中編4
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野糞

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ファミレスを出たのが22時、商店街の街灯をくぐり抜けて、山道の手前にあるコンビニに寄って、ジュースと何故か百円のティッシュボックスを買った。

多分助手席のAがジュースか何かを、車の中でこぼしたからだった。

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中古の小さな軽に男が4人乗り込んで、俺達は心霊スポットへ向かっていた。

運転してたのがB、俺とCは後部座席だった。

目的地はそこから30分ほど上った所にある、廃校だった。

俺はコンビニを出た辺りから腹がグルグルいってて、若干便意があったんだけど、怖い話で盛り上がってて、言いそびれた。

最悪ティッシュボックスがあるし、野糞すればいいって軽く考えてた。

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山道をしばらく進むと、CがBに徐行するよう促した。

そしてCが携帯のナビと見比べてここじゃない?とガードレールの間を指さした。

ガードレールの切れ目に何やら道があり、そこで車が止まった。

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ハイキングコースにあるような、ボロボロの木で出来た、下りの階段。

その階段の先にある闇の暗さに、俺ら全員ビビってた。

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懐中電灯を持って4人列になって階段を下ると、一段下の林の奥に、とても学校とは思えないような、茶色の建造物がライトの中に映り込んだ。

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思わずうわぁ~とため息が漏れてしまうような、嫌な質感だった。

それは学校と言うには校門も校庭すらない、腐った木で出来た二階建ての建物で、学校というより大きめの館だった。

周りは杉に囲まれてて、扉を取っ払われた校舎の入口が、正面にぽっかり口を開いているように見えた。

一帯からじめっとした木の臭いがしてたんだけど、その辺りで、あ、やばいって思ったんだ。

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俺は霊感とか全くないし、ずっと一貫して腹が痛かっただけなんだけど。

ウンコっていうか、下痢?

ちょうどその校舎の入口ら辺で、ガチでウンコが漏れそうだった。

違う意味で入ったら絶対やばいと思った。

とにかく車降りてから皆、ずっとやべーやべー言ってたけど、俺だけ全く別のことがヤバくて。

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冷や汗かいて、ずっとだまって、青い顔してたんだろーな。

Bが俺を見て、気い遣ってくれて「顔色悪いぞ、車で待ってろよ。」って言ってくれたんだ。

「ああ、ごめん俺実は…ちょっと…霊感あってさ…」

とか言って、若干場を盛り上げつつ、野糞する絶好のチャンスと思って、俺だけ車に戻ったんだ。

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階段を駆け上って車の中のティッシュボックスを抱えて、良さそうな場所を探した。

ガードレールを乗り越えると杉林で、通りからも隠れるし、ちょうどいい感じに思えた。

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実際暗過ぎてほとんど何にも見えなくて、そこが杉林なのか何なのか、わからなかったんだけど。

そこは学校全体を斜め上ら見下ろすような位置で、そこから校舎の中で肝試しする奴らの懐中電灯が時々チカチカ光るのが見えたんだ。

俺は学校の裏手の高台から、見下ろすような形で、糞をした。

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ブリ!!っと忌々しい糞が枯れ葉の上に飛び散って、ついでに出た小便が葉っぱの間を縫って下に流れてった。

う~ん!

う~ん!

つって、グルグル言ってる腹と格闘してたら、下から奴らの叫び声が聞こえたんだ。

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馬鹿だな、つって笑ってたら、奴らの懐中電灯が暴れるように光って階段を駆け上って来やがった。

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うわぁぁあぁああ!!!

ぁあああああ!!

ぎゃぁあぁぁ!!!!

AとBとCの叫び声が聞こえて、その中に変なハミングのような女の声も混ざってた。

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疑問に思う間もなく、あっという間に3人は車に乗り込んで、俺の名前を叫びながら、Uターンすると、俺を置いて行っちまいやがった。

その間ずっとクーーーーーーーーーーーというハミングのような高い女の声が聞こえてて。

ツツツツツツツツツツツツツっと、道路の上を摺り足で歩くような変な歩き方で車を追うように声は下へ消えてった。

生憎、そこは携帯が圏外で、俺は俺のウンコと添い寝するような形で、野宿するはめになった。

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後日談になるけど、奴らは校舎に入ったとたんまずそこが学校じゃない事に気づいたそうだ。

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恐らく戦時中か何かに建てられたら病院で、中にはベットがやたら並べてあったそうだ。

3人はそれでも探索を続けると廊下の奥から、ツツツツツと着物を擦るような足音が近づいてきて、懐中電灯を向けると。

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3人曰わく、《お歯黒の黒柳徹子》がニタっと笑いながら迫って来たそうだ。

ツツツツツツツツツツと黒い和装のババアが摺り足でスライドするように近づいてきて、そこから先は覚えていないんだとか…。

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俺のこともか?

と聞くと、車に戻っても俺が乗ってなかったから、《徹子の部屋》に引きずり込まれたんだ!つって、よけい焦ってしまったんだとか。

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何はともあれ

俺は次の日、日の出とともに山道を下って、民家に電話を借りると、無事生還した。

Concrete
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