【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
  • 表示切替
  • 使い方

隣のおばさん

これは田舎から東京のとある場所に引っ越してきた時の話です。

暇つぶしにどうぞ。

ちなみに、実話です。

nextpage

僕はまだ小学4年生の時の話だ。

引っ越しをしたばかりで、友達もいなく兄弟でアパートの前の道路で遊ぶのが日課だった。

父と母は仕事が忙しく、帰ってくるのは夜の8時過ぎ。

それまで外で遊んでいた。

そんな僕たち兄弟を気にかけてくれたのは隣のおばさんだった。

夕方にはおやつをくれたり、日が落ちる頃にはもう帰りなさいなど、声をかけてくれた。

もちろん僕の父と母もそれを知っており、お礼をもって行ったり、お裾分けしたりと家族でお付き合いをしていた。

朝には必ず母にもいってらっしゃいと声をかけてくれていたらしい。

とても優しい人だった。

nextpage

ある日からおばさんの姿を見なくなった。

父も母も気にしていたが、以前も旅行にいってしばらく留守の時もあったので、そんなには気にしていなかった。

おばさんの姿が見えなくなって3日ほど経った頃。

母が夜の10時を過ぎると頭が痛いと言い出した。

毎日同じ時間だった。

色々な病院に行ったが、ストレスと言われたり、原因は分からないと言われたりだった。

心配になった父は会社の上司に相談をした。

するとその上司はたくさんの人に話をしてくれて、そのなかでも何人かのその手がわかる人を紹介してくれた。

一人は医学に精通する人で、症状をみたいと言って、家にきた。

そして例の時間がくる。

苦しむ母を診察するが、熱もなくとにかく頭を抱えている母を見てひきつっていた。

結果何も分からずだった。

nextpage

次に、時計店を営んでいるおじさんがきた。

例の時間がくる前に、父や母にではなく僕たちに色々話を聞いてきた。

学校はどうだとか、何して遊んでいるとか、

危険な所には行ったりしたかなど母の苦しみとは全く関係がない気がした。

nextpage

例の時間がきた。

母は頭を抱え叫び、苦しみもだえている。

その姿をみたおじさんはお経を唱えはじめた。

すると母は自分で自分の首をしめ、苦しみはじめる。

僕たちは怖くて泣きはじめてしまった。

父は必死に母の手を押さえようとするが、とても強い力のようで押さえきれない。

おじさんのお経の声がどんどん大きくなっていた。

あれだけ暴れていた母が急におとなしくなり、ぐったりとした。

決まって苦しむのは10分間だった。

nextpage

現象が終り、おじさんが言った。

明日、また来ます。

それだけ言って帰っていった。

翌日

おじさんはもう一人、女性を連れてきた。

女性相手だから、女性を連れて来たと言っていたが、普通の感じの女性ではなかった。

例の時間になる。

母はやはり苦しみはじめる…

おじさんはお経を唱えはじめた。

母はまた自分の首をしめる。

すると一緒にきた女性が母に問いかけた。

「あなたはどこの人?」

母は首をしめたまま。

女性が再び声をかけた。

「どうして欲しい?」

そう問うと母は自分で自分の首をしめながら答えた。

「おけっ!おけっ!起き上がれない!」

はっきりと大きな声で叫んだ。

そして時間が経ち、母はぐったりとなった。

nextpage

おじさんと女性は原因が分かったようだった。

父に説明をしていた。

何か強い念であり、恨みなどではないこと。

そして助けて欲しいか、見つけて欲しい、そんな類いであることだと。

それを聞き、しばらく父は考えこんでいた。

nextpage

すると父は、いきなり立ち上がり玄関を飛び出した。

ドンドンドン!

隣の玄関を叩く。

それに気づいた僕たちも外にでて

おばさん!おばさん!と力いっぱい叫んだ。

近所中から人が何事かと集まってきた。

その中に大家さんがいて、父に説明を求めた。

父は最近おばさんの姿が見えないことと、母の症状を話た。

大家さんは戸惑った様子だったが、人がたくさんいることで、証明してくれる人がいるからと言って、渋々鍵を開けた。

nextpage

いきよいよく、父が玄関を開けた。

なんともいえない臭いが鼻をつく。

「おばさん!どこっ!」

父が大声をあげながら、家の中に入って行く。

沈黙が流れた…

父が出てきた。

首を横に振りながら、大家さんに警察を呼んでくださいと言った。

nextpage

その後はサイレンが鳴り響き、眠れない夜になった。

次の日から母の苦しみはなくなった。

そして、父と母からあの夜の話を聞いた。

nextpage

父がみた光景は、お風呂場でおばさんは頭を洗う格好で桶に頭を突っ込み亡くなっていた。

桶には水が張ってあり、呼吸ができなかったのだろう。

普通なら両手を使い、起き上がればいい話なんだが、どうしてそうなったかは分からないと言っていた。

すると母が話はじめた。

このアパートはシャワーがないから、

おばさんは頭を洗おうとして、桶にお湯を張りお風呂イスに腰をかけた。

髪を桶に張ったお湯で濡らすつもりだったが、イスが後ろに滑り顔から桶に入ってしまった。

両手は頭においたままだったから、顔だけで受け身はとれず、意識を失いそのままになってしまったと。

突然話をはじめた母に父は驚き、キョトンとしていたが、母は続けて言った。

おばさんから、私とお父さんにはごめんなさいねって。

子どもたちには、おやつあげられなくなってごめんねって。

みんな、涙が溢れていた。

Normal
コメント怖い
13
7
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

切ないですね…
おばさん、見つけてほしかったんですね。
きっと天国で見守ってくれてる事と思います。

返信

悲しい( ´△`)
でも見付けてもらって良かったね
やっぱり人同士の繋がりって大切ですよね

返信

その方には息子さんなどはいなかったのでしょうね、、今の日本が抱える問題ですね。
悲しい話です。

返信

こんなことってあるんですね、
おばさん、残念でしたね、ご冥福お祈りします・・・

返信

とてもいいおばさんだったんですね。切なくなりました。

返信

コメントありがとうございます。
読んでいただき、ありがとうございました。

返信

怖いというか、悲しいお話ですね

返信