今から十数年前。
私は地元の小さな喫茶店でアルバイトをしていた。
ちょうど今頃の季節。その日はとにかく暇で夕方まで客入りが悪かったのを覚えている。
そんな中、入り口のドアが開取り付けられたベルを鳴らしながら開いた。
私はいらっしゃいませ、奥の席にどうぞ、とそちらに目を向けカップルとその後ろに男性がいるのを確認し、三人分のおしぼりとお冷やを用意する。
それからヤニまみれのメニューを持ちテーブル席へと向かった。
席にはカップルしか座っていなかった。
私はなんとなく二人分のおしぼりとお冷やをテーブルに置いた。
特にクレームもなく通されたオーダーはアイスコーヒーとメロンソーダのみであった。
よくある話である。
作者ミトウ