仲間内で集まって、
舞台公演をやろうと言う話になった。
お世話になっている劇団の小さなスタジオを借りて二日間の公演予定で
前日搬入、ゲネプロ(本番同様のメイク衣装等でお客をいれない最終稽古)予定で三日間借りた。
公演初日
もうすぐで本番と言うとき
役者は舞台袖の楽屋に集まり、
開場を待っていた。
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…ザワ
ザワザワ
お客さんだ!
みんな声には出さないけれど
顔を見合わせて喜んだ。
雑談のようなざわめきはどんどん大きくなっていた。
ザワザワザワ
ザワザワザワザワザワ
満席近いぞ!
役者は喜んでいるのに、
客席が見える音響照明係のスタッフが
青い顔で振り向いて首を振る。
「なんだよ!こんなにうるさくザワザワしてるんだから、ほぼ満席だろ」
「でも…見えないです…」
「は?」
「これだけ話し声が客席から聞こえるのに…姿が…見えないです」
その時には楽屋内でのヒソヒソ話が困難なほど
客席のざわめきは大きくなっていた。
そこに
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「すみません!そろそろ開場しますので準備大丈夫ですか~?」
受付スタッフが声をかけてきた途端
ピタッ
客席は急に静寂に包まれた。
その後
少しずつ、本物のお客さんにより
客席のざわめき戻っていった…
お盆の時期で
「あの世での死神」の話だったから
人ならぬ者も呼んでしまったのでしょうか…
作者退会会員
たいして怖い話ではありませんが、
実際に体験した事です。
初めての投稿で拙いですが
読んで頂けたら嬉しいです。