2才年上の兄貴はバイト感覚で“拝み屋”“祓い屋”みたいな事をしてる。
そういう家系らしいのだが、俺はしてない。
そんな兄貴は周りから親しみを込めて、『あにやん』と呼ばれている。
こんな『あにやん』にも弱いものがある。
俺より1つ下の妹だ。
俺は名前で呼ぶくせに、妹は『ちゃん』付けで呼んでいる。
その時点で負けている訳なんだが……。
兄「妹ちゃんは凄いよ。
俺にはあいつの真似はできん。」
兄貴が言うには、妹は『おばけ』を諭してるようにみえるらしい。
兄「うちは神徒やけど、
妹ちゃんは『菩薩』のようや。」
なるほど。
そんな事を聞くと身に覚えがある。
ドコだったか遠足か課外授業で帰ってきた時の事。
玄関を開けると妹が出ていくところだった。
俺の方をチラっと見ると、
妹「おかえり……
こんなトコ来たらアカンよぉ…
怖いにぃちゃんおるんやからぁ。」
俺「……ただいま。
(怖い兄ちゃん??)
あにやんがどうかしたか?」
妹「そんなん連れて平気なアンタが一番怖いわ…
……さ、こっちおいで。
ちょっと、〇〇ちゃんトコ行ってくるでー。」
俺「……(俺ナニ連れてんだ?)
……いってら。」
兄貴は笑いながら話を聞いていた。
『コン、コン』
ガラッと扉が開き、妹が顔を見せた。
妹「ちょっと足(車)出してくれん?
ハーゲン〇ッツ買ったげるから。」
兄「おっおっ!…行こか。」
アイスに釣られて兄貴が車を出す。
扉の向こうにある妹の手には、兄貴の古びた革財布が握られていた。
『菩薩』か……
おもいっきり掌で踊らされてる『あにやん』…
……ご愁傷様です。
怖い話投稿:ホラーテラー 徳銘さん
作者怖話
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あにやん3【見えない音】story12265