これは私がまだ学生の頃の話です。
私は昔、人形を粘土から作るのが趣味でした。
ーーーーひきこもりで学校に行けなかったので寝て起きて人形をつくる日々ーーーー
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夏の暑い夜
湿気に溺れるかのような息苦しさに目を覚ましました。
ぼーっと顔の前に蛍のような黄緑のランプのような明かりが見えました。
眩しいので寝返りをうち
直後ふいに今の光景を不思議に思いました。
私は真っ暗にしてしか眠ることができません。
部屋に黄緑の明かりなんてありません。
ましてやすぐ壁のある位置に電気スタンドなんかおけません。
まばたきすら恐ろしいはりつめた空気の中、すぐに確認しないといけないと条件反射で寝返りを打ちました。
蛍のような光を放った女性の首が
私の枕元で一緒に横になっていました。
ーーーーーまるでずっと見ていていたかのような優しい笑みでーーーーー
私と目があった瞬間、
shake
ニヤリ
目玉が落ちそうなくらい目を見開き
満面の笑みでその首は私になにかを伝えようとしました。
私は身の危険を感じ、
逃げようと起き上がろうとしました。
しかし全身力が入りまるでそのままセメントで固められたかのように動くことすら許されませんでした。
shake
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
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そのまま女性はふぅっと浮かび足元にゆらゆらとんで行きました。
緊張の糸が少し緩んだのか
私は上半身をおこすことができました。
何もなかったように電気をつけ「これは夢だと思おう」とした瞬間
足元の棚に沢山のバラバラ手足が綺麗に陳列されていました。
あわてて目をそらして電気のスイッチになっている紐に手を伸ばしました。
shake
ぎゅっ
手を伸ばした先で私は誰かに手をにぎられました。
ぼんやりと浮かぶ緑に薄く光った手首。
…トモダチ
ワタシタチ…
頭の中から幼い女の子の声がした次の瞬間
「違う!!!!!」
私は思わず叫んでいました。
下の部屋からものすごい勢いで足尾とが部屋に向かってきます。
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頭のなかに声が響きます。
…チガウ?
…チガウ………チガウ…チガウ……チガウ…チガウ……チガウチガウ
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手の感触がなくなると部屋のふすまがバーンと音をたてて開きました。
心配そうな顔をした母が電気をつけて部屋に入ってきてくれたのです。
そこから私の記憶はありません。
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最近まで私はこの話を夢だと思い込んでいました。
母に聞いても何もいってくれなかったからです。
今の事務所に入りしばらくした時に言われました。
「外に泊まりにいって寝言いってないか?
寝言は言うけどさけんだことは一回しかないから迷惑はかけへんと思うけど」
笑いながら言う母を問い詰めるとやはりあの時母親は私の声を聞いて助けに来てくれたようです。
「お母さんを見たときに笑顔で涙流しながら布団に倒れたけど」
笑いながら話す母親に母の優しさと
当時心配をかけすぎていたのだなと感じたのです。
今では母親が肉親であり心許せる一番近くのトモダチです。
作者野中ひゆ
はじめまして。
特殊メイクをしながらタレント活動をしている野中ひゆです。
今回は私の友達を紹介します。