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私が高校生だったとき同じクラスに
皮膚病で薬が欠かせない女の子Oがいた
彼女は派手ではないが優しくて
穏やかな性格の女の子でクラスでは
特にいじめられることもなく過ごしていた
でも三年になったとき急に
クラスのリーダー格のNが
皮膚病の薬の匂いを理由に
Oをいじめだした
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Nは高校のミスにも選ばれたことのある
美人だったが
自己中心的で棘のある性格だった
私は比較的Nと仲が良かったので
嫌でも悪口を聞かされた
何度か周りも止めたがNのいじめは
止まらなかった
Oはもちろんいじめに気づいていたが
誰にも言わず耐えているようだった
そんなある日席替えが行われ
NがOの前の席になってしまった
私は嫌な予感がした
さらにいじめが激しくなるのではないか
予想通りNは次の日
大きな消臭剤を持ってきた
そしてそれをOの席に行き
わざとらしく鼻をつまみながら置いた
さすがに私も止めたが
彼女はやめなかった
Oは下を見て震えていた
一年後卒業を迎え、Nも私も
別々の大学に進学し地元を離れた
それから何年かして
地元に戻る新幹線の中でNに再会した
彼女はマスクをして左目には眼帯をしていた
驚いてどうしたのか聞くと
卒業して一年程した頃から
身体中に発疹ができ
ひどい皮膚病になってしまったという
顔が特に酷いらしくもう化粧も出来ないし
マスクや眼帯なしではとても外には
出られないという
美しかったNの顔からは
もう以前の面影はすっかり
消え失せてしまっていた
彼女からはOと同じ薬の匂いがした
一方のOは卒業後
東京の大学に進学した
酷かった皮膚病も落ち着き
とても綺麗になった
最近はミスコンに出たり
まるで昔のNのような華やかな
毎日を送っているという
作者沙桐
あれからNとは音信不通です