悪夢を見た…
愛する息子に殺される夢だ…
………………
息子は、ここ三年ほど部屋に引きこもり母である私に顔を見せない生活を送っている。
主人とは四年前に離婚をしている…相談できる相手もいない為、最近まで気にしないように努めてきたが、もう限界かもしれない…
あの子を殺して私も死のう…
何度も頭をよぎる…
「亮介?ご飯ができたから…ここ、置いとくね…?」
「……」
いつもの事…返事なんかするわけが無い…
最後に聞いたあの子の声は…
「うるせー!ババァ!殺すぞ!!」の一言だ。
あの頃、何とか彼を外れた道から救ってあげようと努力していた…が、無駄な努力だった…
余計に、彼は心を閉ざす結果になってしまった…
今日は食事をとった形跡なし…
………………
悪夢を見た…
愛する息子が包丁を持ち、血だらけで立っている夢だ…
最後は、私も刺されるという内容だった…
息子が引きこもるようになったのは三年前…
でも、少し様子がおかしくなり始めたのは四年以上前にさかのぼる。
私にはもう一人子供がいた…息子の亮介よりふたつ年上の女の子…
あの子が死んでもう、四年半が経過している…
死因は自殺…自殺だ…自殺だと思うようにしている…
第一発見者は亮介だった…
娘の部屋に入ると、亮介が手に包丁を持ち血まみれで立っていた…
「姉ちゃんがさ…死にたいって…だから僕が手伝ってあげたんだ…」
彼を急いで風呂場に連れてゆき…着ているモノを全て脱がせて、血を洗い流した…
血のついた洋服は袋に詰めて自宅の庭に埋めた…
その光景が未だに蘇り夢に出てくる…
今日も食事をとった形跡なし…
悪夢を見た…
意を決して息子の部屋に入ると…
天井にロープを掛け、息子がそのロープに首を掛け死んでいる…
内容物が股間部からしたたり…
悪臭が部屋いっぱいに漂っている…
悪夢を見た…
息子が自殺した…
悪夢を見た…
私も死のうと…台所にある包丁で手首を斬る…
病院のベットで…目が覚めた…
母さんが心配そうに傍らで私の顔を覗いている…
死ねなかった…
悪夢を見た…
作者退会会員