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職種にまつわる話 警備員

中編3
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職種にまつわる話 警備員

  これは、私が警備員の仕事をした時の話です。

私の担当は夜間の巡回がメインの仕事、担当区域で指定された工場や学校の

巡回が主でした。

田舎の警備会社なので基本的に担当区域にそれぞれ一人ずつしか配置され

ませんでした。なので朝まで誰とも会話することもなく、唯一無線で定時

報告で会話するのみの寂しい仕事でした。

 いつものように夜の10時、学校の定時巡回の時間がきた。

なんどやっても学校の巡回は気分的に嫌なものです。

真っ暗な学校を懐中電灯一つで巡回する、一人肝試しのようなもの。

まるでちょっとした罰ゲームです。

ド田舎の中学校なので外周巡回時などは蛇などもよく出たものでした。

まあ、そんなこんなでいつもの巡回開始。

とにかく早く済ませたいので自然と足も早足になる。

一回を巡回して続いて二階、嫌な鏡バリの廊下がある。

歩くたびに自分の姿がうつるのでビビる、なんとか通過していわくつきの

図書室へ。図書室担当の先生が亡くなってから出るという

噂があるが運良くまだ出会ってはいない。

なんとかその日も何事もなく、残りの三階へ。

この階を巡回すればあとは終了ってことでさらに早足になる。

一つ一つの教室をまわり、最後の教室を残すのみとなった。

何か変だ!後ろに何か気配を感じる。

とたんに冷や汗が出る。振り向きたくはないがこの状況をなんとかしたい。

意を決して振り向くと何もなく、ただ暗闇が広がるだけ。

ホッと一息をついて振り返ると最後の教室から何やら薄明かりの

ようなものがドアの窓ごしに見えていた。

確か水槽があってその電気がついているんだなと何も疑わなかった。

そしてゆっくりドアを開けると・・・・

・・・・・・・・

しばらくその場を動けなかった、言葉がでなかった。

それをみた瞬間しばらくその場に固まってしまっていた。

窓際から二列目、後ろから三番目の席。

・・・・男の子が座っていた。

黒板の方をじっとみながら座っている。

どう考えてもこの世のものじゃないって瞬間感じた。

私は、その男の子がこちらを振り向く前に、気づかれる前に

なんとかこの場をさりたいと思った。

固まった体と心をなんとか奮い起こし、ゆっくりと、そして

なんとか音がならないように静かにドアを締めて足音も聞こえないように

スリッパを脱いで急いでその場を去った。

今まで何度も肝試しなどで怖い体験をしてきた経験からか

冷静に戸を締めてスリッパを脱いで気づかれないように

その場を去った自分の対処には自分ながらに驚いた。

運良く次の日は休みで、精神的動揺を抑えることができた。

色々考える時間もあり、お守りなど準備する時間もあり。

また巡回でその学校へ行く日が来た。

ある程度心の準備もできていた、お守りも持ったし数珠、塩もポケットへ

経典も懐に、これで何があってもなんとか大丈夫

そう心に言い聞かせて、再びあの教室のドアを開けた。

そこには何もなかった、いや、いなかったといったほうがいいだろう。

ただ一つの変化を除いては。

私が男の子を見た机

その机には花瓶が上がっていた、その花瓶には白と黄色の花が

そえられていた。

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