんだなって、今になって思うよ。
半年で3キロも増量中さ。見てよ、この包容力に溢れたお腹」
「『砂の器』。
やめてね、次会う時別人のように丸くなっちゃってるなんてことは。私は学生時代の、ラグビー部のキャプテンだった貴方に惚れて結婚したんだから」
「『我が闘争』。
ところで、キミの方は最近どうだい?」
「『浮雲』。
別に。これまで通りよ」
「これまで通り、ね」
『燃ゆる頬』
『方丈記』
『城崎にて』
『停車場の少女』
『夜明け前』
『遠望』
「そ。これまで通り。
う……よ、う。降参かしら?」
「『雨月物語』。
キミは最近、そればっかりだ。僕ばかり話すのはフェアじゃないよ。
なんでもいいんだ、面白かったネット配信の話でも、美味しい喫茶店を見つけた話でも、実はちょっぴり体重が増えた話でも」
「増えてないわよ。『料理芝居』。
ねえ、この話もうやめない?明日は月曜なんだから、貴方も早く寝た方がいいわよ」
『伊豆の踊り子』。
『好色五人女』。
『夏への扉』。
『ラプンツェル』。
『流浪の追憶』。
『唇のねじれた男』。
「『子猫』。もうキミの新しい話を聞かなくなって、ずいぶん経つよ。3ヶ月?半年?いや、2年か?」
「ねえ、貴方もうやめて。寝ましょう。ね?」
「僕は歳をとったけど、腹も丸くなったけど、キミはちっとも変わらない。そりゃ奥さんの見た目が若いままなのは歓迎すべきことかもしれないけれど、夫婦仲良く共白髪、一緒に歳をとることはそれ以上に嬉しいことだ。どうしてだ、どうしてキミは変わらない?あの日から、3年前の9月12日から貴方もうやめてそれ以上思い出したら駄目よ」
僕は自分の口から飛び出した妻の声に、脳ミソにジャーマン・スープレックスをかけられたかのような衝撃を受けた。
「思い出しちゃったね。大丈夫よ、いつものお薬を飲んでゆっくり寝れば、また全部元通り。
だから貴方、今はおやすみなさい。
『幸福論』。」
@ロビンⓂ︎ 様
「ホームヘルパー」お読みいただき、素敵なコメントありがとうございました。
拙作にもかかわらず、いつもお優しい配慮に感謝申し上げます。
お気に召してくださって嬉しいです。
ただ、怖いだけではなく、ほんのりとユーモアやペーソスを入れられたら、作品に奥行きと彩りが出来るのにと、いつも思っておりました。
ロビン兄様のような絶妙な笑いのセンス 何とか習得してみたいです。
この度も、励ましのお言葉身にしみる光栄です。
シリーズ化は、考えておりませんでした。
本編にアップした後、皆様の反響を見てからどうするか決めたいと存じます。
@ふたば 様
ふたば様の作品も大好きです。
今日明日中と決めると、プレッシャーになってしまいますから、気を楽に持って臨んでくださいね。楽しみにお待ちしております。
さて、私の拙作二作ですが、どちらの作品も、800字どころか2000字超えしてしまってますね。
本当に申し訳ございません。
「ハサミのお呪い」は、本編に先にアップするという、いつもとは真逆の手法を取り、チャレンジしたものですが、結果的に、大失敗でした。
時間を経て、また、皆様から頂戴したコメントを参考に、大幅に加筆修正し、意味不明の箇所は全て大鉈を振りました。
前半の虚構のお話と後半の実話との整合性をはっきりさせるため、敢えてネタバレを提示するというわかりやすい展開にしてみましたが、今後、もう少し手を加え、車様が惚れたという、女男前の有栖川孝子さんに活躍してもらおうかなぁとも考えてみたりしています。
ジャンル的には、ファンタジーに入るんですね。
ふたば様に気に入っていただけて嬉しいです。
「ホームヘルパー」は、今や身近なお仕事ですね。実際に、レビー小体型認知症と言われる方の担当だったのですが、とてもしっかりしておられて、どこが認知症?幻覚、妄想なんてかけらもない方でした。どこか幼子のような純粋無垢な心を持った方でしたね。
ふたば様も日頃からご年配の方々と接する機会が多いのですね。
「昔は〇〇だった。」は、多少誇張もあるかもしれませんが、概ね事実ですから、眉唾つけながらでも、傾聴して差し上げたほうがよろしいかも。
優しくて穏やかなふたば様でしたら、老若男女とわず、どなたにも好かれるでしょうから、心配はご無用ですね。
この手の、ありそうでなさそうなお話は、枚挙に暇がございません。
在宅ヘルパーは、ハマれば、こんなに楽しい仕事はないとおっしゃる先輩もいらっしゃいますが、人様のご自宅にお邪魔してのお仕事、私は、正直自信がないです。(^_^;)
今月のお題は、難しい反面、いかようにも創作できて、思いの外楽しかったです。
ふたば様の朗読も、継続されていて、素晴らしいと思いました。
800字の壁超えは、進撃の巨人でも難しいかも。😁
でも、規約ですからね。
次回からは、また、以前のように しっかりと守りたいと存じます。
リレー競作も始まることですし、今年の後半は、「怖話」一色に染まりそうですね。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
尚、このコメントには、返信不要ですよ。
ご自身の作品に専念してくださいませ。
@あんみつ姫 さん有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
『ホームヘルパー』『ハサミのお呪い』2作ともどこかファンタジーな世界観で、そんなお話が読みたかった出題者は大喜びです(ง ˆ̑ ‵̮ˆ̑)ว゛
『ハサミのお呪い』の方は劇中劇と後語りとして投稿後のお話に分ければ短編2作になるのでは?とも思いましたが、分けてもどちらも800文字オーバーでした。笑
これなら分割しない方がいいですね(´∀`=)
最初の投稿時のものよりも、わかり易くなりましたね。◯◯君の悪意が浮き彫りになり、まるで虚構の呪(まじな)いが現実の呪(のろ)いへ変貌したかのようなお話になりました。車猫次郎さんのクエスチョンにも明確な答えが書かれて納得出来る内容になりましたね(*´꒳`*)
私も職場でお年を召した方々と関わる部分がかなりあるのですが、同じ80代の方たちでも身体的健康度はかなり違いますよね。60代の方なんて高齢者扱いするのも失礼なぐらいです。そんな方々の「昔は◯◯だった」という話も、もしかしたら誇張じゃなかったり…?なんて、思ってしまいました( ´∀`)
文字通り「嘘のような本当の話」が体現されたようでした´ᯅ `
8月の朗読は今日か明日(出来れば今日中に)投稿致します_( :⁍ 」 )_
あんみつお姉様、ホームヘルパー最高ですね!
ほー、ほー、と最後まで感心しながら読んでしまいました!これ、シリーズ化してもよろしいんじゃないでしょうか?…ひひ…
「ハサミのお呪(まじな)い」
俺の職場の同僚から聞いた話。
伝聞だから、多少尾ひれはついていると思うけど、シャレにならない話だからリンク貼っておくね。
§
同僚のKが、前の職場で働いていた時、先輩に、「アリスさん」と呼ばれている人がいた。
アリスさんは、ニックネームで、本名は、
「有栖川(ありすがわ)孝子(たかこ)」
と言うらしい。
なぜ、アリスさんと呼ばれていたかというと、肌が抜けるように白く、彫りの深い顔立ちをしていて、背丈は平均的な女性の身長よりも、かなり高めだったから。
175センチあるKと変わらないか、それよりも若干高かったかもしれない。
要するに、全てにおいて日本人離れしていたんだと。
(話の便宜上、有栖川さんではなくアリスさんと呼ぶことにする。)
当然、そんな容姿をしていたら、人目につくし、言いよる男性も少なくなかったと思うが、Kの話だと、近寄りにくいというか、あまり人と関わりたがらない、どこか孤独な空気を漂わせている人だったらしい。
Kの会社は、都心でもオシャレなオフィス街にあったから、お昼時になると、女子社員たちは、皆連れ立って外に食べに行くんだけど、アリスさんは、毎日お弁当を持ってきて、一人で食べていた。
お弁当の他に、アリスさんは、いつも保温容器に入ったスープを飲んでいた。
Kは、たまたま、アリスさんの前を通った時、さりげなくその保温容器の中身を見てしまったんだって。
何が入っていたと思う。
人の目玉や耳が、それも、そのままの姿ではいっていたんだってさ。
Kは、驚いて持っていたコーヒーをぶちまけてしまったらしい。
アリスさんは、「やれやれ。」と言った表情で、飛び散ったコーヒーをデスクに置いてあったティッシュで素早く拭き取ると、呆然としているKに、
「何か見た?見えた?」と鋭い目つきで尋ねたそうだ。
Kは、蛇に睨まれたカエルのように、
「いえ。ちょっと手が滑ってしまったんです。すみません。」
と答えるのがやっとだった。
アリスさんは、そんなKを見て、口角を少しあげ、ふふっと笑い、
「ほら?」
保温容器を片向け、スープの中身を見せてくれたそうだ。
恐る恐る覗き込んだKだったが、そこには、ただのコンソメ風の野菜スープがはいっているだけだった。
kは、この話を怖くて怖くて誰にも話せなかった。
§
その数日後、そんな「アリスさん」を巻き込む不思議な出来事が起こった。
Kの会社が立ち上げた一大プロジェクトの重要書類が地下金庫の中に大切に保管されていたにも関わらず根こそぎ盗まれてしまったというのだ。
企業機密として強固なセキュリティ体制が整っていたはずなのに、これは一体どうしたことか。
本来、絶対にあってはならない緊急事態だ。
会社全体が騒然とし。皆が、途方に暮れる中、アリスさんだけは、淡々と仕事を続けていた。そんなアリスさんを見て、kや他の女子社員たちは、少し腹が立ったらしい。
中でも、いつも仕事が遅くて、上司から叱責を受けているNさんが、ここぞとばかりに、
「なんであなただけがそうしていられるのよ。まさか、あなた、この件に関わっているんじゃないでしょうね。」と詰め寄ったんだと。
アリスさんは、「しょうがないわね。いっちょ、やるか。」
徐に立ち上がり、自分のデスクの引き出しの中から、金色に光る大きなハサミを取り出した。
それから、ハサミの取手に、くるくると麻ひもを巻きつけたかと思うと、その先に輪ゴムぐらいの大きさの輪っかを作った。
「これで、よし!」
アリスさんは、ハサミの取手に結んだ麻ひもが取れないことを確認すると、
デスクの上に昇り、照明器具のツメの部分に麻ひもの輪っかの部分を引っ掛けて吊るした。
天井を見上げる社員一同の頭上に吊り下がる金色の大きなハサミ。
その切っ先は、人の心臓を射抜く鳥の嘴のように思えて、社員たちの目には、たいそう不気味に映ったらしい。
アリスさんは、
「ほんとはさぁ、この神聖な儀式は、ひとり静かな場所でしなきゃ意味ねーんだけどさ。
おめーらが、ぎゃあぎゃあ騒ぐから、やったるわ。よーくよーく、見ておけよ。二度としねーからな。」
と大声で啖呵を切り、唖然としている社員を前に、10分程度合掌した後、
「ハサミさん、ハサミさん。この会社の重要書類が紛失いたしました。セキュリティシステムが破壊され、B社に貴重な会社の情報が漏洩した模様です。重要書類と真犯人、出来れば両方いっぺんに見つけてください。お願いします。」
と大声で叫び、吊り下げたハサミを自分の右手に持ち替え、右耳の横辺りに持って来ると、チョキチョキと開閉しはじめた。
その場にいた皆が一瞬、しんと静まり返ったが、やがて、失笑と嘲りの声に変わった。
「ハサミのおまじない?」
「そんなの効くかよ。」
「危急存亡の時に、遊んでんじゃねぇよ。」
正直、Kも普段のアリスさんとは別人の姿を見せられて、正直呆れてしまった。
騒動を聞きつけてやってきた社長以下重役たちも、
「有栖川君、いいから、下りてきなさい。これから、対策会議をする。君には、同席してもらいたいから。早急に会議の準備に取り掛かってほしい。」と窘め、その場は、何とか収まったそうだ。
Kの話だと、対策会議中、突然アリスさんが、
「明日には、見つかるってさ。第2金庫の中に有るよ。第2金庫は、社長の自宅にあるでしょ。真犯人は、身内。やりそうな人、あなた方 分かっているんじゃない?」
そう言って、中座したそうだ。
それ以来、アリスさんは、行方をくらましてしまった。
携帯も通じないし、住んでいたはずのマンションを訪ねてみたが、赤の他人が既に5年以上も前から住んでいるとのことだった。
人事が後から調べたところによると、履歴書は全てデタラメで、出身大学も本籍も嘘だった。 そもそも 「有栖川孝子」なる人物は、世界中探してもどこにも存在しないということがわかった。
§
「それで、重要書類とやらは、見つかったのか?」
俺は、Kに問いただしてみた。
Kの話では、産業スパイなんて最初からいなくて、社長の娘婿が仕組んだ罠だったらしい。要するに、後継者争いってやつ。
ま、一流企業だからな。なんとか、重役たちが上手く尻拭いして、今でも経営は順調だそうだけど、kは、その会社が、なんとなく嫌になって辞めたんだそうだ。
あの日、アリスさんの飲んでいたスープに入っていた目玉と耳が、どうしても目に焼き付いて離れないと話していた。
「普通の野菜スープだったんだろう。」
俺は、半ば呆れて、聞いてみたんだが、
Kは、頑として違うと言い張るんだよね。
それから、アリスさんが、行(おこな)った「ハサミさんのおまじない」だけど、本当だって話していたよ。
でも、アリスさんのことは、謎のままにしておきたいってさ。
まぁ、そうだよな。
今更、関わったって何のメリットもないだろうし。
ただ、有栖川って名字を目にする度に、不思議な気持ちになるんだと。
「不思議の国のアリスだろ。」
冗談半分に話したら、Kは、力なく笑っていたよ。
以上、あんまり、怖くない話でごめんね。
俺、作文とか苦手なんだよ。
話も上手く伝えられなくてさ。
え?Kに話を聞きたいって。
それがさぁ、K 一昨日から行方不明なんだよ。
困ったなぁ。
END
§
「リンク貼れました?」
「貼れたけど。ごめんなさい。」
「なんで謝るんですか?」
「あのね。〇〇君、ごめんなさい。例の「ハサミのお呪い」の話なんだけど。〇〇君の代わりに投稿を頼まれて軽い気持ちで引き受けたこの話、実話なんでしょう。」
「え?それが何か?」
「聞きながらそのまま書き綴ってみたんだけど、私、この話、怪談サイトに投稿するの辞めたほうがいいと思うの。」
「今更、何をおっしゃっているんですか。この話、いい出来ですよ。キャラも立ってて面白いじゃないですか。」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。私、もう無理。サイトに行って削除して来ていい。」
「あなたが無理なら、俺がアップしますから。そんなに謝らないでくださいよ。」
「それから、教えてほしいんだけど。K君は、今でも行方不明のままなの。」
「俺に聞かれてもわからないです。」
「ハサミさん、ハサミさん、K君を探してください。お話聞きたいから。生きているのか死んでいるのかも教えて下さい。」
「ちょっと、何やってるんですか。」
「だから、ハサミのおまじないをしているの。K君、探さなきゃ。大変!!」
「Kは、探してもいないよ。スープになっちゃったからね。」
「そ、それ、どういうこと?
「俺、k(スープ)飲んじゃったから。」
「〇〇君、正気だよね。」
「はい、正気です。ふふふ。それと、サイトに行って削除したいだとか、ガチでヤバいとか怖がっている割には、ハサミのおまじないをしてKを探そうだなんて。言ってることとやってることが矛盾してるんじゃないですか。」
「あなた誰なの?」
「誰って?俺〇〇だけど。」
「嘘、〇〇君じゃないわ。あなた、もしかして、アリスさんなのね。」
「だったら?どうよ。」
「K君は、今、どこにいるの。スープになったって嘘よね。」
「うわはははっは。そんな奴、最初から、どこにもいねーよ。バーカ!
騙されていやがる。
あぁ、面白かった。」
「ど、どういうこと?」
「ハサミの おまじない」なんて嘘っぱち。
最初から、アリスも同僚Kもいない 全部俺の作り話。
まぁ、元ネタはあるけど、怖い話なんかじゃねぇよ。
あんたのおかげで、退屈な土日のスティホームが 最高の暇つぶしになったわ。
楽しませてくれてありがとう。」
プツ
ツーツーツーツーツー
§
「ハサミさん、ハサミさん、真面目な私を騙し、「ハサミの呪い」をコケにした ふざけた輩(やから)〇〇君を探してください。」
私は、ハサミの呪文を唱えながら、鳥の嘴を象ったハサミを右の耳の横でシャカシャカと開閉した。
しばらくすると、耳元で微かな女の声が聞こえてきた。
(探してあげるわ。それで、探したあとは、どうするの?)
「二度と人を騙さないように。☓☓してあげるの。」
(☓☓した後はどうするの?)
「スープにして飲んじゃおうかな。目玉と耳は、あなたにあげる。ハサミさんの好物なんでしょう。だって、耳と目がなきゃ探したくても、探せないんだものねぇ。」
(ありがとう。いただくわ。じゃぁ、その スープを飲んだ後はどうするの?)
「行方不明にでもなろうかな。探せるのなら、隠せるわよね。その時は、よろしくね。ハサミさん。」
やっと、掲示板にアップできました。
長編になってしまいましたし、それほど、怖いお話ではありません。
どちらかというと、不思議な話、奇妙な話のジャンルになるかと思います。
職業柄、認知症の方々と接する機会が多いのですが、中には、幻聴幻覚に悩まされる方もいらっしゃいます。ただ、必ずしもそうとも言い切れない事例もあり、私は、できるだけ、どんな方に対しても、じっくりと傾聴することに心を配ります。
言語によるコミュニケーションだけではなく、非言語コニュニケーションも大切です。
そんなお話を書いてみました。
今月は、本編にアップしたお話と、もう一編の三編になります。
よろしくお願いいたします。
800字を有に超えてしまいますが、申し訳ございません。
「ホームヘルパー」
私は、在宅ヘルパーの仕事をしています。
主に、ひとり暮らしの高齢者のお宅を訪問し、買い物、掃除、洗濯、調理、排泄や入浴介助と言った家事全般や身の回りのお世話をしています。
この仕事に就いてから、ちょうど三年経った頃のこと、吉田ヨネさんという今年90歳になるお婆様を担当することになりました。
ヨネさんは、築80年になるという古いお屋敷に、たったお一人でお住いになられておりました。
近所には、娘さんご一家が、俗に言う「スープの冷めない距離」にお住まいでしたが、年に二・三回、定期的に行われる聞き取り調査以外は、めったにお会いすることはございませんでした。
ヨネさんは、レビー小体型認知症とのことでしたが、妄想や幻覚といった症状は、見受けられず、お歳の割には、目も耳も足腰も同世代の方々と比べ、しっかりとしていらっしゃる印象でした。
普段は、読書をしたり、庭を散歩したり、広い池を眺めて過ごし、疲れるとベットで休んでいるとのことでした。
ベットの枕元には、スープジャーが置かれており、私が訪問して真っ先にすることは、毎朝、近所に住む娘さんが届けてくれるスープを温め、枕元に置かれているスープジャーに入れることでした。スープは、磯の香りのする潮汁でした。具材については、魚介類なのでしょうか。ふわふわした白いものが浮いていました。
お屋敷は、庭木もきちんと手入れされ、床はピカピカに磨かれチリ一つ落ちていません。
いつも時間に追われ、ハラハラしながら決められた仕事をこなさなければならない他の利用者さんとは、雲泥の差です。
私は、訪問するものの、買い物とお食事の支度以外は、ほとんどすることがなく、いつも時間をもてあましておりました。
ある日、いつものように玄関先で声をかけ、呼び鈴を押しましたが、返事がありません。慌てて中に入ってみるとヨネさんのお部屋は、霧が立ち込め、シャボン玉のような真っ白い泡がブクブクと湧き出ているのが見えました。
「吉田さん、大丈夫ですか。一体なにがあったんです。」
私は、ヨネさんの姿を探しましたが、夥しい数の泡と霧に阻まれ前に進むことが出来ません。
すると、中から。
「アリスちゃん、ごめんなさいね。お部屋をきれいにする前に、ヘルパーさん来ちゃったわ。」
というヨネさんの声が聞こえてきました。
目を凝らし、奥に進んでゆくと、霧の中から、大きな物体が、のっそりと姿を現しました。
それは、左右に鋭利なハサミを携えた巨大な毛ガニでした。
巨大な毛ガニと思しき物体が、ヨネさんの身体を抱きかかえ、そのまわりには、私の手のひらくらいの大きさのカニたちが、5匹蠢(うごめ)いておりました。
「あら、ごめんなさい。今、アリスちゃんやその子どもたちと遊んでいたの。時間間違えちゃったわね。」
アリスちゃんと呼ばれる巨大なカニは、ぐるりと身体を反転させ、私の方に向き直り、声を発しました。
「こんにちは。アリスです。」
重低音が辺りに響き渡り、驚きのあまり、立ちすくむ私の前で、ヨネさんは、
「あなた方は、私を認知症といって憐れんているけれど、幻聴や幻想ではないことだってあるのよ。分かったでしょ。」
と言うと、スープジャーからスープを口に含み、私に吹きかけました。
激しい頭痛と目眩とともに、巨大なカニの鋭利なハサミが私の身体を貫き、私は、その場に倒れ込みました。
気がつくと、私は、病院のベットに横たわっておりました。
「ヨネさんは?アリス・・・大きなカニは?あの…。」
ヘルパーステーションの所長が、首を横に振りました。
「気づいたのね。良かった。実は、あなたが訪問した直後、吉田さんのお宅で、大きなガス爆発が起きてね。古いお宅だったから配管が劣化してヒビが入っていたみたい。かろうじて、あなただけは助かったけど。ヨネさんと娘さんは、だめだったわ。美味しいカニが手に入ったから、たまには、母子で一緒に食事しようとしていた矢先のことだったって。娘さんのご主人が、話してくれた。」
「……。」
「ヨネさんのお孫さん、国際結婚して、子どもさんがたくさんいるみたい。アリスさんとおっしゃるらしい。落ち着いたらお見舞いに来たいって話していたわ。」
私は、顔を覆い号泣しました。
アリスさんは、ヨネさんに似て聡明なお顔をしておりました。
子どもさんは、5人いらっしゃるとのことでした。
「まるで、カニの子みたいよね。」と、泣き笑いしていかれました。
退院した翌日から、私は、再びヘルパーの仕事に復帰いたしました。
世の中には、不思議な事があるものです。
「あなた方は、認知症だと言って、憐れんでいるけれど、幻覚や幻聴でないことだってあるのよ。」
あの日 ヨネさんが私に放った言葉が、胸を鋭利なハサミで貫かれた痛みとともに、耳に焼き付いて離れません。
2021年09月11日 06時13分
@芝阪雁茂 さん御丁寧に有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
実は私も8月のお話は2000文字オーバーして…(-.-;)y-~~~
正直なところ、ここは練習枠なのでなにかペナルティーがある訳でも無いんですよね。
「書けただけで偉い!」の優しい世界線です。笑
ただ、基本的に毎月の朗読はここの掲示板内のお話しか読まないつもりですので、そこだけご了承下さいm(_ _)m
皆様御元気で御座いますでしょうか。
三つの御題を拝借して打たせて貰いましたが、長編になってしまいまして、「縛りの有る御題の短編」の名手の方々の凄さを噛み締めております。
御題を御借り致しましたと言う、シンプルな報告でありました。
ではではこれにて失礼致します(礼)。
綿貫一様
コメントありがとうございます。
実際に見世物小屋へ行かれたことがあるのですね。暗幕一枚を隔てた非日常、是非とも体感してみたいものです。
差別的なものは論外として、そうでないものは残っていても良い文化だと思うのですがね。
@林檎亭紅玉 様
以前、秩父の夜祭りに見世物小屋が出ていまして、興味本位で入ってみたことがあります。
不気味で、陽気で、胡散臭い。
暗幕一枚へだてて、テントの内は非日常、という感じでした。
ふたばさん
ありがとうございます。
朗読、毎回楽しみにしております。今回は特に「声に出して読まれる」ことを意識して、見世物小屋の口上にしてみました。和声アリスというより丸尾末広氏の『少女椿』のようになってしまいましたが…私も、実はアリスの原作はかなりうろ覚えですが、食い意地がはっていたため偽ウミガメスープだけは覚えていました(;^_^A
@林檎亭紅玉 さん今月も有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
まさしく不思議の国のアリスの世界…!
林檎亭紅玉さんのお話は、擬音語がよく入っているのもあっていつも読む時のテンポが楽しいのですが、今回は特にリズミカルですねꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫
こんなお題を出しておきながら、実は原作のアリスをちゃんと読んでいないのですが、ちゃんと見なきゃですね(。-∀-)
変更点も了解致しました。この不思議の国、侯爵夫人の様子なんて最早ワンダーランドというより地獄の様子みたいです……
ミス発見。
『……へえ、随分と可愛らしい。』→『アリスちゃん……へえ、随分と可愛らしい。』です、すみません。
『摩訶不思議残酷絵巻』
時は三月、空には満月。
気狂い兎が跳ねる、跳ねる。
深紅の女王のお出ましだ。
白薔薇、赤薔薇、ペンキ色。
とざい、とーざい。
よってらっしゃい見てらっしゃい。
あたしゃ帽子屋、英国生まれ。
お代は一切いらないよ。
蛇喰い娘に大イタチ、悪くはないがちと古い。
あたしが催す見世物は。
もうちょい新しいんだがねえ。
おや、お嬢さん。どうしたの?
さては興味がおありかな?
随分ぼろなお召し物。
さてはお腹が空いてるね?
お客が一名お通りだい!
さあ皆の者、用意しな!
さてお嬢さん、お名前は?
……へえ、随分と可愛らしい。
何?
心配事が?
どうしたの。
帰る時間があるのかい?
日が沈んだら真っ暗だ。
闇夜の前に帰らなきゃ。
おっかさん一人で待っている。
ははは、大丈夫。
心配無用。
取り出したるはこの帽子。
さっとひっくり返せば……ほら。
ぴかぴか光る金時計。
真っ白兎のお出ましだ。
これで時間がわかるだろう?
暗闇が来るその前に。
おっかさんとこに帰れば良い。
さあさあ始まる楽しい時間。
まずはスープをお上がりよ。
あったかな湯気、おいしい匂い。
なあに、遠慮はいらないよ。
何のスープかわかるかい?
肉がごろごろ入ってる。
豚……?
いいや。
牛……?
おしい!
正解はこれ、さあ御覧!
何だ、ただのウミガメだって?
ははは、よおく見ておいで。
甲羅を蹴ると……ほら、見えた!
突き出た頭は毛むくじゃら。ついでに、手足も毛むくじゃら。
偽ウミガメだよ、すごいだろ。
亀の甲羅にまん丸の、太った子牛が入ってる。
親の因果が子に報い。
牛と亀が交わって。
臓物だけが、甲羅の中に。
何とも気の毒、この子牛。
甲羅が無くっちゃ生きられない!
さあさて、お次は……笑う猫!
派手な縞々の毛皮着て。
さあさあ、笑うよ……ほら、にやり!
何?
ちょっと退屈だって?
肝の据わったお嬢さん。
ではでは、こんなのははいかがかな?
ぶくぶく太った醜い女。
浮腫んだ体に青い顔。
大きな腹だね、奇妙だね。
中身は一体何だろう。
取り出したるはこのハサミ……。
さてさて、中身を見てみよう。
ハサミを突き立て、腹の中。
じょきじょき、じょきじょき切り裂いて。
血まみれ血みどろ、どろどろの。
子豚が三匹、出てきたね。
侯爵夫人さ、この女。
嘘嘘、真っ赤な大嘘さ。
人を騙して富を奪い。
がつがつ、がつがつ貪った。
こんな女は人じゃない。
神様がそう、お決めになった。
おや、どうしたか豚女。
子豚を両手でつかんだねえ。
生まれたばかりの、自分の子。
可愛いはずの、子豚たち。
ああ、大きな口開けて。
ばりばり、むしゃむしゃ、食べている。
二重顎をぼたぼたと。
血と体液が滴って。
汚いねえ、おぞましいねえ。
なあに、平気さ心配無用。
こんなのいつものことなのさ。
子豚を三匹、飲み込んで。
舌なめずりした豚女。
引っ込んでいたその腹が。
みるみる膨れて、元通り。
ハサミの傷も塞がった。
これが因果さ、お嬢さん。
侯爵夫人は、永久に。
豚を生んでは、豚を食べ。
ずうっとそれを、繰り返す。
百年先も、その先も。
悪いことは、できないねえ。
おや、お嬢さん、お帰りかい?
白い兎の金時計。
もう時間が来たのかい?
ああ、お嬢さん、お気の毒。
あの時計はね、遅れてる。
それが証拠に、白兎。
あいつはいつも、遅刻する。
あんなにぴかぴか、立派な時計。
それなのにねえ、残念だ。
闇夜の時間はいかさま時間。
白薔薇赤薔薇、ペンキで染めて。
幕が下りるよ、暗闇に。
帰れない子が、また一人。
@ふたば 様
こちらこそ、早合点のおっちょこちょいで 申し訳ございませんでした。
そうでしたね。私の大好きなお話は、既に竹書房さんの版権になったのでした。
愚かなぬか喜び 大変失礼いたしました。m(_ _)m
「黒川先輩」シリーズでなくても、ラグト様の作品は、名作揃いですから、多分、出版権を持たない作品でしたら、大丈夫かと存じます。
既に、綿貫さんの作品や、深山さんの作品を朗読なさっておられますし、いずれこの方々も出版されるようになりますと、朗読できなくなってしまうおそれがありますから。
You Tubeから配信できてよかったと思います。
今、必死で今月のお題を駆使して、一作目を仕上げております。
800字になんとか収まるようにいたしますね。
多くとも、1000字は超えないようにしたいと思います。
先月8月は、沢山の方々が個性あふれる作品を投稿してくださって、私も嬉しかったです。
背中を押された気持ちでした。今月も、無理なく書きたいものを書いていこうと思っています。
久しぶりに懐かしい皆さまとお会いできたり、素晴らしい新人さんたちとの出会いもあったり、
多忙な中にあっても、充実したひとときを過ごせました。
ありがとうございます。
このようなお話ばかりを描いていますと、やはり、心が沈んだり、重く暗い気持ちになってしまいがちですが、もっと高い見地から、俯瞰して冷静なタッチで書いていけるように鳴りたいと思います。
私のような拙いものを第二の母とよんでいただき恐縮しつつも、嬉しくなってしまいます。
私も、このような息子を持てて幸せです。
ではでは、このへんで失礼させていただきますね。
おやすみなさいませ。
@あんみつ姫 さん
少し誤解を与えてしまったようなので訂正を…
実は、ラグトさんのあのシリーズを朗読する事は私には出来ないのです……orz
これは裏話になってしまうのですが、ラグトさんが他サイト様で賞を取られ、単著デビューを果たした結果、あのお話は最早ラグトさんだけのものでは無く、出版社である竹書房さんのものでもあるという事で、竹書房さんの許可無しには朗読出来ないのです……
この件についてはどれだけ話して良いのか変わらないのでこれ以上は話せませんが、「だったらあのサイトに投稿されていないお話なら朗読出来るんじゃ…!」という理由でこのようにラグトさんを無理矢理こっちのステージに誘った次第なんです(´∀`=)