『これ、どこからでるの?』
尋ねながら彼女はボロボロになった地図だったものを握り締めていた
さっきまであんなに晴れていたというのに
雲の流れはこんなにも速いのだ、雨もすぐに止むだろう
『さぁ・・・』
と答えながら、そう思いたいと願った・・・
これは俺と、一回り歳の離れたいとこのA、そしてその彼女
、の3人でドイツへと海外旅行に行った時の話だ
俺達は道半ばで迷子になり途方にくれていた・・・
ドイツに来て見みたものの、福引で手に入れたのは
旅行券と、あまり気の乗らないツアーのセットだった。
チケットは4枚あったのだが一枚は売ってしまい資金にあて、
俺達はツアーとは関係なく行き当たりばったりの旅を楽しむ事にしたのだ。
なにをしようか?と話し合っているとき、
『ドイツなんだから伝説を見に行こう』
と彼女が提案したのが全ての始まりだった
『ハーメルンの笛吹き男』をご存知だろうか?
1284年、ハーメルンに「鼠捕り」を名乗るピエロのような格好をした男がやって来て、
報酬と引き換えに街を荒らしまわるネズミの駆除を約束した。
すると男は笛の音でネズミの群れを惹き付けると、ヴェーザー川におびき寄せ、
ネズミを残さず溺死させた。
約束を果たした男は報酬を要求しにハーメルンへと戻ると、町の人々は約束を破り、
報酬を出し渋った。
怒った笛吹き男はハーメルンの街を後にしたが、
6月26日の朝(一説によれば昼間)に再び戻って来た。
住民が教会にいる間に、笛吹き男は再び笛を吹き鳴らし、
ハーメルンの子供達を街から連れ去ったいう。
130人もの少年少女が笛吹き男の後に続き、洞窟の中に誘い入れられ。
そして、洞窟は内側から閉じられ、
笛吹き男も洞窟に入った子供達も二度と戻って来なかったという。
物語の異説によっては、足が不自由なため他の子供達よりも遅れた2人の子供、
あるいは盲目と聾唖の2人の子供だけが残されたと伝えられている。
その笛吹き男は死神だったとか悪魔の象徴だとかいろいろと説もある他
洞窟ではなく子供達は森の中に五体を引きちぎられ、
木々にかけられているの見つけられただとか
調べれば調べるほど出てきた。
オカルト狂の俺達はハーメルンへ向かうことを決めたわけだったのだが
向かう途中、ハーメルンを囲む緩やかな丘の中おもしろそうな施設を見つけてしまった。
それは『巨大迷路』だった
完全に閉鎖されていたのだがそこは旅行独特のハッチャケ感から3人ともノリノリで侵入した
いわゆる迷路園と言うのだろうか
背の高い生垣で視界は完全にさえぎられる緑に囲まれた静かな空間だ
スタートできる道は5つ
『バラバラに入ってビリだった奴が罰ゲームなんてどう?』
と提案するA
『やってやろうじゃん』
『別にいいけどA君迷子にならないでよね』
そんな軽口を一言二言交わしてからそれぞれ思い思いの道の前に立った
A は一番左の道へ
彼女は真ん中の道へ
俺は一番右の道へ
『それでは諸君♪公平をきたすため、カウント5でスタートします!!』
ノリノリのAは非常に楽しそうにしきっている
笑う彼女に、いいから始めろ、
とうながす俺
『それでは…』
『Go!!(五のつもりなんだろう)』
叫ぶと同時に走り出すA…
『うん、やると思ったよw、A君賭け事になると勝たないと気がすまない子だもんね、俺君、また後でね♪』
ちゃっかりエントランスにあった地図(パンフレット?)を取ってきていた彼女は俺に微笑みかけるとゆっくりあるきだした
『おうっまた後で♪』
俺もいくことにしよう…負ける気はさらさらないのは俺もだ。
A は勘と体力だけで走り回るにちがいない、
彼女は地図で最短を進んでくるだろう…
では俺は右手法だ
これなら壁の長さだけ歩けば必ずそとに出られる
そっと右手を壁にあて歩き始めた
中はなんの音もない静かすぎる空間
そして生け垣の所々に石膏で作られた子供たちのオブジェがある
どれも楽しそうにスキップをしているようなオブジェだ
それからかれこれ、15分くらいだろうか、歩いているとなんのきざしもなく
『キャーーーーー!!!』
という彼女のものだあろう悲鳴が聞こえ
一瞬の硬直の後、俺は走り出していた。
作者Incubus
一回り歳下ないとこのAと俺のトラブルメーカーな2人がだいた い自業自得な目にあうシリーズ物です ゆっくりですが更新していくつもりですのでよかったら どうぞ
※シリーズ物なので他のトラブルメーカーも読んでいたたけるといろいろと見えることもあるかもです