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中編4
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百物語101話目(コピペ)

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こんにちは。コピペシリーズ4作目です。

前回のものがだいぶ好評だったので、続けて投下します。

ではお楽しみください。

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ソフトはSS(セガサターン)の百物語について。

収録されている101話の怪談がどうしても始まらないというのです。

今となっては記憶が曖昧なのですが確かあれは、全100話分をすべて見ると見られるおまけみたいなものだったはずです。

担当者はそういうような旨を電話口で伝えるのですが、相手は

「でも見られない。初期出荷分だけなのではないか」

と言います。

そういう時やるのは、実際にこちらで確認してみる事でした。

「こちらで確認しますので改めてお電話いただけますか?」

「時間がないので、明日までのお願いします」

電話を切ったのが午後6時前後。電話の相手は翌日の16時に電話をするとの事でした。

ソフトを探す時間、100話分プレイする時間、技の確認。

それを本来の仕事と平行しながら行わなければなりません。

幸か不幸か、この日はDC誌の校了日。

終わるまで誰も帰れないので一晩中煌々と電気がつき、編集部内も賑やかです。

おまけに、手が空いた人に手伝ってもらうこともできます。

新人編集と制作部の女の子達が交代でゲームをプレイする事になりました。

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話によっては監修の稲川氏が自ら出演して音声ですすめるものもあるため、プレイをする人はイヤホンをつけました。

怖い人、興味のない人などは、内容を読み飛ばしてただボタンを押し続けるだけですが、たまに興味を持って進める人もいました。自分のように。

夜も大分まわり、4時くらいになった頃です。

ぶっ通しでゲームを進め、70話ほど進行しました。

このあたりの時間から自分の担当分が校了し、そのまま机や仮眠室で力つきる人が出てきます。

そのため、プレイ人数は減っていき、やがて自分一人でプレイしなくてはならなくなりました。

イヤホンからは稲川氏の早口なしゃべりが聞こえてきます。

正直、体力が落ちているこの時間くらいになると、何を言っているのか聞き取ることができません。

かなり疲れてきていたのか、無意識に目を閉じていたようです。

不意に、音声が途切れました。

あ、終わったのかな?と僕は目を開けました。

話がおわると消えていく、100本ろうそくの画面が出るはずです。

しかしそこには違うものが映っていました。

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顔の下半分がグニャグニャに歪んだ老婆の顔のアップでした。

元は何かの話のクライマックス用のビジュアルなのでしょうか。

大きく口を開けた老婆がこちらを凝視していました。

ディスクの読み込みエラーなのかもしれません。

画面の下半分だけが痙攣したようにブルブルと震え、それに合わせて老婆の口もグネグネと歪みます。

イヤホンからは稲川氏の声。

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「……ジーッと見ているんですよ。……ジーッと見ているんですよ。

……ジーッと見ているんですよ。……ジーッと見ているんですよ。……」

そこの部分だけが繰り返し再生されます。妙にゆっくりと。

ソフトのフリーズはしょっちゅうですが、こんなエラーの仕方は初めてです。

やがて、リピートしていた稲川氏の音声にブツブツと雑音が入りはじめました。

SSはディスクを読み込もうとガリガリいい出しています。

未セーブ分の時間が勿体ないとは思いましたが、僕は怖くなり電源を落とそうと手を伸ばしました。

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その瞬間、稲川氏の声がブツリと途絶え、ゲームに収録されているSE(効果音)が滅茶苦茶に再生され始めたのです。

クラクション音、風の音、カラスの声、すすり泣き、雨音、そしてゲタゲタ笑う少女の声。

shake

老婆の画像のぶれもどんどん大きくなり、顔全体が引きつったようにガクガクと歪んでいました。

僕は電源スイッチを叩き切りました。

切る瞬間、男の声で

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「遅ぇよ」

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と聞こえたのを覚えています。

そんなデータは、なかったはずですが。

僕は、逃げるように席を立ち、近くでぐったりしていた同僚をたたき起こして無理矢理コントローラーを押しつけました。

彼は急に起こされて訳の分からないという表情でしたが怖いから続きをやってくれ、という僕の頼みにニヤニヤしながら替わってくれました。

明らかに小馬鹿にている様子でしたが、仕方ありません。

しかし、数分もしないうちに彼は不機嫌そうに戻ってきました。

「データ飛んでるぞ」

スイッチが切られ、モニタには何も映っていません。

しかし、微かに映りこみがあったようで、先刻の老婆の輪郭がぼんやり残っていました。

本体の蓋を開けた状態で電源を入れます。これでセーブデータの確認ができます。

本体メモリにセーブデータを保存していました。しかしデータが壊れていました。

正常ならソフト名の欄に半角カタカナで「ヒャクモノガタリ」と明記されているはずなのですが、そこには

「ギギギギギギギギ」

と羅列してあったのです。僕はすぐにそれを消去しました。

どうするんだ?と訪ねる同僚に、僕はバックアップ用の外付けメモリロムを渡しました。

10話ほど遡るけどここにもデータが入っているからこれで100話クリアして欲しいと頼みました。

当然嫌がられましたが、何でもするからと懇願し、渋々承諾してもらいました。

(このせいで後で別の意味での恐怖体験を味わうことになったのですが、オカルトではないので省略します。)

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結果的には、例の裏技は普通に始まり、電話の相手の取り残しかデータの読み込みミスだろうということで決着しました。

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