短編2
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隣のおじさん

甥っ子がまだ3~4歳だった時の事。

妹(甥っ子の母親)の仕事が遅くなった為、

私が車で迎えに行くことになった。

甥っ子は車が大好きで、

車で出掛けるときは必ず一緒に行きたがる。

この日も母親に早く会いたいのもあり、

一緒に行くと言いはった。

本当はもう寝かさなきゃ行けないんだけどなぁ…

いつもならば寝ている時間だが、

ドライブしているうちに寝るかも知れない。

そう思い、助手席にチャイルドシートをのせて

二人で迎えに行くことにした。

「チットーチットーチットーチットー♪」

車に乗れて甥っ子はご機嫌。

ウィンカーの音が甥っ子には

チットーチットーと聞こえるらしく、

曲がる度に歌うように言っている。

「じゃんてんしよ~」

「じゃんけん?カ行うまく言えないんかいな?」

「たぎょー?」

「いやいや。じゃんけんね~運転中だからできないな~

あ、お歌歌おうか?アンパンマンとか!」

なんとか誤魔化して歌を一緒に歌ったりしていたら

急に甥っ子が黙り混んだ。

「R君どした~?眠くなった~?」

「ねむない…」

「あ、お歌が嫌だった?違うのにする?しりとりする?」

と、突然

「黙って!」

と、普段は舌ったらずの甥っ子が

小さい声ながらも強い口調で言った。

「ど、どうしたの?」

と助手席を見ようとしたら

「しっ!見ちゃダメ!」

そっと横目で見ると、

甥っ子は前を向いたまま真剣な顔をしている。

見たことのない様子に内心焦っている私に

甥っ子は小さい声で

「今ね、ボクの隣におじさんがいるの。

おじさんが怒ってるの」

「おじさん?隣って横?」

「ううん。窓に張り付いて怒って見てる…」

横目で見てもそこは暗闇で何も見えやしない。

けれども幼い甥っ子はカタカタ震えながら

おじさんが怒ってる

気づいてないふりして静かにしなきゃ…

と、ぶつぶつ呟いていて

異様な空気にぞっとしながらも

とにかく事故をおこさないように

息をころしながら先を急いだ。

明るい大通り近くまで来たとき

「あ!いなちゅなった!やったぁ~」

と、甥っ子は明るいトーンで言い、

背伸びをした。

その後はうってかわって歌ったり

しりとりしたがったり、気に入った車を見つけてはしゃいだり。

…一体窓に張り付いていたおじさんとはなんだったのだろうか…

そして、何に怒っていたのか?

私が音痴だったから

ということではないと思うのだが…

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Concrete
コメント怖い
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死ん様→小さな頃はなんやかやと勘が鋭い反応してましたが、今では生意気な中学生で、そういうことは鳴りを潜めたようです('ε'*)

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視(み)える子なんだな

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薄紅様→ありがとうございます。教えてくれるの微妙ですよね~。けど、甥っ子いわく二人で歌ったりキャッキャしてるのがいけないとかなんとかでf(^^;
怖いから私を黙らせたかったみたいです~

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何か感想が変なので追記させてもらいますm(__)m
教えてくれて嬉しいような…知らさずにおいといてほしいような、複雑な感じかなと言いたかったのです
失礼しましたm(__)m

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コ…コワイ((((;゜Д゜)))
外見れないよー( ̄□ ̄;)!!
甥っ子さんは霊だと気付いてないのか強いのか…
でも教えてくれて嬉しいような…複雑…ですね

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