「持ち運びできる様に切り刻んで…」とか言ってたが、クソ!こいつぁ…骨が折れる…
骨董屋の主人は何時も無理な事ばかり俺にやらせる…
切れ味の悪いノコギリで数時間掛けて首、腕までやっとこさバラしたが腰の太さを見たら、嫌気が差す…
気持ちが悪いとかそんなじゃない、疲労困憊…面倒だった。
「こいつ、どうするんだ…?」
「路地裏に捨てて置けば、掃除屋が片付けるさな…」
掃除屋?一体どんな奴だろうか…
「ほれ!どうした?まだ細切れになってないじゃないか?それじゃ掃除屋も片付けてなどくれんぞ…」
仕方なく、腰部分の切断に取り掛かる…
初めはスルリとノコギリが入る…
内臓がズルりとはみ出して内容物、糞尿の臭いが漂い仕事の邪魔をする…
骨を残しグルリと肉だけ切り、後は蹴り飛ばし背骨を折る…
それだけの作業に一時間は要した。
次は脚…
二等分にしろとの指示だったので、かなり時間が掛かった…
『ぎちゅ…ズリュ…ゴリュ…』
時刻は深夜になり、それを三箱の発泡スチロールに詰め、店から出たすぐの路地に運ぶ…
……………
何かがゴミ箱の影で、もぞっと動く
…何だ?
よろりと立ち上がりこちらにやって来る…
発泡スチロールに手を掛け、引き寄せると蓋を開け中身を口に運ぶ…
「バキュ!ズルル…ビキ!ゴリゴリ…ムシャムシャ…」
食ってやがる…
掃除屋ってこいつか?化け物め…
悪臭が辺りを包む…
あの骨董屋、とんでもねえモノ飼ってやがるな…
「どうだ?可愛いものだろう…」
後ろから骨董屋の主人が声をかけてくる…
菅野の名を隠し、犬神としてこの店に務めだして3日目、この爺ぃの気味の悪いツラも、見るのにだいぶ慣れた…
もし今、人格が代わったら、犬神の奴はどんな反応をするだろうな…フフフ…
作者退会会員