毎月お題の短編練習枠(🌱初心者歓迎)

皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )

🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。

🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。

🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。

🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html

🌱お題は毎月一日に更新されます。

🌱提出期限は毎月28日までとします。

🌱お話はいくつ投稿しても構いません。

🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。

🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)

🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。

🌱感想だけのご参加も大歓迎です。

🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。

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【5月お題】

「人混み」「電話」「花瓶」

投稿期間 5/1 0:00〜5/28 23:59

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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……

そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )

※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。

📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」

※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。

企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m

ふたば様

11月三題お題 ロビンさんのお題作を二作品本編にアップ出来ました。
どちらも、じわじわとした嫌な感じの怖さです。
ホラー怪談というよりは、SF的だったり、社会風刺的な読み物としては結構面白いお話となりました。
他の作家様たちが、珠玉のような幻想的で美しいお話を書かれているのに対し、情けないほどエグい、グロい内容になってしまったことをお詫び申し上げます。
今回は、このほかにも、先月本編にアップできなかった作品を一つ今週中に投稿いたします。
画像が揃わなくて。真っ黒い画面なんですが。それはそれで雰囲気があっていいですね。
ではでは、このへんで。
お元気でいらっしゃいますか。
どうか、絶対にご無理だけはなさいませんように。
くれぐれも、お身体ご大切になさってくださいませ。
おやすみなさい。

返信

皆様、日々の創作と実生活での御仕事、御疲れ様で御座います(礼)。

悲しみや良い意味での不気味さの漂う素晴らしい作品ばかりでゾクゾクしております(汗)。

去る11/5に脱稿しました愚作を御送り致します(私めの所には掲載済み)。

『軽石の間に有るものは』

どうも、園部元蔵(そのべ・もとぞう)です。

新型ウイルス蔓延の措置法が一段落して、動きが緩和された為、務先や探偵事務所から重複休暇を貰って、実質連休になってしまったので、隣県に足を伸ばしたなんて言う話を、今回は致しましょう。
*******************
南方の中原(なかはら)県に足を伸ばした私は、卸売市場をちょっと観察しようとした所、魚介類が極端に少ないなと感じた。

それもその筈、海底火山噴火に伴う軽石が中原の地にも海にも飛んで来て、漁船を出そうものならエンジンやスクリューに軽石が詰まって始動が難しく、無理繰り行こうものなら故障して動かせなくなると言う事態に陥っているとの話である。

そんな中で、学生時代の悪友である、安河地康七(やすかわち・こうしち)────通称、アンコウが今回の騒動も手伝って、逢ってくれる事になった。
でっぷりと肥えた恰幅の良い鱈子唇(たらこくちびる)ながら、走るのが速かったりと体力面でもスタミナの有る、頼れる存在だ。

もっとも、今だと私と同じくマスクを着けている為に、食事中以外は目から下が見えない訳だが。
*******************
「調査員って研究者でもあるよな。凄いよ」

「いンや、漁場にも足を運ぶし、漁師さんの手伝いもするしよ。肉体労働って意味では、君のサービス業や物流と余り変わんないね。そうそう、漁船に乗るのはだな………」

スマートフォンを操作したアンコウは、「ほい」と私に画面を見せる。

────海面スレスレを飛ぶ無人探査機、と言うよりは、ドローンの下に無人探査機がセットされている様だ。

「ドローン式で、水質調査だったりをやるんだけども」

「今だと火山噴火の軽石が、か………」

「やっぱ、ニュースで知ってるわね」

────会計を済ませて、私達が食堂を出た瞬間、「海洋調査研究所」のロゴの刻まれたライトバンがギィとブレーキを踏み横付けして来た。

「休みン所、済まない。安河地、すぐ乗ってくれ」

「客人はどうします」

ヒョイと隣の私を手で示すアンコウ。

「一緒に乗せて。後部座席に済みませんが」

「ハイ、御願いします」と私は一礼して、ライトバンの後部座席を開けて乗り込み、シートベルトを着用する。
*******************
白亜の正に研究所と言った見た目の建物の玄関口に車輛が到着し、アンコウと私はそこに降ろされる。
乗せて貰った礼を言って、私はアンコウに連れられて、研究所に入る。

「おう、休みなのに悪ィな」

「いえいえ、緊急事態でしょうから」

「そうなんだよ。実はな、地引き網に変なのが掛かったんだ」

「??」

軽石の調査用に、敢えて地引き網を引き上げずに放置したエリアに異変が生じたのだと言う。

「部外者を連れてますが、良いんですか」

「確か彼は、オカルトに詳しいって話をしていたよな。おっと紹介が遅れました、安河地の上司の梶盛(かじもり)です」

「あっ、御邪魔致します。園部です」
******************
無人探査機の有る部屋に移動し、そこから防水のSD
カードを手慣れた感じで取り出すアンコウ。

パソコンのカードスロットに差し込み、フォルダをクリック、ファイル内のデータを確認する。

「………網が酷いな。軽石が絡まってる」

私が呟くと、アンコウが頷き梶盛氏が返す。

「実はですね………変なのは、軽石だけでは無いんですよ」

「??」

画像をクリックして、私もアンコウも目を疑った。

黒い海藻(かいそう)………そう、ヒジキに見えなくも無いフヤフヤとした長い物体が、軽石に絡み付いている。

「この一本を取り出して来た………乾かしてある」

換気扇を回しながら、実験用の皿………シャーレを卓子(テーブルに)置いて、その上でライターで火を点(つ)ける梶盛氏。

何と無く私は拝んでしまい、アンコウも梶盛氏も怪訝な顔をする。

その黒く細い物体はチリチリと燃え、弱い煙が出た直後に独特の臭気が一瞬漂う。

「うっ」

明らかに海藻を燃やした感じでは無い。

「………まさか、蛋白(タンパク)質のケラチンが燃えたんじゃ」

「検証に回すが、有り得ないものが軽石に絡んだって考えられるな」

そう、蛋白質であるケラチンを構成しているものと言えば代表的なものがすぐに出て来る。

────髪の毛だ。

「!」

ふと梶盛氏が顔を上げて窓のサッシから外を見る。

「………おかしいな」

「どうされました」

何と無く気付きはしていたが、梶盛氏に私は訊く。

「────御覧下さい。ほら、中庭ですね」

手入れの行き届いた植物が有るが、誰かが侵入出来る空間で無いのは確かである。

指で軽く開いたサッシを戻した直後、私は軽い眠気を覚える。

ボグっ!!

「グェっ!!」

鈍い殴打音に加えて、可愛げの無い奴が踏み付けられるか殴られた際に発するイメージの、気味の悪い声が聞こえた気がした。

「先刻(さっき)から変な感じだよなァ。済まん、明日又頼む。企業秘密って話でも無いから、客人に社会科見学も兼ねて、ちょっと同行もして欲しいんだが」
すぐさま眠気の消し飛んだ私は、こちらも連休なので異論も無く、梶盛氏の提案に乗る事にした。
*******************
翌日、アンコウと梶盛氏等と合流した私は、辻岡(つじおか)湾へと向かう。

心なしか、梶盛氏の顔色が悪そうに見える為、私は思わず訊いて見る。

「大丈夫ですか」

「済まん客人、変な夢を見てな………拝むべきだったかもだよ」

何でも、就寝していた際に黒いフヤフヤした物体に首を絞められる、気味の悪い中身だったと言う。

私の拝む姿を思い出しつつ、動けない身体で念仏を唱えて「申し訳無かった、申し訳無かった」と意思表示をして見た所、何故か般若の面の様な表情の日本人形が現れ、勢い良く飛び上がって、両足で物体に蹴りを入れたそうな………そう、いわゆるドロップキックの感じで。

「ヂグジョ─────────────っ!!」
と企みを暴かれて無様な姿を曝す性悪の末路の様な絶叫を上げて、黒いフヤフヤした物体は炎に包まれて焼失して、金縛りの解けた梶盛氏は振り返った日本人形に礼を言おうとしたら、日本人形は首を横に数回振って消えた………のだと言う。

*******************

海岸に到着したライトバンから降りて、漁船以外の手段で沖に出るのかと思いきや、洞窟の様な場所に迷い無く梶盛氏もアンコウも近付いて行く。

「地引き網を、特殊な位置に仕掛けてあるんだ」

持たされていたヘルメットを被りながら、アンコウが説明してくれる。

小さな真四角の目覚まし時計サイズの懐中電灯をヘルメットの穴から出ている、頑丈なワイヤーに着ける。頭上嵌め込み式の懐中電灯よりは操作し易いが、私は思っては行けない事を考えてしまった。

────中肉中背の梶盛氏はともかく、アンコウも私もふっくらしているので、どうも提灯鮟鱇を思わせるシルエットである。

パチリとスイッチを入れると、明るいを通り越して眩しい光が灯ったのが分かる。

洞窟の様な場所手前の岩場の広い割れ目から、奥へ奥へと網が長く張られている。
良く見える。

割れ目に張り巡らされる様に張られた網には、昨日画像で確認した軽石が、転がり込むと言うより大量にへばり付いている様にも見えて来る。

「………あー、まだ絡み付いてやがる」

梶盛氏の嘆息の籠った声が空間に響き渡る。

「!!」「!」

────軽石に絡み付くのは、正にひじきやフノリよりも遥かに細い、人毛同然の代物だった。

バシャァァァ!

「えっ!!」

アンコウが驚く。

私も驚いた直後に、岩壁に頭をぶつけてしまい意識が飛ぶ。

「園っち!」

アンコウが駆け寄る。

「気絶か………参ったな………」

実質一人欠けてしまい、アンコウも梶盛氏も波音のした方に顔を向けて、息を呑む。

『出せよォっ!!出せよォ────────っ!!浮気して、更に旦那殺したって、ちゃんと白状したじゃんかよォっ!!何で沈められなきゃなんないんだよォ─────っ!!自首してやるって言ったのによォ──────っ!!』

喉をぶっ潰す様な絶叫、網から出られない塊は、どうやら女だった様だ。実際喉を潰したのか、口許から血を出しているのが分かる。

腰を抜かした梶盛氏にアンコウ、網に掛かり軽石まみれで絶叫する女が、背後から出て来た腕に身体を掴まれ、網の中で腕に殴られまくる。

ビシャっ!!バゴっ!!ベキっ!!ゴギギギっ!!

現実の殴打音に近付いた直後、女の首に腕が絡み付き、骨のへし折られる音が響いて、一瞬アンコウが腕の主の顔を見た。

(………え、般若の表情)

女は完全に絶命したらしく、腕は何故か梶盛氏とアンコウに向かい、右腕の親指を立てて女を引きずり込んで行った。

「………ン、うぅっ」

「園っち!」「園部さん!」

私は意識を取り戻した。
洞窟の様な空間の乾いた岩場に寝かされている。

「………ああっ、御免なさい。気絶しちゃったんですかね」

「とんでも無いのが出ましてね」

「引きずり込んでったんだ」

「??」

梶盛氏とアンコウに、絶叫する女が出た事と、引きずり込んで行った両腕の持ち主である、水面から覗く般若の顔をした存在が、最後に右手親指を立てたと言う奇妙な話を聴く。

「旦那に浮気を問い詰められた女が、夫を銃殺したんだが、銃を手配したのがその筋だったから、四課に捕まるのを恐れた連中が、依頼者である筈の女を消しに掛かりましてな………女は岩場で顔が変形する迄痛め付けられて、そんで水面に顔を浸けられて窒息死させられたなんて、酷い事件が昔有りましてね………然し、海の主か分からないけど、般若の顔ですか………殺された旦那さんの身内か女に取られた、彼に思いを寄せていた女性か誰かの念が、怒りで引きずり込んだんですかね」

漁師を引退した古老(ころう)が、梶盛氏とアンコウと私へと話してくれた内容である。

女と般若の腕が消えたあの空間では、軽石のみが網に絡まっていた。

然し、怪奇現象は解決しても私が遭遇出来ていないって意味では、或る意味では解決していなくもあるのだけど。

「おーい、園っちー」

アンコウが呼んでいる。スッキリはしないが、気を取り直して私は連休の残りを消化し直そうと、彼の用意してくれた車輛に走って行く。

返信

@ふたば 様
こんばんは。
ウォーミングアップしておられますでしょうか。
消えるはずのあんみつ姫、時々現れて、応援をしているものです。
え?逆に、皆様のお邪魔をしているって。
あら…・_| ̄|○すみません。
でも、つい気になってしまって。

来週は、三連休を頂戴いたしましたが、丸一日、通院で潰れます。
「もう、歳ですね。」と今日ギリギリセーフで駆け込んだ病院と調剤薬局で愚痴ったら、大笑いされました。こんな時の童顔って損です。とっても。
昨日は、楽しみにしていた皆既(正確には部分)月食 夕方から夜半にかけて雨が降ったため、神秘の瞬間を見ることが出来ませんでした。
月は、10月から冬にかけて、とても美しく輝いて見えますね。

返信

@ロビンⓂ︎ 様
こんばんは。
ごめんなさい。
相変わらず、駄作拙作ですが、なんとか、投稿できました。
ロビン様のお題三題 かなり難解でした。
でも、とても楽しく書けました。

って、二作とも、関係者たちに、呪殺されないようにしなくちゃ。((^_^;)
どちらも、フィクションですからね。
地引網体験学習、息子が小学生の頃、学校行事で一緒に参加し、引っ張ったことがあります。
面白かったですが、網に比かかってきたお魚は、雑魚ってかんじの、ちっちゃくて、とてもたべられそうにない変なお魚ばっかりが入っていて。
なんかがっかり。
そのうえ、気持ちの悪いゴミも一緒に攫ってました。

無人探査機は、海底と宇宙の両方で大活躍していますよね。
我が国の技術力は、どちらの分野でも、世界に誇れるものだそうです。
ちょっぴり感動しています。

チョウチンアンコウのオスは、メスよりとっても小さくて、交尾したあと、オスの体は、メスの体内に吸収されてしまうんですね。
「男(おとこ)はつらいよ」ですね。

リレー怪談、もう一巡ぐらいできそうな勢いですね。
そこで、提案なのですが、既に、走り終えた走者様たちで、そろそろ、仮のタイトルから、本タイトルをどのようにしたらいいかについて検討いたしませんか。

それにしても、まだ、第4回リレー怪談終わっていないのに、第5回の構想を練っておられるとは。パワフルですね。
さすが、怪人ロビンさんです。
私は、腰痛以外に内科にも通院しなければならなくなりそうです。
とほほほほ。
ではでは、内容を吟味し、もう少し見やすいお話にしてから、本編にアップしますね。
素敵なお題ありがとうございました。

2021年11月20日 23時17分

返信

ふたばお兄様の気品のあるお優しい声を聞いて癒されているロビンミッシェルです…ひひ…
夏の疲れが出ると共に年末に向けて何かと忙しくなるこの季節。どうぞお体だけは大事になさってくださいませ…ひ…
第四回リレー怪談の「おかげ」でなんとかコロナも終息に向かっている感じが致しますが、また皆さんで来年の第五回も迎えられるように頑張っていけたらなと思っておる所存でございます。
いやあ、今日は綿貫先生の力走の結晶が読めると思ったら楽しみでしかたありませんね…ひひ…

返信

@ふたば 様
おはようございます。
そして、お久しぶりでございます。
きちんとご挨拶も差し上げぬまま、慌てて二作投稿してしまいました。
大変失礼いたしました。
また、いつも多忙なふたば様ですので、また、とても真面目な息子ちゃんなので、コメントをすると返信しないと!と過分なお気遣いをなさるのではないかと思い、控えさせていただいておりました。私も、ふたば様のYou Tube動画朗読楽しく拝聴させていただいております。
私の友人も何人かと手分けしてYou Tube配信しているようです。
お一人で、何もかもするというのは、なかなか困難な作業だと存じます。
いつも、頑張っておられて、第二の母は、お姿を拝見出来ても、出来なくても、無理はしていないか、身体は大丈夫か?と、とても心配でなりません。
今月のお題も楽しいお題ばかりで、なかなか苦心惨憺いたしましたが、思ったよりも書きやすかったです。
でも、どちらも、特殊なお職業の方を書いてしまっているので、もちろん、フィクションではありますが、何かとクレームが来そうな問題作かと存じます。
本編アップは、もうしばらく掛かりそうですが、今手掛けている作品と手がけなければならない今年中に仕上げる予定の作品と併せ、この三題お題作品から、生まれる創作に力を入れていきたく存じます。
ただ、今月もお約束の800時以内を守れませんでした。
申し訳ございません。

さて、話は変わりますが、リレー怪談 既に後半に差し掛かり、第7走者様にバトンとたすきが渡りました。おそらく、本日中に掲示板へアップされるかと存じます。
ふたば様も後半に使命されるかと存じますが、どうぞウォーミングアプしてお待ちくださいませ。
だんだん、話が盛り上がり、旧校舎にも入り、謎にも迫りつつあります。登場人物たちも魅力的な学生たちで、これからがとても楽しみです。
字数制限を大幅に破ってしまいましたが、ロビン様はじめリレー走者の皆々様は、とても寛容で寛大な方たちです。ふたば様の走りも大いに期待しておりますので、とはいえ、ご無理なさらず、思う存分楽しまれてくださいますよう。
私は、体調をこじらせ、腰を痛め、現在治療中です。
もっと詳しい健康診断をする予定です。
いやはや。
ふたば様もどうぞお身体ご自愛下さいますよう。
お大事になさってくださいませ。
リレー他物を生み出すには、相当な体力と知力が必要となります。
決して、ご無理なさいませんように。
ではでは、このへんで。
健やかな日々を心よりお祈り申し上げます。

返信

皆様こんばんは( ᴗ ̫ ᴗ )
何だか放ったらかしにして申し訳無いですが、骸になっていただけで皆様のお話はちゃんと全部読んでおります(リレーの方もしっかり熟読しております)。

毎月そうなのですが、動画のアップロードを完了してから返信をしたいと思って、その音声編集や動画編集でモチベーションが萎びたモクズのイヤイヤ葉っぱに成り下がっているだけです。朗読そのものは好きなのですが、どこかに音声データ送ったら音声のカットやら編集やら動画化やらしてくれる方いらっしゃらないですかね…… ( ꜆ᵒ̴̶̷̥́ㅿᵒ̴̶̷̣̥̀ )꜆

折角皆様が三題怪談を書いて下さっているので、もちろん順次返信させていただきます。
本日はかなりぶりのよく晴れた部分月食でした。私は仕事のせいで終わりがけの頭のへこんだ月しか見れませんでした(出勤時にロビンさんの投稿があったと通知が来たのにおかしいなぁ)、ですがその瞬間のフォルムを「キャットシルエットムーン」と名付ける事で溜飲を下げましたฅ^ ̳• ·̫ • ̳^ฅ
皆様も同じ月を見ておりましたでしょうか。思い通りにならない事こそ楽しめるのが秋という落葉の季節です。秋の夜長、滅茶苦茶ゆっくりですが、ふたばはちゃんと活動しております。待たせてしまい(待っている方なんていないかもですが)申し訳ありませんが、私の事は気にせず、枯れ葉に埋もれているとでも思っておいて下さい_( :⁍ 」 )_

ちなみにリレーは全ての最優先事項なので、もしバトンが回って来ましたら全力で走り出します(=゚ω゚)ノ

返信

怖さの次元や質が違いますが、まぁ、楽しんでください。
くれぐれも皆様、スピリチュアルハラスメントには、お気をつけて。
誤解のないように。
私は、スピリチュアルを否定するつもりはありません。
ただ、明らかに犯罪と思しきものについては、断固否定したいですね。

返信

「スピリチュアルハラスメント」

「ホントですか?」
俺は、N先輩の顔をまじまじと見つめた。
「えぇ、嘘じゃないわ。私には、太陽系から銀河系の果てまで 霊視出来る力があるの。」
「じゃぁ、アメリカを始めとする世界各国で、長年に渡り日夜開発に勤(いそ)しんでいる宇宙無人探査機は、必要ないってことですよね。」
N先輩は、
「馬鹿ねぇ。あれはあれで、必要なのよ。あれは、実際に現存してあるものを採掘したり、採取したり、映像に撮ってくるという『目に見えるもの』『手に取れるもの』を探し出し、研究するという使命があるのよ。だから、人類の未来にとって、欠かせない道具なのよ。」
「はぁ、そうなんですか。じゃぁ、先輩の霊視能力は、どんなふうに役に立つのですか?」
N先輩は、コホンと小さく咳払いをすると、
「私の仕事は、宇宙の全ての法則、宇宙を司る神々の力を地引網のように根こそぎ引き揚げ、世界中の人達に、その遠大な愛の力と、幸せへと導く崇高なご計画を分け与える使命があるの。つまり、『目に見えないもの』『手に取って触れることの出来ないもの』を言魂と霊性をもって、人類を伝え教え導くことにあるの。」
メガネの縁をクイクイと持ち上げて、鼻をクンクンと鳴らした。
「……」
少し変わった人だとは思っていたが、まさか、こんな事を言い出すとは想定外だった。

そんなN先輩がこよなく愛してやまないのは、あの深海魚「チョウチンアンコウ」なのだという。もちろん、実際に手にとって見たわけでも、自宅の水槽にペットとして飼っているわけでもないが、「チョウチンアンコウ」が深い海の底から、直接霊験あらたかな箴言を直接語りかけてくるらしいのだ。

N先輩は、20年に一度しか見られない満月の日に、[スピリチュアルカウンセラー]になると言って職場を退職してしまった。
「ま、ま、まじっすか。」
安定した一流企業。永久就職をしてからだって働けるのに。もったいないと思ったのだが。

あれから1年経ち、俺は、愕然とした。
職場のHさんから、N先輩が、ユーザー10万人を超えるスピリチュアル系人気YouTuberとして大儲けしているという話を聞いたからである。
Hさんは、「なんていうか。まぁ、好きな人はハマるかもしれないね。」と苦笑していた。
「最後まで視聴したら、相当、やばいことになりそうだから。途中で見るの辞めたんだわ。」
とも話していた。

俺は、早速、件のYou Tube動画サイトにアクセスしてみた。軽快なメロディとともに、画面には、かわいい「チョウチンアンコウ」のイラストと、地引網の中に、「あなたの願いを根こそぎ叶います。♡♡♡なりたい自分になれますよ。」との文字が、網にかかった魚のようにピチピチと飛び跳ねていた。

20秒ほどアニメが流れ、それが終わると、やや濃い目の化粧と、アジアンテイストの衣装を身にまとったN先輩が、
「みなさーん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。今日も、football fishこと なつみから、はるか宇宙の彼方からのメッセージをお届けしますね。はっやいですねぇ。もう、11月半ば過ぎましたよ。
皆さんは、いかがお過ごしですかぁ。うんうん、そっかー。まだ、なんにもやれていないのに、もう1年が終わってしまうよー。なーんて、嘆いている そこのあなた。大丈夫ですよ。宇宙には、何月何日という堅苦しい枠や決まりはないんですよ。そう!宇宙は果てしなく広い、宇宙は、毎日が日曜日。毎日がクリスマス、毎日がお正月なんですねぇ。
はいはいはい。そうなんです。毎日が楽しいことでいっぱいなのに、どうして、みんな嫌なことややりたくないことにアタフタしているんですかぁ。人生は、短いですよ。一年は、365日しかありません。そして一日は24時間です。その大半を、厭なことややりたくないことに費やしてしまい、気がついたら、おじいちゃんおばあちゃんになっていたんなんて、アーアーアー
嫌ですねぇ。football fishことなつみは、そんなの嫌です。

では、では、今日は、そんなあなたにふさわしいメッセージを贈りますね。
ちょっとキツくて辛いご相談がありましたので、早速、お便り読ませていただきますね。

うるわしの白百合さんから。何々、『私は今職場の女性上司にパワハラや虐めを受けています。毎日、仕事に行くのが辛くてたまりません。受け流したらいいじゃないと同僚たちはいいますが、明らかに悪意と思われる虐めをしてきます。その場合も、我慢して忍耐したほうがいいのでしょうか。』
「うーん、うるわしの白百合さん。毎日のお仕事お疲れさまです。そうですか。こんな上司、しかも同性なんですね。いやー、許せませんよね。
宇宙からのメッセージによると、虐めやパワハラをしてくる人間って、本当は、臆病者で小心者が多いんですね。とても器が小さくて、自分に自信がない。ただの弱虫なんですよ。だって、優しくて器の大きい人間は、決して虐めたりはしませんもの。

うるわしの白百合さん。あなたにふさわしい宇宙からのメッセージをお届けしましょう。
『悪意をもって虐めやパワハラをしてくる人間に対し、悪意を持って報いましょう。悪意には悪意を持って報いる。そうすることに罪悪感を抱く必要は一切ありません。』
おっと。誤解しないでねぇ。その女性上司と同じように虐めたり喧嘩をしろと言っているのではないのですよ。勘違いしないでね。そう、意地悪やパワハラをしてきたら、すぐにスマホの録音スイッチを入れましょう。そして、それを持って、「都道府県市町村にある職場のハラスメント相談室もしくはそれに相当する機関」に訴えましょう。人権団体でもいいね。同時に、会社もしくは組織の一番偉い人あてに、それと同様の文書とその録音した虐めやハラスメントの現場の状況を証拠として送りつけましょう。一言、これと同様の書類は、既に、職場のいじめ対策相談室及び公的機関の相談室に送付しています。本件に対する御社の誠実な対応、今後の対策を含め、御社のコンプライアンスに基づく回答をお願い申し上げます。尚、回答については、返信用封筒を同封いたしました。文書でお願いいたします。でいいんじゃないかなぁ。」
うんうん。え?こんなことするの面倒?って。これ、あはははは。そうだよね。まぁ、これは、最終手段として取っておきましょうか。

その女性上司ってさぁ。多分、他の女子たちからも嫌われているんじゃないの。だったら、あなたの味方をどんどん増やそうよ。そして、とびっきりの笑顔で、挨拶してご覧。嫌味言ってきたら、そのまま「オウム返し」してみようねぇ。「どうしてそう思うんですか。」「それって、嫌味ですか。」なんて逆に質問するのもいいねえ。相手をどんどんイライラさせてやれ。
そのうち、その女性上司。ますますハラスメントしてくるかもしれない。
でも、もう、あなたには、たくさんの味方がいます。
いざとなったら、守ってくれる仲間がたくさんいます。
それでも、埒が明かなかったら、はいはいはいはい、最終手段を使いましょう。
え、自分には無理って。
だったら、そういう文章を書くのが得意な人、社会活動に萌えている人を探そうじゃない。
大丈夫。
あなたは、既に世に勝っているのですから。
安心して。
以上が、今日のメッセージでーす。
うるわしの白百合さん、応援していますよー。

もし、宇宙からのメッセージが心に響いたら、是非、チャンネル登録してくださいね。」

俺は、矢も盾もたまらずN先輩の携帯に電話をした。
意外にも、すぐに通じた。
「あら、お久しぶり。えぇ、そろそろかかってくる頃かなと思ってね。たった今、スマホを手にしたら、かかってきちゃった。えへへ。」
「今日の動画 You Tube見ました。心に届きました。」
「へえ。見てくれてたんだ。ありがとうね。そうだねぇ。U君 虐められていたもんね。O部長に。」

俺は驚いた。
部署も担当も仕事内容も違うのに、N先輩は、分かっていてくれたんだ。

「少しでも参考になった?もっともっといろんなメッセージ聞いてみたくない?凄いわよ。そうそう、個別鑑定もしているから。概要欄にリンク張っておいたから、そこから、申し込むといいよ。でも、締切が明日までなんだよね。申し込みする人が多すぎて。すぐに満員になってしまうのよ。え?高いって。そうかなぁ。あ、あ 大丈夫だから、今すぐに、払えないんだったら、分割でもいいし、クレジットカード使ってもいいよ。みんなそうしているから。ねこそぎ、そう、「地引網」のように せーんぶ、いただくわ。でもね、いずれはあなたも、わたしのように、宇宙からのメッセージを伝える人になるの。だから、今は、出資に苦労するかもしれないけれど、それは、いずれあなたに帰ってくる、あなたに必要な物なの。宇宙からのメッセージは、一つたりとも、欠けたところがないの。安心して、全てを私に捧げてオッケーよ。」

俺は、言った。
「どうして、俺の心が読めるんですか。」
「あらいやだわ。前から行っているじゃない。私の霊感は、宇宙無人探査機よりも正確なの。残念なことに、私の霊力は、目に見えないし、一般人には、証明できないだけの話よ。科学じゃ証明できないの。わかった。」

返信

私もやっと書けました。
もう少し、怖くしたほうがいいですかね。

返信

「故郷の海と悲しき運命」

「えいこうMarkⅡ」は、我が国が、世界に誇る最新にして最高の海底無人探査機である。ランチャー・ビークル方式。このシステムにより、長年の悲願である海の最深度(マリアナ海溝10,000メートル)にまで、到達することができたのだ。
中島達夫は、この仕事に関わってから30年以上になるベテランだ。
胸には、海洋学に多大な貢献をした者にのみ与えられる銀と濃紺のバッチが光っている。
中島は、その栄誉を称えるバッチを胸に、今日も、日本海溝の近くに潜航し、母船から、4名のスタッフとともに、新たな深海生物の生態についてサンプル採取をしているところだった。

「ん!」
7,000メートルを超えたあたりで、モニターに人型の様な影が映し出された。深海には巨大な魚も生息している。よもや、新たな生物と遭遇したのだろうか。得体のしれない大きな人影について、中島は、更に詳しく分析を始めた。
「な、なんだ!これは。」
画面いっぱいに映し出されたのは、幼稚園児が着る紺色のスモックと、ドラえもんの付いた片方の小さなズックだった。
「ドラえもん…馬鹿な。ここは、深海だぞ。」

ガツン!
ビーグルが、動きを止めた。いや、なにか物理的な力が加えられた結果作動しなくなったというのが正解だろう。
「DANGER DANGER DANGER DANGER DANGER DANGER」
サイレンが鳴り響き、モニターの画面は真っ黒になった。
スタッフが、駆けつける。

「中島さん。う、ううしろ。」
スタッフのひとりが、中島の後ろを指差し、ぶるぶると震えている。

「うわぁぁぁぁぁぁ。」
ドスッ
中島の背中に、激しい衝撃を感じた。
ベタ ズルッ
1メートル程の丸い楕円状の茶色い物体が張り付いた。
うわぁ。
思わず、左肩に右手を置いた瞬間、ドロリと冷たい粘着物に触れた。
何とか振り払おうとするのだが、ドロドロにとけた物体は、執拗に肩に絡みつき離れない。

ズブズブズブ
茶色い物体は、低く鈍い音をさせながら、ゆっくりと 中島の肩越しに その全容を現わした。

グバァ
上下に開けられた大きな口には、今にも、中島の耳を食いちぎらんばかりに、鋭利な歯が並び、その周囲には、とけた粘膜がネバネバと糸を引いている。

平べったく歪んだ顔。申し訳程度に付いた目と思しきもの。
眉間には、弓状の突起物があり、その先端は、どんよりとした光を放っていた。
その姿は、つい今しがた水深70メートル付近で目にした、チョウチンアンコウそのものだった。

どんなに大きくても体長40センチを超えることのない深海魚がなぜ。
しかも、7,000メートル超えの深海で。ありえない。

チョウチンアンコウの淀んだ沼地のような目の奥には、狙った獲物 そう、中島の全身がしっかりと捉えられていた。

ブスブスブスブス
ドボッ ドボッ ドボッ 
「た、たすけてくれー。」
中島の肩、胸、両腕、腹部、下肢が、底なし沼のような茶色い粘膜に少しずつ 少しずつ呑み込まれていくのが分かる。
いや、呑み込まれているのではない、中島の身体は、チョウチンアンコウの茶色い粘膜に同化しているのだ。
そういえば、チョウチンアンコウのオスは、交尾をすると、メスの身体に取り込まれ、同化し、消失する。
今の私は、まさに、その状況にあるのだ。
と。
チョウチンアンコウは、どんどん膨張していき、やがて、中島の身長とほぼ同じ体長1メートル70センチ近くまでに巨大化した。

「うふ、何か言い残すことはない?私達をさんざん苦しめておいて。よもや、忘れたとは言わせないわ。」
最後まで残った中島の頭部。
その耳元で、聞き慣れた女の声が囁く。
「お、お前、なんてことをしてくれたんだ…。」
薄れゆく意識の中で、ぼんやりと故郷の海岸を思い出す。
「頼む。あの幸せだった頃に戻してくれ。海と魚に胸踊らせたあの頃に。」

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○月○日、地元F小学校の秋のPTA行事 地引き網体験学習会が行われた。会場となったI海岸は、バスで30分ほどで行ける馴染みの場所で、10年以上前から、伝統漁法である地引網体験を町や観光協会が中心となって行っている。
この日も、滅多にないチャンスとばかり、一家総出で参加する家族が多く、その数は、ゆうに300名を超えていた。
PTA会長の話では、なかなか予約が取れなかったが、知人の口利きで、やっとこの日にしてもらえたのだと言う。
この日は、どうしても困ると難色を示した漁師もいたそうだが、決まったことは仕方ないと言われれは、それに従うほか術はない。

この日、集まった顔ぶれをひと目見るなり、漁師や手元を預かる女達は全員眉間にシワを寄せた。
「予想外に小さい子が多すぎるじゃないか。」
「わざわざ、忌み日にしなくても。」
「波に攫(さら)われなければいいが。」
「今朝方から胸騒ぎがする。」
と、口々に呟いていた。
地元の観光協会の会長とPTAの会長は、今更後には引けなかったし、漁師もその関係者も、さしたる根拠もない話で、300名を超える体験者たちを落胆させることは出来ないと思っていた。

最終的に決行することになったのは、午前10時過ぎ。
当初の予定から、1時間以上も過ぎていた。

「さぁー、いくぞ。」
地元の漁師たちの手引きに従って、網が打たれ、程なくして二手に分かれて網を引く。
沖には舟が停泊し、船頭が、網の引き具合や力の入れ加減を、身振り手振りで誘導するのである。
総勢300人が一斉に引く姿は、見ごたえがあり圧巻である。
魚が網にかかり、ほぼいっぱいになると、沖の舟がだんだんと近づいて来た。
「いよいよ、浜に揚げるぞ。水揚げだ。」

やがて、二つの網のうち最初に投げ入れられた1本が浜に引き揚げられた。
うわー!すごいすごい。
網の中はイワシの大漁で、他にもカニや鮭、小さなヒラメがピチピチと音を立てながら、所狭しと踊っている。
参加した小学校の親子連れたち約300人は大歓声を上げた。

しばらくして、二本目の網が浜に引き揚げられた。
打ち上げられた網は、キラキラと陽の光に輝き、今度も大漁かと皆が笑顔になったその時だった。

「うわぁ。なんだこれ。」
網の中を覗いた男子児童が大きな叫び声を挙げた。
ピチピチと跳ねるイワシの大群の中に、見たこともない体長1メートル70センチほどの大きな魚が、ドラえもんのついた小さなズックの片方を口に加えたまま、網に引っかかっていた。

「うぇ、気持ち悪い。」
鱗らしきものは見当たらず、体表は、ドロドロにとけ、目玉は、半分抜け落ちていた。頭部には、弓上に曲がった長い突起物があり、その先端には、房状の異物がだらしなく垂れ下がり、腹と尾びれ付近は、何かに食いちぎられた様な跡がついていた。

その姿は、巨大なチョウチンアンコウであったが、見る角度によっては、巨大な魚に呑み込まれた挙げ句、十分に咀嚼されぬまま、魚の腹の中から取り出された人間の遺体の成れの果てのようにも見える。

グワッ、ゲボッ、
腐ったチョウチンアンコウから、詰まった排水管の様な音がしたかと思うと、ドロドロの体液とともに、ぐるぐるに丸め込まれた紺色の幼稚園児が着るスモックが吐き出された。

ダ、ズ、ゲ、デ、グ、レ……

チョウリンアンコウに似た巨大な魚は、言葉らしきものを発したかと思うと、2・3回ブルブルと身体を痙攣させた。
ひゅーひゅーと風のような呼吸が、とぎれとぎれになり、プツリという音を最後に全く聞こえなくなってしまった。

「死んだのか?」
その場は、騒然となり、集まった300人余りの老若男女全員パニックに襲われた。

「こんなものが引っかかるなんて。」
「だから、あの日と同じ日に、体験を入れるのは反対だったんだ。」
地元の漁師たちは、チッと舌打ちをすると、
PTA会長に向かって、
「もう、十分だろ。適当に魚を分けたら、今日はもう、早々に帰ってくれ。」と、大声で叫び、忌々しいとばかりに、両手を下から上に何度も追い払うように振り下ろした。

「警察に電話しなくていいんですか。地元の新聞社とか。せめて、この魚の名前だけでも知りたいですよ。」
PTA会長は、予定時間より早く切り上げなければならなくなったことへの不平不満を訴えた。
「これはもう、魚でも人でもねえから。警察だって、どうにもできねぇよ。さぁ、もういいから。さっさと帰んな。」

皆が、駐車場に向かい、魚の入ったバケツや袋をぶら下げ、後味の悪さを感じたままトボトボと砂浜を歩いていると、
5歳ぐらいの女の子が、砂場にキラリと光る 銀色と紺色が混じり合うバッチを見つけた。

「なんだろう、これ?」
「そんなもの拾っちゃダメだよ。」
目の前に、自分と同じぐらいの男の子がずぶ濡れのまま立っていた。
「どうして?」
「変なの連れてきちゃうといけないから。」
「変なの?って。」
男の子は、紺色のスモックを着ていた。
胸元の名札は、水に濡れたのか、かなりうすくなっていたが、ひらがなで、
「なかじま しょう」と書かれてあった。

しょうくん、どうして素足のままなのだろう。
女の子は不思議に思ったが、ずぶ濡れのしょうくんを眺めているうちに、
ふと、二回目の網にかかった 気持ちの悪い大きな魚が咥えていた片方だけのドラえもんのズックを思い出した。

ゾッと寒気がして、思わず両肩を抱いた。

「さ、さむい。」
気がつくと、砂浜にたったひとりで立ち竦んでいた。
「しょうくん……どこ?。」
「ぼくは、男の子だから。大人になると消えてしまうんだ。運命なんだ。」
「しょうくん…、ホントはもう大人なの?」

「エミちゃーん。そんなところに突っ立ってないで。早く来なさい。」
その時、遠くから、母親の叫び声が聴こえた。
「はぁい。今行く。」
女の子は、拾ったバッチを放り投げると、一目散に母親の元へと駆けていった。

2021年11月19日 04時59分

返信

ふう、なんとか書けました!夢に出てきたのでそのまま書きました。て言うか、だ、誰ですか?こんな無謀なお題を提示したのは?!もう!…ひ…
それではおやすみなさい…ぐう…

返信

「カミングアウト」

私は今、息子の部屋のドアを一枚隔てた冷たい廊下の上で立ちあぐねている。
いや、実際には冷たいという感覚はない。
私の意識は、このドアの向こうにいる息子にだけ向けられているのだ。
私は早くこのドアを開けて息子に真実を伝えなくてはならない。息子は勇気を振り絞って私たち家族に心の中の真実を打ち明けてくれた。
息子は自分は女なんだと打ち明けた。
そのせいで学校でイジメにあっている事も、小さい頃からずっとそれを自分一人で抱え込んで生きてきた事も。
全てをカミングアウトした息子を欺く事はできない。だから、私も息子に大事な事を伝えなくてはならない。
私は数ヶ月も前から会社には行っていない。リストラされた事はまだ家族の誰も知らないはずだ。
家族を悲しませたくない。そんな単純で身勝手な私の気持ちが決意を鈍らせ、ずっと言い出せずにいた。
お父さんは会社をクビになった。
だけどお父さんはまた頑張って新しい働き口を見つけるから心配するな。
と、正直にそう言えたなら良かった。
私を絶望から救えるのは家族だけなんだと気づいてさえいれば、私はあんな暗い場所で死ぬなんて選択をしなくてすんだはずなのだ。
私は息子の告白を聞いてようやく目が醒めた。
なんと自分がバカだったのかと思い知らされた。この先、ずっと家族を苦しめ続ける事になるなんて事を、微塵も考えつかなかった自分を本当に恥ずかしいと思った。
だから、私は本当の事をせめて息子にだけは伝えておかなくてはならない。このドアの向こうにいる息子には私と同じ道を歩ませてはならないからだ。
ドアを開けなくても見える。
息子はもう間もなくこの中で首を吊ろうとしている。早く止めなくてはならない。
今の息子を止められるのは私しかいない。
それなのに。
それなのに私は前に進む事が出来ないでいる。
四方八方から伸びてきた無数の手が私の体の至る部分を掴んでいるため、私は一ミリたりとも前に進む事が出来ないのだ。
こいつらに地獄へ引きづり落とされるその前に、私は息子にどうしても伝えたい。
生きてくれと。
死ぬ事はないと。
いずれくる死を待てば良いのだと。
死は知りたくもない真実を私に教えた。
腐ってずり落ちた私の下半身に群がる蝿の中に、偽物の蝿が混じっていた。
生きている人間には気付かれないくらいの小さな声で、まるで無人探査機のように蝿は何かと交信していた。
もがけばもがくほど、真っ黒で不気味な手は数を増やし、私の真上から降りかかってくる。
もはや、私を包み込んでしまった無数の手は、まるで地引網を引くように私の体をじわりじわりと後ろへ引っ張り始めた。
私はもう抵抗をやめた。
息子に奇跡が起こる事だけを祈って、私は私の今後に想いを馳せた。
私は蝿の声を聞いていたのだ。息子の心配だけでなく、自分の心配もしなくてはならない。
自殺した人間が次に行く場所は決まっているらしい。蝿が言っていた少ない言葉から察するに、恐らく深海。次に私が生まれ変わるのはたぶん深海に住む生き物だ。
人間だけでなく、それ以外の生き物の殆どがたどり着ける事のない深い深い海の底。
逆に日の目を見ようと無理に上がってこれば、たちまち気圧の差で目は飛び出し、舌も飛び出して絶命してしまう。
そんな寂しい場所で私は何万年くらい罪を償えば良いのだろうか?私は貝になりたいなんて事は思わない。
私はできれば鮟鱇になりたい。
深い暗闇の中で頭の先から仄かな灯りを灯す提灯鮟鱇になりたい。
理由は?
理由はたった一つだけ。
大事な事を伝えきれなかった息子を探すためだ。

返信

いやあ、皆さんの発想力にロビンの口は開いたまま塞がりません!さすがです!…ひ…

返信

星の海に独り

「なあ山本、人は死んだらどうなるんだろうな?」
 その時緒方は、病室の窓から冬枯れの中庭を見ていた。そこに人影はない。
「どこかの民族では、すべての生き物の魂は、死後に『大いなる存在』に還るんだそうだ。それを聞いた時俺は思ったよ。提灯鮟鱇みたいだなって。知ってるか?鮟鱇のオスはメスに比べて身体がとても小さいんだが、交尾の際にメスの身体にくっついて、そのまま同化しちまうんだとさ。つくづく、人間でよかったと思ったぜ」
「余計なことを何も考えずに、大きな存在におんぶに抱っこになれるなんて、気楽な気がするがな」
 僕がそういうと、緒方は「お前らしいな」と小さく笑った。
「なあ、俺は生きてあの星を見ることはできないが、お前がきっと、それを果たしてくれ」
 頼むぞ、と言って友人は泣いた。

 あれから10年の歳月が流れ、無人探査機がついに惑星ヨダカに到達した。
 これから地表の岩盤をボーリングで掘り進んで、地下に眠る太古の海から、地引網の要領で貴重なサンプルをできる限りの多く収集する予定だ。
 そして、最終的にそれらを無事に地球に持ち帰ることこそ、僕たちチームのミッションである。
 しかし、まずは無事目的地に到着したことで、僕を含めチームメイトたちは大いに胸を撫で下ろしていた。
「ヤマモト、祝杯を上げに行かないか?」
「いや、僕はもうしばらくここにいるよ。オガタにも、この景色を見せてやりたいから」
 そうか、奴によろしくな、と言って仲間たちは引き上げていった。
 暗い研究室でひとり、探査機から送られてくる、遠くの星の風景をモニターに見ながら、酒を飲んだ。 
 と、荒涼とした地表と、真っ黒な空ばかりを映していたカメラに、奇妙なものが映り混んだ。
 人だ。
 こちらに背を向けた、白衣姿の男だった。 
 宇宙服もなしに、人間が存在できる場所ではないというのに。
「緒方ーーか?」
 やや左肩を下げた、気だるげな立ち方。それは確かに、あの緒方の後ろ姿だった。

 お前、生きて見ることはできないからって、死んだ後そいつに乗っていったのか。
 何かの一部になるという安寧を捨てて、10年もの間、孤独な航海をしてきたというのか。
 まったく。お前らしいよ。

 そっちはどうだ、緒方? かつてひとりも人が死んだことのない、真空の大地に立つ孤独な幽霊よ。
 また10年かけて帰ってこい。そして今度は、ふたりで祝杯をあげようじゃないか。

返信

下半身がそれの魚を食べると×
上半身がそれの魚を食べると〇
でした。

人魚のイメージって西洋か日本かで大分違いますが、西洋バージョンの方がまだ食べられる気がします……。

返信

『八尾比丘尼の宇宙』
 忘れている者の方が多いと、彼は思っている。
 海沿いの彼の村には、魚を捕る習慣があった。
 そーれ、だったか。よーい、だったか。
 掛け声と共に、大人が網を引いていたのを覚えている。
 白い波の間から、ざざざ、っと。
 大量の海の幸を入れた網が引き上げられて。
 売り物にならないような小さなイカやタコを、お八つ代わりに拾って食べるのが村の子供の役目で、それが楽しみでもあった。
 あれ、提灯鮟鱇がいる。
 地引網に引っかかったものを指さして言ったのは、あっくんだった気もするし、たっちゃんだった気もする。
 額から、ふるふると、明かりを放ち。
 下半身が魚のそれは、悲し気に顔を歪ませながらこう言った。
「死にぞこない。死にぞこない」
 昔から、下半身が魚の者は後の世のことを予言する。
 畑では、顔が牛で体が人のものが似たようなことを言うのだそうだ。
 くだん、と呼ぶ。
 あっくん、か、たっちゃん、からそれを聞いた彼は。
 その、網に引っかかっていた、下半身が魚の生き物をひょいとつまんで、口の中に放り込んしまった。
 味は覚えていないと、彼は言う。
 肉のようだった気もするし、魚のようだった気もする。
 大分昔のことだと、彼は笑う。
 そうだろう。
 五百年は昔の話だ。
 海なんか、もうかなり昔に消えてしまった。
 魚なんて見たことも無い。
 肉の味を人類は知らない。
 でも。
 人の記憶を植え付けられた機械が、通信機を通してからからと笑う。
「死にぞこない、ってのは、当たってたなあ」
 下半身がそれの魚を食べると、人は死ぬことができなくなる。
 少なくとも、昔からそう言われている。
 泥の塊と化した地球から飛び立った無人探査機は、貴重な旧人類の記憶を載せながら、魚ばかりが暮らす惑星へと旅立って行った。
 

返信

ご利用の皆様へ🌱
新しい月となりましたので、お題の更新をさせていただきます( ᴗ ̫ ᴗ )

今月は我らがロビンⓂ︎さんより、お題を提供していただきました。有難う御座います(。-人-。)

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【11月お題】

「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
※お題提供:ロビンⓂ︎さん

投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59

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中々の高難易度のお題となっております。
気分転換にでも力試しにも、お気軽にご挑戦くださいませ(л・▽・)л💦

返信

「薔薇の名前」
今から30年ほど前になる。
当時、憧れていた人がいた。
その人には、少し変わった趣味があった。
それは、実に他愛のないことなのだが、全ての物事を暗号や記号で表現しては楽しむというものだった。
その人の風貌は、風来坊のようでいて、詩人のようにも見えた。
また、記号や暗号に変換しようと頭を捻る姿は、古代ギリシアの「哲学者」さながらであった。
その人の語る話は、雑談の類ですらたいそう面白く、実にわかりやすかった。
仲のよい友人たちは、彼の語りを「子守唄のように心地よく、いつどんな時に聞いても不快に感じない。」と絶賛していた。
唯一の欠点といえば、ヘビースモーカーだったことだろうか。
タバコをくねらせながら、時折、空中に煙を吐き出す姿がとても魅力的で、私は、何度か、その姿を真似、タバコを口にしてみたが、その都度激しくむせ込み、
「こら、良い子は、こんなものをくちにしてはいけませんぞ。」
と、毎回、取り上げられてしまうのだった。

ある日、その人に、「今、一番おもしろいと思う本はなんですか?」と聞いてみた。
その人は、「そうだね。君は、謎解きや記号論には、興味があるかい?」
と尋ねてきた。
私は、その人の気を惹きたくて。
「はい。とても興味があります。好きですね。」と答えてしまった。
「じゃぁ、ウンベルト・エーコーの『薔薇の名前』は、読んでいるよね?」
と嬉しそうに微笑んだ。
私は、しまった!と思ったが、知ったかぶりをしたところで、化けの皮が剥がれるのは、わかりきっていたので、正直に答えた。
「いいえ、読んだことがありません。」
「なんだ。まだ、読んだことがないのか。じゃあ、今度、その本を貸してあげるよ。とても面白いから。えぇと、来週の日曜日の午後2時に 図書館の前で待ち合わせよう。」
「え!いいんですか。」
私は、天にも上るような気持ちでその日を待ち望んだ。

当日、その人は、約束の時間を過ぎても現れなかった。
私は、何度も時計を眺めては、ため息を付いた。
当時は、携帯もないし、そもそもその人の自宅の電話番号さえ分からなかった。
きっと、日時を間違えたのよ。
誠実な先輩が、こんなことするわけがない。
もしかしたら、午後2時じゃなくて、22時の間違いだったかも。
そう思った私は、夜の22時まで、図書館の前で待っていた。

さすがに、心配した母が、タクシーで迎えに来てくれた。
私は、約束を保護にされたかも知れないと号泣した。
「馬鹿ねぇ。連絡先ぐらい聞かなきゃ。誠実そうな若者だったけど。どうしたのかしら。きっと、何かわけがあるのよ。さぁ、早く家に帰りましょう。」と慰めてくれた。、

その日の深夜、その人が突然に事故で亡くなったことを知らされた。
私に会いに図書館に行く途中で、車にはねられたらしかった。
電話をしてきてくれたのは、その人の親友で、同じ大学に通う後輩だった。

葬儀の時、その人の亡骸の傍らに、『薔薇の名前』と書かれた分厚い本と マイルドセブンが置かれていた。
『薔薇の名前』著者は、ウンベルト・エーコー
この本一冊で、世界的ベストセラー作家となったのだという。
読みたいなどと嘘をつかなければよかった。
私はひどく後悔した。

葬儀が終わり、帰ろうとしていた時、
その人のお母さんに声をかけられた。
「あの、もしや、〇〇ゆかりさんではないでしょうか。すみません。この本、貰っていただけないでしょうか。」
お母さんは、あの『薔薇の名前』の裏表紙を開いた状態で渡しの目の前に差し出した。
私は、一瞬躊躇したが、裏表紙に書かれてある言葉を見て、はっとした。
「〇〇ゆかり様。こんな取り柄のない男ですが、よろしかったら、付き合っていただけないでしょうか。この本を読むのが難しかったら、今度、この本の映画が公開されます。よかったら、一緒に観に行きませんか。しおり代わりにしているのが、映画のチケットです。受け取っていただけたらうれしいです。」
ミミズが這ったような独特のフォント。
がんばって書いたのだろう。消しゴムで消せなかった鉛筆の跡が、くっきりと残っていた。
私は、ひと目も憚らず、号泣し続けた。

あれから、かなりの年月が経ち、私はその人の知らない人と結婚し、子どもが生まれ、いつ棺桶に入ってもおかしくないほどの齢を重ねた。

今でも、その人は、折りに触れ、私の前に現れる。
あの緋あの時と寸寸違わぬ風貌で、笑みを浮かべながら。
やってくる。
「タバコ臭いわ。」と文句を言う私に、その人は、「ねぇ、いつになったら『薔薇の名前』を完読してくれるかねぇ。」と嫌味を言う。

謎解きと記号論は、好きになれたけれど、この本あまり好きじゃないのよね。
合うたびに心のなかでそう呟いているのだけれど。

2021年10月28日 23時48分

返信2021年10月28日 23時52分

返信

@あんみつ姫 さん
あんみつ姫さんのお話2作も拝読させていただきました( ᴗ ̫ ᴗ )

謎が謎を呼ぶ仄暗いお話に、少し甘酸っぱいノスタルジックなお話で御座いました。
何だか、こうやってあんみつ姫さんのお話を色々読んでいると、だんだんあんみつ姫さんがどんな方でどんな道のりを歩いて来たのか知れて、それもまた嬉しく感じます(*´꒳`*)

私は『恐怖』という合唱曲も『薔薇の名前』という小説も知らなかったので、朗読するにあたり雰囲気を知るためにも調べてみようと思います(๑˃̵ᴗ˂̵)

怖い話というのがわからなくなるのは、私含め皆さんそうだと思うのですが、どうやってそこから皆さん恐怖を取り戻せるのでしょう……
今回のリレーが何か一皮剥けるきっかけになれば良いんですけどね……

我らがロビンさんのお題はいつも通り11/1に発表いたしますので、楽しみにして下さいね(л・▽・)л

返信