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短編2
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永眠 2

男が暫し思案していると、何やら騒々しい足音が。

襖が勢いよく開けられそこに現れた男は、挨拶もそこそこに目配せした骸に念仏を唱える。

男の名は 都築白使。

かつて男が在籍していた事務所の後輩である。

男は 成る程、所長の差し金か と一人納得した。

都築と組むのは久しぶりだが、腕は立つ、性格は不安定、まあ何とかなるだろう、などと思っていると、既に早まった行動を開始しようとしていた。

男はすぐに都築を制止すると、一人の白髪の男性を部屋に招き入れる。

翁の御子息である、と言っても、男と同年代か少し年長だろう。

都築は白髪頭の息子を一瞥しただけで事の成り行きを理解したらしく、男に向き直った。

翁には父の霊が、そして息子には翁の生き霊が憑いている。

まず、都築が祖父を降霊し、男が翁に憑いている父を引き剥がす。

と同時(男が祖父と父の霊を抑えている間)に、都築が息子から翁の生き霊を抜き本来の体に戻す。

肝心なのは翁の体がもぬけの空に成る時間をなるべく短くする事、要はタイミング次第ということか。

少々の打合せの後に、二人は作業に入った。

「ノウマクサンマンダバアサラダンカン…」

都築の発っした念仏に、(おいおい、それは○○教の教典だろう)などと胸の内で突っ込みを入れつつ、男は目の前の翁に集中した。

都築はデタラメだが確実に、祖父の霊を降ろして待機している。

しかし、男が請け負った父の方がなかなか翁の体から出て来ない。

都築はそれに気付き、祖父の霊を片手で抑えながらも、もう一方の手で父の霊を強引に剥がしにかかる。

男は少し慌てたがすぐに息子から翁の霊を抜き、都築を見やった。

(おい都築君、君も手こずっているね)

男は翁の霊を片手で抑えると、もう一方の手で都築と同時に翁の体から父を引き剥がす。

この瞬間奇妙な三角関係が成立したが、喜んでいるのは都築だけだった。

翁の霊を本体に戻し祖父と父の霊を改めて送り出してやり、何とかカタが着いたようだ。

打合せは全く意味を成さなかったが。

暫くして正気を取り戻した翁とその息子が、二人の霊能探偵の前で口を開く、夢を見ていたようだと。

(夢ではありません。少なくとも私と都築は)

男は二人に事の成り行きを分かりやすく話したかった。

が、都築が横から口を挟む事により、30分で済む話が2時間に及んでしまうのだった。

~続~

怖い話投稿:ホラーテラー ジロウさん  

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